スポンサーリンク 人間の命は平等なのか 2017/4/21 2017/03/27~ タンザニア, ■彼女と世界二周目■ 2017年4月4日(火曜日)【タンザニア】 イリンガよっしゃ体調回復!!!朝起きると体のダルさがスッキリ消え去っていた。いや、ちょっとは残ってるか。でもこれなら問題なしだ。無理せず2日間キチンと体を休めた甲斐があった。さぁ、ようやく7日も滞在したこのイリンガともオサラバ。朝の静かな宿を出発すると、庭で放し飼いされている懐かない犬のラブとピースが寄ってきていつものようにふくらはぎに噛みつこうとしてくる。いつものように、うおぉい!!と足を振ってそれを遮り門を出ると、門の下の隙間から顔を出して寂しそうな顔でこっちを見ているピース。いつもはあんなことしなかったのにな。俺たちがもう戻ってこないことをわかってるんだろうな。バイバイ、もっと懐こくなってみんなに可愛がってもらえよ!!アリゼティホテル、めっちゃ居心地良かった!!ありがとう!!もはや歩き慣れた道をさくさく歩いてバスターミナルにやってきた。カモンマイフレンド!!どこに行きさらすんだい!?イヨッフォー!!と客引きたちが群がってくるのを、もうチケット持っとるわいー!!の殺し文句でモーゼが海を割るかのようにかき分けていくと逢谷内デイサービスセンター。おっと!!間違えちゃったね!!これじゃなくてこっちだね!!村上学園高等学校。タンザニア、日本の車走りすぎビビる。南部の都市ムベヤ行きのバスは8時ピタリにイリンガを出発。窓の外の風景は相変わらずのどかだ。短い木々が散らばる草原がどこまでも広がっており、その中にポツポツと土でできた家が散らばっている。カラフルな布を体に巻いた民族衣装の人が、そんな草原の中で牛を連れて放牧している。あの人はマサイの人なのかな。それとも放牧を生業にしてる民族はマサイだけじゃなくてたくさんいるのかな。このイリンガからムベヤまではかなり道が悪く、舗装されているところと未舗装の道が交互にやってきて、その度に砂埃が巻き上がって車内に入ってくる。でこぼこした道に傾き、ひっくり返りそうになりながら走って行くバス。なんとか舗装してあるアスファルトも雑なもんで、まるで下手が作ったケーキって感じだ。テキトーにスポンジに生クリームを塗って完成、みたいな道路。でもまぁこれくらいならどってことはない。今まで車移動で最悪の悪路だったのは中国のリージャンから成都までのオフロード。オフロードっていうか、今まさにユンボで道を掘ってますからねーっていう出来たてホヤホヤの道を走ったりしてあれはマジでひどかった上に、中国人がバスの床に痰を吐きまくるわ、バスの中でタバコ吸いまくりだわでひたすら地獄だった。おれを超える移動があったらもはや移動っていうか処刑だよ。砂埃をあげながら、アフリカの一本道はどこまでも続いていく。隣の席のおばさんの髪の毛が虫がいっぱいくっついてるみたいで怖い。木々が生い茂るジャングルの中を走って行くバス。その時、頭に木を乗せた女の人が歩いているのが見えた。火をおこすためのまきに使うのか、相当な量の木を頭の上に積み上げて歩いている。細い枝ではなく、腕よりも太いような木だ。重力にしたらなかなかの重さがあるであろうその木々をバランスよく頭に乗せている。これからあの人はどれほど歩くんだろう。何百メートルか、はたまた何キロか。そんな光景を目の当たりにして、不思議な思いが頭に浮かんでくる。不思議な思い?いや、不思議な感覚なのか、なにか意識の奥底を揺さぶるような単純な疑問なのか。あの人と俺は同じ人間であって、等しい命の重さであるということ。それなりに高級な教育を受け、仏教と神道による宗教的道徳を学び、世界でもトップクラスの先進的テクノロジーに囲まれて育った俺。はたまたほぼ教育を受けられず、電気もないジャングルの中で牛糞と土をこねた建物で寝起きし、木を燃やしてバナナを焼き、原始的に生きる人々。まるでその暮らしは稲作が始まった弥生時代のよう。世界には60億か70億の人々がいて、アップルの製品を使っている人もいれば、サバンナで土を体に塗って暮らしてる裸族もいる。35年間、日本で育った人間からすると、このアフリカで目の当たりにする人間の多様性はあまりにも衝撃的で、固定概念の根幹を揺さぶってくるものがある。人間は等しく同じ価値があるのか。当たり前だ。そんなもん誰だってわかってる。道徳心は何千年も前から説かれてきた人間の本能の一部だ。ではウォール街で世界の物の価値を決めてるエリートたちと、あそこで頭に木を乗せて家へ向かって歩いてるおばさんの人間的価値は等しいのか。科学に卓越し一般的に言う人類の進歩に貢献している学者と、サバンナで槍を持って猛獣と戦ってる民族の戦士の命は等しいのか。ふとそんな疑問が頭に浮かぶ。世界中にいる様々な人々。言葉も、人種も、環境も、文化も、宗教も、何もかも違うのに、その命が本当に全て等しいのか?今この瞬間も毎秒単位で飢餓で人が死にまくっているのに、一方では食べ物を廃棄しまくってる国がある。道徳心ってなんだろう。今でこそ、道徳心というものは人々の心に定住している。人間みな平等。天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず。いろんな言葉が存在する。でもあそこのバナナの木の下でズタボロのボロボロの布切れを着た裸足のおじさんと、何十万のオーダーメイドのスーツを着て高層ビルのオフィスでパソコンを叩いてるビジネスマンの命は本当に等しいのか。ぐしゃっと色んな考えが渦巻いてわからなくなってくるけど、なんとなく、なんとなくだけど、わかりそうな気もする。ただ暮らしている社会が違うだけで、きっとこのアフリカでは木を運ぶおばさんも、猛獣と戦う戦士も、このアフリカ社会においての重要な役割を担っている。俺たち文明国の人間の価値観では計れない価値観がここには存在しているんだ。シンプルに考えることが大事なのかもしれんけど、まだまだ俺みたいなバカは頭こねくり回さないと納得できない。人間は平等。その言葉の本当の意味をめっちゃ考えさせられる。きっと、命というかけがえのないギフトはこの世にそれぞれひとつだけ。あー、わかんねぇ。アフリカすげぇなぁ。固定概念ブッ飛ばされるわ。そんなことを悶々と考えていると、後ろの席でお母さんが抱えていた赤ちゃんがなかなかの勢いで泣き始めた。ぎゃあああああああああんん!!!!!と力の限りに絶叫し、呼吸困難になりそうなくらい。あまりのすごい泣き声にビックリしたんだけど、まぁここはアフリカ。日本みたいに、静かにしなさい!!ってこともなく、お母さんも別に気にせず泣かせ続けている。赤ちゃんはひたすら20分くらい絶叫し続けた。カンちゃんと会話する声もかき消すくらいの声で、こんな狭いバスの中で真後ろで泣き叫ばれると、イラつきはしないけど、周りは大丈夫かな?と心配になってくる。しかし人々は誰も気にする様子はない。そんな時、カンちゃんがこんな話を教えてくれた。どこかの航空会社のサービスの話なんだけど、その航空会社では、飛行機の中に乗っている赤ちゃんが全員一緒に泣いたら何かの景品が乗客全員にプレゼントされるんだそう。なので乗客たちはむしろ赤ちゃんが泣いてくれたほうが嬉しいってわけだ。これならお母さんたちも肩身の狭い思いをせずに密閉された空間である飛行機に乗ることができる。素晴らしいアイデアだよなぁ。泣く子は育つ。アフリカの子供はエネルギーが溢れ出るほどに元気だ。「イヤッフウウウウウウウウ!!!!」そしてバスが止まった瞬間に突撃してくる物売りさんたち。「バナナバナナアアアアアアアア!!!!」「トウモロコシイエエエエエイ!!!」「ソーダソーダ!!ジュースベイビー!!!!」群がりかたマジでパナい!!!!とりあえずクッキー買ってみた!!!1000シリング!!50円!!多分挟みかた逆!!!!半分以上、ちゃんとできてない!!!しまいには挟んでもいない!!!雑すぎウケる!!!!そんな面白い移動でバスは8時間経ってムベヤに到着。俺たちが降りたのは市街地の少し手前にあるナネナネスタンドというターミナル。ムベヤには2ヶ所のバスターミナルがあるらしいんだけど、マラウィに向かうバスはここから発着しているという情報だ。バスを降りた瞬間、客引きたちの争奪合戦が繰り広げられるんだけど、俺たちの取り合いをして喧嘩してるオッさんたちの横を素通りしてご飯食べに行った。ターミナルの横には無数の野外食堂が並んでいて、どこも美味しそうな煙をあげてお肉を焼いている。見てみると、炭焼きで牛肉を焼いており、黒いボロボロの網の上で美味しそうなお肉が山になっている。あんまり美味しそうなのでここで注文!!ぐおおおおおおおおおお!!!!マジビビるほど美味ええええええ!!!!なんだこれ美味い!!!!炭焼きで塩味のよくきいた牛肉は完全に日本で食べてたバーベキューの味つけ!!!これに塩味のついたお米と菜っ葉という定食。全部めっちゃ美味いやん!!!!いやぁ、来る前までどんなエグいもんが出てくるのかなぁとアフリカのご飯にビビりまくってたけど、現地のローカルフードは久しぶりにガッツポーズ出るくらい美味い!!!めっちゃ腹いっぱいになって値段は3700シリング!!185円!!!!お兄ちゃんありがとう!!!大満足だよ!!!!美味しいご飯を食べたらさぁ移動もういっちょいってみようか。俺たちが向かうのはマラウィ。このナネナネスタンドはマラウィとの国境に向かうバスが頻発しているので、2秒で客引きたちがキエラアアアアア!!!!と叫びながら突進してくる。キエラはタンザニア側の国境の町だ。ただキエラまで行ってしまうと行き過ぎになる。国境の道路はそのちょっと手前になるので、今日はムベヤから国境の中間くらいにあるトゥクユという町まで行って夜を越し、明日の朝イチでマラウィに向かおう。「キエラアアアアア!!!チナ!!!ボーダーだろう!?カモン!!こっちだ!!」「チナチナチナ!!!!チンチョン野郎!!!キエラに行くぜえええええ!!!」「あーもう、こいつらはアジア人見たらチナって言わないと気が済まないのかな。学校で教えろよな。黒人だからって全員アフリカ人ではない、白人だからって全員アメリカ人じゃない、わかんねぇかなぁ。」「カモン!!チナーー!!!」アフリカ入ってから半端じゃないほどチナの嵐で毎日イラッとしてしまうけど、もう本当これはどうしようもないよなぁ。国を間違えるのってなかなかデリケートな問題だよ。対立してる国とか、紛争の歴史のある国とか世界中にいっぱいあるのに、それをなんも考えんで決めつけてくるなんて失礼すぎるよ。アジアの地図と国別のこんにちはを書いた紙を大量にコピーして、チナとかチンチョンチャンとか言ってくる奴に渡していこうかな。人種差別すると誇りを失いますよ、とか書いて。そんなことを考えながらトゥクユ行きのバンに乗り込んだ。値段は1時間弱の移動で3000シリング。150円。うぎゃああああああ!!!!!!物売り、手突っ込みすぎ!!!ムベヤの町を過ぎると、これまでのサバンナの風景から一変して、熱帯のジャングルになった。バナナの木が生い茂り、どこまでも密林が広がっている。なんとなく、巨大な湖があるマラウィに近づいたからのような気がする。土と草でできた民家がジャングルの中に隠れるように散らばっている。バスはそんなジャングルの中にある少し大きめな町に到着した。トゥクユだ。なかなかの田舎なんだけど、アフリカは田舎でも活気がある。看板が超怖え。こんな田舎で宿が見つかるかな?とちょっとギャンブル気分だったんだけど、バスが止まったターミナルの中にゲストハウスの文字を見つけ、見に行っているとボロい建物の隙間の奥に相当穴場な宿を発見。わかりにくすぎやろ…………「ジャンボー、1泊いくらですかー?」「15000シリングだよー。」ぬおっ!!750円!?ええ!?イリンガもアルーシャも35000シリングもしたのになんでこんなに安いの!?部屋を見てみるとベットが置いてあるだけの質素なものだけど、シーツも綺麗だし全然問題なし。トイレもシャワーも水が出ないというなかなかのハプニングだけど、水の入ったバケツが置いてあってこれで色々洗ってねということだ。それにしても安いな……………観光客が来ない田舎のローカルな宿って実はどこもこんな値段なのかもしれんな。それから夕方の町を手ぶらで散歩したんだけど、田舎めっちゃいいなぁ。小ぢんまりしてるけどギュッと凝縮したマーケット、廃墟みたいな建物が並ぶ町のメインストリート、ガタガタの地面、めちゃくちゃ濃密な生活感が染みついてる。少し高台にあるこの町の眼下にはひたすらジャングルが広がっており、その中にまばらに民家が見え、人がやってきて、人が帰っていく。いいなぁ、すごいいいやん。アフリカは都会より田舎巡りのほうが断然楽しそうだ。シャツ買った。10000シリング。500円。多分高い。道端でやってた謎のゲーム。ボアって言ってたかな。ルール謎すぎる。マジで。町の中を歩いていたら俺たちを見つけて子供たちがどこからともなくワラワラと湧いてきた。ちょっと追いかける素振りを見せたら発狂するほど喜んで、騒ぎを聞きつけてさらにたくさんの子供たちが集まってきた。「ハウアーユー!!」「ハウアーユー!!ワッツユアネーム!!」「チナー!!チンチョンチャン!!」「コラアアアアア!!!チンチョンチャンって言ったらダメだぞー!!」追いかけると、ぎゃあああああああ!!!!と叫びながら散り散りに逃げていく。ひたすら追いかけっこ大会。真っ黒い肌にスチールウールみたいな髪の毛、クリクリした瞳がすっごく綺麗でみんなめっちゃ可愛い。でもこんな子供ですらチンチョンチャンとか言ってきてクスクス笑ってるんだからどうしようもない。大人たちがやってるの真似してるんだろうなぁ。俺たちが子供たちと大盛り上がりで遊んでるのを、大人たちが周りに座ってニコニコしながら見ている。みんな無邪気で可愛いなぁ。「みんなバイバイー!!」「バイバアアアアアイイイ!!!!」「バイバアアアアアイイイ!!!!」手を振りながらついてきて見送ってくれた子供たち。命はひとつ。与えられたこの命をどう使うか。価値のある人生とはなんなのか。アフリカは深いなぁ。歯磨こうとしたら取れた。アフリカ深いなぁ。