こんにちは!神田です。
意外と先のスケジュールまで決まってるんねーって言われたりします、最近。
そうなんです。
最近はやっぱり飛行機とかフェリーのチケットなんかは事前に予約する方が安い場合が多くて、
早めに決めてしまった方がお得ってなっちゃうんですよね。
ひどい時は数倍値段が変わったりもします。
旅って明日どこに行こう!!??って感じがいいんじゃないの?て思われたりもするんですけど、なかなか現実難しかったりします。
旅の形も時代によってどんどん変わっていきますね。
おわり
2017年12月12日(火曜日)
【インド】 チェンナイ ~ 【シンガポール】
ダルマはインド人らしい。
あの丸くて赤くて、目がギョロっとしたやつ。
あれがインド人?
ダルマのモデルは達磨大師。
壁面九年で有名な仏教の僧だ。
禅の始祖であり、少林寺を作った人としても有名。
実はあの達磨大使は中国人ではない。
インドから遊歴の旅をして、海を越え、中国へ行ったれっきとしたインド人。
さらにあの達磨大使、なんとこのタミルの王子様だったらしい。
この前行ったカンチプラム出身みたい。
あの日本でどこでも見かけるダルマがタミル人だったとは…………
インドの中でも昔ながらの風習が残るタミルナード。
穏やかな南インドの風景が、今ではスッと心に馴染んでくるような気がする。
インドは汚い。とことん汚い。
でもそこにあるあらゆるものが美しいと思う。
伝統も、人の心も、風景も、全てが素朴なインドの故郷だ。
長いことお世話になった宿、SIUマンションをチェックアウトした。
最後の用事を済ませるために、宿に荷物を預かってもらい、手ぶらで出かけた。
いつものお気に入りの食堂でオニオンドーサを食べる。
パリパリの生地の中にみじん切りにした玉ねぎがたっぷり入っていて、甘みがとても美味しい。
取り放題のサンバルも嬉しいし、すっかりインドのご飯にも慣れたよなぁ。
オニオンドーサ、50ルピー、88円。
食後にはチャイが欲しくなる。
この1ヶ月、毎日3杯くらい飲んでたよなぁ。
インドチャイって日本で飲むと色んなスパイスが入ってるマサラチャイばかりだけど、実はインドでは人々はほとんどマサラチャイは飲まない。
普通のミルクティーだ。
入れすぎくらいの砂糖と濃厚な味がたまらなく美味しい。
インドは年中暑い国だけど、人々はみんな汗をかきながら道端でチャイを飲んでる。
さて、じゃあチャイ飲みましょう。
もちろんブハリで。
ここのチャイを飲まずしてインドを出るわけにはいかない。
うっま…………
なんなのこれ…………
マジビビる…………
ブハリのチャイ飲んだら他のチャイが物足りなくなります。
値段は30ルピー、52円。でも普通のチャイの倍くらいの量があるのでそんなに高くはないです。
それから携帯用パワーバンクを買いに、近くにある電気街にやってきた。
日本から持ってきたパワーバンクはもう電池が完全に死んでいて、アイフォン1回も満タンにできないような状態。
バッグの中でただの重りと化しているので、捨てて新しいの買おう。
宿の近くには秋葉原みたいな電気街があって、この一帯に小さな小さな電気関係の専門店がアリの巣みたいにひしめいている。
どこのお店も乱雑でボロボロで、整理なんて概念が1ミリも存在してないとこばかり。
パワーバンクありますか?とたずねると、棚の中をひっくり返して奥底から商品を取り出してきて、ブー!!っと息を吹きかける。
すると数年放置していたような埃がブワッと舞い上がる。
封をしてるものなんてほとんどなくて、本当に新品か?と怪しくてたまらない。
そんな中を何軒か回って調べると、だいたいどこも10000mahの容量のものが1300ルピーくらいってのが相場みたい。2300円。
日本とそんなに変わらん。いや、やっぱりこっちのほうが安いか。
10000mahならアイフォンを4回満タンくらいだ。
これからは毎日宿に泊まるし、そんだけあれば帰国まで大丈夫だろう。
ただどのパワーバンクも見たことも聞いたこともないような謎のメーカーのものばかり。
逆によくこんな色んなメーカーのもの取り揃えてますね?って感心するほど商品にまとまりがない。
違う店に行くたびにまた新しい謎のメーカー品が出てきて怪しいことこの上ない。
インドブランドのやつとか中国ブランドのやつがめっちゃ安くであるけど、多分ソッコーで壊れるのでこれはなし。
たまにソニーのパワーバンクを置いてるお店もあるんだけど、値段が3倍する。
4000ルピーとか。7000円。
さすがソニーはインドでは超一流ブランドだ。
結局色々迷ってこれに落ち着いた。
容量1万mahで1230ルピー、2160円。
コンパクトで軽くてめっちゃいい。
前のやつの半分くらいの重さ。
めっちゃ旅向き。
パワーバンクも年々進化してるんだろなぁ。
一応ヘルメットかぶりましょうの看板もあることはある。その後ろを2ケツノーヘルだけど。
それからモールに行って少しネット作業をしようとスターバックスをのぞいてみたら1番安いコーヒーが150ルピー、260円って書いてて、へー、そうなんだー、まぁ俺たちスタバとか全然アレやしー、って愕然としながら壁際のベンチに座る。
焦るー、やめてー、もうー。
町のコーヒー10ルピーだよ?17円。
でもそんなスタバの中には駐在さんっぽい日本人ビジネスマンが座って優雅にカフェラテかなんかを飲んでる。
インド人からしたら日本人の駐在さんはとてつもなく金持ちな人種なんだろうな。
そんな駐在さんを横目に見つつ、旅人はおとなしくベンチでネット作業。
するとそこにイングリッドおばちゃんからメールが来た。
あ、久しぶりだな。元気にしてるかな。
オーストリアは今ごろマイナス10℃とかの雪景色なんだろうな。
クリスマスカレンダーも、もう半分くらいの日付がめくられてるんだな。
メールには写真が添付してあった。
それを見てみて、笑顔になった。
イングリッドおばちゃんたちと池田さんたちやん…………
一緒に遊びに行ったんだ。
そして池田さんの家にいるということは池田さんのあの奇跡の日本食も食べただろうな。
嬉しくてiPhoneの画面を下げて上を見上げる。
大好きなあの2組の家族が仲良くしていることがたまらなく嬉しい。
あー、旅っていいなぁ。
もうこの旅も残りわずか。
最後までたくさんの人たちと出会えていけたらな。
宿に戻り、預けていた荷物を受け取った。
そのままケータイの充電をさせてもらっていると、頭にムスリムの帽子を乗せたレセプションのおじさんが下働きの若い兄ちゃんになにやら指示を出した。
すると兄ちゃんは奥に行って、チャイをふたつ持って戻ってきて俺たちに差し出した。
あ、ありがとうございますと言うと、ニコニコしているムスリムのおじさん。
インドには下働きの人がものすごく多い。
それは日本や他の先進国と違って人件費がめっちゃくちゃ安いから。
月5000円も払えばなんでもしてくれる人間を雇える。
なのでスーパーなんかに行っても、こんなに必要?ってくらい店員さんがひしめいてるし、食堂でも水汲みとかテーブルを片付けるためのスタッフさんがひしめいてる。
ちょっと上の立場の人は彼らに指示を出し大変な仕事をさせ、自分たちは楽な仕事をしている。
完全に分業制。
日本人だったら1人で1から10までやる仕事を、インドでは4人くらいに分業してやってる。
この前カデルとご飯を食べに行った時、食事を終えて外に出ると、お店の前に止めていた車の周りにバイクが止められていて車が出せなくなっていた。
なので俺がお店の前にいたスタッフさんにこのバイクをどかしてもらえませんか?とお願いしたところ、慌ててカデルがやってきて、その人に言っちゃダメだよと制された。
俺が声をかけたのは接客担当の立場のスタッフで、本当は駐車場の整理をするもっと立場の低いスタッフにお願いしないといけないみたいだった。
俺はなにも知らずに声をかけてしまったけど、インド的には、そんな立場の低い仕事を接客担当のスタッフに言うなんてなかなか失礼なことだったみたい。
接客担当のおじさんは鼻で笑って駐車場担当のおじさんスタッフに指示を出していた。
インドでは毎日、そういう下働きの人たちを見てきた。
アゴで使われてる彼らは、傭い主からもお客さんからもアレしろコレしろと言われていた。
本当に立場が低くて、下働きの人たちもそれを自覚しており、みんな一歩引いてかしずく。
彼らは俺たち客や傭い主に対して気安く話しかけてこない。
階級意識がものすごくハッキリと刷り込まれている。
人権がすごく平等なヨーロッパから来ると、これにすごく違和感がある。
そこまでしなくても、って思ってしまって、俺やカンちゃんがフレンドリーに彼らに話しかけたりいちいちお礼を言ったりすると、周りから白い目で見られるのを感じたもんだ。
なにをやってんだ?って感じで。
これがインドの仕組みなんだよな。
階級をはっきりさせることで上手く回ってるところもあるのかもしれない。
雇用も確保されている。
人権が平等だとか、そういうモラルは先進国特有のものなのかもなぁ。
チャイを持ってきてくれた兄ちゃんにお礼を言うと、兄ちゃんはドギマギと戸惑った表情をした。
そして恥ずかしそうに笑って仕事に戻っていった。
荷物を抱えて宿を出た。
すっかり暗くなったチェンナイの町はたぎるような活気に沸いている。
バイクとトゥクトゥクとバスと車と牛が洪水のように行き交っている。
向こう側ではまたなにも考えずに狭い道で車が追い越しをかけて糞づまりを起こし、とんでもないクラクションの嵐がおきている。
いつもと変わらない、いつものインドの光景。
そんな光景を眺めながら、インド最後のご飯を食べた。
大好きなゴビマンチョリアンと焼き飯とプーリ。
プーリでかっ!!
そしてゴビマンチョリアンがマジでスーパー美味い!!!!
ただの酢豚!!酢ゴビ!!
美味しい美味しい言いながら2人でパクパク食べてお腹いっぱいになった。
あー、大満足。
これでもうインドに思い残すことはない。
食堂を出たら空港に行くためにウーバーを呼んだ。
ウーバーで空港て。
タクシーで空港に行くなんて、旅人の風上にも置けないことだけど、めっちゃ安いんだから乗らない手はない。
荷物全持ちでここから超混み合うバスに飛び乗り他の乗客に迷惑な顔をされ、下手したら料金係りの人に荷物分の代金も払えと言われ、パーク駅に到着したらエレベーターなんかもちろんない階段を計20キロずつある荷物を全持ちで上り下りし、電車に乗って空港まで向かい、また階段を上り下りしてヒーヒー言ってターミナルまで汗流して歩く。
この1番しんどいのが60ルピー、105円。
さっきからしつこく声をかけてきているトゥクトゥクドライバーとクソ面倒くさい値段交渉をし、荷物を膝に抱えて狭い空間にギチギチに押し込まれ、排気ガスを吸いながら走り、クラクションの渦の中でイライラして、そんでやっと空港に着いたら渋滞していたからとか言って最初の倍の値段を言われて口論。
これが400ルピーくらい。700円。
荷物をトランクに積み、エアコンの効いた車内で快適ドライブのウーバー。ターミナルの目の前までつけてくれる。
これが260ルピー、450円。
迷う余地なし。
もはやインドの旅はウーバー無しでは考えられんな。
空港に到着し、少し多めにドライバーさんに料金を渡し、ターミナルの入り口に立ちはだかるゴリゴリの軍人さんにフライトチケットとパスポートを見せる。
インドの空港はチケットが入れないと中に入ることすらできない。
お見送りもできないなんて寂しいもんだ。
でもおかげでセキュリティーはそれなりにしっかりしてる。
チェックインを済ませ、イミグレーションカウンターへ。
ここでパスポートにスタンプを捺されたのがまるで2~3日前かのように思えるほど、1ヶ月はあっという間に経ってしまった。
マジで早ぇ。
インド1ヶ月だぞー!!って気合い入れてたのに、マジで一瞬で過ぎ去ったやん。
きっとそれは充実した日々だったからだと思う。
1日1日を惜しみながら過ごせたからだと思う。
俺なりに頑張ったこの1ヶ月。
思い返すとタミルの風景が頭に浮かぶ。
信じられないくらい色んなものが混ざり合った豊かなタミルの風が吹いてくる。
原野の向こうから、人々の暮らしの歌が聞こえてくる。
そんな風景に染みいるように頭にこびりついているラフマンの音楽。
タミルの偉大な作曲家であり、ピアニストであり、インドを代表するシンガーでもあるラフマン。
カデルの家で何度も何度もラフマンの音楽を聞いているうちに、俺もラフマンのことが大好きになった。
伝統的なインド音楽も作るし、カントリーとかブルースとかの西洋音楽も作るし、それのミックスも素晴らしい。
本当にオールマイティーな音楽家。
そんなラフマンはチェンナイに音楽の大学を作って後進の指導をする傍ら、貧しい子供たちに無償で音楽を教える活動をしているそう。
彼のような偉大な音楽家がそんな活動をされているということでさらに尊敬してしまう。
勝手に親近感が沸いている。
ケータイの中に保存しているラフマンの曲をかけて耳に当てる。
タミルの風が優しく包んでくれる。
なんでもいいんだよって、背中を押してくれる。
さぁ、次の国に行くぞ。
旅はまだ終わらない。
まだ見ぬ美しい何かを探しに行こう。
気持ちを切り替えて荷物をかつぐ。
よし!!いくぞ!!!
インド、ありがとう!!!!
そして次の瞬間、イミグレーションを越えて手荷物検査ゲートでX線にバッグを通したら、俺のバッグの中からワインオープナーが出てきた。
こいつはダメだよ、と真顔で言う検査官。
………………………
…………ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!
オーストリアのバートイシュルで買ったお気に入りのワインオープナアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!
ていうかハーモニカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!
ハーモニカ返せぶっ殺すぞコノヤロオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!
インド最初から最後までえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!
インド編!!完結!!!
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僕の考えに賛同していただき、リコーダーを託してくださったみなさん、本当に本当にありがとうございました。
当初の計画であった、ストリートチルドレンに音楽を教えて路上ライブで稼がせる、ということはできませんでしたが、今回の旅の中で4ヶ月インドに滞在し、子供たちに何ができるのかということ、それに対する僕の想い、いろんなことを自己確認することができました。
リコーダーを託してくださったみなさんの気持ちを無駄にせず、これからもインドの、そして世界の貧しい子供たちへの支援をしていきたいと思っております。
でも肩肘は張らずに。
気負いまくってたら子供たちへ無用な負担をかけるし、僕自身もたないです。
これまで僕を支えてくださったみなさん、応援してくださったみなさんに心からの感謝を送ります。
本当に本当にありがとうございます!!
旅ももう少し!!
最後までお付き合いいただけたら幸いです!!