こんにちは!神田です。
フミくんの前回の世界一周でイメージの良くない国のひとつにモロッコがあります。
めちゃくちゃ凹む出来事があって、そのせいでいい思い出がないんだそうです。
私は8年くらい前に一度モロッコに行ったことがあります。
その頃はまだ世界三大うざい国。とか言われてなかったのかな?
嫌な思いとか、ひどい客引きとかにも合わず、あの初めての別世界感にモロッコに夢中になりました。
フミくんが凹みまくった思い出でいっぱいのモロッコに、今度はふたりで行けたらな。
モロッコが大好きな国のひとつになるかもしれないのにな。
おわり
2017年9月23日(土曜日)
【オーストリア】 アイゼンシュタット ~ バーデン
ぶどう畑が広がるそのすぐ向こうはもうハンガリー。
最初の世界一周でハンガリーにたどり着いたのは5年くらい前のことだ。
雪が降り出した東欧を寒さに震えながら旅し、早く暖かいほうへ暖かいほうへと南下していた。
落ち葉が積もるベンチの上で寝袋にくるまって野宿し、野犬やホームレスにおびやかされながらなんとか生き延びていた。
通り過ぎる町々はどこも落書きだらけで、陰気な雰囲気だった。
人々もどこか暗い表情で歩いており、ヨーロッパの国をまだほとんど知らないあの頃の俺にとっては、そんな風景こそがヨーロッパの原風景だった。
ブダペストの丘の上で夜景を眺めながらビールを飲んで野宿した夜。
どっか田舎に行ってみたくて電車に乗ってたどり着いたエゲルという町では、地元の女の子の家に泊めてもらってドキドキしたりした。
霧に包まれた橋の下で野宿していたトカイでは、有名なトカイの貴腐ワインを飲んであまりの美味しさにびっくりした。
名前も覚えてないけど、スロベニアに抜けようと電車を乗り継いでたどり着いた町でも、地元のご家族の家に泊めてもらって、すごくいい別れをしたのを覚えてる。
みんな元気かな。
今だったら、もっと違うようにハンガリーのことを見られるのかな。
1人で、毎日を生き抜くのに必死だったあの頃の俺には殺伐としたように見えてしまったけど、今ならば全然違う印象を持てるのかもしれん。
旅の最初のころの思い出ってやつは、いつまでも強烈に残る。
だからこそその、最初のころ、っていう限られた期間にどんな旅ができるのかって大事なことだと思う。
ハンガリー、また行ってみたいな。
温泉は別にいいけど、カンちゃんと貴腐ワイン飲みたい。
オーストリアに軟禁状態の今では叶わないことだけど。
ワイン畑の中を走り抜けてやってきたアイゼンシュタットはマジで寂しげな町だった。
この国の端っこのほうにあって、周りに大きな町もない孤島みたいなところなので僻地感が漂っている。
車もすぐに無料の路駐エリアが見つかってそこに止め、中心部にやってくると人が全くいないホコ天が伸びていた。
お、終わった…………
土曜日なのにマーケットもやってないし人も全然いない………………
久しぶりにこんなに天気も素晴らしくて、サタデーマーケットでガッツリ歌うぞ!!って思ってたのに、めっちゃまばらにしか人影がない。
町はとても綺麗だし、ホコ天の中にはH&Mもあるし、それなりの大きさなのにどうしたことだ?
そんな寂しいホコ天にポツポツと何かの看板を出した人たちが立って風船を配ったりしてる。
どうやらあれは近々行われる選挙のための活動みたい。
それぞれの政党が票集めのために頑張ってしのぎを削っていた。
なんかあれだな。
ここはまだオーストリアだけど、なんだかこの寂しい雰囲気がお隣のハンガリーの空気と少し似ている気がした。
国境付近ってのは文化が混ざり合う場所だもんな。
「カンちゃん、これどうしよう?やる?」
「うーん、そうだねー、人全然いないね。フミ君の判断に任せるよー。」
ここで歌っても、広場で練習してる人かな?くらいの切ない状況だけど、せっかくここまで来たことだし、一応やるだけやってみるかなぁ。
ホコ天の真ん中にある石段に腰かけてギターを取り出した。
深呼吸すると朝の冷たい空気が気持ちよく胸の中に入っていく。
ふと、東欧の野宿の朝を思い出す。
寒くてほとんど眠れない毎日だったけど、朝の爽やかな空気はとても気持ちのいいものだった。
あれも俺がしてきた旅なんだよな。
ポロポロと弦を弾くと、石畳の町に音が気持ちよく流れた。
あー、人は少ないけどいい演奏をしよう。
東欧のころの研ぎ澄まされてた俺に負けないよう頑張らないと。
アイゼンシュタット、今日1日よろしく!!
「ハロー、この町は路上をやるにはライセンスが必要なんだよ。でも今日はもうオフィスは閉まってるから、残念だけどまた平日に取りに行ってね。」
クラウチングでアイゼンシュタットさようなら!!!
こんな田舎なのにライセンスウウウウウウウウエエ!!!!!
ダッシュで荷物を片付けていると、目の前にあるカフェのテラスに座っていたお客さんたちがぞろぞろやってきて、信じられんよ僕たちは楽しんでたのに!!すまないね!!馬鹿げたルールで!!とみんなしてチップを入れてくれた。
おかげで3曲で15ユーロ、2000円にもなったけどもまたここに来ることあるかな…………
車に戻っていると今になって人がどんどん町に向かって歩いていて、もしかしたらここは少し遅めの時間帯が良かったのかも。
もし時間があったらまた金曜日に来てライセンスとってみてもいいかもしれんな。
というわけでソッコーでバーデンの町に帰ってきた。
昨日中央広場にステージが組まれていたので、おそらく今日も何かしらのイベントをやってるだろうと思ってわざわざアイゼンシュタットに移動したのに、ホコ天にやってくると昨日のステージは綺麗さっぱりなくなっていた。
なんだとおおおおおおお!!!
ゆうべのイベントのためだけのステージだったのか!!!!
ちくしょう騙された!!!!
さすがバーデンの町はマーケットこそ立っていないけど、天気のいい土曜日の朝ということでめちゃくちゃたくさんの人で賑わいまくっている。
そんな人ごみの中に路上のパフォーマーの姿もある。
いつものクラリネットお爺ちゃん、ガットギターインストのおじさん、アコーディオンのジプシーファミリー。
この3日間で見かけた路上パフォーマーが土曜日ということで全員集合だ。
こりゃ稼ぎどきってことだな。
もうすでにみんな顔見知りなので、みんなに挨拶し、チラッといつもの俺の定位置を確認。
うん、誰もいない。
よしよし。
それじゃあ先にトイレを済ませてから気合い入れてやろう!!
アイゼンシュタットで貴重な土曜日の朝の1時間を無駄にしてしまったから、こっからはガッツリいくぞ!!!!
そしてトイレを済ませて定位置に行くとフォルクローレのインディオさんたち、セッティング完了。
三つ編みすごい……………
もうこれでもかってくらいコンドルを飛ばしまくっている………………
これだよ……………
路上あるある。トイレに行ってる2分で場所を取られるの術……………
路上の場所取りはマジで30秒で決まる。
そしてそれがその日の稼ぎに大きく直結する。
やっちまった……………
さらにこのインディオさんたちの演奏が始まったかと思うと、まさかのアンプ使用。
囁くくらいの生音で充分響く路地なのに、ホコ天の端っこまで届くくらいの爆音でコンドルを飛ばしはじめるインディオさんたち。
それ反則やろ…………
広場でやってるギターインストのオッちゃんもクラリネットの爺ちゃんもみんな生音なのでかき消されてしまっている。
アンプ使わんとフォルクローレの雰囲気が出ないんだろうなぁ。
南米のフォルクローレバスカーって本当世界中にいるよなぁ。
なんか座位。
仕方ないのでだいぶ離れたホコ天の端っこで路上開始。
うん、悪くはない。
さすがに土曜日なので人が多くて、その分反応もいい。
が、こんだけ離れてるのにまだフォルクローレが聞こえてくる。
アンプデカすぎやろ。そりゃ苦情来るわ。
予想通り、20分くらい経ってフォルクローレの音が聞こえなくなって、カンちゃんに見に行ってもらったらインディオさんたちいなくなっていた。
多分注意されたんだろうな。
というわけですぐにスパー前の定位置に移動。
準備してタバコを吸っていると、インディオさんたちがいなくなったことでクラリネットお爺ちゃんも演奏を再開した。
広場のほうから聞こえてくる柔らかいクラリネットの音がすごく耳心地がいい。
あんまりお爺ちゃんバスカーで上手な人っていないんだけど、このお爺ちゃんは本当に上手で、感情に触れてくる演奏をしてくれる。
いいなぁ、こういう素敵なパフォーマーがいる町って、それだけで町に出るのが少し楽しみになるよ。
お爺ちゃんの人生を想像させるような、情感たっぷりのマイウェイがあまりに素敵で今日もチップ。
やっぱりスパー前は最高。
町の中でここだけ断然入りかたが違う。
それぞれのパフォーマーにとって、町の中でどんぴしゃハマるポイントってのがどの町にもあるとして、それを見つけ出すのってなかなか難しいこと。
5メートル違ってもダメだったりする。
俺にとってこのバーデンでは間違いなくここだ。
するとそこに、この前のベートーベンミュージアムの女性ボスがやってきた。
ニコニコしながらこっちに近づいてくる。
「あ、こんにちは、ミュージアム行かせていただきました。すごい素敵でした!!ありがとうございました!!」
「良かったわ。それと、これはお返しね。」
ギターケースの中にお菓子と5ユーロを入れてくれる女性ボス。
ちょ!!
またやん……………
俺とカンちゃんが昨日お礼にチョコレートを差し入れに行ったので、またさらにお返しを持ってきてくれたんだ。
やりとり終わらん……………
お返しするほどデカくなって返ってきてしまうよ…………
今日も楽しい路上をトータル3時間。
あとまだ30分くらいいってみようかな、と思っていたら、中央広場でいきなりオーケストラの野外コンサートが始まってしまい、どうしようもなくなって強制終了。
素敵だなぁ。
町のど真ん中でいきなり野外コンサートて、日本だったらソッコー苦情だろうなぁ。
周りの民家から気難しい爺さんとかがめっちゃ怒鳴ってきそうだ。
でもここはオーストリア。
人々は怒鳴るどころか窓を開けて気持ちよさそうに演奏を聞いている。
この町はベートーベンの第9が誕生した町。
町の人たちもそのことを誇りに思ってるだろうな。
あー!!今週もよく歌った!!
週休1日でよく頑張った!!
インドビザが発行されるのは来週の水曜日だから、それまではまだこの辺りを動けない。
のんびり歌いながら待っとこう。
そんでビザをゲットしたらまたチロルのほうをグルッと周りに行くぞ。
そういえばもうオクトーバーフェスの季節だよなぁ。
オーストリアでもいろんな町で開催されているので、どっかで遊びに行かないとな。
旅するにこいち主催のミュンヘンのオクトーバーフェス集合にもめっちゃ行きたいんだけど、オーストリア軟禁の身なので残念ながら参加できず。
ノリ君ー!!
去年のオクトーバーフェスで旅丸さんが強盗やられてるから気をつけねー!!
焼きそば最高。