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吉田拓郎のお友達とお喋り








2006年11月16日 【山口県】





「金丸さん………………金丸さん起きて下さい。もう12時です。」



目を覚ますと、そこはアツシ君の部屋の中だった。


ゆうべ寝たの朝だったよな……………


寝ぼけ眼をこすって一緒に車に乗り、アツシ君の案内で岩国一の名所、錦帯橋へ向かった。






清流、錦川を上流にのぼっていく。

広い川原。

穏やかな山の緑。


ここは山口県か。


中学校の修学旅行で来た以来だな。


海峡を挟んではいるが九州と1番近い県なので、やはりどこか懐かしさがある。


もうこんなに近くまで戻って来たんだな。


そんなことを思いながらハンドルを切っていると、川の上に巨大な木造のアーチ橋が見えてきた。





1673年に初代岩国藩主、吉川広家によって造られたこの橋。


頑強な石積みの橋脚を経由して、五連のアーチが200メートルもある錦川に架かる姿はなんとも優美だ。


300円払って橋を渡りながら山を見上げると頂上に岩国城も望める。


周辺には江戸時代の武家屋敷が残っており、とても風情がある。




「おーい、面白い人連れてきたじゃー。」



橋のたもとには土産物屋が並んでおり、その中の1軒にやってきた。


ここはアツシ君のご両親が経営されている地酒屋さんで、アツシ君のお姉さんが子供をかかえて出てきた。



「はぁーい、リオちゃん抱っこしようねー。はぁぁーい。」



「いや!!いやあああああ!!」



「まぁ、こんなもんです。」



アツシ君が抱っこしようとしたら化け物みたいに怖がって泣く赤ちゃん。


仲のいいご家族だな。


するといきなり店先でアツシ君が叫んだ。



「岩国の地酒はいかがですかー!!いらっしゃいませー!!」



おおお、スウィッチの入り方すごいな。

きっと昔からこうやって家を手伝っていたんだろうな。


歴史ある町の何気ない家族の風景。


岩国いいなぁ。









町に戻りアツシ君と別れ、それからゆうべ一緒に遊んだトモちゃんとインド料理屋さんにお昼ご飯を食べに行き、次は広島の欧風レストラン『スポッズ』の店長さんに教えてもらったカフェ『カフェカンパニー』に向かう。


山口県に入った瞬間から人とのつながりが連鎖しまくりだな。

出会いの数は成長の数だ。



市内からちょっと離れたわかりづらい場所にようやくカフェカンパニーを発見。


聞くところによると、ここのマスターは昔、吉田拓郎とバンドをやっていたそうな。


どんな人なんだろう。





様々な種類のコーヒー豆がところせましと並んだ小さなお店の中に入ると、香ばしい匂いがふわっと鼻をくすぐった。


アイスコーヒーを注文して早速マスターに話しかける。



「あ、音楽やってるの。スポッズで聞いて来たんだ。三上君元気にしてた?」



そう言いながらこちらにやってきたマスターの手にはドブロギターが握られており、おもむろに演奏開始。


んー、いい。

スライドの優しい音色がほろ苦いコーヒーの香りと混じって店内に漂う。


やっぱ楽器は生だなぁ。

贅沢な音色だ。



「拓郎ねー。あいつくらいでしたよ。僕らの仲間で楽譜が読めないの。」



拓郎は広島出身。

だから若い頃に拓郎と一緒に音楽をやってた人たちってのがいるんだよな。



他にも拓郎の話をいろいろ聞かせてくれた。



「歌もギターも下手クソでねぇ。20歳くらいのころにね、バンドで大会に出ることになったんです。しかし日程がどうしても調整つかなくて、それであいつ1人でやりますっつって歌ったんだわ。それで目をつけられてね。あの時バンドで出ていたら何にも起きなかったかもなぁ。」



店内には居酒屋で昔の音楽仲間と飲んだくれて、赤い顔して笑ってるマスターと拓郎の写真なんかもあった。


この時ギターを持ってきてみんなで1曲ずつやるぞって話になり、拓郎がやったのは『骨まで愛して』。


拓郎がやる人の曲っていつもこれなんだって。



「あいつの功績は一般の人たちが持っている音楽ってものへの意識、敷居を下げたこと。音楽やってるやつは、どうだ俺すごいだろ?ってなりがちだし、聴衆もそう思ってしまう。それを拓郎は音楽をものすごく身近なものにしてくれたんじゃ。」



マスター、楽しいお話とおいしいコーヒーをありがとうございました。









市内に戻り、繁華街の中にある銭湯に入り、軽食もやっているロックカントリーへ。




アツシ君オススメのホワイトソースチキンを食べていると、仕事を終えたトモちゃんが3歳のヤンチャ坊主を連れてやってきた。


元気いっぱいの悪ガキ、ユウヤはまともに席につかずに店内をはしゃぎ回っている。



子供の笑顔はいいもんだ。

小さいころから落ちついてお上品なんてダメだよな。


笑って暴れて怪我して叱られて、それくらいがちょうどいい。


ユウヤがご飯を食べずにカレーのルーばっかり食べてガミガミ叱られているところに、アル・パチーノみたいにビシッとスーツを決めたダンディなおじさまが入ってきた。



「お、金丸さんかい?」



あ!!

ロックカントリーのオーナーである青木さんだ!!


んー、カッコイイ方だなぁ。


店内に飾られたディープパープルやジェフベックのレコードが物語るように大のロック好きであるオーナー。


しかしジャンルにこだわらず、伝えられるものを持っているやつならどんなミュージシャンでも受け入れるという。


この前はあの王様が来たそうだ。


王様めちゃいいんだって。





しばらくオーナーやトモちゃんと楽しい時間を過ごし、俺は路上に向かった。


今日で4連チャン目の路上。


だいぶ喉が枯れてきたな。


そしてもうずいぶん寒い。


でもまぁ去年の北関東のからっ風に吹かれながらの路上に比べたらはるかにマシだ。


群馬の赤城おろしは死ぬほど寒かったよな。


この夜は5000円でフィニッシュ。

んー、最近1万超えないなぁ。





岩国、いきなりいい出会いに恵まれたなぁ。


アツシ君、そして2枚目の『日本一周』ダンボールを作ってくれた3人組のみんな。

ありがとうな。



さぁ、九州はもう近いぞ。









翌日。




岩国から海岸線を南に下っていく。

青い空、海に浮かぶいくつもの島影。


あー、瀬戸内海ってほんと生活感のある海だよなぁ。


そんな瀬戸内とももうすぐバイバイだ。




しばらく走っていくと、橋でつながる大きな島が見えてきた。


周防大島だ。


貴重な重要文化財を持つ名刹、史跡が点在し、海岸には荒々しい奇岩もあればファミリー向けのビーチも揃っているレジャーアイランド。


あまり時間をかけてはいられないので、その中から特にそそられる場所を1ヵ所だけピックアップし車を飛ばす。





食堂『まきちゃん』でメシを食べ、島の先端にある伊保田に到着した。


お、あれか。


丘の上で海に向かって砲口を立てる古びた大砲が見えた。





ここは昭和18年、謎の爆発事故で海の藻屑と化した戦艦『陸奥』が眠っている場所なのだ。


海から引き揚げられた陸奥の大砲モニュメントの横を通り、記念館に入る。






日清・日露と、軍国としての猛進に歯止めがかからなくなってきた明治初期の日本。


少ない人員、資源をフル活用して次々に当時の世界最高水準の兵器を産みだしていく。


こんな小さな島国なのにアメリカ、イギリスに次ぐ軍事力を持つにいたり、大国はこのままだと日本に太刀打ちできなくなると、ワシントン軍縮会議にてこれ以上の兵器の膨張にリミッターをかける。


その時、建造中だったのが、これまた当時世界最強の火力を備えた戦艦『陸奥』だった。


こりゃいかん!!と会議が決行される前に突貫工事で仕上げられ、その後の日本の戦渦の中を縦横無尽に走り回ることになる。


しかし、そんな日本男児のエリート中のエリートしか乗船することができなかった憧れの的は、予想もしない形で最期を迎えることになる。




それは昭和18年。


太平洋戦争ど真ん中のある日、この大島沖で停泊中に突然の大爆発。


昼飯時だったらしい。


真っ二つにブチ折れた陸奥は1121名の夢多き若者たちを飲みこんだまま海に沈んだ。


爆発の原因は火薬庫の自然発火とか、スパイによるものだとか諸説あるが、真相ははっきりしていない。


この記念館には、引き揚げられた遺品や艦体の一部、海軍兵の遺書など、ヘビーなものが数多く展示されている。












フジツボのついた窓、腐食した懐中電灯、鏡やハーモニカなんかもある。


暗い海の底で戦争が終わったのも知らず、大日本帝国軍のままの姿で眠っていた陸奥。


記念館を出て海を見ながら車を走らせた。


今も地球上の広大な海の底には、何千、何万という軍艦や飛行機が沈んでいるんだろうな。













大島を出て、柳井の町にやってきた。


岩国藩の海の玄関口として栄えた港町で、江戸時代の商人屋敷が並ぶ通りは黒板壁と白漆喰がなんとも端正で美しい。





そんなモノトーンの景観にアクセントを添えるのが、150年前からの伝統を持つ金魚ちょうちん。


竹ひごと和紙で出来たかわいらしい金魚が、古い民家の軒先で風に揺れる姿はとても爽やかだ。





夏にはこの金魚が通りの民家に何千個もズラリと吊るされ、さらには巨大金魚を何匹も合体させたユニークな屋台が練り歩くお祭りなんかもあるようで、まさに金魚の町。


個性を持った町にはまた来たくなるなぁ。









柳井から一気に周防市徳山の街までやってきた。


結構栄えてるな。


飲み屋街も路地形成ではなく大通り形成だ。



今日はハナキン。

ネオン街の真ん中にある親鸞上人の像の前に腰掛けて5連チャン目の路上スタート。


うー、声でねー。


反応も薄く、だいぶ頑張っても足元のギターケースには4000円くらいしかたまっていない。


そろそろやめようかなというところに、酔っ払ったオッチャンがやってきて、フラフラと横に座りこんだ。



「えへへ………………えぇのぉ……………うん……うん!!ダメなんじゃあ、どいつもこいつも……………へへへ……………」



すでにコミュニケーション能力が消え去っており、心の底からウザい。


でも相手をしないと怒るというオッサンあるある。


説教してくる人、歌っているのに構わず話しかけてくる人、邪魔する人、楽譜を勝手にめくる人、お前らも聴けよー!!と通行人に無理やり強制する人、説教してくる人、説教してくる人。


飲み屋街でやってればこんなのよくある話だ。




「よし!!……………うん、ちょっと1軒行こうか………………ワシ出すけぇ……………の?」



「すみません、僕まだ車に戻ってすることあるんで。」



ぺろっと舌を出して恥ずかしそうに笑うおじさん。


さっきから30秒に1回は舌をペロッと出している。


可愛いんだけど、こんな酔っ払った人についてお店に行って実はお金なかったとか、酔い潰れて面倒見なきゃいけなくなったとか、そんなこといっぱいあった。




もう帰りますからとギターを片付けて歩きだすと、後ろをバイオハザードのゾンビみたいについてくる。


どこまでもついてきて、車まで来てしまった。


もう帰った方がいいですよ、となんとか説得し、彼はフラフラとネオンの中に消えて行った。


お元気で。





ケータイを見るが、美香からは相変わらず連絡はない。


雨がポツポツとフロントガラスを濡らしはじめた。



リアルタイムの双子との日常はこちら





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