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保健所の検査。そしてついにプレオープンへ

こんにちは!神田です。


実は数日前にお母さんと叔母が美々津まで会いにきてくれたんです!!!

遠路はるばる、私たちのお店のオープン祝いにきてくれたんです!!!


宮崎に、美々津に、お母さんがいるとか変な感じ!!!!!

でも、オープンして間も無すぎてゆっくり一緒に過ごすごとがあまり
できなくて申し訳なかったです・・・。


まだまだ未熟すぎて親に甘えてばっかりなので、これからしっかりと店をやっていって、
親を早く安心させて、親孝行したい!!!




おわり





勝負の朝。




良い天気。





うーん、このお店を作るまでに一体どれほどの勝負の朝があったかなぁ…………







美々津を駆けずり回っての物件探し。



色んなところに顔だしてお願いしてまわったなぁ…………





日本政策金融公庫の審査。


これが最初のものすごくデカい戦いだったなぁ…………






前の家主さんとの対面。


売っていただく相手に敬意を払ってお出迎えしたなぁ…………





不動産屋さんとの交渉。


値段交渉とか工事の段取りとか何度も事務所に行ったよなぁ…………






市役所との戦い。


こいつもデカい戦いだったなぁ…………






登記変更手続き。


古い建物なのでこれまで何度も増築していて、平米数が登記上と食い違ってて、これが苦労したなぁ…………




工事業者さんとの打ち合わせ。


イメージをキチンと伝えつつ、補助金絡みの見積もりとか出してもらうの苦労した…………





クラウドファンディング。


プロジェクトスタートのクリックをする時、結構指震えたなぁ…………






生コン打設。


ミスることのできない生コンの打設工事を無事終えられた時の達成感ヤバかった…………











ここまでくるのに他にもたくさんたくさん、色んな勝負の朝がありました。


プレッシャーで夜寝つけないこともありました。


最近は考えすぎて鼻血が毎日止まらなくなるくらい。



でも全部乗り越えてきました。


多くの人たちの応援のおかげでここまでくることができました。




今のところミスなしです!!!!!


自分で自分を褒めてやりたくなるくらい上手いことやれてます!!!


工期は伸びてるけど、それだけのモノが仕上がりつつあります!!!




あ、そういえばカンちゃんの自動車免許の取得もあったな。

ひいいいいいい!!!!右折怖えええ!!って言いながらちゃんとオール1発クリアーで免許を取ったカンちゃんを褒めてあげたいです。











さぁ、オープンに向けて次なる巨大な壁。






それは!!!!!















保健所の検査!!!!!!!!




飲食店が営業を開始するために避けて通れない難関!!!!!



今まで色んな人たちに保健所の検査の厳しさを聞いていました!!!


色々ダメ出しをくらいまくり、不備を突っ込まれてオープン日が延びたとか、そんな話をよく聞いたりしてました!!!!



恐怖!!!!!




でもアメリカの国境越えに臨んだ時に比べたらなんちゃないプレッシャー!!!!!



アレは楽観的な俺ですらマジで死にものぐるいで準備したもん。

そして揉めに揉めながらウルトラCでかいくぐったよなぁ。



本当、旅してて良かったと思います。



あの時に比べたらなんてことない、って思えることがほとんどです。



命までは取られない。

ミスっても死にはしない。



だから失敗を恐れずに全力で立ち向かうのみです。





おらああああああ!!!!



キッチンスペースと客席スペースの間仕切りパタパタ、よし!!!!!




キッチンスペースとトイレスペースの逆性石鹸の固定設置、よし!!!




キッチンスペースの床と壁の防水防火素材、よし!!!




冷蔵庫の隔測温度計設置、よし!!!




虫が入らないよう換気扇・窓への網の設置、よし!!!!!



水回り配管に隙間を作らない、よし!!!



食器を収納できる戸のある棚の設置、よし!!!



松本菜奈美のロリ巨乳よしすぎてビビるほどよし!!!


嘘おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

ロリ巨乳とか全然どうでもいいからああああああああああああああああああああ!!!!!

これからお店オープンしていくのに下ネタとかマジで自粛してよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!




あそこのマスター、マジでものすごいキモい変態らしいよ、うわ、マジで、気をつけなきゃね、キモいキモい!!


とか言われたらやばいからあああああああああああああ!!!!!









ていうか松本菜奈美、マジで可愛くないですか?

ちょっとゆまちゃんに代わるレベルの人が現れてしまったかもしれないじゃないですか。



ゆまちゃん…………長いこと大好きだったよ…………


ずっとブログで名前書かせてもらってありがとうね…………





「とかみせかけて、んなわけねええええええええ!!!!ゆまちゃんは永遠やしいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」



「こんにちはー。」



「ゆまちゃん最高!!!ヤッベェ!!うわヤッベェ!!!あのラブハンドルは世界を救うっていうかゆまちゃあああああああんんんん!!!!!え?誰ですか?」



「保健所の検査に来ました。」



「キエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!鬼が来たあああああああ!!!!!カンちゃああああああああんんん!!!鬼が来たよおおおおおおお!!!!あ、ちゅっす!!!その前髪とかマジで素敵っす!!!ヤッバ、目が魅力的すぎじゃないっすか?エロさ通り越してめっちゃ公務員じゃないですか?」



「はいー、ではチェックさせていただきますねー。えー、まずは配管の隙間はー…………」



「うっわ、その服マジイカしてますね?え?もしかしてヴィトンとかですか?オシャレさハンパなくないですか?やべー。作業着がヴィトンにしか見えねー。」



「あ!!なんですかこれは!!!」



「え!?な、なんですか!?」



「ここです!!こんな設備でいいと思ってるんですか!!!これはもう営業停止です!!!バカ!!!」



「嘘おおおおおおおおおおおおお!!!!!」























とはならずにほぼ5分くらいで検査終了しました。






結果は………………













「はい、基準をすべて満たしておりますので、この設備でしたら6年間の営業許可となります。6年後にまた再度検査がありますので。」











合格。









営業開始バッチコイ。


















キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!



営業許可もらったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!



カペ!!!カペペっ!!!!



ヌポポッ!!!!!




お店やれるうううううううううううううううううううう!!!!


もうお客さん入れてお金もらえるううううううううううううううううう!!!!!!







「ステキなお店ですね!!美々津にこんなお店があるなんてすごく良いと思います!!それでは営業頑張ってくださいね!!」



「はい!!ありがとうございました!!その髪型マジエロ賢いっす!!!!キエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」




保健所職員さんが帰った瞬間、コンクリートの上をのたうち回って泡吹いて悶絶からのキャンディークラッシュからの障子貼り!!!!!





ヌイイイイイイ!!!!


思いっきり北斗の拳のテンションで障子に穴を開けまくりたいいいいいいい!!!!




「こんにちはー。」



「な、なに!?!?今度は誰!?!?」



「お届けものですー。サインお願いしますー。」





とんでもないものが届いてしまった。
















大阪のめっちゃお世話になってる印刷会社の社長さんからこんな悶絶もののお祝いが届いてしまったああああああああああああああああ!!!!









ライターが2000個くらいある!!!!

もう一生ライター買わなくてい!!!!


そしてなぜかコンパクトミラーまで!!!!




佐々木さん!!!!本当に本当にありがとうございます!!!!!








本当についに来ました。ここまで。



僕たちのお店がついにお客さんを入れていいことになりました。



飲食店をやっていいですよ、という許可をもらってしまいました。


これはどうしたことでしょう。



ついこの前までマケドニアのボロい町の中でムスリムのおっちゃんとモスクでお祈りとかしてたのに。


ついこの前までフィンランドの友達に謎の塩焼きそば的なゴミを作ってとんでもない愛想笑いをもらっていたというのに。



ついこの前まで中国の山奥で棚田を眺めていたというのに!!!!!






今なぜか飲食店のマスター!!!!!!






そう、すべては無駄ではなかったです。


これまで、20歳から数えて16年間、ほぼ毎日外食でした。


旅中はその土地その土地の空気をより深く味わうために、自炊は極力せずにローカルな食堂に行くようにしていました。


そこで出会うオッちゃんとかオバちゃんとかと仲良くなってお喋りをするのがたまらなく旅を感じられる瞬間でした。



ほとんどが安い食堂でしたけど、たまに路上をやってる時に地元の社長さんなんかに気に入ってもらえていいお店に連れて行ってもらえたりして、そこそこ高級なものもいただいてきました。



もうこれまで数え切れないほどのお店に行きまくってきました。



外国でもそうです。


前回のヨーロッパではカンちゃんの自炊が多かったけど、基本はほとんど外食です。



インテリア、メニュー、味、盛りつけ、サービス、


それなりにたくさんのシチュエーションを見てきたつもりです。



そこに加えてカンちゃんの料理。



いや本当、本当ゴリゴリに料理の世界で生きてきた人たちからしたらナメんなよ猿って感じでしょうけど、世の中には、え?なんでこのお店がずっとやっていけてんの?っていうようなところもあるもんです。


下を見るわけではありません。


そのお店がそこでやれているのには必ず理由があると思います。




これまで路上でずっと生きてきて、どんな苦境も頭ひねって頭ひねって、体使って汗流して、なんとかして活路を見出してきました。


路上で稼ぐということはビジネスに共通する色んなファクターが含まれていると思います。



場所選び、競合との距離感、自分が活きる演出、ほどよいこだわりと柔軟性、そしてもちろん相手への感謝。





まだ本当に不安まみれで毎日頭が煮えそうになってるけど、色んな過去の経験が背中を押してくれています。



カンちゃんは横で呆然としてますけど。




「あと3日でこれがなんとかなるとは思えないいいいいいいいいい!!!!きゃああああああああああ!!!!!」







ウケる店内。




プレオープンを11月16日に決定しました。


グランドオープンが11月17日。


チラシよりもさらに2日ズラしました。あまりにも日程が困難すぎて。



このブログが更新されるころにはすでに開店してしまってますが、この記事を書いてる現在はスーパーラストスパートの毎日です。




保健所の審査は通った!!!!



でもまだやることはパニックになるほど残りまくっている!!!!!!!!





「ぐおおおおおおお!!!ゆうきいいいいい!!!電気間に合うかあああああああ!!!!」



「んんんんんん…………間に合わん!!!!すまん!!正直、エアコンとかは無理!!!!だから優先順位の高いもんからやって、残りは後回しや!!お店部分は間に合わすけど、他のところはオープンしてからお昼の間にやっていくわ!!!」



「にへええええええええええ!!!!わかった!!!とにかくオープンまでに店内の照明とコンセントと音楽のスピーカーと裏庭のセンサーライトの配線は頼むうううううううう!!!」



「エアコンとかインターフォンとか2階部分はあとでやっていくわ!!」



「今日は何時までやれる!?」



「2時くらいまでかな。」



「ええ!?昼の!???」



「夜中に決まってるわ!!!明日は朝から別現場で、そのまま夜は夜間作業して、明後日また昼前くらいからここに入るから!!マジ寝れん!!!」



「ゆうきありがとおおおおおおおおおお!!!!」










もうここ数日、23時とかに家に帰ってきたら、うわ、めっちゃ早いやん、ってビビるくらい朝から夜までぶっ通しで作業してます。


古民家でバタバタと走り回って重いもの担ぎまくって日向に買い出しやら仕入れやら役所回りやらして、また古民家戻って作業作業作業。



めっちゃ久しぶりに太ももの裏がつりそうになりました。


めっちゃ疲れてる…………



あ、また鼻血が…………







テーブルを運び込み、土間コンクリートに防水塗料を塗り、障子を張り、細々したところをブワアアアアーーーっと仕上げていく。



もう荷物の片付けがマジハンパない!!!!





工事が始まる前、家に中にあったものすごい量の荷物を整理し2階や離れに押し込んでいたんだけど、それらをまた全部分別して配置していかないといけない。


量が多すぎるし重い!!!!



カンちゃんはとうとうこの古民家に食器類や調理器具を運び込み、厨房機器を設置してキッチンを作り上げる作業に入ったんだけど、これもまためっちゃ大変!!!!


狭いキッチンに物が溢れかえって置き場所が定まらなくて泣きそうになってる。



あああああ!!!メニュー表作らないと!!!


レジの設定もしないと!!!!


サーブする時のお皿なんかの出し方を決めないと!!!


料理の練習しないと!!!


動線のシミュレーションしないと!!!!


ホームページ仕上げないと!!!!


近所の挨拶回りとポスティングしないと!!!!






キエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!


業者さんたちに工事のお金払うぞおおおおおおおおおおおおお!!!!!



お金が羽が生えて飛んでいくううううううううううううううううううう!!!!!


















そんなウルトラパニックになっている中、美々津の町のお祭りがありました。





立巌神社例大祭です。


このお祭りが美々津の1年で1番大きなお祭りです。


勇壮なお神輿が出て、テキ屋さんがズラリと並んで、人で溢れて、喧嘩があって、それはそれは賑やかなお祭りというのが僕の頭の中の記憶です。






が、







久しぶりに見るお祭りはまったく様変わりしていました。



ゆうきとカンちゃんと、ちょうど東京からバイクで日本一周している中で会いにきてくれた俳優さんのカマチさんと4人でお祭りを見に行ったのですが、どこか様子がおかしい。


町に活気がまったくない。




あれ?テキ屋屋台は?

観客は?

煌々と光るライトは?




町はいつもと変わらぬ静寂で、外灯がまばらに光のみの薄暗いメインストリート。



一瞬、日付けを間違えたか?と思いました。




しかしその時、向こうのほうからあの聞き覚えのあるかけ声が聴こえてきました。



「アラチェーイサー!!!!」


「アラチェーイサー!!!!」


「アラチェーイサー!!!!」


「アラチェーイサー!!!!」



「サイタ!!サイタ!!サイタアアアアアアア!!!!」




港のほうから、黒い塊が揺れながら道を上がってくる。


薄暗い、誰もいない道を、白装束を着た男たちが神輿を担いで進んでくる。










えええええ…………か、観客が誰もいねぇ…………



嘘だろ…………お父さんお母さんが、今の祭りは昔みたいじゃないよ、って言ってた意味がよくわかりました。



勇壮な男達のかけ声だけが虚しく町並みに響き渡る。





















おいおいマジかよ。

そんなに人口減ったか?

過疎にもほどがあるやろ?


あんなにテキ屋屋台が出て、同級生たちが一堂に会して、ヤンキーの先輩たちがシャコタンの車を乗り入れて、おじさんたちの喧嘩に人の輪ができて、彼女と神社の裏に隠れて、



光るライト、発電機のガソリンの匂い、お面屋さん、金魚すくい、輪投げ、くじ引き、




1個もないやん。

これほどまでかよ。















神輿は進んでいく。


暗い道をどんどん進んでいく。


時たま家の中から人が出てきて、神輿の先導さんにお酒やお賽銭を渡すと、その家の前でサイタ!!サイタ!!サイタアアアアアアア!!!の威勢が上がる。



そうしてお神輿は国道10号線に出て、ぐるっと町を回ってウチの婆ちゃんちの近くの愛宕神社にやってくる。



そうそう、ここがこの立巌神社例大祭の1番の白熱する場所。


愛宕神社に登るなかなか急な石段があるんだけど、ここを何百キロもある神輿を担いで男たちが一気に駆け上がっていくというのが最大の見所だ。





もちろんめっちゃ危ない。


助走をつけて駆け上がるが、勢いが切れて何度も石段から降りてきてしまうので、石段の下の家は毎年神輿が激突して一部が壊れてしまう。



あまりにも危険だし、男たちの気合いが1番こもるところなので、見ている観客もここは本当にヒートアップする。


俺も子供ながらに興奮しながらこの神輿の納めを見ていた。


たくましい港の男たちの飛び散る汗を見ながら、カッコいいなぁ!!って思ってたもんだった。
























さすがにそれまでまったく人がいなかったのが、この納めの場所には結構な数の見物客が集まっていた。


人々の期待が高まる中、向こうのほうからアラチェーイサーのかけ声が近づいてくる。


そうして曲がり角から姿を現した神輿。


すでに担ぎ手の男たちにも酒が入ってるようで、かなりダイナミックに動き回っている。





すると石段の前にさしかかった瞬間、かけ声が変わる。


アラチェーイサー!!から、納めじゃ!!納めじゃ!!納めじゃ!!というかけ声に変わるこの瞬間。


まるでファイナルファンタジーでボスキャラとの戦闘シーンだけ音楽が変わるような、あのクライマックス感。


いやが応にも興奮が高まってくる。







しかし、石段に軽く足をかけたくらいで神輿は後ろに下がっていく。


そしてかけ声も納めじゃ!!から、また元のアラチェーイサーに戻る。



そしてまた少し周りをぐるぐると動き回ったかと思うと、長く助走をとったところから一気に男たちが猛ダッシュ!!!


とともにかけ声も納めじゃ!!納めじゃ!!!に変わる!!!













すごい勢いで神輿を担いだまま石段に突進するんだけど、石段の幅が狭いもんだから上手いこと中心に突っ込まないと両サイドの人は手すりに激突するか石段から外に転げ落ちてしまう。



そんなスリリングな突進で石段の10段目くらいまで駆け上がったんだけど、急に失速。


またズリズリと下に降りてきて、アラチェーイサーにかけ声が戻る。





そう、これがこの祭りの醍醐味。



この納めじゃの突進を何度も何度も何度も何度もも繰り返すのが、美々津の男たちの男の見せ所。


もちろんとんでもなく危ないし体力を消耗するので、担ぎ手たちは早いこと石段の上の神社に神輿を納めてしまいたいんだけど、あまりあっさり行ってしまうと掟に反する。


全員が空気を読みながら次にするか?次にするか?みたいな展開が繰り広げられるってわけだ。



さらには町の血気盛んなおじさんなんかが石段の上に立ちはだかり、まだ納めんなああああ!!!と登ってくる神輿を上から押し返すという攻防まで起きて、そりゃあもうこのクライマックスは大いに盛り上がる。






















神輿は何度も何度も石段に突進していく。



そして途中で止まり、ズリズリと降りてくる。



そしてまた突進し、ズリズリと降りてくる。



担ぎ手たちは体力の限界と戦いながら苦痛に顔を歪ませ、汗を光らせて、声を張り上げている。

みんなとんでもなくキツそうで、足が崩れて神輿が傾いたりしてる。


その度に町の世話役たちから、バカタレがあああああ!!!神輿を地面につけんなよおおおおおお!!!!肩を入れんかあああああああ!!!と怒号が飛ぶ。







実は俺も今日神輿担ぐか?と誘われていたん。


でもさすがに今は店の工事でそんな余裕がなかったのでお断りしていた。



来年こそはこの神輿を担ごう。


神輿は年に一度、神さま自らが町を巡り、この町に力を注いでくれる大事な大事な神事。

それを支える男たちこそが、町の大黒柱だ。


この男たちの手によって、町は力強く存続している。


神輿を担ぐ人間がいなくなったら町はおしまいだ。


そんなことは絶対にさせない。



来年は必ずこの神輿を担いで、本当の意味での美々津の男になるぞ。




「あああもう、なっちょらんわぁ、今時のもんらぁわ。ワシらのころは1発で納めちょったもんじゃけんど、こんワケェもんたちは上まで上げきらんわ。体は大きいくせに力が足りちょらんわ。あああああもう、ちょっとこれ持っちょってくれ!!!」



俺の横で見物していた70歳を越えてるお爺ちゃん。

パジャマ姿で手に懐中電灯を持って見にきてたんだけど、いてもたってもいられなくなって俺に懐中電灯を渡して神輿に走っていって後ろから押し始めた。








みんな、みんな、みんな、こうしてこの美々津で生まれ、育ち、年老いていった。


血気盛んな若いころを経て、花盛りの時代を経て、今のこの過疎の町がある。



かつては美々津に行けば何でも揃うとうたわれた賑やかな町が、今ではこうした静かな田舎だ。


誰ももう、美々津がそんな華やかな町だったことなんて忘れていく。



でも、いくら観客がいなくたってこの神輿はこれからもずっと町の人たちの手によって担がれ続けていくんだ。



町は生き物だ。






神輿が石段を駆け上がり、上の境内に姿を消すと観客から拍手が起こった。





































































































































祭りが終わり、それから6日。




「おおおおおおいいいい!!ゆうき!!!このスウィッチもう生きてる!?!そこのコンセントは!?!?」



「玄関のライトは2個目のスウィッチぞ!!!コンセントも全部生きてるわ!!!もうこの辺の終わらんかったところは今日はとりあえず無理やわ!!!」



「カンちゃんお皿は揃ってる!?!?あああ!!トイレットペーパーどこ!?!?」



「お皿はそこのダンボールの中!!!まだシール剥いでない!!!トイレットペーパーはあっちの棚の上だよ!!!」



「やべえええええ!!!あと2時間でみんな来るやん!!!!」







とうとう、プレオープンの日がやってきた。








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