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ずっとやってきたことが本当にやりたかったことなのか



2017年3月15日(水曜日)
【ギリシャ】 ミコノス島





トゲトゲした植物が地面を覆い尽くしている。

サンダル履きで来なきゃよかった。

チクチクして痛い。




小高い山の斜面にその背の低い植物がどこまでも生えており、隙間を踏んで進んでいく。


あぜ道もなく、いつの間にかこんな原野に入り込んでしまっていた。


見上げると山の頂上に何か展望台らしき建物がある。


人の気配はなく、もしかしたら何かの廃墟かもしれない。




「帰ったら新婚旅行しようよ。」



「そうだね。新婚でミコノス島に来てるのに、帰国してから新婚旅行とか、おかしいね。」



「青森行こうよ。すごくいい温泉宿があるし、大好きなバラ焼きで瓶ビール飲もう。奥入瀬も綺麗だから。」



「温泉行きたい!!浴衣着て、温泉街歩いたりしたいな。」



話しながら足を踏み出すと、チクリとトゲが刺さった。



斜面の先を見て、草が少ない道を上手く選ばないと、行き止まりになってそこから進めなくなってしまう。


その道を見るのは俺。カンちゃんは俺のあとについてくる。

俺が間違ったら、2人して行き止まり。

















どうしてこんなチクチク痛い道に入ったんだろ。

きっとこっちだよ、こっちだからって俺が楽観的に近道を選んだからだよな。



行けないことはないと思う。多分、ぐるっと大回りして舗装された道を行くよりも早く着くと思う。


でも行き止まりになって、そこからどうしても先に進めなくなったらどうしよう。


仕方なく後戻りするしかないので、時間を無駄にするし、足を傷つけて終わりだな。





カンちゃんはきっとそれに文句は言わない。

そして上手くいった時に偉そうにする俺にすごいねーと言ってくれるはずだ。


できればいつも上手くやって、カンちゃんに自慢げにしていたい。







風が気持ちいい。


見晴らすと海が青い。


あの向こうにアフリカがある。




















しばらくすると古い石垣があり、それを越えると狭い歩道らしきものがあった。


どうやら頂上の廃墟までたどり着けた。


ひと気はなく、寂れていて、椅子がひとつ置いてあった。


山の頂上、石段の上に座ってぼんやりと景色を眺めた。






島、道、ささやかな集落、海、登ってきた斜面、静寂、凪。


風が強くて海は荒れているけど、心の中は凪だ。




これまでいつも刺激を求めて生きてきて、でも実はずっと平穏に浸っていたいとどこかで望んでいて、その葛藤を見つめてきた。


心は凪だ。


望むものも、やりたいことも、きっと分かっている。

ありとあらゆる他の可能性が消えてしまうことが怖くて、どっちつかずに何かを選べずにいるんだ。




こんなにこの人生を生きてきて、それなりにやりたいことに打ち込んで、でもそれが俺の本当にやりたかったことかなんてわかるはずないし、誰かに決めつけられるものではない。


幸せだけど、幸せでいいのかな。


いろいろぼやける。


それもいい。


海が綺麗だ。




「青森から日本海側もくだろう。俺ずっと行ってないから、20代前半に旅してたあの頃の場所に連れて行きたいな。いつか一緒に大曲の花火を見ようよ。」



「大曲の花火?それってすごいの?」



「うん、大曲の町に信じられないほどマズい味噌ラーメン屋さんがあるからそこも行こうよ。」



2人で話しながらいつまでも海を眺めていた。






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