スポンサーリンク なんで物乞いの女の人って太った人が多いんだろう 2016/11/4 2016/09/07~オーストリア②, ■彼女と世界二周目■ 2016年10月24日(月曜日)【オーストリア】 ブレゲンツこの町、ジープスの数が尋常じゃない。まず駅前の大きな駐車場で目を覚まし、車を出ると、駐車場の中を新聞を持った男たちがウロウロしてる。車が駐車場に入ってきては寄っていき、強引に物乞いしている。駐車場でもやってんのかよ…………おかげで車の中で寝ているというのが彼らにバレてしまった。あんまり車中泊してるところは安全面から考えても見られたくないんだけどな。でもおかげでジープスたちも、あぁ、こいつらも苦労してんだな……みたいな感じで笑顔で手を上げてきた。よぉ同志、みたいな感じで。お前たちはこんな寒い中こんな小さな車で2人で寝て………チクショウ!この新聞であったまりやがれ!!って全然苦じゃないけどね。めっちゃ快適やし!!!さて、昨日ゆっくり休んで美味しい贅沢なご飯を食べたんだ。頑張って歌って取り返すぞ。平日の町にはなかなかの数の人が歩いており、ホコ天のショッピングストリートはフェルトキルヒよりも断然活気があった。ホコ天の真ん中にカフェがあり、大きくテラスが出ており、ちょうど人がたくさん行き交っている。よし、ここがベスポジかな。さっさと昼飯食べて路上を始めようとケバブ屋さんを探して歩くと、あっちにもこっちにも新聞を手に乗せたアラブ系の兄ちゃんたちがウロウロしている。マジでものすごい数だ。フェルトキルヒにはせいぜい2人しかいなかったのに、このブレゲンツには軽く20人くらいいる。そんなにいっぱいいたら客の取り合いになって稼げないんじゃないか?って思ってしまうけど、稼げるんだからみんなやってるんだ。実際言い寄られてつきまとわれていくらかのコインを渡してる人もいる。この新聞売りってどういうシステムなんだろ?彼らが持っている新聞はビッグイシューみたいなキチンとした支援冊子には見えない。ヨレて古びている。きっと誰も新聞なんか買わずにただお金をあげているだけなんだろう。それで新聞もヨレていっている。でもこんだけみんな新聞を持っているということは、きっとこれが何かしらの免罪符みたいな効力を持っているのかもしれない。新聞を販売する行為ならば物乞いには見なされません、みたいな。それにしてもすげぇ数だ……………この町の通行人、人っ子ひとり逃さないくらいの勢いだな……………まぁ、害はないだろうとケバブを食べて早速路上開始。うん、なかなか反応が弱い。コインは入るんだけど、足が止まらない。カフェの人たちもちょこちょことやってきてはチップを入れてくれるが、手ごたえが薄いままひと回し終了。うーん、ブレゲンツ、ちょっと微妙かな。ここは思い切って通りの真ん中に出てみようか。ちょっと道幅が広いので真ん中でやれば全体的にカバーできる。というわけで交差点の前の少し広いスペースがあるところで第2ラウンドを開始すると、急に反応が変わってみんなが足を止め始めた。場所ももちろん大事。でも声の調子もある。最初はまだ喉が慣れてないのでいい声が出てこないけど、ふた回し目あたりからいい声が伸びてくる。すると分かりやすく反応が変わるもんだ。そしてレスポンスが良くなればやってるこっちもノってくるのでさらにいいパフォーマンスができるようになる。通りの真ん中にたくさんの人が立ち止まってくれ、拍手が起こった。ここもいい町。フェルトキルヒのほうが俺的にはやりやすいけど、このブレゲンツもいい感じだ。聞いてくれてる人たちのためにいい歌を歌わないとと集中してギターを弾くんだけど……………そんなところにやってくるのがジープスたち。人だかりを作って稼いでいる俺の周りに5人くらいのジープスたちが集まってきて、ギターケースの中のお金をまじまじと数えるように覗き込んでくる。そして歌ってる俺の間近までやってきて、こいつ何やってるんだろう?みたいに無表情でじーっと見つめてくる。観客はだいたい3メートルくらい離れたところに円を描いて聴いてくれる。でも彼らは1メートルまで寄ってくる。やりづらくてしょうがない。そして観客が足を止めて歌を聴いてくれてると、すかさずジープスたちが寄っていってしつこく金を要求してお客さんを追い払ってしまう。この広いホコ天ならどこでもやる場所はあるのにわざわざ俺のところに集まってくるのは、このギター弾いてるやつに金をあげるような優しい人たちならそれに便乗して俺たちももらえるはずだという作戦だ。それは一理あるかもしれない。薔薇売りとかお菓子売りとか、物販系ならいい。雰囲気が良くなるパターンもあるし、お互い相乗効果を生むときもある。でも横柄な物乞いにしつこくつきまとわれたら歌が聞こえなくなる。せっかく楽しんでいただいてるのにぶち壊しだ。はぁ、と集中力が切れてギターを置く。するとそんな俺のことを目の前でじーっと見てくるジープスたち。道の真ん中でジープスたちに囲まれてる俺。立ってるだけなのに。すると太った若い女ジプシーが近づいてきて、横柄な顔して2ユーロくれよと言ってきた。おい、とりあえず痩せてから出直してこい。めっちゃ食べまくってんじゃねぇか。ダメだよと言ってもなかなか諦めなくてしつこく粘ってくる女ジプシー。すると横にいた兄ちゃんジプシーが、何か言ってその女を制した。何か言われて女ジプシーはフンッとそっぽを向いてのしのしと歩いて行った。その兄ちゃんは朝に駐車場で見たジプシーだった。あ、もしかしたら、こいつらも車の中で寝てるんだよ、とかって言ってくれたのか。その兄ちゃんは笑顔を見せて親指を立てて歩いて行った。きっと仲良くなったらみんないいやつなんだろうけどな。それからも歌い続け、今日のあがりは3時間半で267ユーロと2フラン。30500円。ふぅ、疲れた。お腹すいたな。この日はそれからピザを食べて車に戻ってビール飲みながら映画を見て眠った。明日は雨予報。降らなきゃいいなぁ。