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最果ての下北半島へ







リアルタイムの双子との日常はこちらから






2004年 8月6日





「何すでんだやぁ?」



「……………………はっ!!!はいー!!」



6時半にガソリンスタンドのおじさんに起こされた。


ゆうべはあのままガス欠で動けないまま、ガソリンスタンドの給油のところで車を止めて寝ていた。



おじちゃんからしたら、出勤してきたら車止まってて中で人が寝てたらそりゃビックリするわな。


なんとか給油することもでき、ファントム復活。





それからソッコーで青森市に戻り、デジカメを忘れた臨時駐車場にやってきた。




た、頼む…………


デジカメあってくれ……………




めっちゃドキドキしながらゆうべ使った仮設トイレのドアを開ける………………








そこにはデジカメが!!!!!











な、ない…………………





ないいいいいいいいいいいいい!!!!!




嘘だろおおおおおおおおおお!!!!!




区画整理に使ってるカラーコーンに記載してある警備会社、仮設トイレの保有者、市役所に電話をかけまくり、ゆうべのゴミが散乱した市内を立佞武多みたいな顔して駆けずり回った。


拾得物が全て集まってくるという警察署に行って探してもらうが、ここにも届けはない。



商工会議所にも電話してみた。



「あー、そうですかー、デジカメのメーカーはなんですか?」



「え?!め、メーカー!?な、なんだったけ…………オリンパス………?」



「あー、ないですねー。」




ああああああ……………


終わった……………



青森に入ってからの名所、お世話になった人たち、そして連日のねぶたの写真が全てなくなってしまった…………


新しいデジカメ買おうと思ったらまたものすごい出費……………


北海道に渡るためのフェリー代も稼がないといけないのに…………



もう諦めるか……………




絶望してムンクみたいになってると、そこに駐車場のガードマンさんがやってきた。



「デジカメ?あー!!はいはい!!ありましたよ!!よかったですねー!!ねぶたがかなり上手く撮ってあったやつですよね!!商工会議所に預けてますから。」




キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!



ガードマンさんありがとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!



ていうか中身見られてるうううううううううううううううううううえ!!!!!



へ、変なの撮ってなかったよな……………?




なにやらゆうべ俺が帰った後にトイレを使った人がデジカメを見つけてガードマンさんに預けてくれたみたい。


ラッキーすぎる!!!!


ソッコー商工会議所にダッシュ!!!!




「デジカメですか。どんなやつですか?」



「えっと、あの、オリンパ………いや、あの皮のストラップのついたやつです。ボロボロの。」



「あ、はい、こちらですね。よかったですね。」



そっかぁ、こういうお祭りでは死ぬほど落とし物があるだろうから、私のですーって言ってパクるやつがいっぱいいて、それで商工会議所の人も慎重に受け渡しをしてるんだなぁ。


はああああ…………よかったあああああああ……………



一安心して車に戻り、下北半島に向けてアクセルを踏んだ。











地図で見ると、県の右上にマサカリ状に出っ張ってる半島、下北半島。


その半島唯一の街であるむつ市にやってきた。


街中にやってくると、どうやらさっきまで子供ねぶたをやっていたようで、出店が片付けをしているところだった。


飲み屋街を探して歩いていると、路地裏にネオンが固まってるところを発見。



すげえええーーー……………


なんだこの昭和レトロすぎる飲み屋街は…………





建物の間にピチョンピチョン水が滴っている薄暗い路地裏に、ポツポツと並ぶおばさんセンスの名前のスナックたち。


剥がれかけたペンキで書かれた◯◯横丁とかのバラックの迷路。


うわぁぁぁぁ、こいつはすごいわ。


昭和で完全に時が止まってるやん。


こんな青森県の、ていうか本州の最果ての最果ての小さな町の寂れた飲み屋街なんてロマンありすぎだわ。








そんな街の中、リタがアクセサリーを売っていた。


最近、黒石市からこのむつに飛ばされたんだそうだ。


よく会うなぁって笑いながら俺も飲み屋街の路地裏で路上をスタート。



思いのほか人が集まってくれて、1時間で9000円くらい入った。


おおお、むつスゲェぞって思っていたら、そこにミニスカートのおばちゃんが話しかけてきた。



「あんた飲みに行くよ!!!」



おばちゃんの横には安達祐実似の女の子。

母娘で飲みに来てるところなんだそうだ。



あんまり強引なので、というか娘さんに惹かれてついていき、3人でうすら寂れたスナックへ。


ビールを飲ませてもらってたんだけど、お母さん酔っ払ってぐでんぐでんになってて抱きついてきすぎ。


自分の娘の前で俺にめっちゃチューしてくる。




店の階段を転げ落ちそうになってるお母さんをなんとか抱えて降り、もうこれで帰るだろうと思ったらそのままメンズバーに入っていくお母さん。



「もーー、恥ずかしいよーーー。」



という娘さんを引っ張ってそこでまた1時間。






しこたま飲んで外に出ると、すでに空が明るくなっていた。


ワイんとこ泊まりおいでーー!!と俺の腕を引っ張ってタクシーに引きずりこもうとするのをなんとかふりほどき、見送った。


家なんか行ったらなにされるかわかんねぇ。





あああ、引っ張ってくるのが安達祐実似の娘さんならよかったのになぁ。


めっちゃ可愛かった。



ギターを抱え、トボトボとファントムに帰る。


朝霧がはるかな山並みにかかり、まるで水墨画のようだった。



















翌日。





下北半島は観光資源が豊富だ。


透明度の高い海が広がる海岸線には、仏ヶ浦などの奇岩の名所があり、山に入れば猿が入ってそうな秘湯の数々。


でもその中でも最大の名所といえばもちろん恐山だ。






むつ市から車で30分。


結構急な上り降りの山道を走っていく。



最近ファントムの調子が異常に悪いんだよなぁ。


べべべべべべ、と変な音がするし、ベルトが伸びているのかエンジンが空回りしてしまって坂道を全然登らない。



マフラーからは黒煙を吹きまくってて、かなりヤバい雰囲気。


北海道に着いたらちゃんと1回見てもらわないと。







やっとこさ山を登っていき、最後の下り坂を降りていくと、目の前に宇曽利山湖のエメラルドブルーが広がった。


深い山々に囲まれたこの湖畔に恐山は存在するみたいだ。





比叡山、高野山に並ぶ日本3大霊山のひとつ、恐山。


山という言葉は別にホントの山じゃないが、修験者たちの修行の頂上というような意味合いで使われるんだそう。


800年代初頭、日本天台宗3代目、慈覚大師円仁が悪夢の中、1人の聖僧に「東に30日の旅の末に霊山を見つけるだろう」とのお告げを受け、この地を発見して開山したという。


湖と砂の台地が広がるこの地はまさに黄泉の国。


人が死ねばお山に行く、という民間信仰はこの現代でもいまだ続いている。











土産物屋の隣の入り口で500円を払って境内へ。


参道脇には4つの温泉があり、ほったて小屋の中に湯船がある。





入り放題だが湯船しかないのでとりあえずスルー。







しばらく歩き、本堂に着くと、その横からまさに浄土が広がる。

ゴツゴツした岩場のいたるところに積み上げられた小石の山。


そしてカラカラと音を立てて回る風車。


よく見ると、積み上げられた小石に供養の文字が書かれていて胸を打たれる。










賽の河原にも同じように小石が積んであった。


湖面はひたすら静かで、美しさよりも怖さを感じてしまいくらいに静寂。




軽い気持ちで恐山に行くと事故るよ、と地元の人から聞いていたんだけど、それが信じられるくらいに不気味な空気が漂っている。


まぁ観光バスのおじちゃんおばちゃんたちはそんなの関係なしにめっちゃギャーギャー騒ぎまくってるので、こんなんで事故ってたら日本の人口いくらあっても足りない。


しかし涙を流しながら石を積んでいる人の姿もよく見られるらしい。






恐山といえばイタコ。


死者を体に下ろし、実際に話をする口寄せっていう特殊能力を持つ人たちのことだ。


はいはい、そんなのあるわけないやんってずっと思ってたけど、この旅の中で人間という神秘に数多く触れてきたので、あながち嘘でも、いや、信じる人の気持ちもわかるようになったかな。




売店でイタコについて色々聞いてみた。


イタコさんというのは別に恐山にしかいないものではなく、外国にシャーマンがいるように、北東北地方の民間で信仰されてきた人たちで、その人たちが霊山にあやかって山に登るようになったらしい。


今日はここには来ていないそうなんだけど、現在イタコさんは10人ほど存在するらしい。


この山にいるのではなくて、みんな通いだ。

契約社員的な感じみたい。



地元であるむつ市には1人もおらず、みんな津軽のほうにいるとのこと。


遠いところでは秋田からわざわざやってくるイタコさんもいるそうだ。




もともとイタコは目の見えない人が生業にしていたものらしいんだけど、目の見えない人がどうやってこの恐山までやってきていたのか謎なのでその節は信憑性がない。

実際に大町佳月や色んな人の本、江戸や明治の頃の恐山を舞台にしたものにもイタコのイの字も出てこないんだそう。



歴史は実は浅く、鉄道が通った大正期ぐらいまでしか遡らず、テレビが普及した昭和30年代に、秘境!!下北半島!!神秘のイタコ!!みたいな番組で放送されたことで大ブレイク。


当時はむつ駅からシャトルバスがピストン運行しても間に合わないくらいたくさんの観光客が押し寄せていたんだそうだ。


まぁだいぶビジネス寄りの雰囲気になってはいるんだろうな。



でもそれにしてもやっぱりこの恐山の雰囲気はピリピリするほどに霊的だった。














恐山を後にして、むつ市のすぐ隣にある大湊町にやってきた。


ねぶたは何も大都市ばかりでやってるものではない。


この小さな田舎町でも、明日、明後日と大湊ねぶただ。























祭りを眺めていると、いかにもアウトローな感じのお兄さんが話しかけてきた。


そこは飲み屋さんの店先で、店内からイカしたロカビリーが流れてきていて、お兄さんはお店の店長さんみたいだった。


好き放題やってるぜ!!って感じのそのお店はジンカフェっていうバー。


こんな田舎に俺みたいな派手な格好をしたよそモンがいて、それで話しかけてくれたのかな。





いるんだよなぁ、こんな田舎にも音楽を愛する不器用な男が。


田舎の保守的な人たちから白い目で見られながら、自分の生き方を貫き通す姿は確かにカッコいいけど、もうちょっとみんなから好かれるように出来ないのかなぁって心配してしまう。


昔だったら俺もこんな生き方を望んでたけど、今はもっと人の目を気にするようになってる。


そして人の目を気にすることはひとつもカッコ悪いことではない。












海岸沿いの寂れた町の中を進んでいく人形ねぶた。


玄関先に椅子を出して近所の人たちとお喋りしながら眺めているおばちゃんたち。


観光客はほとんどおらず、地元の人たちだけの、地元の人たちのためのお祭りって感じだ。






いいなぁ。

やっぱ祭りはこうでなくちゃ。




















矢立温泉ってとこで汗を流し、むつに戻ってきた。


今日もむつの昭和レトロな飲み屋街で路上開始。




ここの飲み屋街、マジで働いてる女の人、外国人ばっかりだな。


フィリピンとかアジア系はもちろん、ヨーロッパやロシアとかめっちゃ色んな人種の人たちがドレスを着て男を待っている。


遠い遠い国から日本にやってきて、まさかこんな東北の最果ての寂れた飲み屋街で働くことになるなんて思ってもみなかっただろうなぁ。


こういう全国の飲み屋街に外国人の女の子を斡旋する業者とかがしっかりいるんだろうな。






4000円くらい入ったところで2弦が切れた。


あーあ、と思いながらギターを置いてリタとお喋りしていると、何やら向こうから派手な感じの男の人が歩いてきた。



「オー!!コーイチロー!!」



「コーちゃんー!!ノミニキテヨー!!」



街の人みんなが声をかけるその人。

なんかこの町の有名人って感じだ。


ただモンじゃない様子。



「へー、日本一周してるんだ。ワイも歌うたってるんだ。」



むつ唯一のライブのできる場所、バー「DIO」のオーナー、二木幸一郎さん。


25歳だけど10代でもいけるような童顔の男前だ。




一緒にいた松本さんとも話が合い、リタも連れてみんなでDIOにやってきた。


古めかしい建物の2階、店内にはテーブルと椅子が並び、中央にビリヤード台が置いてある。


映画「ハスラー2」でポールニューマンがトムクルーズを連れて昔行ってた玉突き場を連れ回すシーンがあるけど、そんな感じの雰囲気だ。






二木君はヴィジュアル系全盛期に東京でバリバリ化粧をしてバンドをやってた人で、人生経験も豊富なクールな男。



松本さんは自衛隊員でドラマー。




3人でひたすらセッションしまくった。



疲れたら酒を飲んで色んな話をして、またセッションして、疲れたら酒を飲み、またセッションする。


リタはもう眠いからと帰っていった。






「金丸君、今日は何するの?」



「大間に行きます。」



「よし!!俺たちも行こうか!!」



外に出るともうすっかり明るくなっていた。


グリーンホテルってとこでめちゃくちゃ美味しい朝食を食べ、松本さんの青いスポーツカーと俺のファントムで大間に向けて出発した。









朝の海岸線。

爽やかな潮の香りが窓から吹き込む。



ここは東北の端の端なんだよな。


こんなところまで来たんだよな。


ほったて小屋とブイが散らばり、潮で全てが崩れそうになっている。




道の向こうに津軽海峡が見えた。







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