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死ぬほど疲れた尾瀬での野宿







リアルタイムの双子との日常はこちらから






2006年 5月25日




目が覚めると快晴。


朝日はやはり希望をくれる。


少しは元気が戻ってる。



レトロな温泉地、芦ノ牧を散策した後、大内宿へ向かった。













会津はかつて幕府直轄地。


日光、江戸へと繋がる参勤交代の大名行列がこの主要街道を通っていたそう。


そんな会津西街道の宿場町として栄えたのがこの大内宿だ。



ちなみに会津ってのは、昔々、とあるお父さん神様が息子神様と出会った場所なので会津っていうそうな。








国道から山に入ったところに時代劇のセットのような茅葺き屋根の集落が現れる。


中心に土の道が伸びてるんだけど、当時としてはこんな綺麗で広い道はそうそうなかったとのこと。



観光のじいちゃんばあちゃんの中を歩いていると江戸時代の喧騒の中にいるような気分になる。


こりゃいいなぁ。


道の脇に流れてる用水路も澄んだ綺麗な水がたくさん流れていて心が洗われる。





と思ったら観光バスのガイドのオッさんがその用水路にタバコを投げ捨てた。



おい!!!


今すぐ辞表だしてガイド辞めろ!!!




まぁガイドのオッさんはそのうち天罰でバスの中でウンコ漏らしまくるとして、この大内宿は四季を通して様々な生活の営みやお祭りが見られるようなので、会津ではかかせない名所だな。
















東北の駅100選のひとつである湯野上駅は、茅葺き屋根のとても立派な駅舎だ。

中に入ると囲炉裏なんかもあり、東北ムード満点。


この湯野上には無料で24時間入り放題の野天風呂があるみたいなので、そのうち入りにくるぞ。













南会津地方の深い山奥に向かって車を走らせていく。


脇を流れる阿賀川は、源流に近いからか流れがとても荒い。

その流れによって侵食された塔のへつりという岩場はなかなかの景観だった。















山々の隙間を駆け抜けていくと、のどかな田舎町が現れた。


メインストリートを曲がればいまだに茅葺きの民家が残っているこの町も昔は宿場町だったようで、かつては250軒もの宿が軒を連ね、大名行列が通る時にはそれはそれは賑わったそうだ。



この美しい町、会津田島は酒の町。


現在は3つの蔵が造りをしているとのことで、まずは『金紋会津』の酒蔵へ。


岩手で修行を積んだという湯田喜久男杜氏に案内していただいた。


最近、三増酒づくりをやめたらしく、仕込み米は地元のたかねみのりを使ってるとのこと。


アル添酒のほどよい甘さがとても美味しかった。












次に歩いて駅の近くにある『國権』の酒蔵へ。









『1麹、2モト、3造り』という言葉のとおり、酒造りは麹が命。


國権では仕込み水の軟水を飲ませてもらった。



これが軟水…………うーん、わからん。









蔵巡りを終えて、コインランドリーで洗濯しつつ携帯の充電。


完了した時にはすでに遅くなっていたので、この日は駅裏の祇園会館に寝床を決めた。















翌日、目を覚ましてすぐに祇園会館へ行ってみた。





1月15日のお千度参りってのから始まり、7月23日の七行器行列と神輿の渡御で終わるという1年がかりのお祭り、田島祇園祭に関する情報や資料が展示されている。


ケンカ屋台といわれる歌舞伎屋台では、近年、子供歌舞伎が復活して見どころ満載のお祭りだ。


昭和13年のお祭りのポスターなんかもあり、すごく良かった。











ガソリンを入れたら、いざ奥会津の奥の奥、檜枝岐に向かう。


連なる山々、ゴツゴツした巨岩が転がる渓流。


民家の屋根はどれも板金の鋭角なもので、道路脇の反射ポールは雪国だからだろう、3メートルはある。


晴天の中、豪雪地帯の春を感じながら車を走らせていると、はるかかなたに見える一際高い山が真っ白に染まっている。


すげぇ景色だ。






伊南町の大桃の舞台。

















福島県と群馬県と新潟県に面する村、檜枝岐。


巨大な山脈が立ちはだかる、まさにどん詰まり。



そのさらに奥には、秘境と呼ぶにふさわしい高原、尾瀬がある。


東北一高い山、燧ケ岳の噴火によって流れた溶岩の上に形成されている大江湿原と尾瀬ヶ原、鏡のように美しいという尾瀬沼、これらの豊富な水源を一気に落下させる三条の滝など、大自然を満喫できる日本を代表するハイキングスポットだ。


もちろん攻めるぞ。







とりあえず檜枝岐の町中にある見所を回る。





このあたりは山奥の豪雪地帯なもんだから、凶作の年には赤ん坊の間引きが行われていたという。


その赤ちゃんを供養する六地蔵が、道路脇にひっそりと佇んでいる。





檜枝岐歌舞伎は、この村の先祖が伊勢神宮に参拝したときに見た歌舞伎を、見よう見まねで村に伝えたのが始まりで、以来260年間、5月・8月・9月に上演されている。


こんな深山幽谷の集落で歌舞伎だなんて神秘的すぎ!















歌舞伎舞台の近くには、ばんばの像。




頭にお椀をかぶせたらなんでも願いが叶うということで、そこらじゅうにお椀が転がっている。


あと、切りたくない縁がある人は切れないハサミを、切りたい縁がある人はよく切れるハサミをお供えするらしく、ばんばの前には無数のハサミが積みあがっている。


針金グルグル巻きで南京錠をかけてるハサミもあった。



古き良き田舎の暮らしというものがしっかりと息づいているようだ。


風習ってのは人間の歴史そのもの。













いざ尾瀬へ車を走らせる。



モーカケの滝は森からすごい量の水が飛び出す豪快な景観だ。




尾瀬ヤベーと思いながら御池に到着。


マイカーはここまでしか行けない。


ここから先の登山口まではシャトルバスで移動だ。



登山口までは往復1時間。


今15時。

バスの最終は17時半。



んー、今日のところは沼まで行って引き返して車に戻り、明日また別ルートで滝を見に行くとしよう。




にしても駐車場1回千円は高ぇ…………





ジーパン、ロンT、一応ジャンパー、足元はウェスタンブーツ。


手にはデジカメと飲みかけのスポーツ飲料という完全に山をナメた格好でさぁ尾瀬にレッツゴー。









登山道をひたすら下り、約30分で森を抜けると、目の前に広大な湿原が広がった。












ポツポツと白いかわいらしい水芭蕉。


周りを取り囲む雪をかぶった山々。


何にもない湿原の真ん中の木道を歩いていくと尾瀬沼が見えてきた。



ここまで1時間。


ジャンパーは腰に巻いているが汗だくだ。


ロッジを通り過ぎ、波のない静かな湖畔を歩を進める。







うーん、どうしよう。


ここから滝までは4時間半。


今からバスに戻ってまた明日ってのも面倒くさいよなぁ。


もういっそこのまま行っちまおうか?



野宿すればいいことだし。





……………………







よし!







というわけで無謀スイッチが入り、軽快に歩いていく。


楽勝楽勝ー!!

なんとかなるさー!!



すると30分ほどで道を塞ぐ看板とロープが現れた。




『これより先、危険なので入らないで下さい。』






ここまで来て引き返せるか!


ズンズン進んでいくと、さっきまでところどころだった残雪がモロに歩道をかき消しだした。






お、おいおい…………


看板はこれのことをいってたのね…………



雪の上を歩くとズボズボと足が埋まる。


山の斜面になっているのでかなりしんどい。



前に通った人の足跡をたどりなんとか歩いていく。


ウェスタンブーツがめちゃくちゃ滑る。


カカトを雪に突き刺しながら歩を進める。



ちょっとミスったら転がって沼にドボンだ。










19時に尾瀬散策コースの中央地点、見晴十字路に到着した。


10軒ほどのロッジが並んでいて無料休憩所もある。


腹減ったなぁ…………



売店で食べ物を探してみるとカップラーメン300円。


高い…………



はー、今日なんも食べてないよ。


でも300円が惜しい。





結局我慢して無料休憩所で休んでいたが、20時に閉め出され、野宿ポイントを探し回った。



倉庫の裏のコンクリの上に座り込む。






寒い…………寒すぎる。


月の光る夜空に、得体の知れない生き物の鳴き声が響く。


屋根もない壁もない、吹きっさらしの暗闇の中、1人森のざわめきを見るともなく見る。








21時にほとんどの灯りが消えてしまった。


この山の中だ、自家発電の電気は21時が消灯時間。



真っ暗闇…………

マジで寒すぎる…………



体育座りをし、小さいジャンパーを無理やり膝にかぶせ、顔を突っ込んでハァァァっと息を吐いて暖める。





震えが止まらない。


鳥や虫の鳴き声。



怖い、寒い、腹減った…………


ケータイを見るとまだ21時15分。


もちろん圏外なので、せめてメールボックスにある仲間たちや美香の楽しいメールを見て寂しさを紛らわすが、20分もしたら電池がなくなって切れてしまった。



寒さに硬直しているから体中の間接が痛い。



うぅ…………きついよ…………


こんなにも長い夜は、旅出発4日目のあの沖縄の夜以来だ。

もう2度と明けないんじゃないかとふと思ってしまう夜。


しかし俺はこの夜が明けることを知っている。



希望に溢れた明日が来ることも。


だからこんな一時の辛さなんてどうってことない!!!





と自分に言い聞かせながらデジカメの時計を見るとまだ22時10分。



うぅ、怖いよ…………















もちろん一睡もできないまま暗闇の中で膝を抱え続け、どれくらいの時間が経ったのか。



それまで真っ黒だった空が、うっすらと青くなってきた。


ああ、朝って来るんだよなぁこうやって。


当たり前のことだけど、それがすごく神秘的だよ。



ゆっくりゆっくりと黒みがとれていく空。


山々の稜線がくっきりしてくる。




疲労と空腹で体が軋む。


でも動かんと車には戻れん。



よっしゃ行くぞ。










青白い空にそびえる至仏山。


三方を日本100名山に囲まれた尾瀬ヶ原の広大な湿原地の中に、ポツンと俺1人。


朝霧が立ち込める中、どこまでも伸びている木道を歩いていると、30分ほどで道を間違えてることに気づいて引き返した。


こんな時間なのに熱心なカメラマンはもう歩き回っている。











それから1時間半。


岩を乗り越えたり、鎖をよじ登ったり、そんなものすごい悪路が続くんだけど、このボロボロの体には過酷すぎる。


1歩1歩がきつすぎる…………






そうしてたどり着いた最初の滝、平滑の滝。


おおおおおお!!!

す、すげぇ!!!





雪解け水と連日の雨のせいで水量がめちゃくちゃ増しており、ものすごいスケール!!!!


幅50メートル、長さ500メートルの一枚岩の上を水がゴウゴウと滑り降りていく姿は、俺の中の滝ランキングのトップにいきなり躍り出た。




外国の有名な滝を見てるようだ。


こいつはすげぇ!!!











そこからさらに30分。


岩を越え、カズラの坂を登っていくとものすごい轟音が木々をぶらしはじめた。


うお!!!

まるで地響きだ!!!!


すると枝葉の向こうに信じられないスケールの水の柱が見えた。


こ、これが三条の滝!!!!!







すごすぎる…………



この尾瀬の水が全て集まった只見川。


その本流がいきなり森から消えたと思ったら、一気に100メートルの落下!!!


こりゃ、日本一だわ。


三名瀑なんて目じゃない!!!


あまりにも興奮して隣にいたオッちゃんに声をかけた。



「すごいですねこれ!!!」



「いやー、僕も日本中の滝を回ったけどねー、ここが日本一だよ。見事だねー。」












そこからさらに3時間ちょい。



ふらふらした足取りで木々の間を進んでいく。


ブーツはどろどろ、汗だくで息が切れて、今にも倒れそうだ。


きつすぎる。



あまりにもキツくて、ふとしがみついた木を見ると、文字が無数に刻みつけてあった。



『××県○○市 タケシ』





ここを訪れた人たちが記念に削っていったもののよう。


中には昭和13年ってやつもあった。


戦前の人だって観光してたんだよなぁ。


それがすごく親近感がわく。












やっと、やーーーーーーーーっとのことで死にかけながら森を抜け、膝からガクガクと崩れ落ちそうになったところで、1人のオバさんが声をかけてきた。



こ、こんな廃人になにか用ですか…………?



なにやら、旦那さんが釣りしてる間に水芭蕉を見に来たんだけど、バスが2時間に1本しかないったことを知らなかったようで、檜枝岐の町まで乗せてってくれない?とのこと。



もちろんどうぞとファントムで町まで送ってあげた。


するとおばさんは駐車場代の千円を払ってくれた上に、降りる時にご飯でも食べてと千円をくれた。




キャアアアアアアアアアアアアア!!!!


臨時収入うううううううううう!!!!!




あまりにも嬉しくてソッコーでご飯を食べられるところを探す!!!!!



檜枝岐の隣町、伊南町に『こたき食堂』って店があったので、筋肉痛まみれのゾンビみたいな動きで入店!!!!





すでに10時半。


30時間は何も食ってなく、寝ずに歩いた体はもうほとんど力が入らない。



おばさんからの2千円で久しぶりのご褒美ビールを流し込む!!!!


美味すぎて鼻からビール噴き出すかと思った。



空腹で限界突破した俺の目の前に置かれたカツカレー。


マジで嬉しすぎた…………



うますぎて涙が出そうだった。



感動に打ち震えながらカツカレーをたいらげ、そのまま駐車場に止めてるファントムの布団に倒れて気絶した。












死んだように眠って15時頃に目を覚ました。


イタタタタ…………と全身恐ろしいほどの筋肉痛でロボットみたいな動きをしながら運転席に行き、車を走らせ会津田島の駅にやってきた。


17時の電車がプラットホームやってくる。



降りてきたのはあいつだ。



「うおーい!!すげー山やなー!!」




ユウキ久しぶり!!




といっても数日ぶりなんだけど。



東京で用事を済ましていたユウキ。


これから予定通り北海道に向かうんだけど、その途中でちょっとだけ俺の旅に合流していい?ということになっていた。


孤独で寂しかったのですごく嬉しかった。









ユウキを乗せてやってきたのは秘湯と噂の木賊温泉。


ひたすら森の中を進むと小さな集落が闇の中に浮かび上がった。

温泉街といっても質素な民宿が数軒あるだけだ。




道の脇の真っ暗な階段を降りていくと、川原に掘っ立て小屋があった。


無人の小屋で、24時間入り放題の温泉だ。


料金箱が置いてあり、200円と書いてある。



いいねー、これこそ秘湯だよ。



手を伸ばせば川の流れに届くようなところにある湯船はほんのり硫黄の香り。






よし、ここしかない。


誰もいない今、ずっとやってみたかったアレをやろう。




車に積んでいた栃木の『四季桜』純吟を抱いて湯に浸かる。


これこそ通の極み、湯煙人肌燗だ。


ほどよく温かくなった酒をチビリと飲む。


うー、極楽ー。





あぁ、さっきまで山の中で死にかけてたのに、今じゃ温泉に浸かってこんなことしてる。


明けない朝はない、トンネルは必ず終わる、


どんなにキツくたって、その後にはこんな楽しみが待ってるんだよな。


尾瀬、しんどかったけどいい体験ができたよ。



誰もいないのでやりたい放題する。












するとそこに誰かがやってきた。


この夜中にガヤガヤと喋りながら入ってきたのは関西弁のオッさんとオバさん。


ここはもちろん混浴だ。



「あらー!若い子ぉらがおるやないのー!」



「ええやんけー!はよ脱ぎー!兄ちゃんらも見たいやろ!?ガハハハハ!」





見たいわけねぇだろうが!!!!!





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