2005年 1月 【富良野新プリバイト】
★富良野市では百人一首がやたらと盛ん。
みんな子供のころから叩き込まれており、富良野人で弱い人はいないという。
内地と違うのは上の句を読まないところ。下の句を詠み、そのまま下の句が書いてる札をとるのだが、まず字がミミズののたくった様な字なので読めない。
★北海道のタクシーには冬料金なるものがある。2割増し。
★北海道は寒い時期になると凍らないガソリンになるんだそう。
ガソリン凍るて寒過ぎやろ。
★家で朝起きて寝ぼけながらシャワー浴びようとしたらシャワーのヘッドから氷柱が下がっていた。
やべぇ!!
蛇口をひねっても水が出ない!!
ホースを持っても固まったままで曲らない!!
急いで台所へ行き、お湯を沸かしてホースにちょっとずつかけていくと、しばらくしてやっと水が出てきた。
いやぁ、恐ろしい………
この日は−27℃を記録したらしい。
ちなみに冷蔵庫の冷凍室がだいたい−18℃。
冷凍庫の中より寒いとかやっぱ北海道すげえええ…………
★プールでプラトニックセックス読了。
小学生の頃に女の先生の髪型見て、ソバ!!ソバ!!ってふざけて言っててブッ叩かれたのを思い出した。
★富良野神社で『優しい時間の』撮影をやってたのでエキストラとして参加。
めっちゃ寒くてブルブル震えながら待ち続け、なんとか寺尾聡の真横に立つことができたので、こりゃ確実に映ったぜ!!!って宮崎のお父さんお母さんにもテレビ見てね!!って言ってワクワクしながらその後放送を見たら1ミリも映ってなくて終了。
★ボロボロの雑居ビルの中にあるスナック『啄木鳥』でライブ。
店の前に『金丸文武ライブ!』と書かれた看板が出してあってめっちゃ緊張。
冷えきった体を温めて5曲。
マスター久林さんのガットギターと尺八の先生の山中さんのコンビによる演奏や、来ていたお客さんたちの弾き語りも飛び出し大盛り上がりになった。
★夏に死にかけの初代ファントムでかろうじてやって来た秘湯、吹上温泉に行ってみた。
もはや夏の面影は何一つなくて、そそり立つエゾ松は雪をかぶりすぎて大きな白いお化けみたいになってる。
スコップを持って道を作りながら斜面を進んでいくと、真っ白な森の中に裸のチャレンジャーが数人いて温泉に入ってた。
脱衣所なんてないから持って来たビニール袋の中に服を入れて雪の上に放置。
こんな冷凍庫よりも寒い場所で丸裸になるなんてなかなか出来んぞ。
湯をかぶると2分で髪の毛がガキンガキンに凍って面白かった。
★道を作ってくれる除雪車。
こんなのが真横をゴーーーー!!って通っていくから結構怖い。
通った後はこんな感じで綺麗になる。
もうこんな雪道の運転も慣れたもん。
でも油断して強くブレーキ踏んだらスリップしてギャアアアアアアア!!って叫びながら360°横に回転。
ハァハァ………ガードレールからダイブするとこだった…………
マジでブレーキを早めにかけないといけないので雪道での油断は大敵。
★中田のおじさんとユウキと3人で初めて富良野の飲み屋街に飲みに行った。
おじさんお気に入りの居酒屋『ふきのとう』へ。
「文武。お前は固すぎるぞ。決めるときはキメる、そしてラフなとこはラフにいかんきゃな。」
そう言うおじさん、久しぶりに泥酔してふらふらになってた。
とまぁ、こんな感じで冬の富良野での生活にもだいぶ慣れ、バイト先でも馴染むことができて、同年代の友達と遊びに行くようになってきた1月。
ユウキが働いてる売店の女子メンバーとよく飲みに行くようになり、富良野で1番メジャーな居酒屋『赤ちょうちん』でみんなでワイワイとご飯を食べる。
ノリのいいみゆきさんは、さっきから見るも無残な変な顔をして写真を撮ったり、鼻の穴に500円玉をねじこんだりしてうんこうんこ!!と連呼している。
ドジなカミデさんはブラウスの胸元を気にしすぎ。
色っぽいシガさんはひたすら俺に飲まそうとしてくる。
みんな泥酔でカラオケに行くが、1時間たたずにすぐに帰ることになり、もはや嫁に行けない醜態をさらしているみゆきさんをなんとか家まで送り届けた。
歩くことも出来ないみゆきさんを俺とユウキで抱えながら歩いていると、ズルズルとコートからすり抜けて雪の中にドサリと埋もれる。
大人しくしてればいいが暴れるもんだから俺もユウキも叩かれまくりで、雪の中に引きずり込まれて、もうめちゃくちゃ。
やっとこさ玄関に入ると廊下にバターン!!と倒れ伏した。
「もう行こうや………ハァハァ………」
ホント、こうやって酔っ払って家に帰りつけず、外で寝てしまって凍死する人がたまにいるらしいけど、みゆきさん気をつけないとやばいよ。
もちろん次の日は5人とも全員ゲロ吐きまくりの二日酔い地獄。
お客さんの荷物持ちながらマジで吐きそうだった。
この売店メンバーとはよく遊ぶようになったし、ホテルの中には色んな部署に若い人がいるからどんどん友達が増えていった。
そうそう、最近はあの恐ろしい先輩、カオリさんにも怯えずに済むようになってきた。
「カオリさん、僕も千石食堂行ってるんですよ。」
「はぁ?何あんた千石行ってんの?フンッ!………………で、何食べるの。」
「ミソラーメンです。」
「馬鹿だねー!!あそこは塩がおいしいのにー!!……………ハッ!!は、早く仕事行きなさい!」
笑顔で楽しそうに話し出したかと思うと、すぐにいつもの冷たい顔になるのが面白い。
怖いけど、なんかちょっかい出したくなってくる。
美人な怖い先輩ってなんか魅力的だ。
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