スポンサーリンク カンちゃんとハンバーガー 2016/11/12 2016/09/07~オーストリア②, ■彼女と世界二周目■ 2016年11月1日(火曜日)【オーストリア】 ゴーザウ ~ グムンデン ~ シュタイアーやったあああああああああああああああああ!!!!!!!嬉しすぎるううううううううううううう!!!!!!バードイシュルの大好きなハンバーガー屋さんに行けるううううううううううううううう!!!!!!!今日ようやくバードイシュルを通過するので、あのバーガーをお昼ご飯にガッツリ食べよう!!ということにしていた。俺よりもカンちゃんのほうが数日前から鼻息を荒くしていて、今日、バードイシュルが近づくに従ってどんどん助手席で落ち着きがなくなっていってる。「ハンバーガー………ブツブツ…………パラディソのやつ………………チリいっぱいかける……ブツブツ…………」というわけで美味しいバーガー思いっきりかじるぞーーーー!!!と大好きなバードイシュルに到着。町中の道も完全に把握しているのでサササッと走っていつものパーキングに車を止める。もはやカンちゃんの興奮が頂点に達してパグみたいな鼻息になってるので暴走して逃げ出さないよう捕まえながら、早速バーガー屋さんに向かう。いやー!何食べようかなー!!やっぱりパラディソかなー!!キノコが上手いんだよなーーー!!!!!不憫すぎる……………泣けるほど凹んでる………………インドでiPhone6スラれた時より落ち込んでるカンちゃん……………「はぁ……………なんかそんな気がしてたし…………これだけを楽しみに数日間生きてきたのに……………」糸の切れたマリオネットみたいに凹んでいるカンちゃん。そう、今日は11月1日。諸聖人の日という祝日で、人々はみんなお墓まいりに行ったり教会にミサに行ったりする宗教的な日。あの有名はハロウィンはこの諸聖人の日の前晩に行われる。でも盛り上がってるのはアメリカとかオーストラリアとかの新しい国となぜか日本くらいのもんで、ヨーロッパではお気持ち程度のカボチャの飾りつけがお店で売られているくらいだ。あくまで本番は諸聖人の日。ゆうべも仮装して騒いでるやつなんて誰もいなかった。そして今日はそんな祝日。町のお店は全てが閉まっており、静まり返っていた。懐かしいな、4年前もスロバキアの片田舎でこの諸聖人の日を過ごしたな……………っていうかその日に警察に捕まって強制退去くらったのか…………いやぁ、懐かしい……………でも!それも計算に入れてのこのバードイシュルだった。この町は観光地。おそらく祝日でもたくさんの観光客が町を歩くはずだと踏んでいたんだけど、これがドンピシャ。わんさかとまではいかないけど、結構平日並みくらいは人が歩いていた。よっしゃ!!!!「神田さん!!大好きなこの町の路上で歌わせていただきますよ!!」「はい………どうぞ…………ハンバーガー…………」「たくさん稼いで他のところで美味しいハンバーガー食べさせてあげるからね!!」「はい…………ありがとう………………パラディソ…………………パラディソオオオオ!!!!」発狂しているカンちゃんを連れてとりあえず警察署!!カウンターにやってきていつものお巡りさんに路上のライセンス、シクユロっす!!とパスポートを出して、代金の5ユーロも手に用意!!たくさん歌うぞーーー!!!!「今日は祝日だから路上はダメだよ。日曜祝日はナシ。」無言で車を走らせる2人。窓の外には美しい紅葉の風景。ぎゃあああああああああああああああああ!!!!!!「はぁ…………路上……………」「はぁ……………パラディソ………………」今日はもう路上はナシ!!なんもナシ!!とお休みモードで車を走らせる。いやぁ、でもこうして祝日にみんなが一斉に休んで町の機能が停止するっていうヨーロッパのサイクルが大好きなんだけどね。本当生活の中に心の余裕がある。日本だったら日曜とか祝日なんて戦争みたいに忙しいもんなぁ。こんなに町がゴーストタウンになるのって大晦日と正月くらいのもんだ。正月でも営業してるスーパーとかあるし。やがてグムンデンの町に入ってきた。墓場の前にはたくさんの車が止まって混雑しており、ここだけはすごい賑わいだ。が、もちろん墓地の前でなんて路上できるわけない。うーん………せっかくこんなに天気がいいのに歌えないなんてモヤモヤするなぁとハンドルを握っていると、グムンデンの町の中心部を通る時に、湖沿いの遊歩道にたくさんの人が歩いているのが見えた。あれ?あそこめっちゃ人おる!すぐにハンドルを切ってテキトーにパーキングに入れてギターを持って見に行ってみると、湖沿いの遊歩道をものすごくたくさんの人が歩いていた。おお!!すげぇ!!!めっちゃおるぞ!!!遊歩道の街路樹が紅葉に染まり、落ち葉が舞う道を家族連れや老夫婦がのんびりと歩いている。あちこちにあるベンチに腰かける人々。岸壁で白鳥にパンをあげてる人々。芝生を駆けまわる小さな子供たち。静かな湖はとても穏やかで、連なる山々が対岸にそびえていた。こいつは平和にもほどがあるシチュエーションだな。祝日を家族で過ごす人たちがこうしてのんびりと散歩しにきているんだ。誰もが穏やかな表情で、大事な人との時間を慈しんでいる。ヨーロッパはいいなぁ。休日返上。お邪魔にならないよう、むしろBGMとして雰囲気を演出できるように演奏しよう。最初はあまり喉の調子が良くなくて入りも微妙だったけど、すぐに声が出てき始めた。そうなると分かりやすいもんで人々は足を止めてくれ、常に人だかりが途絶えなくなる。順調に入り始めるチップ。やがて太陽が山の陰に隠れると、ウィンタータイムで長くなった夜が湖畔の町を覆い始める。よし、そろそろ終わろうかなと、夕闇が迫る遊歩道で最後の曲を終えてギターを置くと、時間はまだ17時前だった。え!まだ17時にもなってないのか?!そういえばまだたくさんの人が遊歩道を歩いている。で、でも、もうこんなに暗いし、もうすぐ夜の帳が湖を隠してしまう。暗くなるとそろそろ路上も切り上げかなという気持ちになってしまうけど、実際の時間はまだまだ早いんだから、これから頭切り替えていかないとな。今日のあがりは1時間半で150ユーロ。17100円。すっかり日が短くなり、17時半には真っ暗闇になってしまい、その中をヘッドライトをつけて走っていく。少し前まで白夜の世界にいたというのに、不思議なもんだ。地球はいつも通り、規則正しく回転して、いつもの季節を巡らせてくれている。こんなに大きな星なのに、毎年同じような気候で、同じように葉は色づいて、人は同じような服を着込む。北に住む人、南に住む人、赤道上に住む人、様々な暮らしがあり、数千年の培ってきた生き方の知恵がある。みんなみんな、この回り続ける地球の上に立っている。「はいカンちゃん、ここのハンバーガーでもいい?」「やったー!!ここのも好きー!!」シュタイアーでよく食べてたハンバーガー屋さんにやってきた。今夜はこのままバーガーを食べたらシュタイアーで寝るかな。この星がどんなとこなのか見たくて見たくてたまらなくて、家を飛び出した欲張りな2人。俺たち欲張りなのかな。今はカンちゃんがいればなんにもいらないかな。