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ギターは友達。インド最終日



こんにちは!神田です。


今回は5度目のインドでした。
インドってよく言われるじゃないですか、はまるか、超絶嫌いになるかのどっちかに別れるって。

私とフミくん、どっちでもないんですよね。
でも、何度も行くもんだから、
インドの何がいいの?てよく聞かれます。

いや、別に良くないんですよね。悲しきことですが。
正直そんなに好きじゃないし、今回もインドについたとき、あぁーーー着いちゃったね。
てなんだか二人して若干へこんでました。

でも、ホームの子供達には会いたい。
ずっと見ていきたいって思ったから、これからも行き続ける予定です。
会いたい子供達がたまたまインドにいる。そんな感じです。



おわり



 



インド最終日。

















近場のレストランでご飯を食べ、朝から行動開始。


まずはインドの金持ちや駐在さんご用達のお店、アノーキーへ。



ブロックプリントの服や小物が世界中で人気。


今回、お店を休んで来てるので色んな人にお土産を買って帰らないといけない。

世界一周の時はお土産のことなんかまったく考えてなかったけど、お店をやってるとわけが違うなぁ。


俺とカンちゃん両方の両親、地元の友達、お世話になってる人、お店の常連さん、そして隣保班の人たち。


地域は家族と同じようなもの。

班の人たち全戸にお土産を用意せんといかん。



めっちゃ大量になるので次のタイで日本に郵送するつもり。

国際航空便で送るのでお土産だけでめっちゃお金かかってしまうけど、大事なことなのでちゃんとやらないと。





正直、店を休むってなかなかの痛手。


旅費だけじゃなくて、休み期間中の売り上げもなくなるし、お土産代も結構なもの。


こんなこと言うと、せっかくの年に一度の長期お休みなんだからそんなこと気にしないで楽しもう!!ってカンちゃんに言われるんだけど、どうしてもお店のことが気になります。


帰ったらアレしてコレして、あ、アレもコレもやらないといけない、ってな感じで色々とお店のことが気になってしょうがない。




これって仕事が好きっていうか、ひなた屋の空間が自分自身大好きなんだよなぁ。

四六時中考えてても全然苦じゃない。


美々津の空間自体があまりに素敵だから、常に旅中くらいの感覚なんだよな。


前も書いたけど、カンちゃんは仕事とオフは完全に切り離したいタイプで、俺は生活が仕事でもいいタイプ。

趣味ないの?って聞かれても正直ない。


ずっと趣味を仕事にする生き方をしてきたから。


夢中になれるものに一点集中して突き進むやり方が好きだから、別に切り離す必要がないんですよね。


うん、でも今はちゃんとやるべきことをやらないと。

今は最後のインドをしっかりやりきろう。













アノーキーを出て次に楽器屋さんへ。

ここでチューナーとギター初心者用の教則本を購入。


チューナーなんて、今はまったくなんのためのものか子供たちはわからないはず。

そもそもギターはチューニングをしないといけないっていう概念すらない。


弦の張替えかたも本当は教えなきゃいけないところだったんだけど、時間が足りなかったなぁ。





昨日、ホームのシスターにこのギターは子供たちにプレゼントするためのものなんですとこっそり打ち明けた。


めちゃくちゃ驚いてたシスター。

本当に!?って何度も聞き返してきた。


やっぱりインドではギターはなかなかの高級品みたい。


弦の張替えかた、チューニングのしかたなど、子供にはわからないはずですよね、とシスターに相談すると、私の周りにギターを弾く人がいるからその人に教えてもらうようにするわね、本当にありがとう!!と言ってくれた。


元気が溢れまくってるこのホームにギターなんて繊細な楽器を寄付したら奪い合いの末にソッコーで破壊されて、え?ネックって人の頭をカチ割るためのものじゃないんですか?っていう使いかたをされかねないので、しっかり管理してくれる人が必要になる。


そういった部分で、英語がわかるシスターがホームをいることは本当にありがたい。

安心してギターを託すことができる。






やっぱ俺はギター。


前回、俺は日本で使われなくなったリコーダーを100本集めてインドに持っていき、ストリートチルドレンや貧しい学校にそれらを寄付して回った。


しかし手応えはなかったよなぁ…………

路上で物乞いしてる子供にあげてもソッコーでその親が売っぱらってしまうし。



何がいけなかったのか。


いや、何もいけないことはなかった。



音の出るもの、楽器が身近にあることはそれだけで子供の感性を刺激すると思う。


でももっと彼らを刺激したい。

弾きたい、って思わせたい。



だったらやっぱギターだよな。


俺が実際に弾いてて、曲を歌って聴かせられる楽器はギターだもん。


その姿を見たら、きっと、あんなふうに弾きたいってイメージが膨らみやすいはず。


男の子だったらやっぱり笛よりギターのほうにカッコ良さを感じるものだと思うし。





リコーダーは無駄ではない。


僕にリコーダーを託してくれたたくさんの方々の想い、しっかり受け止めた上でこれからのストリートチルドレンの支援につなげていく。


僕自身、学びながら、何が最善なのかを模索しながら。






それとマサ君たちも楽器屋さんで子供用のボンゴを買った。


あとカスタネットも。

打楽器はシンプルだから子供たちみんなでできるし、喜ぶだろうなぁ。



ああ、こうやってみんながホームの子供たちのために何かしようって思ってくれてることが本当にありがたい。


なんだか俺が付き合わせてるみたいに思えてきてしまうけど、でもそれって全然違う。

みんながみんなの意思でやってくれてること。

俺に引っ張られて、なんてみんなに失礼だ。



俺とカンちゃんだけでできることなんてたかが知れてる。


でもこうやって友達が協力してくれることで多くのことを彼らに与えることができる。




ホームが楽しい場所になれば。


ホームが悲壮感に満ちた負の施設ではなく、ここにいたら色んなことがあって楽しいねって思えるような、そんな場所になってくれたら。

それのお手伝いが少しでもできたら。


ずっとそんなこと考えてる。



























大好きなブハリでチャイを飲み、それからホテルに戻ってご飯。


そして今回のインド最後となるホームに向かった。














































みんなの前で歌った。





ネンジュックルペイディドゥム、スタンドバイミー、日本の歌も。


そして興味を持ってくれた子たちに、教則本のコード表を見せながら弦の押さえかたを教えていく。




指が痛いよと顔をしかめる子供。

でも一生懸命に弦を押さえてる。


昔の俺みたいに。






昨日、シスターに通訳してもらって子供たちの前でお話をした。



「みんな、ギターは俺の友達なんだ。友達。わかる?」



「フレンドー!!」



「そう、フレンド。タミル語ではナンベンだよね。大事な友達なんだ。14歳の頃に初めてギターを弾き始めてね、今のみんなと同い年くらいだよね。最初は全然弾けなかった。指が痛くて痛くて、血も出たよ。でも諦めずに練習練習練習したんだ。だから今ギターが弾ける。なんでもそんなもんだよね。」




みんな、血が出るってところで痛そうな顔をしていた。

でも、それを経験して、そして実際に弾けるようになった人が目の前にいるってことはかなり説得力のあることだと思う。



男の子はみんな一度はギターに憧れる。


ギターをカッコ良く弾けたら女の子にモテるし、ギターを弾いてる自分ってカッコいいって思える。

そんな魅力がこの楽器にはある。


インドでも、きっとそれは同じはず。



俺がホームに来て、これまで何度もみんなの前でギターを弾いてきて、みんなのリアクションからそれを感じてきた。


あー、みんながギター上手くなってくれたらいいな。

いつかこのホーム出身の子供が、大人になってミュージシャンになって有名なギタリストになったら…………


そんなことを想像してしまう。

























「サム、サム。今からサムに大事なミッションを与えるからね。いい?」



今日は残念ながら会議があるとのことでホームにシスターがいない。


俺たちの飛行機の時間も迫っているのでそろそろホームを出ないといけない。


英語をしっかり理解できるのは年長のサムだけだ。



「う、うん、ミッション?なに?」



「サム、このギターをみんなにプレゼントするよ。」



「え?…………ええ?………………うおおおおおおおおおお!!!!え?!?ほ!ホント!!?」



めちゃくちゃ興奮するサム。


でも俺の真剣な顔を見て、すぐにサムも真剣な表情になった。




サムはいつも他の小さな子供たちの面倒を見てる。




喧嘩してるのを止めたり、片付けをさせたり、掃除させたり。


自分が率先して色んなことをやって、シスターやおばさんたちとも仲がいい。


頭もすごく良くて、最近あったテストではかなりの高得点を叩き出して奨学金ももらえるはずとのことだ。


でも今のホームには小さな子供がほとんどなのでサムは同年代がいなくて結構寂しいはず。


それでも年長である責任を感じて、子供たちを一生懸命まとめている。







「サム、ギターは俺の友達なんだ。」



「分かってるよフミ。フミの友達は僕の友達だから。」



ギターに優しく手を置いてくれるサム。



「ミッションは、シスターが来たらこのギターとこの手紙をシスターに渡すこと。子供たちがギターの取り合いをして壊してしまわないように守ってくれ。頼んだぞサム。」



「分かった。フミありがとう!!おーい!!みんなよく聞くんだよー!!フミからギターをプレゼントしてもらったよ!!ボンゴとカスタネットはマサとミスギから!!ノートと色鉛筆はフッキーから!!そしてラグビーボールはシンから!!ありがとうー!!」



「アリガトー!!」



「アリガトオオオオオオ!!!!」


















みんなに見送られながらウーバーに乗り込んでホームを後にした。


汗と汚れでドロドロになった体。


さぁ、インドを出発だ。