2004年 8月4日
今日は五所川原立佞武多の初日!!!
五所川原は津軽半島の根元あたりにある町だ。
ここのねぶたは他の町とは全然違った形ですごい迫力とのこと。
いやぁ、毎日毎日ねぶた三昧。
青森面白いなぁ。
ホント、青森めっちゃ好きだわ。
お祭りは18時半からなので、何しようかなーとのんびり五所川原に向かっていると、ちょうど焼き物祭りっていう看板を発見。
早速行ってみると、金山焼っていう窯元があった。
ここには何人もの作家さんがいて、なぜか外国の人がほとんど。
近くにある沼の底の土をすくってきて、それを粘土に使ってるらしい。
鉄分がかなり多いため釉薬が使えないらしく、すべて松灰の自然釉のみ。
黒い無骨な色が特徴だ。
「おー、久しぶりにこの店に合わない服装のお兄さんだあやぁ。」
語尾の発音を文字化するのが難しい言葉を喋る部長さんに色々と見せてもらった。
んんん…………津軽の言葉ヤベェ…………
久しぶりにグッとくる焼き物だったので奮発して2500円の徳利を買った。
ホントに味わいのある美しい色だな。
音次郎温泉は五所川原市内にある温泉。
玄関と浴場に弘法大師像を祀っているちょっと変わった銭湯。
夜な夜な弘法大師にここ掘れここ掘れとお告げを受けて掘り当てた温泉なんだそう。
青森に入ってからなんだけど、マジで町の中にめちゃくちゃ温泉が沸いてて、それが共同浴場になっている。
おかげでスーパー銭湯に入らずに済むからお風呂代がかからなくてすごい嬉しい。
青森サイコー。
ちょっと怖い名前のショッピングモール、「エルムの街」にファントムを止め、100円シャトルバスで五所川原の中心地に到着。
バスを降りると、もうものすごい数の人で溢れかえっていた。
すげぇーーー、なんて賑わいだ。
こんな盛り上がる祭りが地元にある人って自慢だよなぁ。
さー、どこで見物しようかなーと周りを見回した瞬間、ビルの間を何かが動いたのが見えた。
な、なんだ?
え?
なんじゃありゃあああああああああああ!!!!!
マジでゴジラの世界!!!!
高さ22メートル!!!
7階建てのビルと同じ背丈の日本画の巨人が夜空にそびえている!!!!
すげすぎる!!!!
怪獣が人間踏み潰しながら歩くやつやん!!!!
めっちゃビビったんだけど、さらにビビるのは江戸時代とか明治時代はもっとデカかったということ。
32メートルなんていうとてつもないやつもあったらしい。
しかし明治末期の電気・電話の普及によって電線が張り巡らされ巨大化がストップ。
青森ねぶたがあんなしゃがみ込んだような横長の形になったのはそのせいなんだそう。
その後、五所川原ねぶたは約100年の間、お祭りを中断していたが、電線を地中化することにより平成8年に復活。
立佞武多と命名され、数年で青森3大ねぶたに名を連ねるほどの人気を獲得したわけだ。
それにしてもデカすぎるだろ!!!!!
そしてお囃子もハネトも元気すぎ!!!!
「ヤッテマーレ!!ヤッテマーレ!!!」
の声に合わせて踊り狂う人々。
町全体が躍動してる!!
いてもたってもいられず、立ち上がって踊り始める観衆のおじちゃんおばちゃん。
汗びしょびしょでみんなすごい素敵な笑顔だ。
そういえばさっき軽トラの荷台でめっちゃ歌の上手い人が、ヤッテマーレヤッテマーレーーー!!!って演歌歌ってたけど、今考えたらアレ吉幾三やん!!!!
五所川原立佞武多の掛け声を入れた自分の曲を持ってる吉幾三はこの津軽出身!!!
最初のうちはみんな遠慮がちに歩道で揉みくちゃになりながら見物していたけど、終わりが近づくとみんな好き勝手な場所から写真を撮りまくっている。
俺もアーケードのハシゴを登って、屋根の上から巨人を眺めた。
すげええええええ……………
明治時代とか、まだ高い建物なんか何もなかった時代に32メートルなんて、信じられん巨大さだったんだろうな。
青森ってマジで見どころありすぎだよ。
すげー面白い県だわ。
祭りが終わったら、興奮冷めやらぬまま弘前に行き、またシャニーとリゴンのところに遊びに行ってみた。
今日も路上でアクセサリーを売ってる2人。
違う国の、考え方も、文化も、宗教も違う人間と話すのってすごく楽しい。
世界は日本人しかいないわけじゃないって、そんな当たり前のことを実感してすごくワクワクする。
確かに、この日本で普通に生活して仕事して、家族と暮らしていくのに外国人と触れ合う必要はない。
でもそれじゃあまりにも狭い人生だよなって思う。
こんなに広い世界があるのに、ここはちっぽけな島国だ。
「あーーー、カッコいい男欲しい。ブサイク、バカ。」
辺な顔してそう言うシャニーに大笑い。
うん、そこは世界の女の子共通だよね。
シャニー、リゴン、会えてよかったよ。
またどっかで!!
翌日。
さぁ青森突入だコノヤロウ!!!!
ついにねぶたの大ボス、青森ねぶたの日!!!!
今までテレビとかで何度も見てきたあの超有名なお祭りに行けるかと思うとめっちゃ興奮する!!!
県庁所在地である都会の青森市内にやってくると、まだ15時だというのにすでに歩道に敷き詰められた場所取りのブルーシートの上であちこち宴会を始めてやがる!!!
片道3車線ある大きなメインストリートの両脇にはイスがズラリと並んでおり、特設座敷も組んであったりして、夜どんだけ混雑するんだって雰囲気。
これまでの県内でのねぶたとはすでに比じゃない規模だ。
前夜祭を合わせ7日間での動員は363万人。
弘前ねぷたの2倍以上だ。
500円の臨時駐車場に車を止めて歩いていくと、すでに街の中には跳人の格好をした若者たちが溢れかえっている。
跳人っていうのはお囃子に合わせて飛び上がりながら踊る人たちのこと。
ちゃんとチームができており、1台のねぶたにお囃子部隊、ねぶた部隊、跳人部隊があり、それぞれの部門で賞なんかもあるそうだ。
ひとつのチームに跳人が1000人もいるというからマジで街の人口全員参加って感じだな。
そういえば最近聞いたラジオでねぶたを愛するおじさんがこんなことを言っていた。
最近の跳人はなってない。
服装もちゃんと正統なものがあるというのに崩して着てるし、ホイッスルなんてもんも昔は使ってなかった。
もっとキチンと伝統を守ってもらいたいと。
確かに街にいる跳人を見てみると、男は胸元をはだけてアクセサリーをし、女はここぞとばかりに胸にサラシを巻いて髪をアップにくくりあげている。
つまりヤンキーファッション。
正統な服装はというと、キチッと首元まで浴衣を着て、頭には花傘をかぶっているというもの。
まぁどこの街にも目立ちたいやつはいるし、若者たちの流行りってあるよな。
ひどいやつは水着だけしか着てない女の子もいる。
まぁそんな厳しくせんでもいい気もするけどな。
観光客の外国人とかもめっちゃ飛び入り参加してるんだし。
人が集まってきだすと、駅弁売りみたいな売り子さんたちがタオルやうちわを持って大声出しながら通りを行き交う。
完全歩合なんだそう。
18時50分。
さぁ始まったぞ、東北3大祭り、青森ねぶた!!!
封鎖されたデカい車道の上を、4トンものねぶたが所狭しと暴れ回る!!!
跳人の迫力がすげぇ!!!!
「いくぞお前らあああああ!!!思いっきり跳ねろよおおおおおおおおおお!!!」
「はい!!ラッセーラアア!!ラッセーラアア!!!」
「ラッセーラアア!!ラッセーラアアアアアアア!!!!」
酒も入ってるんだろう。
気が狂ったように飛び跳ねる1000人の激流。
それが20数台も続くんだから血が騒がないやつはいない。
周りに群がる大観衆に向かってラッセーラアア!!と音頭を取れば、見てる人たちも笑顔でラッセーラアア!!と返す。
うわあああああ、地元のやつらとみんなでこんな祭りやれたらどんなに楽しいだろう。
みんなで酒飲んで大騒ぎして、踊りまくって、大観衆が日本中からそれを見にきてて、
きっと近所のおじちゃんが跳人の偉い人だったり、親戚のおじちゃんがねぶたの絵師だったり、子供のころからねぶたが生活の一部で、それが地元の人たちがここにいるんだよなぁ。
弘前も平賀も五所川原もそうだったけど、どこの祭りも郷土色があって、オープンで、すごく親近感が湧く。
もう1発でねぶた大好きになった。
規制まみれの浅草の三社祭とは大違いだ。
21時になり、ねぶたが所定の収納小屋に戻っても、興奮さめやらぬ跳人たちはそこら中でオイ!!オイ!!!って叫びながらビール片手に跳ねまくっている。
コンビニの前、アスファルトの歩道、街の中いたるところにそんな跳人が溢れかえっている。
声をかけられるのを待ってる化粧バッチリのサラシの女の子たち。
ヤンチャな男の子たち。
いいなぁ。
これが青森の青春なんだなぁ。
臨時駐車場に戻り、俺も興奮冷めやらぬままファントムを走らせた。
今日は金曜日。
稼げる三沢で歌うか、それとも下北半島のむつ市に向かうか。
どうしようかなぁ、でも三沢ではもう町のみんなにバイバイしてきたしなぁ、んー、むつは稼げるかなぁ、そんなこと思いながら外灯もない田舎道を走っているその時だった。
…………………ん?
なんだ?
なんかアクセルが軽い…………?
ああ!!!!
ガクガクガクガク!!!!!!
スーーーーーーーーーーー………………
が、ガス欠……………
人生3度目のガス欠がまさかのスーパー田舎の国道の真ん中。
マジかよおおおおおおおおお!!!!
どうすんだよこれ!!!!
こんなど田舎で!!!!
慌ててもしょうがない。
ヒッチハイクして24時間のガソリンスタンドに行って買ってくるしかない。
ぐあああああ…………せっかくの金曜日の夜なのに何やってんだ……………
30秒に1台くらいしか車の通らない寂しい無音の道路沿いに座り込む。
車が来たら立ち上がって親指を立てる。
「あー、この辺りは田舎だから24時間はないよ。その先に小さなスタンドはあるけど。」
えええええ……………
嘘だろ………
トラックがズゴーーーーーー!!!と走り抜ける国道を、上半身裸になって気合いでファントムを押し続けた。
重いいいいいいい!!!!
こんなデケェ車、どこまで押せばいいんだ……………
運良く500メートルくらい先にスタンドがあり、真っ暗な店の中に突っ込んだ。
汗だくでめっちゃ気持ち悪い…………
クソがあああああ…………
あ!!!!
あれ?!!!!!?
な、ない!!!!
デジカメがない!!!!!
どこーーーーー!!!!!
はっ!!!!
さっきのねぶたの駐車場の簡易トイレの中だ!!!!
やばい!!!
それはさすがにヤバい!!!!
早く取りに戻らないと!!!って車動かねえぇぇぇぇぇぇええええええええ!!!!
こ、今度こそヒッチハイクで戻ろうと道に出たんだけど車一切通らない!!!!
はぁ…………何やってんだ俺……………
あああ、気持ち悪いし、デジカメねぇし、金曜日なのに歌えねぇし…………
今夜中の2時半。
もうどうしようもないから寝るか…………
リアルタイムの双子との日常はこちらから