2017年1月15日(日曜日)
【スコットランド】 グラスゴー
久しぶりに人と会うぞおおおおおおおおおおお!!!!
このところずっと地味にど田舎をさまよっていたので、なんかめっちゃ緊張する!!!!
メールをくださったのは日本人女性のかたで、スコットランド人の旦那さんと小学生の息子さん2人というご家族。
ブログを読んでくださっており、グラスゴーに来られる際はご連絡くださいとメールをいただいていたんだけど、ついに今日お宅にお邪魔させていただく日が来た。
ぶ、無礼のないようちゃんとしないと!!!
う、ウンコ踏んでないかな!!!??
鼻がへし曲がるような臭いと顔してないかな!!!??
近ずくのも嫌なけがらわしいゴミが来たと思われないように持ってるマックス綺麗な服を着て身だしなみを整える!!
カンちゃんもお化粧してタヌキ顔に磨きをかける!!!
ここってちょっと考える!!
いつもの雰囲気で行くべきなのか、ちゃんと1番綺麗な服を着ていくべきなのか。
うわーめっちゃ気合い入れて来てるーって思われるのもなんかアレだし、だからといってこんな薄汚れた人を家に上げるの嫌だなって思わせてしまったら申し訳ない。
でもそんなふうなことを考えながら準備するのもまた楽しい!!
それにしてもこうしてブログの読者さんからお会いしませんか?っていうメールをいただくのは本当に本当にありがたいこと。
ありがたすぎて恐縮してしまう。
そして多くのかたにいつもご飯をご馳走になったり、差し入れをいただいています。
じゃあ俺はいつもそうした読者さんたちに甘えてタカリながら旅をしているのか?って、前回の一周中に結構悩んだことがあった。
色んな人たちに応援してもらって、助けられて、全然己の力で旅してねぇじゃねぇかって凹んだりもした。
でも今はそうは思わない。
純粋に、新しい出会いはとてもとても喜ばしいことだもん。
それをブログを読んでこんな俺に会いたいと思ってくださったかたからご連絡をいただけるってこんなに嬉しいことはない。
人から助けてもらうことに卑屈になってはいけないよな。
卑屈になってたら受けた恩を抱えきれずに次に渡すことができなくなってしまうから。
グラスゴー郊外の閑静な住宅街の中をゆっくりと進んでいき、教えていただいていたお宅に到着した。
「はじめましてー、うわー、ブログじゃなくて実物だー、カンちゃんも可愛いー!!」
ニッコニコの笑顔で迎えてくださったチエさんと旦那さんのスティーブンさん。
知的な雰囲気が漂うスコットランド紳士のスティーブンさん、そしてチエさんはオーバーオールにぱっつん前髪のすごく幼い雰囲気の可愛らしいかただった。
福岡のご出身らしく、こっちで大学を卒業したそうで、その在学中に旦那さんと出会ったみたい。
イギリスで大学を卒業なんてめっちゃ頭いいんだろうな。
お2人とも優しそうな雰囲気でホッと安心。
リビングに通していただくとテーブルの上にいきなり大きな世界地図が広げてあった。
おおお、こりゃわざわざ用意してくださっていたのかな。
「フミたちは世界を旅してるそうだね、チエさんから聞いてるよ。2人にとってどこが1番思い出深い場所だった?」
世界地図を前にスティーブンさんが興味深そうに聞いてきて、そこから自己紹介も兼ねたような旅の話を少し。
「僕はアナログな人間だからね。ブログとかもよくわからないんだけど、いつもどういったことを書くんだい?」
「旅の中の出来事です。朝起きて、どこどこのなになにっていう綺麗な景色を見て、現地の人と会ってこんな話をした、ってみんなにシェアするような感じです。今こうしてスティーブンさんとチエさんにお会いしたことも書いていいですか?」
「もちろんさ!!そしてそれを日本人が読むんだね!!面白いね!!」
神の食卓。
あまりの神聖な日本食の数々に邪悪なものはひぎゃああああ!!と消滅してしまいそうなほど。
「どうぞどうぞー、普段はイギリスのご飯しか作らないんですけど今日は日本食を作ってみました!こっちのお豆腐とかあんまり美味しくないんですけどねぇ。」
「チエさんはとても料理上手なんだよ!」
そうスティーブンさんが絶賛するチエさんのお料理はどれも本当に美味しかった。
優しい味つけで、家庭料理の暖かさにすごくホッとする。
みんなでご飯を食べているところにもう1人の息子であるジョンもやってきて、みんなでワイワイと食卓を囲み色んな話をした。
イギリスは同じヨーロッパでもドイツやオーストリアと違って飲酒運転にとても厳しいらしい。
ハーフパイントのビールだけでも捕まってしまうんだそうだ。
スコットランドの2大都市であるグラスゴーとエジンバラはよく大阪と京都に例えられるんだそう。
エジンバラはお城と旧市街が美しい歴史の町なので京都、そしてそこらへんの人が誰彼構わず話しかけてきてペチャクチャお喋りが大好きな人が多いグラスゴーが大阪なんだそうだ。
グラスゴー、それだけでめっちゃ楽しそうな印象。
そんなグラスゴーには有名なサッカーチームがふたつあって、スコットランド人はみんなサッカーに熱くなるとのこと。あのセルティックがそのひとつ。
なにやらひとつはカトリックのチーム、もうひとつがプロテスタントのチームらしく、お互いめっちゃ嫌い合っているんだそうだ。
だから試合の日は結構町も荒れるそう。
ちなみにロッドスチュワートも観客席で泣きながら応援してるらしい。
社会福祉に関しては北欧や一部の先進諸国と同じように教育、医療が無料。一部の大学も無料で、出産も無料。
ただ税金はもちろん高く、ある一定の収入までが20パーセントだけど、その収入ラインを超えると50パーセントになるんだそうだ。
多く稼いでる人が多く税金を納めて社会を支え、フラットに誰もが最低限の生活を送れるようにするって、資本主義と社会主義がうまくミックスされている。
ただイギリスはホームレスの物乞いめっちゃおるけど。
「じゃあこれも食べてくださいねー。」
もうすでにお腹いっぱいになりかけているところに登場したのは、なんとおでん!!!!
おでんとか大阪で花くじら行った以来やあああああああああああ!!!!!
天領うどんのスジと大根とキンチャクが好きいいいいいいいいいいい!!!!!
あまりの優しいダシと醤油の味にここがスコットランドだということを忘れてしまう!!!
「もしこれからイングランドに戻る間にお時間があったら私のオススメの場所に行ってみてくれませんか?すごくすごく可愛らしくて綺麗なところなの。」
なにやらエジンバラの南のあたりにロスリンチャペルという小さな教会があるらしく、それがチエさんのめっちゃくちゃオススメの場所なんだそう。
結構由緒正しい教会みたいで、エリザベス女王も訪れたりしてるんだとか。
「その教会にね色んな歴史のエピソードが書かれたりしてるんだけど、アメリカ大陸を発見したのってコロンブスでしょ?でも本当はその前にスコットランドの若者たちが船で大西洋を越えてアメリカにたどり着いてる記録があるの。そこでネイティヴアメリカンの人たちにご飯を食べさせてもらったりして冬を越して、そしてイギリスに帰ってきたそうなの。」
へー、そうなんだ、そんな隠れた歴史があったなんて全然知らなかったし、めっちゃロマンがあるなぁ。
するといきなりチエさんが泣き出した。
え!ええ?!
「なんかそれが金丸さんと重なるんです………世界中を旅して………人と出会って…………本当に素敵だなぁって思います。今私はそんな旅はできないですからね………」
い、いやぁ、僕の旅のことで何かを感じていただけて涙まで流してくれるなんて戸惑ってしまう。
俺はただ好きな旅をしてるだけ。やりたいことをやってきてるだけ。
でも、やっぱり旅っていいよなぁ。旅ってデカイよなぁ。
応援してくれてる人がいるんだもん。面白い旅をしてみんなに楽しんでもらえたらなぁ。
「ちょっと近くにオススメの場所があるんですけど、よかったらお出かけしませんか?すごく綺麗なところなんだけどガイドブックとかにも全然載ってない場所なんですよ。」
ご飯を終え、それから酔い覚ましも兼ねてみんなでお出かけすることに。
スティーブンさんの運転する車とチエさんの運転する車に分かれて乗り込み、住宅地を抜けて寂しい牧草地の中に入っていく。
どんよりとした曇り空とうねる牧草地の風景はいつものスコットランドらしいもので、その中の農道みたいな細い道をうねうねと進んでいく。
そしてしばらくすると遠くに風力発電の風車が見えてきた。
その風車に近づいていくに従って牧草地は原野に姿を変えていき、背の低い草が生い茂る荒涼とした台地になった。
「さぁ、着きました。ここから歩いていきましょう。」
車はその原野の真ん中にある駐車スペースに止まったんだけど、なんとも不思議な景観だった。
見渡す限りの原野の中におびただしい数の風車が乱立していた。
こんなに大量の風力発電の風車群、今までに見たことがあったかな?
しかもすごいのはこの風車群の中に遊歩道が伸びており、真下まで近づけるハイキングコースが整備されていること。
「この辺りはね、バードシューティングの場所としてすごく有名でね、世界中から鳥を撃ちに人がやってくるんだ。小さな鳥がこの草の中に生息してて、飛び立った瞬間を撃つんだよ。みんな大金を払ってそれを楽しんでるんだ。」
そんなスティーブンさんのお話を聞きながらみんなで遊歩道を歩いた。
子供たちはテンションが上がって元気に駆け回っており、チエさんがこっちに来なさいーと声をかけると、走ってきてチエさんにくっついて甘えている。
なんだかその光景が昔の自分に重なる。
俺も兄貴とふたり兄弟。こうして出かけた時には落ち着きなく兄貴と走り回っていたよな。
お母さんにくっついて甘えることも、もうこの年になればさすがにない。
それもちょっと寂しいことだけど。
遊歩道は結構奥まで続いており、ゆっくりとみんなでお話ししながら歩いた。
風車があちこちに散らばっており、真下まで来て見上げると、あまりの巨大さに遠近感がおかしくなってしまう。
ブーン、ブーーンと巨大な羽が回転し、遠ざかっては近づいてきて、風を切る音が低く聞こえてくる。
見渡す限りの広い空と原野、その中に無数の風車がたつ様子はまるで不思議な形の木々が生えているようだった。
めっちゃいい場所だったな。
家に帰り、お茶を飲み、スティーブンさんのリクエストでギターを持ってきて何曲か歌わせてもらい、そろそろおいとまさせていただく時間になった時、チエさんがプレゼントがあるんですと奥からあるものを持ってきてくれた。
それはこれ。
スリーピングピロー。
スリーピングピローっていったら飛行機に乗る時とかに首に装着するドーナツみたいなやつだよな?
チエさんが見せてくれたものはあのドーナツのやつとは全然違うネックウォーマーみたいな形のものだ。
実はチエさんからメールをいただいた時に、スリーピングピローの会社で働いてらっしゃるとは聞いていたんだけど、実際見てみるとすごくファッション性が高い。
マフラーみたいに首に巻きつけ、マジックテープで固定すると、中に入っている強化プラスチックの骨組みが肩と顔を絶妙なバネで支えてくれる仕組みになっている。
こりゃ確かに首が楽だー。
飛行機によく乗る人だったら、誰でもあの座席で眠りたい時の首のどうしようもない感じで困ったことがあるはず。
これが世界一周してるような旅人だったらウンザリするほど経験してるはず。
マジでウンザリするほど。
10時間20時間の長距離バス。
狭っ苦しくてリクライニングも倒れない。ていうか壊れてて倒れない。
根性で寝ようと思っても、頭を下げるしかないので首が痛くてしょうがない。
どうにか窓ガラスにくっつけて固定しようとしても、道が壊滅的にデコボコしてて飛び跳ねるたびに窓ガラスを頭突きでカチ割りそうになる。
それでも頑張って寝ようと頭を傾けて寝ていると、隣の知らないオッさんが鼻毛全開で目の前まで迫ってきて飛び起きる。
シートにゴキブリが巣食ってて蠢いてる。あ、それはどうにもならんか。
あの過酷な長距離移動のときに少しでも眠ることができたら、目的地に着いた時に少しは楽なんだろうけどなぁと、旅人みんな思うはず。
このタートルトラベルネックピローを開発したのは25歳の旅好きのスコットランド人の若者2人らしい。
さすがは旅好き。うまいところ突いてくる。
実際すでにアマゾンの売れ行きで1位になったりしてるらしい。
チエさんは今このタートルトラベルネックピローの会社で働いているんだけど、今回僕と会うということで、その開発者のお2人から、僕たちの情熱を伝えておいてくれ!!とお願いされているんだそうだ。
若者たちのそんな熱い話を聞いたらそりゃこっちも嬉しくなる。
いいなぁ、みんな頑張ってるんだよなぁ。
俺もたくさんの人に助けられてここまでやってこられている。
このブログに書くことが彼らにとって手助けになるかはわからないけど、これから実際に色んな場所で使わせてもらおう。
確かに首が楽だし、フリース素材だから寒いバスの中とかでも防寒になる。
なによりオシャレだし、洗濯もできる。
旅人たちに快適な移動時間の睡眠を!!
興味のあるかたはタートルトラベルネックピローで検索したらすぐに出てくると思うのでチェックしてみてください!!
「それじゃあ、今度はシチューを作りますから、こっちのご飯を食べながらまた旅の話聞かせてくださいね。運転気をつけて!」
スリーピングピローや色んなお土産をいただき、お世話になったチエさんのお宅を後にした。
チエさん、温かい日本食、本当にありがとうございました!!
スティーブンさん、ジョン、そして子供たち、また色んな話しましょう!!
寂しい毎日だったからめっちゃ元気出た。
俺たちの旅をこうして楽しみにしてくれてる人がいるんだから、もっともっと頑張らないと。
グータラしてないで色んなことをしていくぞ。
チエさん、誘ってくださって本当にありがとうございました!!