スポンサーリンク モンサンミッシェルなめてた 2017/7/22 2017/06/26~ フランス, ■彼女と世界二周目■ 2017年7月4日(火曜日)【フランス】 ミセ ~ モンサンミッシェル ~デュセ本当、フランス人は麦とヒマワリの育てかたしか知らないんじゃないか?ってくらいどこまでも麦とヒマワリ畑しかない。見渡す限り果てしなく麦が大地を覆い尽くしていて、この見える範囲だけで何人分の1日のパンを作れるだろう?ヒマワリも、スペインのアンダルシアが有名だけど、結構フランス南部で満足できるくらいいっぱい生えてる。晴れ渡る空の下、のどかな田舎道をのんびり走った。そうそう、いつも移動するときはグーグルマップで道順を出してから走ってるんだけど、そこに「有料道路を除く」っていう条件を加えると、自動的に有料道路に乗らない最短の道順を出してくれる。これが本当に便利。しかも最近では、300メートル先、交差点を右方向です、とかって音声ガイドもしてくれるので、もはやカンちゃんの仕事ほぼなし。ヨーロッパでは普通、マップ上でオレンジ色で書かれてる道路は有料道路なんだけど、たまーにこれが無料区間だったりする。間違えて乗って、あれ?ここ無料だったね、ってことがたまにあるとラッキーって感じだ。しかしどこの高速道路が無料区間かなんて見た目じゃもちろんわからない。それがグーグルマップで有料道路を除くルートを出せば、高速の無料区間も含んだ最短のルートを出してくれるという優れもの。意外だったんだけど、フランスってこの無料区間がめちゃくちゃ多くて、高速乗りまくっているのに今の所、料金は発生していない。マジでフランス、距離がめっちゃのびる。一般道でも田舎道ばっかりなので法定速度の90キロでかっ飛ばせるし、町も車も少なくて快適ドライブだ。なのでついついスピードが出てしまう。いやー!!快適快適ー!!スンスン走れるぞー!!パシャッ!!思いっきりカメラ撮られました……………めっちゃ光りました………………やっちまった…………………フランスのスピード違反罰金、怖くて調べるのやめときます…………親切な読者さんが優しさで、金丸さんー!!これ罰金のリストですー!!ってメールしてきたら見ずに消します…………これカメラありますよの看板なのでみなさんお気をつけください……………これカメラです…………スピードカメラ撮られたけどパエリア食べます………………スペインで食べずにあえてフランスで食べます……………美味しくないです……………カンちゃんが、パエリアってそんな美味しくないから食べなくていいよって言ってた意味がわかりました……………どこまでも牧歌的な風景が広がる農地の中をトコトコと走っていく。フランスは本当に山がなく、ただひたすらに平野だ。どこまでも平野ばかりで走りやすいことは走りやすいけど、山のない風景ってのはどこか味気ない。たまに現れる村の民家は、まるで三匹の子豚が作った石の家みたいなメルヘンチックなもの。ゴツゴツした質感だけど、どこか温もりがあって、昨日までの風景とは少し雰囲気が変わった気がする。南フランスを抜けて、北フランスエリアに入っているのかな。そんな田舎町を北に走っていると、突如、畑の向こうに何かのシルエットが見えた。「うわああああああ!!!!カンちゃんアレ!!!!すげぇええええええ!!!!」「あああああああああ!!!!こんな感じでいきなり出てくるのおおおお!!!すごーい!!!」平野の向こう、茫洋とした空に浮かぶように、巨大なお城みたいな姿が見えた。まるでハウルの動く城とか、そんな現実味のない壮大さ。あ、あれがモンサンミッシェル!!あんな感じで現れるんだ!!ビビりながら近づいていくと、駐車場の文字が見えた。でもモンサンミッシェルはまだまだ向こう。どうやら離れたこの辺りに車を止めて、シャトルバスでモンサンミッシェルに向かうみたいだ。駐車場はなんにもない農地の中に作られている。何百台も止められるような巨大な駐車場。モンサンミッシェルってこんなになにもない僻地に、取り残されるように存在しているんだな。これ駐車場の値段。高いです。2時間で6.3ユーロ、820円。しかも2時間超えたら24時間料金しかなくて11.7ユーロ、1520円。2時間って微妙な区切りだなぁ。そんなんじゃゆっくり見て回れんやろ。というわけでこの周辺をぐるぐる回って車を止められそうな場所を探し、畑の中の駐車スペースに車を止めた。シャトルバス乗り場まで30分くらい歩くけど、ちょうどいい運動だ。これがまためっちゃ気持ちよかった。麦畑がどこまでも広がる中を、ポツリと2人で歩いた。周りには本当になにもなく、風が稲穂を揺らすかすかな音だけが耳に入ってくる。涼しい風が吹き、太陽があたたかく、このまま道路に寝っ転がりたくなるくらい開放的だった。いいなぁ、モンサンミッシェルの周りってこんなにも寂しげでひと気のないところなんだなぁ。なんか楽しくなってきて、直立で飛ぶという遊びが少し流行る。モンサンミッシェルに行く前に超疲れたところでシャトルバス乗り場に着くと、たくさんの人たちがバスに乗り込んでるところだった。どうやらバスの本数も多いみたいで、そんなに待つことはないみたい。バスの移動時間は10分くらいだけど、道中歩いて向かってる人もたくさんいた。モンサンミッシェルを向こうに眺めながら遊歩道を30分くらいかけて歩くのも気持ちいいだろうな。そうしてバスが到着。いやぁ、来ちまったなぁ。これがモンサンミッシェルだ。フランス北部、シェルブールの雨傘で有名な港町、シェルブールの少し南の海岸沿いにこのモンサンミッシェルは立っている。海岸沿いというか、海の上って言ったほうがいいのかな。波が静かに打ち寄せる砂浜にこのモンサンミッシェルは立っており、満潮になると砂浜が海に沈んで、まるで島のように海に浮かぶ。海の中にポツリと立つ巨大なお城のような建物。それこそが誰もが頭の中に持っているモンサンミッシェルのイメージのはず。フランスを代表する観光地、ヨーロッパを代表する観光地、誰もが憧れるザ・世界遺産のモンサンミッシェルについにやってきたぞ。今の時間は潮が引いており、モンサンミッシェルは砂地の上に立っていた。観光客たちがちらほらと砂地を歩いて、いろんな角度から写真を撮っている。そもそもモンサンミッシェルってなんなのか?お城なのか?誰かのお屋敷なのか?モンというのはまず岩山という意味。その上に築かれた聖ミカエルを祀る大修道院、それがモンサンミッシェルだ。708年に最初の礼拝堂が建てられ、その後、増築を重ねていき、1200年代にほぼ現在の形になったらしい。下から見上げると、ちょうど1番上の塔の先っぽに金色の像がくっついているのが見えるけど、あれが聖ミカエル。おとといのルルドと同じく、カトリックの重要な巡礼地のひとつだ。地形的にここの潮の満ち引きは相当なスピードらしく、かつて多くの巡礼者が潮に飲まれて死んだんだそう。なので、モンサンミッシェルに行くなら遺書を書いていけ、とまでいわれていたみたい。さらにイングランドからほど近い海沿いにあることから百年戦争時にイングランドの攻撃を受けたこともあるんだけど、1度も陥落しなかったという。修道院でありながら軍事要塞的な意味合いも含んでいたよう。時は流れて18世紀。フランス革命後に修道院としての役割が放棄され、しばらく監獄として使用されていたそうだけど、修復も行われ今では世界中から観光客が訪れるザ・観光地だ。モンサンミッシェルを取り囲む高い城壁をくぐると、細く賑やかな坂道がゆるくカーブしながら上へと向かっている。石畳、石積みの建物、中世の姿そのままの素敵なこの小道が、昔からの修道院への参道だったんだろう。たくさんのお土産物屋さんやカフェ、レストランが隙間なくひしめいており、この観光地観光地した雰囲気に楽しくなってくる。それにしても目につくのは日本語。お店の看板やレストランのメニュー、そこらじゅう日本語だらけで、よほどここが日本人に人気の観光地かってのがわかる。フランス語、英語、その次が日本語だもん。確かに若い日本人のカップルさんたちが楽しそうに歩いているのをたくさん見かける。あんまり世界一周旅行者でモンサンミッシェルに行ってる人は見かけないけど、ここは日本人にとって不動のヨーロッパの観光地なんだよな。モンサンミッシェルはオムレツが有名らしいです。ちなみにモンサンミッシェルの島にあるホテルの値段はこんなもん。そんなお土産物ストリートを抜けてどんどん坂道を登っていくと、目の前に遠い海が見えてきた。砂浜の向こうに静かに打ち寄せる遠浅の海が風に吹かれて模様をつけている。なんともおぼろげで、美しく、寂しげな風景だ。この海の向こうにイギリスがある。数ヶ月前、向こう側の岸壁からこっち側を見ていたよな。あそこは不思議な真っ白の断崖絶壁だった。この海の向こうに行ったことがあるって思えると、少しだけ地球の大きさを頭の中で想像できる。坂を登りきると、ついにそこから建物の中に入っていく。ここからが有料エリアで、入場料は10ユーロ、1250円。俺たちはつけなかったけど、日本語のオーディオガイドをつけたらプラス3ユーロ、380円。混んでるかなと思ったけど、チケットカウンターはがら空き。モンサンミッシェルの中はとても広く、無数の部屋や回廊が整備されており、ゆっくり見て回ったらなかなか時間がかかる。ただ、そこまで目を見張るようなものはない。この砂浜にある小さな岩山の上に建てられたモンサンミッシェル。狭いスペースに無理くりこんな巨大な建物を上へ上へと作っていったので、それぞれの建物がお互いを支え合い、足場になり、絶妙なバランスで今の形になっているんだそうだ。その見事な建築技術は素晴らしいし、深層部に行くほどに中世の建物が残っているようだけど、まぁ中はいたってどこにでもあるお城とか修道院の中の様子だ。このモンサンミッシェルは今は観光地としてのみ使用されており、いわば海辺に取り残された廃墟だ。見所はないけども、それを思いながら見て回ると、ファンタジーの世界に入り込んだように冒険心がくすぐられる。この岩山の中になにかすごい伝説でも隠されていそうだ。あー、それにしても景色がたまらなく綺麗だ。モンサンミッシェルは内部よりも、こうした外観や、その周囲に広がる寂しげな美しさが魅力だと思う。遠い海、かすむ農地、その向こうから吹いてくる風。胸が少し締めつけられる。モンサンミッシェルは孤独な美しさの真ん中に立っている。「綺麗だねー。」「ねー。」カンちゃんと2人で、城壁の上から遠くを見つめた。これは一生忘れられない風景だろうなって思えた。修道院の中を一通り回ったらお土産物コーナーに出てきたんだけど、まったく自分たちのお土産を買わない俺たちがめっちゃ珍しく買い物をした。これ。これはいい記念になるわ。0ユーロ紙幣をゲットしてモンサンミッシェルの外に出ると、まぁ何回写真を撮っても撮りきらないくらいやっぱり美しい。圧倒的な美しさだ。ヨーロッパには無数の絶景や歴史的な建造物があるけど、モンサンミッシェルはそのヨーロッパの観光地の精鋭って感じ。あまりにも有名だからもしかしたらガッカリするかもしれないなって、少し覚悟しながらやってきたんだけど、そんな杞憂を吹き飛ばしてくれる素晴らしさだった。モンサンミッシェル、大満足。この寂しい僻地の海辺に取り残された壮大な修道院跡。ヨーロッパに来たなら必ず訪れるべき場所のひとつだ。あー、ここでキャンプなんかしたみたいなぁ。また畑の中の農道を2人で歩いて車に戻り、ハンドルを東に切った。田舎道をどこまでも走っていく。カーラジオから流行りの洋楽が流れている。ここはフランス。でも流れてる音楽の歌詞は英語だ。その時、どこでそれを思いついたのかしらないけど、パッとL⇔Rのノッキングオンユアドアを口ずさんだ。こんな懐かしい歌、なんで出てきたんだろ。中学生くらいだったなぁ。いろんなバンドがたくさんいて、いい時代だったと思う。「あー、懐かしい歌うたってるー。」「ねー、俺たち世代だよね。今の20代の人たちとか全然しらないんだろうなぁ。L⇔Rって今なにしてるんだろ?」「昔、聞いてたラジオ番組にノッキンオンユアドアをリクエストしたことがあるの。まだメールとかなくて葉書で。ほんで何日かあとに家でラジオ聞いてたらノッキングオンユアドアが流れ出したの。そして同時に家の電話が鳴ったの。うわ!!これリクエスト応えたよーっていう電話がラジオ番組からかかってきたんだー!!ってマジで焦りながら電話出たら近所のおばちゃんだったの。あれビビったー。」カンちゃんの話に笑いながらアクセルを踏む。モンサンミッシェルからパリまで5時間。友達との約束は明日の夜。この数日かっ飛ばしまくってきたおかげでなんとか間に合いそうだ。4年前の記憶がよみがえる。またパリに戻ってきたな。