12月13日 木曜日
【ボスニアヘルツェゴビナ】サラエボ
今日こそモスタルに!!
世界遺産の美しいトルコ建築の町並みを見に行くんだ!!
と心に決めて眠りについたのに、朝6時に起きることができず、安い電車を逃してしまったので、もうモスタルに行くのはやめました。
やっぱり最初に逃してしまった時点で縁がなかったということにしたいです。
この世界一周で初めて世界遺産に行かなかった国ということになりますね、ボスニアヘルツェゴビナ。
あ、スロベニアでも行かなかったかな。
まぁ次のモンテネグロもないみたいだからね、何事もこだわらないよう柔軟に……気になるうううううううううう!!!!!
そんな最低58~最高89という低血圧の僕ですが、風邪も少し良くなってきたので路上に歌いに行きました。
天気がいい!!
青空に雪山の白がはえる。
あああああああああ、なんて観光日和なんだあああああ
モスタルううううう。
若干モヤモヤするが、もう考えたって仕方ない!!
路上の前にツェバピを食べに行きました。
宿のポーランドガールが教えてくれたボスニアヘルツェゴビナの名物です。
適当に見つけた地元の人で賑わう小さなお店。
5マルクのツェバピ、その正体は………!!
ひき肉を棒状にして焼いたもの、
タマネギのみじん切り、
それがパンに挟まってるだけ。
ちょーシンプル。
味が単調なのでそんなに美味しくはない。
5マルク。
そして路上開始。
喉はまだ痛いけど、治りかけの時に痛めつけたらパワーアップして復活するという持論があります。
サイヤ人の理論です。
瀕死から復活するとパワーアップするんです。
たーちゃんもですね。
漫画の読みすぎって言わないで!!(´Д` )
「この包茎、まだいやがったのか?」
あ、見つかってしまった。
初日に怒られた婦人警官だ。
ていうか他のお巡りさんは何にも言ってこないのに、この婦警さんだけが目の敵のように俺の路上を阻止してきやがる。
そんなにアジア人が嫌いか?
もしくはジープスが好きなのか?
「包茎、ダメだって言っただろうが?とっとと失せろ。」
だいたいこの町、監視カメラが多すぎ。
すごすご荷物を片づけていると、そのやり取りを見ていた若者が声をかけてきた。
歌を聞いてくれていた彼。
仲良くなってカフェへ。
地元の若者がのんびりしてるカフェで話が盛り上がる。
「俺はイスラムの家庭に生まれたんだけど、信仰はしていないよ。1日に5回も祈らないといけないなんて人生の時間がもったいないよ!!」
イスラムの家庭に生まれたからイスラムを信仰しなければいけない、というような厳しい宗教ではないんだな。
会計の時に普通にワリカンしようとしたのに彼、ハリスは君はゲストだから!!とおごってくれた。
彼にしても、この前の映画館に一緒に行った若者たちにしても、みんな俺に金を出させようとしない。
金目当てのタカリでなく俺に接してくれていることが単純に嬉しい。
平均月給2万5千円だというのに。
それから、ハリスのオススメの場所へ。
旧市街からわずか5分くらい、雪で滑る坂道を登っていくと、住宅地の斜面にかなり大きな墓地が広がった。
これはすべて紛争で死んだ人たちのもの。
俺の実家の近くにも戦争の墓場がある。
墓石には、二等兵、とかフィリピンで戦死、とかそういう文字が刻まれていて、いつもそこを通る時とても怖かった。
しかし、今眺めているこの紛争のお墓には恐ろしさはなく、ただ静かな悲しみだけが雪の下にうずくまっていた。
雪の美しさや、墓石の新しさが、清らかささえも連想させる。
ハリスが墓石に刻まれた文字を訳してくれた。
「彼は死んではいない。彼の魂は常にここにある。だから我々はいつも彼を感じることができるのだ。」
ハリスにアホみたいな質問をしてみた。
「なんでセルビア人はサラエボを包囲して虐殺を行ったの?」
「たぶん彼らはムスリムを根絶やしにしたかったんだよ。僕がセルビアに行って名前を言うだろ?そしたらみんな俺をバカにするんだ。ハリスというのはイスラムの名前だからね。」
そこからすぐ上に、小さな展望公園があった。
サラエボは周囲を山に囲まれた谷に形成されている。
真ん中を小さな川が流れ、密集する家々の中から寺院の塔がポツポツと突き出し、煙突からのぼるマキの煙が谷に充満して鼻をくすぐる。
夕日が沈み、谷が影に覆われようとしている。
「あの山にセルビア軍がいて、ライフルの狙撃をしたり大砲を撃ったりしていたんだ。」
彼は20歳。戦争経験者ではない。
しかしもちろん親や周りの大人から嫌という程いろんな話を聞かされていることだろう。
みな、射撃を恐れ家から出ず、暖房がないため靴や本を燃やして暖をとり、電気が遮断されていたのでロウソクの灯りで家族寄り添っていたという。
たまにやってくる食糧を積んだトラックに人々は群がり、パンひとつを奪い合っていた。
学校が地下にあったって、信じられないよ………
子供も狙撃されていたなんて信じられない。
子供が1000人も殺されたなんて聞きたくない。
第二次世界大戦中の話ではない。
日本がバブルで浮かれてる時代の話。
この文明化の時代に、いまだボスニアヘルツェゴビナにはムスリムとカトリックとセルビア正教会の3つの勢力があり、それぞれに政治面でもいがみあっているそうだ。
千年以上前から続く宗教対立は、現代も続いている。
すごいよ、隣に住んでたセルビア人の親友が戦争が始まったとたん、いきなりお前誰?お前はムスリムだから死ななければいけない、って言ってくるという状況が多発したそうだよ。
紛争が終わった6月は毎年雨がとても多いそう。
みんなそれを神の涙と呼ぶんだそうだ。
夕闇が迫るサラエボの町はとても綺麗だったよ。
冷たく沈んだ雪に、もう降らないであげてくれと言いたかった。
明日また会う約束をして別れ、俺はもう一度路上。
あああああああ、寒すぎるううううううううううう(´Д` )(´Д` )(´Д` )
指があああ
指があああ
痛すぎるーーーー!!!!
弦を押さえてる感覚がない。
音を頼りに弦を弾く。
声がうわずるが、それでも人々はお金を入れてくれる。
ほんといい町だなサラエボ。
この優しそうなおばさんも、おじさんも、俺と同い年の兄さんも、みんなビルが燃えたのを、路上に死体が転がったのを見てきたんだな。
あがりは93マルク。
「あ!日本人ですか?!」
日本語!!!!
目の前に立ってるちっちゃい女の子!!アジア人、小ちゃい!!
おー、サラエボにきて日本人との遭遇率高いな。
これはチョメチョメをしなさい、という神の思し召しなのですか?アッラー。
ご、ごめんなさい!!ムスリムの方たち!!二度とこんなゲスな冗談言いません!!!
話すと彼女も日本からロシアに船で渡り、シベリア鉄道でヨーロッパにやってきた口。数少ないロシア組だ。
しかもそこからウクライナやルーマニアなどの危険地域も通ってきたっていうからすごい。
小ちゃい女の子1人で回ってるってんだからやるね!!
そんなジュンナちゃんとお茶をすることに。
「行きたいところあるんですよー。歩き方に載ってるところなんです。」
歩き方?
なんだそれ?
あ!!地球の歩き方の略か!!?
すげー、そんなやっていうんだ。
みんな地球の歩き方って知ってる?
世界放浪ブログで地球の歩き方って知ってる?っていう質問自体、相当おかしな話だよな。
もう、あれ、なんでも書いてる本。
なんでも。
るるぶくらいなんでも書いてるガイドブックの各国版みたいなやつ。
地図から観光地から、バスや電車の時刻とか値段とかや、どこどこのカフェは日本人に人気があるとか、それぞれの由緒まで、もうなんでも書いてる辞書みたいな本。
だと思う。見たことないからわからんけど。
旅人の必携品だよね。
みんな必ず持ってる。
それに載ってる人気カフェへ。
スウィーツを食べる。
うわー、なんかオシャレ観光客みたいー。
パンツ40日以上洗ってないけどカフェでケーキ食べていいんですか?
金出してスウィーツ食べたの旅中で始めてかも。
それから、サラエボの地ビールであるサラエボなんとかのビール工場へ行くことに。
観光客っぽい!(^-^)/
ジュンナちゃんが不思議なことを聞いてきた。
「7~8分歩くんだけどいい?」
は?なんのこと?
意味がわからない。
どうやら他の旅人と合流して一緒に回ってる時、みんな7~8分歩くのもめんどくさがるんだそうだ。
意味がわからない(´Д` )
タクシーとか乗るってこと?(´Д` )
一瞬に工場に着き、併設してあるパブに入ると、もうそれはそれはオシャレで高級そうな雰囲気です。
雰囲気、ではなくて実際高級でした。
ビールの値段が町の酒場の倍します。
真ん中でなんかの撮影をやっていました。
バンドがボスニアヘルツェゴビナの言語で賑やかに演奏している。
バルカン半島に入ってからだけど、音楽が急に様変わりした。
マイナーコードのとても情熱的でエキゾチックなメロディ。
そしてみんな英語ではなくちゃんと母国語で歌っている。
トラディショナル、ではなく普通のポップスも母国語だ。
いまだにしっかりと伝統的な音楽が受け継がれているんだな。
これからまだ1年は旅するというジュンナちゃん。
危険なことはないの?と聞くと、ついこの前、ホステルの相部屋で鬱陶しい男が言い寄ってきて、ベッドまできて体を触られたそうだ。
そりゃあ同じ小さな部屋の中で年頃の男女が一緒に夜を過ごすんだ。
なんもないほうが奇跡だよな。
ていうか俺がホステルに泊まるのが今回が始めてだから知らないだけで、実際、ホステルでヤリまくってるのかもしれないよな。
そんなこと考えながらジュンナちゃんと別れ、宿に戻った。
談話室に入ると、昨日までの静かでゆったりとした雰囲気が一変、週末にむけて一気に宿泊客の数が増え、たくさんの旅人たちがビール片手に盛り上がっていた。
騒がしいなと思いつつ、すぐに自分の部屋へ。
あそこに混じるのは容易いけど、交流スイッチを入れるのがめんどくさい。
ホステルでは1人になれない。
やっぱりプライベートが少ないのは苦手だな。
部屋に入ると、同じ考えなのかポーランド人のアレクサンドラが1人でパソコンをいじっていた。
「喉が痛いの?だからいい加減私のノド飴を食べなさい。もう、サムライは強情なんだから。プンプン!」
か、可愛い(´Д` )
アレクサンドラ可愛い(´Д` )
談話室の連中はそれから外に飲みに出かけて行った。
電気を消して横になる。
横には手の届く位置にアレクサンドラのお人形みたいな寝顔。
なんもないのが奇跡だよな。
俺って紳士!!!
あ、普通か。
でも次の日、とんでもないことが…………
お楽しみに………