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そう簡単にはいかないモロッコ

3月22日 金曜日
【モロッコ】 フェズ










連日ベッドの中で書き続けたことで、日記もだいぶ追いついてきた。


アプリもダウンロードして、iPhoneも元通りに近くなった。


心もだいぶ落ち着いた。

もう進めるぞ。









あとこの町でやることはただひとつ。

歌うこと。


この前マラケシュで歌った時は10分くらいで100ディルハム、1000円ゲットできた。

うまく警察に止められなければ、きっとそこそこ稼げるはず。



思いっきり歌ってやるぞ。









photo:03



この数日町を見て回って、歌う場所の目星はつけている。



ふたつあるオールドシティーを繋ぐ広い通り。

ここは終日たくさんの人が歩く。



photo:02



お気に入りのドーナツを買い、いつものカフェでコーヒーを飲み、


いざ路上開始。

photo:04
















高い壁が続く無機質な通りに歌声を響かせる。


いつもあんなに、チャイナ~!!とちょっかいを出してくるくせに、こうしてパフォーマンスをしているとなかなか寄ってこないモロッコ人。


しかし、1曲目が終わる頃には10人以上の人だかりができて、ギターケースにお金が入る。

いい調子だ。







しかしこの後だった。









学校帰りの小学生たちが、俺を見つけて叫びながら走ってきた。


歌ってる俺の周りを取り囲んでギャーギャー叫んでいる。



アジア人の路上シンガーと、地元の子供の触れ合い。
一見微笑ましい光景。

白人観光客が写真を撮っている。







しかし子供たちは歌など聞いていない。

チャイナ~!!とバカにする対象であるアジア人が路上で歌を歌ってるのだ。
おかしくてしょうがないんだろう。

叫びながらギターをジャカジャカ触ってくる。
演奏中なのに。







狂ったように叫び、飛び跳ねてるガキども。

興奮が絶頂に達した時、彼らが取る行動は…………







わかりますよね…………










略奪です…………










ギターケースに群がり、突き飛ばし、引っ張り合い、蹴り合い、奇声を発しながら地面を転げ回っている。








演奏を止めた。

photo:05















ガキどもが立ち上がった時、ギターケースに入っていた30ディルハムほどの小銭は跡形もなく消えていた。









悲しくて子供たちの顔を見る。

逃げないガキども。


みんな俺の周りを取り囲んで、物言わず俺の顔をジッと眺めている。


その目をひとつひとつ見回した。


こんな純粋な目をしてるのに。

いや、純粋だからできるのかな。







言葉は伝わらないけど、盗むことは相手を悲しませることなんだよと、目にメッセージをこめた。




すると数人のガキが、手の中の小銭を俺に返してきた。


もちろん全部には程遠い。


金を返しているやつの行動を見ながら、それでも手に小銭を握りしめてる奴がこの中にいる。



この一部始終を、子供の引率かお出迎えかの大人がずっと見ていた。


しかし彼らは怒るどころか、止めもしなかった。



そんなもんなんだな。

アッラーの教えなんてそんなもんだ。










ギターを抱えたまま歩いた。

後ろをゾロゾロとガキたちがついてくる。

もうどうだってよかった。



歩きながら歌った。

通りを抜け、門をくぐり、混雑する市場の中、歩きながら歌った。ひとりぼっちのハーメルンの笛吹き。





なんだなんだ?と見て行く人々。

だが反応は冷たい。




どうしたよ?
チャイナ~!!って絡んでこいよ。
ハッパハッパー、って声かけてこいよ。




ベビーカーを押している巨体の女の人にタックルされて吹っ飛んだ。











ぼーっと路上の脇で行き交う人々を見る。

みんなイスラム教徒。禁欲と戒律の信者たち。

純粋で、尊厳と尊敬を持ち合わせた人々。

悲しくて悲しくてしょうがなかった。
涙が流れそうになるのをこらえる。





ギターをしまった。


チューナーが盗まれていた。














宿にギターを置き、近くのマーケットの前に向かった。


フェズに着いた最初の夜、この辺りにいた屋台でソーセージのサンドを食べた。


あのおっちゃんは優しかった。

あそこで最後のご飯を食べたい。








しかしなかなか見つからない。同じようなソーセージの屋台がいくつも並んでいて、炭火の煙をあげている。


さっきから向こうで、モナミ!!モナミ!!とかって大声出してる奴がいるけど、完全無視。

たしかこの辺りにあったはずなんだけど………




「モナミ!!モナミ!!」



うるせーなぁ!!と叫んでいるオッサンの顔を見た。


あ!!このおっちゃんだ!!

photo:06






「タジンタジン!!モナミ!!」



そう言って抱きしめてくれた。
そして彼は前と同じように椅子を出してくれ、手早くサンドを作ってくれた。






かじりつく。

うまい。

夢中で頬張る俺の肩を抱いてくれるおっちゃん。


モナミがどういう意味かわからないけど、きっと俺の心を抱きしめてくれる言葉だったんだろうな。







食べ終わってお金を渡す。
すると金額を確認しないでポケットに入れたおっちゃん。

俺を信じてくれている。
そして、お前ならいくらでもいいよと言ってくれているようで涙が出そうになった。










ちくしょう、なんなんだよ。


飴とムチの振り幅がでかすぎるよ。



どうすりゃいいんだろ。

何を信じればいいんだよ。

ちくしょう。


明日はいいことあるかなぁ。

きっとあるよな。

だから進まんと。

きっといいことあるさ。


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