スポンサーリンク ペニーレーンは拓郎の曲だと思ってた 2017/2/18 2017/02/05~ イギリス③, ■彼女と世界二周目■ 2017年2月7日(火曜日)【イングランド】 リバプールブリテン島最終日。リバプールの廃墟が並ぶボロい路地裏で目を覚ました。パジャマのまま車の外に出ると、目の前にズタボロの廃墟があり、窓が全て割れ、ゴミが散乱してシャッターが閉まっている。ひと気はなく、車も走っていない寂れた路地裏。タバコに火をつけてそれを眺めながらぼんやりイギリス旅のことを回想した。12月1日から始まり、今日で2月7日。2ヶ月ちょっとか。早かったような長かったような。いや、やっぱり長かったかな。イギリスに期待しすぎて最初にレンタカーを3ヶ月借りたのが誤算で、路上はあんまり稼げないし、人との出会いも少ないし、物価はめっちゃ高い、さらにご飯は美味しくないっていう、旅するワクワクがめっちゃ少ないところだった。すごく住みやすいとは思う。治安もいいし、なんでも揃ってて快適だ。綺麗で歴史ある観光地もたくさんあるので、1ヶ月くらいとってのんびり回るってくらいがちょうどいいのかな。リバプールのビートルズ巡りのおかげで最終的にめっちゃいい思い出は作れたけど、他のところはまぁボンヤリした感じだ。リバプール、セブンシスターズ、ウィットビー、それにカンちゃんの美味しいご飯。これがイギリス旅の印象かな。まぁ、まだイギリスは終わりではない。明日リバプールからフェリーに乗ってアイルランド島にある北アイルランドへと向かう。ユナイテッドキングダムの4つの連合国の最後のひとつだ。そこで2泊してイギリスは終了となる。最後までこの国を知るために色んなものを見に行こう。朝、まずは大量のコインを持ってセントラルの郵便局へやってきた。ゆうべのうちに小袋に小分けしておいたコインを外貨両替窓口に出すと、おばさんはそれらをササっと計量器に乗せ、小袋の中のコインの枚数を検めることもなく、その重さで合計金額をはじき出し、なんともスムーズにアメリカドルに換金してくれた。めっちゃアッサリ。どうやって紙幣に両替しようかあんなに頭を悩ませていたのに、こんな簡単でお得な方法があったなんて。これでアフリカに向け、イギリスポンドは全てアメリカドルに姿を変えた。うー、ちょびっと実感わいたな。本当にアフリカに向かってんだよな。それから最後に少しだけ街を歩き、昼間のキャバーンクラブを見に行き、レンガの壁に刻まれたキャバーンクラブに出演したヒーローたちに挨拶をし、車に戻った。バイバイジョン!!昨日の中華料理屋さんで腹ごしらえしたら車を動かしてリバプールの郊外へと向かった。街路樹が並び、同じ形の家が続く、どこにでもある郊外の住宅地。いたって平凡なイギリスの風景。そんな住宅地の中、1本の通りにやってきた。細い道の両側にパラパラとお店が並び、あとは住宅があるだけのなんてことないただの通り。でも、本当はこの通りはただの通りではない。だって通りの名前がこれだもん。ビートルズの名曲、ペニーレーン。あの曲はポールがこの通りをモデルにして作ったもの。人々の何気ない日常をほのぼのと歌ったもので、世界中の人から愛される名曲だ。本当に別になんてことないただの住宅地の通りだけど、ここがそうなんだと思うと感慨深いなぁ。ここが歌の中に出てくる散髪屋さんか?んなわけないか。そして次がここ。ペニーレーンから車で数分走り、表通りから脇道に入っていくと木々が生い茂る荒地がある。その荒地の前にポツリと存在する赤い鉄の門。門の奥は木と草が生えているだけの藪になっており、どうやらこの門はずいぶん昔にその役割を終えたものだということがわかる。この門の奥にかつてあったもの。それはストロベリーフィールドという孤児院。そう、あのジョンレノンの名曲、ストロベリーフィールズのモデルだ。子供の頃のジョンは両親にほったらかされており、ミミ伯母さんに育てられたというのは有名な話。そんな暗い少年時代、ジョンは家の近くにあった孤児院のことをどう思っていたんだろう。あの曲のイントロ、朧げな空気を漂わせるメロトロン、そして独特なコード展開と意味深な歌詞。その不気味ともとれるアレンジが醸し出すのは、孤児院であるストロベリーフィールドの霧に包まれた姿。曲を聴きながら、この孤児院ってどんな場所なんだろうなってずっと想像していたけど、実際目の前にしてみてさらに物悲しいイメージが膨れ上がった。この赤い門の中、藪に覆われた敷地の向こうからジョンの声が聞こえてくるようだ。ストロベリーフィールズよ永遠に。ジョンレノンが幼少期に過ごした家はそのストロベリーフィールドから歩いて数分のところにあった。おおお…………ここに子供の頃のジョンレノンがいたのか……………現在この家はオノヨーコが買い取り、ナショナルトラストによって保護されているんだそうだ。ポールマッカートニーの幼少期の家もまた、ここからほど近い場所に残っている。見た目は本当になんていうことはない、どこにでもある古いアパート。しかしここにあのポールがいたのかと思うとそれだけで一大観光地だ。実際ジョンの家の前にもポールの家の前にも看板が出ており、中にも入れるようになっている。ただし入れるのはツアーの参加者のみ。リバプールにはマジカルミステリーツアーというビートルズゆかりの地を巡るバスツアーがあり、これに参加すれば昨日のビートルズ博物館もこれらのビートルズゆかりの地も綺麗に回ってくれるみたい。値段はわからないけど、もうこの名前だけで参加したいわそんなツアー。ポールマッカートニーの家まで回ったところでこれでリバプールのビートルズ巡りは終わり!!マジでビートルズ大満足!!他にもたくさんのゆかりの地はあるけども、キリがないし今日はまだやることがある。それは車の掃除。明日の朝イチ、北アイルランド行きのフェリーに乗る前にレンタカー会社に2ヶ月借りた車を返しに行くので、その前にある程度車の中を整理しておかないといけない。というわけでまずは洗車から。別に返した後にまたレンタカー会社が洗車するだろうからやる必要もないんだろうけど、汚れたまま返すのも失礼なのでこれはマナーということで。次に車内の清掃も。これこそ別費用で車内清掃の代金を取られるんだから思いっきり汚れたまんま返したところで文句言われるものじゃないんだけど、やっぱりマナーということで。こいつら汚く使いやがったな、なんて思われたくないし。次はガソリン。このレンタカー会社は満タン返しではなくて4分の1で返却してくださいという契約内容なのでそれ相応だけ給油。それから車の中の荷物の片付け。明日北アイルランドに渡ってしまえば、レンタカー暮らしともオサラバだ。車中泊用品を処分し、荷物を軽くしてバックパック旅に戻らないといけない。お世話になった道具たちに別れをつげてゴミ箱にさようならした。ピカピカになり、荷物も少なくなった車を見ると、やっぱり結構気持ちが切り替わる。もう車で快適に移動っていう旅ではなくなるので、宿もバスも電車も、毎日キチンと確保していかないといけない。大変ではあるけど、正直ワクワクしてくる。バッグパッカーらしい旅に戻るんだ。最後の車中泊の寝床を海沿いのパーキングに決めると、遅くなった夕日がとても綺麗だった。イギリス車中泊ご飯、最後は中華のお持ち帰り。2ヶ月以上も寝たこの車とも、今日が最後。布団にくるまり、カンちゃんと抱き合って横になる。あんまり激しく寝返りをうったりすると警報アラームがピーピー鳴ってしまうということに最初はだいぶ悩まされたけど、今はもう鳴らない程度の動きで寝返りもうてる。鍵を閉め、電気を消すと、外の外灯が淡く車内を照らしていた。