2004年 7月2日
今日も汗だくでろくに眠れないまま車の中で目を覚ました。
寝不足だけどガンガン進むぞ。
まずは松島湾をぐるっと囲むように伸びている奥松島、宮戸島へ。
月浜、室浜など、猫が魚くわえて歩いてるようなのんびりした漁村の中を歩いていく。
このあたりは外海に面しているため波が荒く、そのせいで岸壁の侵食が鋭く、リアス式海岸丸出しだ。
その景色を見にやってくる観光客も多く、漁村の民家は2軒に1軒が民宿になってる。
デカいウキや網が無造作に固められ、さびついたボロボロの家、ペンキのハゲた小さな船、砂浜の流木がノスタルジックにうずくまっている。
漁村の静けさは島国日本の原風景だ。
松島4観望のひとつ、大高森から湾を見渡す。
島々の間に牡蠣養殖の棒が幾重にも螺旋を描き、まるで海の上がパチンコ台の釘みたいだ。
奥松島を後にして石巻市にやってきた。
まず目につくのはアニメのキャラクターモニュメント。
静かな田舎町のいたるところに仮面ライダーやサイボーグ009のキャラクターが設置してある。
石巻は石ノ森章太郎ゆかりの地らしく、それでこうした町おこしをしてるんだな。
ちなみに石ノ森マンガ館は入館料800円だからサヨウナラ。
それよりも石巻にはいい酒蔵がいくつか存在する。
まずひとつ目の「日高見」へ。
ものすごくアットホームな蔵人さんばかりで、気負わずリラックスして色々質問させてもらえた。
「これ持ってってください。」
酒粕を蒸留することでできる粕焼酎と、純米の4合瓶をお土産にいただいた。
日高見さんありがとうございます!!
次にやってきたのは、今茨城で1番勢いがあると言われている「墨廼江」。
見学はダメですと言われていたんだけど、メモがギッシリ書かれたホワイトボードを片手に持っていくと対応が結構変わるっていう俺の作戦。
中を案内してくださって、20分ほどお話をうかがうことができた。
よし!!!今夜は歌うぞ!!!
すでに何回かやっているこの石巻。
よっしゃ稼ぐぞコノヤロオオオオオオオ!!!!
いつもの道路脇に座って歌い始めること2曲!!!!
ソッコー警察ストップ!!!
ギエエエエエエエエエエエエ!!!!!
餓死決定えええええええええええ!!!!!
クソが!!!
こんなんで諦めんぞ!!!!
場所を変えて続行するぞと、路地裏から中に入っていくと、
おいおい、マジかよ。
ちゃんとあるじゃねぇか。
いい感じの飲み屋街が!!!
こここそ俺のホームグラウンド。
ガンガン歌うと、もーーーガンガン入る!!!!
喉の調子も絶好調で、A♯が楽勝で出る!!!
Bも苦しまずに出る!!!!
最近思うけど、やはり同窓会のレコーディングは確実に俺のボーカルをレベルアップさせてくれたんだよな。
CD買ってくれたお兄さんたち。
夜中の1時くらいになると、石巻で歌う時必ず聴きにきてくれるスナックの女の子、ミナミさんが今日もお店を終えてやってきた。
「何か歌ってケロ。」
女の子の東北弁めっちゃ可愛い。
歌ってる間、俺の隣で酔っ払いの相手をしてくれるからすごく助かる。
するとその酔っ払いがどっかに行くと、ミナミさんが興奮してこっちを向いた。
「これもらったけぇ、飲みに行こう。」
ミナミさんの手にはなんと1万円。
さすが夜の女!!!!
というわけで路上はこの辺にしてミナミさんと飲みに行くことに。
連れて行かれたのは「しん家」っていう居酒屋さん。
ミナミさんの行きつけみたいだ。
「こんばんはー。」
「あれ?お兄ちゃん、お昼の。」
「あっ!!!」
お昼に墨廼江までの道順を聞こうと町でテキトーに話しかけたお兄さんがカウンターに立っていた。
すげぇ偶然!!!!
酒好きな俺に、お昼飲めなかった日高見や墨廼江の純米吟醸を出してくれ、おつまみは地元どれの刺身盛り合わせ。
死ぬほど美味え!!!!
「お兄ちゃん、何か歌ってよ。」
1~2曲歌うと、いいねぇ!!とサービスでホヤとつぶ貝のお造りを出してくれた。
死ぬほど美味えええええええ!!!!!
主食がどん兵衛の俺がこんな贅沢していいのかああああああああああ!!!!!
ていうかホヤ独特うううううううう!!!!
でも吟醸に合うううううううう!!!!
「いやぁ、感動したよ。体火照ってきちゃったよ!!俺も負けらんねーがらー!!」
そう言ってくれる大将のアキさん。
最近では日本一周してるってことよりも1年10ヶ月という期間のほうに驚かれたりするんだけど、とにかく俺のしてることで周りの人が元気になってくれることがすごく嬉しい。
お店を閉め、アキさんと小学4年生の息子君とミナミさんと4人で歌いまくった。
息子君にギターを教えてあげるとすごく興味津々な様子。
「ギター買って、父ちゃん。」
「おう、買ってやるよ。」
もし俺が息子君くらいの時に、俺みたいな旅のギター弾きが家にやってきてたら、俺はその夜のことをどんな風に記憶していただろう。
きっと強烈な思い出になっていたはず。
「俺の今の幸せはこいつだよ。」
自慢げに息子君の頭に手を置くアキさん。
時計はすでに朝4時を回り、外が明るくなってきていた。
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