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おじちゃんのラット

こんにちは!神田です。


最近、ふたりして昼間にめちゃくちゃ眠くなります。

お店の営業が終わって、締め作業をしてご飯食べてたらだいたい寝るのが
2時ごろになります。

9時くらいまで寝てるので睡眠時間は7時間とたっぷりとれてるはずなのに
めちゃくちゃ眠い!!!!!!!!!

これはまだ生活のリズムが体に染み付いてないからなのかなぁ。



おわり










「いやぁ…………お客さん来るかなぁ…………」




「ね…………なんかみんな、あそこは若い人のところじゃろ?とかって寄ってくれなかったりして…………」




「だーいじょぶ、大丈夫、心配せんでもすぐに来るわ。みんなずっと気になってたはずやし。」




「いやぁ、そうなんかなぁ。ていうかゆうき、お前ヤケに板についてるね。お店の感じと。」




「おう、若い頃クラブで黒服やってたからな。ホラ、こうやってシンクの横にはタオル敷いてここにグラス置けばいいから。あとコースターとかオシボリとかも用意しとけよ。それとお客さんは絶対飲み物こぼしたりするからカワシボも作っとけよー。」




「か、皮あまり?」




「カワシボ。乾いたオシボリ。便利やからな。あ、ホラお客さん来たぞ。いらっしゃいませー。」




「キエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!お客さん来た!!!!嘘やろマジ来たしビビる!!!!な、な、な、なに、何すればいいの!?!?いらっしゃいましー!!」




「文武ホラ、お客さん来たらまずオシボリ。箸とか小皿とかは後でいいからまずオシボリぞ。」




「あ、お、おう!!い、イラッシャイマセー。う、ウケる!!俺がイラッシャイマセて!!」




「おー、ようやく出来たんやねー。工事長かったよねぇ。いいお店になったやん。はい、これチラシありがとうね。」




「うわああ!!チラシ効果ぱネェ!!!ていうか工事中は何かとご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!!」




「全然大丈夫やがー。じゃあまずは地鶏からもらおうかな。」




「はい!!!」




近所のおじさんがお子さんを連れてきてくれました。


記念すべきひなた屋最初のお客さん!!!!!




ていうかゆうきがすげぇ!!!!


電気工事が本業だけど、長いこと黒服やってたことがあるから接客がめっちゃスムーズだし動きに無駄がないし、いろんなこと知ってるし、マジすげぇ!!!



いやぁ…………この古民家の改修、電気工事、その他諸々のお手伝い、さらにはオープンしてからのウェイターとしても即戦力。



ゆうき、死ぬほど頼りなるうううううう!!!


今この不慣れな段階でゆうきがいることが死ぬほど助かる!!!!!


ちゃんとバイト代払うからこれからも忙しい時よろしく!!!!










「たこ焼きくださいー。」



「はいー!!」



これまで数ヶ月間、毎日メニューの研究をし続けていたんだけど、その中にたこ焼きも入れていました。


正直美味しいです。


なので自信を持って作り始めました。



基本、料理はカンちゃん、ドリンクとホールは僕、という役割分担なんだけど、その中でもたこ焼きと地鶏炭火焼と生ハムとチーズは僕の担当です。



たこ焼きってそこそこ時間がかかるじゃないですか。


もちろんレンジでチンじゃなくてタネから作ってるものを焼いていくので、10分くらいはかかります。


いかんいかん、お待たせしてる、お客さんお待たせしてる、早く焼かなきゃ、早くお出ししなきゃ、ってめちゃくちゃ焦りまくりです。


余裕ゼロでテンパりながらも深呼吸してたこ焼きをひっくり返します。






そしてようやくたこ焼きが焼きあがりました。



よっしゃ!!!完璧!!!!

焼き加減も形もバッチリ!!!!



って思ったらそこでタコ入れてないことに気づきました。








「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!たこ焼きなのにタコ入れるの忘れてたあああああああああああああああああああああああああああああ」










絶叫が日向灘に響き渡りました。










もう言わないです。


外食した時にたまに料理が出てくるのがめっちゃ遅い時とかあってイライラしてしまったりしてたけど、今なら店員さんの焦ってる気持ちめっちゃ分かるからもう言わないです。




マジ顔面蒼白ですよ。


こんだけ待たせてるのにタコ入ってないんですよ?たこ焼きなのに?


真珠のネックレス買ったら紐しかなかったみたいなもんですよ?


アホにもほどかありますよ。




「キエエ!!ヌポポ!!あへあへ!!!このヤキをどうしよう!!!タコヤキじゃなくてヤキをどうしよう!!!!」



「どうしようもないから早く焼き直せ。ホラ急いで。」



すかさず注文したお客さんのところに行き、すみませんオープンしたてでまで慣れてないもので遅くなって申し訳ないです、と謝りに行くゆうき。


ゆうき頼りになるうううううううううう!!!!


















そこからもゆうきに手ほどきを受けながらなんとか注文の品を出していく。


カンちゃんの料理もなかなかスムーズだし、味も美味しいって言ってもらえてる。


うんうん、いい感じだぞ!!!!




というところで、いきなりガヤガヤと団体のお客さんがやってきた。


先日のお祭りの打ち上げをやってたグループさんが流れてきてくれたみたいだ。


一気に賑やかになり、みんな酔っ払っていて壁の漆喰が下手くそじゃなー!!と言われてちょっとショック。


そういうデコボコしたデザインです!!












そんな中、フラッと1人のお客さんがお店に入ってきた。


あ、と緊張した。



それはお隣のおじちゃんだった。



このお店の真隣に住んでいるおじちゃん。


俺が中学生の時にサッカーのコーチをしていた人で、俺がこの家を買ってやってきた時も、おー、文武君かー、懐かしいなぁ!!と声をかけてくれたとてもいい人。



バリバリの船乗りで、毎年神輿を担ぐこれぞ屈強な港の男って人だ。


でも実際はとても優しくて、昔のよしみもあって俺たちに対してとても良くしてくれていた。


俺たちが木をおこしているのを見て色々道具を貸してくれたり、周りの草を刈って綺麗にしてくれたりと、俺たちがここに来ることをとても歓迎してくれていた。









それがある日のこと。



工事をしている時に俺が雑な仕事をしていたことでおじちゃんを怒らせてしまった。


完全に俺の配慮が足りなくて、怒られても無理はないと後になって気づいてすごく反省した。



おじちゃんは相当怒っていたんだけど、前もって話してくれればいいことなんやから気をつけんといかんぞ、と厳しく、そして優しく注意してくれ、一応そこで決着はついた。





でも思いっきり怒られたこともあってか、それからずっとおじちゃんを見るたびに過敏に反応してしまってる自分がいた。


腫れ物に触るじゃないけど、これ以上おじちゃんに対して失礼のないようにしなきゃって、気負う毎日。


おじちゃんももしかしたら俺に対して少し接しにくい感じになってるのかもしれないなって思えてきて、なんだかすごく気まずかった。



おじちゃん俺のこと嫌いになってないかな。避けてないかな。


そんなギクシャクした日々。












そのおじちゃんがオープン初日にお店にやってきた。


一気に緊張してしまって、心臓が鳴る。




おじちゃんはお隣さん。



ここは居酒屋だから、やっぱり多少は酔った人の声が隣まで聞こえてしまうことがあるかもしれない。


そうなったとき、苦情を言われてしまったら相当まずいことになる。


お店をやる以上、近隣との関係は最大限に気をつけないといけない。



そんなことはもちろん分かっていたのに、工事の時におじちゃんを怒らせてしまって、ずっとずっと胸に引っかかってつかえていた。



優しいけど、怒らすとマジで怖い港の男。


そんな代表格みたいなおじちゃんとこんな関係になってしまうなんて自分がすごく情けなかった。










「おー、いい店になったなぁ。」



「あ、は、はい。工事中は色々ご迷惑をおかけしました。」



「全然、気にせんでいいっちゃが。とりあえず生ビールもらおうか。」



「はい!!」




緊張しながら生ビールを注ぎ、お通しを持っていく。

おじちゃんは他のお客さんたちとガヤガヤと楽しそうに乾杯して、おしゃべりしている。



家の真横に居酒屋ができたことを、迷惑と思われてないかな…………


大丈夫かな…………


初日に来てくれるってことはある程度歓迎してくれてるとは思うけども…………







「ふーん、こんな内装かぁ。うん、文武君、ラットはいるか?」



「え?ら、ラット?なんですかラットって?」



「よし、ちょっと待っとけ。」




え?なに?なんだ?ってワケがわからないで待っていると、おじちゃんは隣の自分の家に行き、手に何か大きな物を持って戻ってきた。




「これやるわ。良かったら飾りに使ってな。これから大変やろうけど頑張れよ!」




上着をかけるためと思って壁に取り付けていたフックに、そのラットというものがひっかけられた。



















涙出るかと思った。



マジで目頭が熱くなった。



そして胸のつかえが綺麗に消えて無くなった。







満足げに笑うおじちゃん。



もうこのお店最強だ。












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