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プレオープンと田舎の流儀

こんにちは!神田です。



味付けって難しい・・・

一番いいのは、お客さんを見て味付け変えたりすることらしいです。
て聞きました。

肉体労働系の人とか、お酒ガンガン飲む男性へは濃い味付け。

女性のグループにはさっぱりめの味付け。

とかとか。


じゃあカップルはーー!!!!???
酒ガンガン飲むお父さんがファミリーできたら!?!?!?

もうパニックです。

そんなハイレベルなこと私にはできないです。。


みんなに愛される味作りって本当に難しい。
日々痛感してます。



おわり










「ゆうきいいいいい!!!ここの電気のスウィッチどこ?!??」



「そこの2番目のスウィッチ!!文武!!もう今日はこのテーブル潰してしまっていい!?間に合わん!!」



「あああ!!お皿の置き場所が足りないいいいい!!!炊飯器の置き場所が定まらないいいいい!!!」



「ああああ!!!焼酎これで足りる!?!?な、生ビールのセッティングこれでいいんだっけ!?!?」



「文武!!ここの電球どこにある!?60ワットでいいとや!?!?」



「ああああああ!!!ていうかCD持ってきてない!!!お店でかける音楽がない!!!ゆうきなんかCD持ってる!?!?」



「あぁ!?!?CD持ってきてねぇとや!?!?」



「クソー!!1発目にお店でかける曲とか記念だからめっちゃこだわりたかったのに!!!なんかある!?!?」



「おう!!めっちゃいいのあるぞ!!!」


















記念すべき最初の音楽、まさかのハマショー。







「こんにちはー。お祝いのお花が届いてますー。」



「あ!ありがとうございます!!こちらに置いてもらえますか?」



「あ、いえ、花輪になりますー。」








ウケる。

昔のパチンコ屋ですか。



美々津の町とのギャップ!!!!!













そんなこんなでついに迎えてしまったプレオープンの日。




言ってもプレオープン。


幼馴染の仲間だけを招待してる練習日みたいなもんなので、そこまでバッチリじゃなくてもまだ大丈夫の日。


でも、いくらプレオープンでもお金はいただく。


今日は全てのメニュー、オール半額ということにしてるけど、お金をいただく以上ちゃんとしないといけない。


ちゃんとできるかどうか不安すぎて不安すぎて頭がおかしくなりそう。





とにかく、工事もまだ中途半端な状態ではあるけど、最低限の設備だけは整え、掃除をし、照明をつけ、仕込みも一応これで大丈夫なはず!!!





「うわああああああ!!!17時になったぞおおおおお!!!暖簾んんんんん!!!!ええ!?の、暖簾!?!?暖簾かけるの!?!?ぶぅ!!ウケる!!暖簾て!!!今まで暖簾に腕押しみたいな人生送って来たのに!!ど、どういうこと!?」



「フミ君暖簾かけるよおおおおおお!!!!暖簾かけちゃうよおおおおおお!!!」



「い、い、い、いってしまえええええええええ!!!!」






















お店に暖簾がかかった。


初めて、お客様をお迎えするための暖簾が入り口にかかってしまった。


まだ日本一周をしているころに出会って、それ以来ずっとお世話になってる浅草の仲見世にある暖簾屋の姐御に作ってもらった暖簾。


本染の、かなり値段のするやつだけど、お店の顔の暖簾はちゃんと良いものにしよう!!ということで大奮発して買ったこの暖簾。



うううう…………ついにかかってしまった…………


正直、死ぬほどカッケェ…………


姐御、ありがとうございます…………
















もう店の中にいる時、死ぬほど緊張ですよ。


この古民家を見つけた時から5ヶ月。


工事が始まってから4ヶ月。


色んな試練があって、色んな困難があって、なんとかカンちゃんと乗り越えて来た。


たくさんの人たちの応援を受けて、なんとかここまで仕上げることができた。



このお店に今からお客さんがやってくるかと思うとマジで胸が熱くなる。




やべえええ…………

めっちゃ緊張するやん…………







浜から流木を拾ってきてデザインを伝え、ゆうきが作ってくれた照明。





カッケェ。























「おーう、もういいかー?」



「カンちゃーん、うわー!すごい素敵やんー!!」



「文武ー!!開店おめでとうー!!」



たくさんの仲間が暖簾をくぐってお店にやってきた。


そして俺たちが作ったテーブルに座り、メニューを注文してくれる。





もうマジでテンパりすぎて、何から出していいか全然わからん!!


えーっと、オシボリからの箸とコースターと小皿とメニューと、あ!!伝票つけなきゃ!!伝票どうやって書けばいいんだっけ!?!?


あああ!!メニューのひとつひとつの値段がわからん!!!


しょ、消費税どうやるんだっけ!?!?




「文武ー、生ビールちょうだいー。」



「は、は、は、はひー!!がってん承知の喜んでー!!イミフ!!!」



え、えーっと!!生ビールは生ビールは生ビールは、こ、このグラスで7対3で泡を入れ入れ入れ入れ入れ入れ、







焦りすぎていきなり泡のほうからグラスに注ぐという暴挙。イミフ。




「ひいいいいいいいいいい!!!!!料理の伝票が積み重なっていくううううううう!!!!えーっと、と、鶏肉!!!トマト!!!バジル!!!」



「カンちゃんー!!追加入りましたー!!!」



「ピギャアアアアアアアアアアアア!!!!!あ、お花がきれいだなぁ。スイスのアルプスが綺麗だなぁ。あへあへあへ。」




これはいけません、神田さんがどこかに旅立ってしまいました。



しかし時間は容赦なくすぎていくし、オーダーは容赦なく入ってくるし、光熱費は容赦なくかかってきます。



マジ立ち止まれない!!!!















ていうか今日来てくれた人数、15人くらいです。


15人でこんな鬼パニックに陥ってたら1億パーお店回せないですよ。


まぁ15人が同時にやってきてオーダー連発することなんてほとんどないんだろうけど、でもやっぱりそういうことも必ずいつかはあるはず。



みんな、今日はプレオープンなんだからそんなちゃんとしてなくたっていいっちゃがー!!って言ってくれるし、奥さん衆が運ぶの手伝ってくれたり洗い物をやってくれたりしたおかげでなんとかなったけど、これが2人だけとかマジで恐ろしすぎて今から絶望的です。




もうアレです、レジ打ちとかマジでサピエンスが未来と遭遇した並みに意味不明ですもん。


めっちゃ慎重に慎重に数字を打ち込んで、よしこれでオーケーと思って小計ボタンを押したら画面に200万円とか出てくるんですよ。


なにこの大阪のたこ焼き屋みたいな冗談?ってなりますもん。



クソ慌ててまた1から打ち直しをするわけだけど、もうすでにレジの中にはこのミス分も今日の売り上げの中に加算されているわけです。


今日の売り上げ200万超えてることになります。



なので後で取引後訂正でマイナス処理しなきゃいけません。


サピエンスにはもう完全に手に負えない次元の話です。


これが友達だからいいものを、こんなレジ打ちごときであたふたしてたら機嫌悪くなる人もいるよなぁ…………





















とにかく、そんなこんなでなんとか走り回り、みんなが帰っていって静かな店内にカンちゃんと2人。



「し、しんど…………」



「めっちゃ疲れたね…………」



「慣れていくしかないんだろうなぁ…………」



今日は朝からバッタバタで準備してたってのもあるけど、本当にヘトヘトになるまで疲れた。



ずっと立ちっぱなしで動き回って、常に神経張って、これって本当に慣れていくもんなのかなぁ。


きっと1ヶ月後くらいには15人なんてヨユーで回せてるはず。


そう信じるしかない。





ビールサーバーの掃除をして、食器を洗って、生ハムを拭いてカバーをかけ、ゴミをまとめ、静かになった店内を見渡す。



ここ俺たちの店なんだなぁ。





























そうして次の日。



11月17日、土曜日。




ついにグランドオープンの日を迎えた。




朝から近所の人たちにチラシと粗品を持って挨拶に回る。



田舎でお店をやるっていう上で、挨拶ってすごく大事なことだと思う。



これまでも工事に入る前に挨拶周りをしたし、折々にお裾分けを持って回ったりと、俺たちなりに結構気を使ってやってきた。


カンちゃんはやはりまだそこまで田舎の流儀ってやつに慣れていないので、そこまでしなくてもいいんじゃない?って言うけど、ここで育った俺としては、こういう挨拶周りがどれだけ大事かを理解しているつもりだ。






しかし、






昨日のプレオープンで、そんな俺の想像をはるかに超える話を聞いてしまった。



友達が教えてくれたことなんだけど、文武気をつけろよ、ということだった。














俺は美々津が地元だ。


この町で育ってきた。


この町で遊び、恋をして、青春を過ごし、たくさんの思い出がある。




ただ、



厳密に言うと、俺はこのお店を作った地域では地元ということにはならない。




美々津はほんの小さな町だけど、そんな町の中にもいくつかの地域がある。


お店を作った立縫地区、

爺ちゃんの家がある新町地区、

実家がある石並地区、

山手の方の別府地区、

川向こうの駅通り地区、

ちょっと離れた寺迫地区、



他にも何個もある。




長くこの小さな町に住んでいると、そのそれぞれの地域が地元という捉え方になって、地域が違えばよそ者という感覚になる。


ほんの数メートル違うだけでも、地元が変わってくるってわけだ。






俺たちのお店は立縫地区にある。


俺は石並地区の出身。



つまり俺は同じ美々津の中であっても、よそから来た人って感覚になる。


まずはそこを念頭に置いておかないといけない。








まぁここまでは俺でもわかる範囲。


俺もそれは同じ田舎の人間として、旅をして来た人間として、コミュニティの形成ってやつは多少理解している。





驚いたのはその先で、





俺たちのお店はグランドオープンの次の日、11月18日にウチのお父さんのゴルフ会の宴会が入っていた。


そこはやっぱりお父さんだし、息子のお店を応援するために利用してあげたいということで宴会の予約を結構前の段階から入れてくれていた。


本当ありがたい。お父さんありがとう。




が、それを面白く思っていない人がいるってことを、このプレオープンの日に友達から聞かされてしまった。





お店があるのは立縫地区。


そしてお店最初の宴会を入れているのが石並地区の人たち。



まずこの宴会が入っていること自体をすでに町のほとんどの人たちが知ってるってのもなんで?って思うし、それが石並の人たちらしいってこともみんな知ってるんだから怖い。



田舎の噂は2秒で広がる。尾ひれをつけながら。




つまり、



「お店を開くのは立縫地区なのに、石並地区の宴会を先に入れるなんて筋が通ってないんじゃないか?」



っていうことです。






愕然としました。


僕らは飲食店として、ただお客さんからの予約を受けただけ。


それがどこの地域の人とか別に関係なくて、ただのお客さんっていうだけのこと。


ましてや美々津は小さな町。


石並っていっても同じ町の中です。







めっちゃドシーーーーーンと胸にきました。


この町出身の僕でさえ田舎の流儀ってやつの洗礼を受けた気がしました。



立縫でお店をやる。じゃなくて、お店をやらせていただく。


コミュニティの中に新参者が入っていくってことは、想像以上に周りに気を配って、優先順位をつけていくってことがとても大事になるんだということをまざまざと思い知りました。



地元の人たちの顔を立てる。


バランス良く人間関係を保つ。


肝に銘じていかないとなぁ。










そんなことを思いながら、立縫地区にだけドリンク1杯無料券がついたチラシを配って回りました。


工事で特にお世話になった人たちには直接粗品を持って回りました。



立縫地区だけ特別扱いして、石並地区の宴会は入れて、もしかしたら新町地区の人たちは気分が良くないかもしれません。


爺ちゃんの住んでいた新町を後回しにするのか?っていう人もいるかもしれません。




もう、でもそこは全部やることなんてできないです。

これから頑張って信頼を得ていくしかないです。



いや、これから、では遅いのかもしれんけど。


ひとつの不義理は大きくなって根を張って人の心に残るものですね。



いやー、人間の勉強をもっともっとしなきゃ。













よっしゃ!!!!!


長い長い道のりだったけど、最短距離で突っ走ってきた。


やっとここまできたぞ。長かったなぁ。




古民家居酒屋「ひなた屋」



11月17日、ついに本オープン。











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