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前世の記憶にある町

2016年11月2日(水曜日)
【オーストリア】 シュタイアー ~ シュピッツ








ガッツリ回ったチロルの山懐から抜け出し、この辺りまで戻ってくるともうシュピッツはすぐそこだ。


今日も出来ることなら路上をやりたいところだけど、残念ながら朝から天気が悪い。

どうにかスーパーマーケットバスキングでもやりたいけども、オーストリアのスーパーマーケットはどこもジプシーたちが陣取っているので無理。


おとなしくこのままシュピッツに向かうとしよう。


でも、ここはシュタイアー。

せっかく大好きな美味しいお店がたくさんあるこの町にいるんだから、おのお店に行かない手はない。


美味しい食べ物がある町はそれだけで行くのが楽しみになる。













ひとまずお店が開くまでまだ時間があるので、町中にあるスーパーマーケット、メルクーアへ。


このスーパー、路上パフォーマーにとってかなりありがたい存在。



すべてのメルクーアがそうではないんだけど、このスーパーは自動会計の機械を置いてるお店が多いので、1セントや2セントなんかの赤コインを思いっきり消費することができる。



この赤コイン、重いしかさばるし、なかなか使えないし、処理に困るんだよなぁ。


対人のレジではさすがに気まずくて赤コインで大量に支払い、というわけにはいかないけど、自動会計のマシーンならひたすら小さなコインを入れまくることができる。




おかげで持ってた赤コイン全部突っ込んでビールなんかの生活必需品を9ユーロ分くらいお買い物することができた。



銀行でまとめて両替すればいいんじゃないか?という話なんだけど、銀行の両替は2パーセントの手数料がかかるので、なんとか自力でこまめに両替していきたいところ。

この前、別の銀行でコインの換金手数料を尋ねてみたら3パーセントってところもあった。


ドイツに行ったら1発で全部無料で換金してもらえるんだけどなぁ。

















赤コインの処理が終わったら、さぁ飯食べるぞ!!!

やってきたのは大好きなケバブ屋、コロッセオ!!!!





もうここ異常!!!!!


まずケバブなんだけど、その場で生地から手ごねしてオーブンで焼いてくれて、アツアツほくほくの焼きたてパンで作ってくれる!!

ドゥルムも、もちもちしたピザ生地をその場で焼いて巻いてくれるのですごく美味しい。



他のケバブ屋は出来あいのテロンテロンした薄い生地が普通だし、パンも味気ない普通の市販のパンだ。


もうこれだけで感動モン。









さらには量もすごい。

よその店のデラックスサイズくらいのがコロッセオの普通サイズ。

1人じゃ食べきれないくらいの大きさのやつをドシンと手渡される。


ドゥルムにいたってはただの配管。



もちろん味もトップレベルに美味しい!!






そしてなにより値段が尋常じゃない!!!!


普通ドイツ、オーストリアのドネルケバブの相場は3.5ユーロ~4ユーロ。

4.2ユーロとかが普通で、高いところだと5ユーロなんて店もある。570円。


それで代わり映えしない味で、お腹いっぱいにならないサイズってのがいつものパターン。





それがコロッセオでは、もちもちの焼きたてパンでめっちゃ美味しくて、量もたらふく入ってて、なんと値段が2.5ユーロ。290円。


安すぎるうううううううう!!!!!!




こんなにこだわりの味でデラックスサイズで値段が他よりダントツ安いってどういうことなんだよ!!

そこに痺れる憧れるし!!!



おかげでお店には次から次へと若い男性客がひっきりなしにやってきてケバブを買っていく。

いやぁ、コロッセオ、まじでケバブ界の神だわ。
















というわけでビザ食べました。


美味しかったです。












コロッセオ最高やね!!ってカンちゃんと2人で大満足で車に乗り込み、雨の中アクセルをふかす。


今日は路上はなしなので、せっかくなのでやらないといけなかったお買い物に行くことにした。


このあたりで1番大きなサンクトペルテンの町に行き、大きなショッピングモールにやってきた。


ここでアクセサリーやカンちゃんの靴、その他もろもろの結婚式に必要だった物を買い揃えたら、これで当日に必要な物がほぼ全て手に入った。






6月に結婚式をやろうと決めてから早5ヶ月。

少しずつ準備を進めてきて、ようやくいろんな準備が整った。





でもまだ気がかりなことがある。


ていうかこんなことをこの時点で心配してたらいけないんだけど、式の後にパーティーをやるレストラン。

ここの責任者であるピーターさんとずっと連絡が取れていない。



チロルへの出発前に軽い打ち合わせをし、チロルに行ってる間もメールでやり取りして細かいところを決めていきましょうと話していたんだけど、いくらメールを送ってもピーターさんから返事がない。


4通メールを送っても一度も返事がなく、心配になってイングリッドおばちゃんにこのことを話したら、わざわざレストランに行ってくれた。


実際おばちゃんがレストランに行ったらピーターさんには会えたようで、フミとナオが心配してると伝えてもらったところ、ちゃんとピーターさんからメールはきた。


そこにはこんなメニュー表で考えてますよーってカッコいいカードの画像が添付されていたので、別にパーティーのことを忘れていたとか都合が悪くなったとかそういう状況ではないみたい。

やる気満々の様子。




でもそれに対してまたメールを送ると、返事がない。

おそらくセキュリティのブロックにひっかかっているんだろう。



とりあえず余裕をみて式の数日前にシュピッツに戻るようにはしてるので直接レストランに打ち合わせに行けばいいんだけど、これだけ連絡が取れてない状況はちょっと不安になる。

細かい注文に応えてもらえるだろうか。



まぁきっと大丈夫だろうけど。
ピーターさんはそんないい加減な人ではないと前に会った時の対応でわかっている。


















お買い物を終わらせ、ペルテンの町からクレムスへ向かう。


もうすっかり真っ暗になっており、ヘッドライトがアスファルトを照らし出す。


そうして雨の夜の田舎道を走っていくと、やがて谷の向こうに町あかりが見えてきた。


クレムスだ。






町に入る細い坂道を下っていく。

周りはどこまでも暗闇が広がっているばかりだけど、ここはすべてぶどう畑。

今は何も見えないけれど、11月に入ったバッハウはどんな景色になっているんだろう。



古びた住宅とワイナリーが点在する田舎道を走り過ぎていき、大きな橋を渡る。

あぁ、もはや懐かしい。夜の中に横たわる雄大なドナウ川が、クレムスの町あかりを受けてささやかにきらめいたいた。


もうここまで来るとカンちゃんのナビも必要ない。


走りなれた道をドナウ沿いにアクセルを踏む。





時の止まった小さな集落が散らばり、山の上にはライトアップされた古城の廃墟が夜空に浮かび上がっている。


チロルの山々の雄大さはないけれど、ドナウとそれに寄り添う人々の暮らしが飾りっ気なく営まれているバッハウの谷には、他の地域にはない特殊なノスタルジーがある。


こんなにも心が落ち着く場所は他にはない。










やがて最後のカーブを曲がったところで小さな古城が見えてきた。

シュピッツだ。

まるで実家に帰るかのようにウィンカーをつけて交差点を曲がり、山のほうへと登っていく。


すべての家々に見覚えがあり、あのカーブの先の様子を想像することができる。



たまに小さな子供が、まったく縁もゆかりもない知らないはずの異国の小さな町の風景を詳細に話しだすなんていう不思議なことがあるらしい。

タバコ屋の角を曲がると本屋さんがあって、その先の赤い屋根の家の犬はよく吠える、とかそんなことを。


生まれ変わる前の前世の記臆が残っているんじゃないかということらしいけど、そうなると前世の人が同じ国の人とは限らないよう。


この地球のどこかで生きた人たちが、またこの地球上に新しい人生を見つけて生きていく。


俺にはそんな記臆が残っているだろうか。

初めて訪れた場所なのに、まるで故郷のように心が安らぐ感覚。


誰も知らない町のはずなのに、忘れ物を取りに来たような、誰かとの約束を果たすために戻ってきたような、そんな感覚。






そんなのわかんないよな。

でももしかしたらこの地球上にそんな場所があるのかもしれない。


この世界には星の数ほどの町が存在していて、そのすべてを回ることなんてとてもできることじゃないけれど、もしそんな場所を見つけられたら何か不思議な光景に出会えたりするんじゃないだろうか。










坂道の向こうにイングリッドおばちゃんの家が見えてきた。




「フミー!ナオー!!帰ってきたねー!!レイモンドー!!帰って来たわよー!!」



家の前に着くと、おばちゃんとパパが玄関から出てきてくれた。

2人と思いっきりハグをすると、このシュピッツに帰って来たんだという実感がわいた。





もし、俺の記憶を来世の誰かに残せたら、その人は世界中の町のことを頭に浮かべられるかもしれない。

そしてその人がまた、不思議な邂逅を求めて見知らぬ土地を旅するかもしれない。





笑顔の2人に迎えられて家に入り、この夜は遅くまでお互いの1ヶ月半の話をした。

バッハウの谷は静寂におおわれ、動物たちも眠りについていた。

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