こんにちは!神田です。
日本という自分が生まれた国に帰ってきて、言いたいことをなんでも伝えられる日本語という言語が母国語のこの国で、なんでもあるこの国で、不自由なく生きていくことが幸せなのかどうかはわかりません。
私、ちょっと不便なものが昔から好きなので。
好きというと言い方はあれかもしれませんが、不便くらいの生活が生きているという実感を沸かせてくれると思っています。
スムーズに進む日々は記憶に残らないままただただ過ぎ去ってしまう気がして。
でも、誰より大好きな家族と、かけがえのない友人がいるこの国に帰ってこれて、今すごく幸せです。
旅をしているから前向きになれる。とか、外国だから自分を出せる。とか。変われる!!とか。
ある程度の環境は関係してくるかもしれませんが、結局は場所じゃなくて自分なはず。
旅は多分そのきっかけにすぎません。
きっかけになればいい方です。
どこにいても、どんな状況にいても、文句を言いながら生きていく人は不満を言い続けるし、そうじゃない人はきっとどんな大変な状況に立ったとしてもちゃんとそれを受け入れて自分は幸せですって言えるはず。
ずっとそう思って生きていました。
そして今、私は幸せです。って胸を張って言えます。
この2年間、もしかしたら前回のフミくんの世界一周からずっとこのブログを読んでくださったみなさま、勇気づけてくださるメール、叱咤激励、フミくんの旅に私が加わったことを受け入れづらくいた方も中にはいたかと思います。
それでもフミくんのブログを毎日読んでくださり、本当にありがとうございました。
こんにちは、神田です。のコーナーがいつの間にか始まり、なんとかアイデアを絞り出してなんとか今日まで続けてきましたが、これでこのコーナーもおしまいです。
文才あるフミくんのブログの前のゆるーい私の文章を楽しみにしてます!て言ってくださるごくわずかな変わった方、一応フミくんのブログ読む前にかるーく目を通してくださった方、本当にありがとうございました!!!
これからは、ゆっくりと日本で新しいことに挑戦していきたいと思っています。
いつかどこかで、今度はブログを通してではなく、実際にお会いしてお話ができる日が来ると嬉しいです。
おわり
2018年3月28日 ~ 4月3日
【宮崎県】
帰国してから5日経った。
部屋の中はこざっぱりしている。
これといって旅の残骸があるわけでもない。
帰ってからすぐに片付けたし、それにもともと荷物も多くはなかった。
あっという間に、旅が背後に離れていく。
早いなぁ。めっちゃ早い。
今回はそんなに旅にどっぷりの生活ではなかった。
海外の旅に慣れていたのでそんなにマインドを切り替える必要もなかったし、帰ってからもそうだ。
世界の旅も、今では大きな冒険ではなくなった。
おかげで帰国してからも旅の余韻に浸ってボーッとすることなく、すぐさま色んなことに取りかかることができている。
旅してた時よりもはるかにバタバタした毎日。
やることは山積みだけど、ひとつずつクリアーしていき、着実に前に進んでいる実感と充実感がある。
役所関係の手続きもほぼ終わったし、警察署で車庫証明もゲット。
フェイスブックで帰国報告もして、たくさんの人たちに無事帰ってこられたお礼のメールをした。
お店の物件探しも積極的に動き、色んな方面に声をかけて根回しし、情報収集も出来る限りやっている。
大事なのは積極的に出向くこと。
電話やメールじゃなくて、直接顔を合わせてお話することが何より気持ちが伝わる。
これから日本で生きていく上で、本当に強い信頼関係を築けるような生きかたをしていかないといけない。
まだまだ世間知らずだけど、周りにいる親や先輩たちに教えていただきながら、日本のフォーマルな礼儀や伝統を身につけていこう。
行動力ならなかなか自信がある。
それにしても、
やっぱり天領うどん最高だなぁ。
美味すぎるにもほどがあるわー。
もちろん、天領だけじゃなく毎日美味しいものを食べられて幸せ。
いやー、すごい勢いで太ってるだろな…………
寿飯店の坦々麺、相変わらず美味しいなぁ…………
時間は、あっという間に過ぎ去っていく。
ボーッとしている暇なんかない。
土曜日になり、日本に帰ってから初めて宮崎市に行った。
青い空がとても気持ちいいんだけど、ゆうべ実家で親と飲みすぎたせいでなかなかの二日酔いだ。
マジでダルい…………
体重くてたまらん…………
最近二日酔いになりやすいんだよなぁ…………
歳取って分解能力が落ちてるのかな…………
本当は大好きな爛漫のチキン南蛮を食べたかったんだけど、あまりにも気持ち悪いので今日はさっぱりしたうどんなんかを食べることにした。
あああああ…………さっぱりしたの食べたいいいい………………
なぜか押弁。
え?押弁をご存知ない?
タルタルソースがごってり入ってて宮崎では知らない人がいない超有名店ですよ?
押川弁当のノリ弁ですよ?
いやー、たまりませんね。
たまらなく吐きそうです。
タルタル重いいいいい…………
ならチキン南蛮で良かったやん…………
いや、爛漫のチキン南蛮はダメ。
爛漫のチキン南蛮だけはこんなボロボロの体調で向き合うわけにはいきません。
あれ神ですから。仏壇ですから。
体調万全で膝を揃えて向き合わないと失礼にあたります。
よろしくお願いします!!!!って頭を下げて正々堂々真っ向勝負ですよ。
麻美ゆまちゃんと今からレッツスタートっていう時にチンチンがフルパワーになっていないとダ…………
いや、なんでもないです。もう終盤なんだから下品なことはなるべく書かないようにしなきゃ。
本気で。
うん、本当に。
いつもならこの後にもっとヒドい下ネタを書くのがお約束だったんだけど、今日は本当に書きません。
桜が綺麗だ。
ピンク一色の公園の中にはたくさんの花見客がいて、みんな豪勢なお食事とお酒を楽しんでいる。
そんな中で弁当を食べる俺たち。
押弁片手に花見ってのもオツなもんだ。
もう桜にもだいぶ緑の葉が混ざりはじめている。
知り合いの美容室に行って髪の毛を整え、大輔と車屋さんに行って譲渡証明書と印鑑証明書をゲット。
それからホームセンターで細々した買い出しをした。
今日も相変わらず朝からバタバタだ。ゆっくりしてる暇はない。
あと2日したら宮崎を出て大阪に向かう。
と同時に日本中のお世話になってる人たちや友達のみんなに会いに行って、帰ってきた報告をしてまわる予定。
色々時間がなくて日本を全部を回ることができないのが残念だ。
本当は日本全国をカンちゃんに案内してあげたいし、温泉とかB級グルメ巡りとかもしたい。
4ヶ月もあれば十分だけど、今は1日でも早くお店を作って生活の基盤を整えることが先決だ。
会いに行けない人たちには申し訳ないけど、また必ず会いに行きますと連絡させてもらおう。
今回の挨拶まわりの中で、日本に帰ったらお会いしたいですって言ってくださってたブログの読者さんたちにもお会いできたらいいな。
大阪とか東京とか福岡で飲み会なんかできたらいいんだけど。
報告会とかではなく、みんなでワイワイと飲む普通の飲み会。
そんな中に、これからの人生でずっと付き合っていけるような友達ができたらすごく嬉しい。
2ヶ月くらいしかないけど、できるだけたくさんの人に会って、できるだけたくさんの美しい場所を見に行こう。
そしてちゃんとカンちゃんのご親族の方々にも挨拶に行かないとな。
それからワイモバイルに行ってようやく携帯電話をゲット。
帰国して8日経ってやっとだ。
最近は日本でも結構ワイファイが飛んでいるので今までのワイファイ専用携帯でもそんなに困ってはなかったからこんなに遅くなってしまった。
旅人あるある。
ワイファイに慣れすぎて帰国してからもワイファイオンリーでやっていこうとする、ってやつ。
でもまぁ新しいスマホにしてみると早いこと早いこと。
旅中に使っていたiPhoneは、インドでiOSをアップロードした瞬間に動きが壊滅的に遅くなってしまって、メモも写真もフェイスブックもめっちゃくちゃ動作がカクカクになり、強制終了の嵐で、マジで途方に暮れていた。
メモに日記を書いてても、打ち込んだ文字が5秒後に出てくるような終わった状態。
ブログ投稿するのもめっちゃ無駄な時間がかかってしまって相当ストレスだったんだよな。
それが新しくした瞬間、スピーディーにもほどがある。
写真も綺麗だし、とにかくワイファイがウルトラ早くて、ウェブサイトなんか1秒で読み込み完了する。
海外の安宿でひとつのウェブサイトを読み込むのに30秒くらいかけながら旅の情報を調べたりしてたよなぁ。
ケータイを外にぶん投げたくなるほどイライラしながら。
新しい携帯が手に入って嬉しいばっかりなんだけど、ただひとつ気になるのは、ネットが常に繋がっているということ。
今までは、ワイファイのある環境じゃないとネットに繋げられない日々を送っていた。
なので、ワイファイがなければ誰からもコンタクトがないし、完全に自由でいられる。
ケータイに縛られない時間を過ごせる。
旅中、俺は宿とか以外ではなるべくワイファイは繋がないようにしていた。
繋いだ瞬間にメールがドバッと届いて、それを返信しなきゃっていうプレッシャーがかかってしまうから。
観光してる時とか、カンちゃんとステキなレストランでご飯を食べてる時なんかに余計なことを考えたくなくて、いつもそうしていた。
それが、今回携帯電話をゲットしたことで、いつでも誰とでも連絡が取れるようになった。
どんな自然の中でも、絶景の前でも、誰かと真剣な話をしてる時でも。
もちろん超便利なんだけど、誰からも繋がるという状態が、どこか開きっぱなしの玄関みたいな感じがして少し落ち着かない。
いつからかな、こんな風に人からの連絡に億劫になってしまったのは。
きっと、世界一周の旅を始めてからか。
自由を求めて、見果てぬ地平線に1人立つ。
でもそれは自分の殻の中に閉じこもっているようでもある。
その夜は宮崎市のニシタチにある地鶏屋さん、みやこんじょで美味しい鳥を食べ、お酒はほどほどにしてラーメンでシメ、大輔の家に泊まらせてもらった。
翌日、大輔から譲ってもらった車に乗って宮崎市の陸運局に行き、集めた書類を全て提出し、ついに名義変更が完了した。
これでこの車は俺のものだ。
大輔、マジでありがとう。
めっちゃ助かったよ。
「フミ君、運転気をつけてね、ヨーロッパと車線違うからね。」
「おおおおおおおおおっとううううううううう!!!何をナメたこと言ってくれるんですかこのモグラの親分は!!!はっ!!困っちゃうね!!世界中で運転してきた僕に気をつけてなんてどの口が言ってるんだい!!この口か!!まったく!!そんないけない口はキスで塞いじゃうぞ!!なんつって!!キモっ!!!あ、あれ?ウィンカーつかない。ウィンカーがつかない!!!チクショウ!!大輔のやつ壊れた車よこしやがった!!!」
「フミ君、そっちワイパーだよ。」
「ハウゥゥッ!!!知ってるし!!!!そんなこと知ってるし!!!女の子を横に乗せた時に、いやー、僕ってヨーロッパ長かったもんでウィンカーとワイパー間違っちゃうんだよね、エンチュルディグン、って言うための練習なんだよね!!!えー!?オーストリアにいたんですかー?って言われて、そうなんだよー、オーストリアはアルプスの山々がとても綺麗でねー、おっと、こんなところにもふたつのアルプスがあるじゃないか、揉んでいい?っていう巧みな流れからカーセックス!!」
そして車線に出た瞬間に普通に右車線を走ってて目の前からトラックが来て、ぐおおおおおおうう!!!って左車線にドリフト!!!!!
ハァハァハァ…………
焦ったあああああ………………
いやぁ、運転の癖ってのはなかなか抜けないもんです。
というわけで右左折のたびにワイパーを高速で動かしつつ、車線どっちやったっけ!?って焦りながらドリフトでやってきたのはここですね。
もうあれですよ。
柔道の試合が始まる前みたいな感じで、入り口で正座して頭下げて、シャア!!つって入店です。
おらああああ!!!いっても俺もこの2年で世界中で美味しいものいっぱい食べてきたんだ!!!
負けんぞ!!!
勝負!!!!
いつもの裏メニューのGセット!!!金丸のゴールドのG!!!
はい、一本背負いで腕脱臼して骨盤が割れて失神しておしっこ漏らしてカツラがとれて一本負けです。
最強すぎる………………
もうマジで最強すぎる………………
料理を口に入れるたびに頭の中にファンファーレが鳴り響きます。
「文武くんー、無事帰ってきたねー。今度は奥さんまで連れてー。またライブやってよー。一匹狼やろうよ。」
腕が太くて有名なT兄貴。昔から本当に良くしてもらってる。
カウンターの中にいるマスターが結構お年を召されていた。
でもその横ではT兄貴のご兄弟がハンバーグをパンパンこねている。
毎朝、丸鶏のまま仕入れた若鶏を1羽1羽丁寧に捌く昔ながらの作り方にこだわる爛漫。
ここのマスターこそ、昭和40年代にチキン南蛮を現在の形にした張本人。
当時を知る、数少ないチキン南蛮の親。
今では宮崎中にチキン南蛮のお店は無数にあるけど、ここは本当に老舗中の老舗だ。
30年継ぎ足した南蛮タレ、マヨネーズから手作りのタルタル、
ご飯もお味噌汁も全てが美味しくて、もうマジで泣けるほど。
あああ、宮崎人で良かったって思える瞬間です。
みなさん、宮崎にお越しの際は是非、グリル爛漫に足を運んでみてください!!!
い、言っときますけど、僕爛漫の手先じゃないですからね。
今までものすごくたくさんの会社やウェブサイトから広告掲載の依頼をもらっていたけど、このブログにはグーグルとアゴダのふたつ以外、個人的に想いのあるものだけしか宣伝は載せませんでした。
まぁそれらも僕が勝手に書いたようなものなんですけどね。
爛漫と天領うどんとフラワーに関してはめっちゃ勝手に書かせてもらいました。マジで勝手に。
いつも美味しい食べ物に感謝します。
これからもよろしくお願いします!!
爛漫最高!!!!
それから日向に戻り、車の保険の手続きをし、市役所関係で最後の色々をして、お世話になった人たちに挨拶に行き、ギリギリまでやることをやりきって、これでようやく準備は整った。
完璧。
気がつけば帰国して9日も経ったけど、9日でこれだけのことができたのは結構自分で褒めてやりたい。
1人じゃ絶対こんなに色々ソツなくこなせなかっただろうなぁ。
やっぱりカンちゃんの存在はデカい。
キッチリスケジューリングしてくれるし、配慮もバッチリだし、本当いい嫁もらったなぁ。
実家に戻り、車の中の整理をし、部屋で待っていくものをまとめる。
2ヶ月の日本旅だけど、途中に大阪があるのでそんなに大量の荷物を持っていくこともない。
うわぁ、大阪に奥さんの実家があるんだなあああ…………
大阪に親戚ができたんだなぁ…………
不思議な感覚だなぁ。
「お義母さん本当になにからなにまでお世話になりましたああああああ。」
「いいとよいいとよー。何もしちょらんからね。いつでも遊びに来てね。」
「あー、今度は俺がカンちゃんの実家で数日過ごすんやなぁ。緊張するなぁ…………ちゃんとしないとな…………」
「なんも緊張せんでいいよー。まぁでもするかー。」
最後の実家ご飯を食べ、お風呂に入り、お父さんお母さんにおやすみと伝え、2階の部屋に入る。
電気を消してベッドに横になるカンちゃん。
俺はまだすぐには眠らず、半身を起こして日記を書く。
カンちゃんは俺にくっつきながら、いつものように安心しきった顔で、すぴーすぴーとあっという間に寝息を立てはじめた。
しばらくするとお父さんたちも寝室に入り、家の中は静寂になる。
物音が何も聞こえない中、ひたすら日記を書く。
旅中にいつもやっていたこの作業。
2年間、ずっと繰り返していたこの時間。
世界中の宿で、この1人の夜の時間を過ごしてきた。
カーテンの隙間が明るくて外を見ると、夜空に月がこうこうと光っていた。
その光が海にうつり、まっすぐな線が水平線まで続いている。
潮騒が、静かに夢の中にさんざめく。
月が出た夜には、いつも見えるこの線。
昔からこうして海を見つめて、10代の頃に夜空に続く道という曲を作った。
これ以上遠くへは行きたくないよ
新しい一歩を踏み出すたびに
見えなくなる帰り道
静寂の中に黙りこくっていると、胸がざわめく。
いつもそう。
寂しくて、やるせなくて、俺はどうしたらいいんだろうって、苦しくなる。
旅が終わって実家に帰ってくると、空虚感が心の中を空っぽにしてしまう。
大きなことが終わり、達成感だけがあればいいのに、いつもこうだ。
子供の頃から見ていたこの海と月。
それを眺めながら眠っていた少年時代。
あれからずいぶん時間が経ったのに、俺は今もここにいる。
人生の月日がポタポタとこぼれ落ち、それがまた俺を眠らせる。
部屋の中にある漫画の棚。
なにかの表彰状。
昔から飾ってあるぬいぐるみ。
古いギター。
日本一周をしていたころの日記ノートの山。
使わなくなったテレビ。
ここに戻ってきてはいけない。
俺はきっとあの頃とは違う。
今まで有意義な時間を使えてきたはず。
自分で考え、戦い、一度しかない人生を満喫できているはず。
でも俺は今もここにいる。
苦しい。
だから早く次のことを始めて、この苦しさから逃げようとする。
俺は次に何をすべきなんだろう。
俺の決断はいつも正しいんだろうか。
正しくないかもしれない。
でも自分で決めたことなら後悔はしにくいはず。
人生はあっという間だ。
進み続けなきゃ。
日記を書き終え、カーテンを閉めて布団に入ると、カンちゃんがおやすみと言ってくれた。
俺もおやすみと言って、目を閉じた。
朝、荷物を車に積み込む。
いい天気で、太陽がさんさんと降り注いでいる。
菜の花が揺れ、とても気持ちのいい朝。
風が体を通り過ぎていく。
車のエンジンをかけ、CDプレイヤーにローリングストーンズのメインストリートのならず者を入れた。
懐かしいロックが流れる。
よし、行くぞ。
さぁ、旅に出よう。
日本一周に出発した、あの20歳の夏の日のように。
【オンザロードアゲイン 彼女と世界2周目】
完