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二日酔いを優しく撫でてくれる景色

2016年10月30日(日曜日)
【オーストリア】 ドルンビルン ~ リーツ






ホテルのベッドにふたつの死体。




酒漬けの俺とカンちゃん。





うげぇぇぇえええ…………き、気持ち悪すぎる……………しんどすぎる…………………




2人ともひどい二日酔いでベッドから起き上がることができず、もぞもぞとのたうちまわるのみ。


は、早く起きないと豆澤さんがロビーにいるかもしれん……………







ううう………………ゆうべ後半になにがあったんだろう…………?




iPhoneの写真フォルダを見てみる。
















そっとホームボタンを押す…………












やっとのことでベッドから起き上がり、シャワー室の中で立ってられなくて座り込みながらシャワーを浴び、荷物をまとめてロビーに降りると、昼前の爽やかな日差しの中で爽やかこの上ない笑顔の豆澤さんがいた。




「おはようー。ゆうべ3時くらいに帰ってきたんやなぁ。」



「ま……豆澤さん…………なんともないんですか?………おぷ…………」



「ん?めっちゃスッキリしとるで。」




元気すぎる……………

タフなのも社長の条件なのかもしれんなぁ…………









というわけで超二日酔いの寝起きなのでものすごくさっぱりした物が食べたいので韓国料理店に来ました。






バカなのかな…………でもオキムスさん好きなんだもん……………







豆澤さんは爽やかに迎え酒。







「も、もう……………お、おさ………お酒を見るのも…………ししししんど…………おさ………おささ……おさおさ、オェエ!!!」



隣で丸顔で死んでいるカンちゃん。


私のお酒史上、歴史に残る二日酔いです…………と絶望的な顔でキムチチゲをすすってるこの子。

頭悪いのかな………





でも二日酔いでもオキムスさんは美味しかった。




「フミ、連れてきてくれてありがとうな、美味しかったわ。」



店を出てから豆澤さんが言う。

ご馳走になってるんだから感謝を伝えるのはこっちなのに、ありがとうと言う豆澤さん。



いつもそう。


豆澤さんはどんな小さなことだろうと、いつも相手にありがとうと感謝を伝える。


これほどの大社長。しかもご飯をご馳走している側なのに相手にありがとうと言う。


どんなに偉くなってもまわりへの感謝を忘れない人なんだなぁと尊敬の念しかない。

本当、素敵な人だ。

















電車の時間になり、駅に向かうと、すでに電車はホームに来ていた。


電車に乗り込む豆澤さんを、俺たちもホームから見送る。



「今回も楽しかったわ。またどっかでやろうな。ほんでコレ。結婚式出られへんでごめんな。ホンマにおめでとう。」



電車の中から豆澤さんが茶封筒を差し出してきた。

それを受け取るとドアが閉まり、出発の合図とともにゆっくりと走りだした。


電車が見えなくなり、渡された茶封筒を開けると、そこには日本のあの紅白のご祝儀袋が入っていた。


ひらがなで、おいわい、と書いている。


その飾らない豆澤さんの優しさがたまらなく嬉しかった。


素敵すぎるやろ…………しかも別れ際にサッと渡すなんて大人すぎるやろ…………




電車が見えなくなったホームからまだ動けない2人。




「カンちゃん、嬉しいね。たくさんの人におめでとうっていってもらえて俺たち幸せものやね。」



「う………うん……………私たち………しあわせも………の………ウップ………お、オェ…………」





か、カンちゃん大丈夫(´Д` )?


死にそうになってるカンちゃんの体を抱いてホームを出て車に戻った。




豆澤さん、お忙しいところこんな遠い田舎まで来ていただいて、何から何までお世話になって本当にありがとうございました!!!

超絶楽しかったです!!!!


ゆうべ2軒目のバーで言ってもらえた言葉、忘れないです。

面白いヤツでいること。

めっちゃ大事だと思います。



また遊んでください!!

ありがとうございました!!

















さぁ、豆澤さんに会えたことで、これでもう今回のチロル旅でやることはすべて終わった。


シュピッツに帰ろう。

帰ったら結婚式が待っている。



今日はもう2人とも死んでるからもちろん路上はなしで、のんびり走れるだけ走って疲れたらそこら辺で寝ることにしよう。



こっちに来るときはフェルトキルヒのほうの道でやってきたけど、帰りはブレゲンツからインスブルックに向かう道を走ることにした。

ちょっと山道が多そうだったけどこれが大正解で、今日の青空とあいまって最高のドライブだった。


















見渡す限りの草原の海が、青空の下に波打っている。

その中に散らばる可愛らしい民家たちはまるで小舟のようだ。


丘にある、誰にも座られないベンチ。

教会の鐘。


草原の波間をすり抜けてどこまでも走っていく。


















この辺りの地域は木造の建築物が多く、ヨーロッパらしい石造りの建物よりも日本的な木造建築が多い。

それがどこか懐かしさを覚えさせる。

ペンション、レストラン、民家、どれも木造の可愛らしい作りだ。



川には屋根つきの木造の橋がかかっており、日本の山里の風景を思い出す。


清冽な水が豊かに流れる川の上流には、雄大なチロルの山々がそびえている。

























ぐんぐんと坂道を登り、標高を上げていく。


















いびつなアルプスの山を借景に、空中にせり出した巨大なスロープの道があったりしてなかなかスリリングな道路だ。


周りはどこまでも山がそそり立ち、ちょうど真ん中で懐に抱かれているような感覚になる。














そうして走っていると、やがて坂が終わって平坦な道になった。


あたりは荒涼とした風景に変わり、黄金色の草原が広がる高地の景色になった。


岩山がそびえ、草原がのび、青空は吸い込まれそうに青い。


変な夢の中にいるかのような景色。
















そんな寂しげな風景の中に立ってみたくなって、横にあったパーキングに車を止めた。



「カンちゃん、歩ける?」



「うん…………多分…………うぅう、神田史上、最強の二日酔いだぁー…………」




少し散歩したら気分もマシになるよと手をつないで高原のあぜ道を歩いた。


冷たい風が吹き渡り、草むらをなでて青空へと消えていく。



こんなところを昔よく歩いた気がする。


宮崎は高原や牧場が多く、家族で遊びに行ったり、友達とドライブに行ったりしたもんだった。


高原の寂しげな風に吹かれるのがいつもすごく好きで、楽しい仲間たちといながらも、いつもあの丘の向こうにはどんなものがあるんだろうって想像を膨らませていた。



この風はどこから吹いてきて、どこに消えていくのか。


周りに何もないからこそ、風の行方に思いをはせることができる。



この風が吹き始めた丘はどこにあるだろう。









ふと振り返ると、目の前に湖があり、とても深い青だった。









まるで宇宙みたいに深淵で、そんな湖にうつる岩山のダイナミックさがたまらなく綺麗で、ずっとカンちゃんと立ち尽くしていた。


綺麗だな。



人生の中で目に焼きついていつまでも忘れられない一瞬ってのが頭の中にいくつも残っているけど、今こうしてカンちゃんと見る美しい景色たちもそうやって記憶の中に残っていってくれたらな。










































山を降り、それからもしばらく走って、テキトーな村で車を止めた。

まだ18時前なのにすでに周りは真っ暗闇に覆われている。


こんなに早く夜になってたっけか?




その理由はウィンタータイムだ。

なにやら今日からウィンタータイムというものが適用されたらしく、1時間、時計が進められたみたい。


要はサマータイムのオフシーズンってことなのかな。


昨日まで日没が18時半だったのが、17時半になってしまったというわけだ。






こんなに早く暗くなってしまうと時間の感覚が狂う。


日中の陽の出てる時間をもっと活用しましょうってことじゃなくて、日中をあえて短くしてしまうなんてどういうつもりなんだろう。



おかげでまだ18時前なのにすっかり夜遅い気分になってしまっている。

疲れ切ってるカンちゃんはすぐに布団にもぐりこんでしまった。






あぁ、またひとつ季節が変わる。


本格的なヨーロッパの冬が始まるんだな。

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