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砂漠の中でパンク。それは男の株を上げる時



2017年4月30日(日曜日)
【ナミビア】 スワコプムンド ~ スケルトンコーストパーク





レンタカー周遊3日目。







今日も早めに起きて朝ご飯を食べたらすぐに宿を出発。


今日は長い運転になるぞー。



ナミビアには北から南まですごくたくさんの観光地が点在していて、めぼしい所だけでもレンタカーで全て回ろうと思ったら最低10日はかかる。


俺たちは当初の予定の6日を7日に延長したけど、それでも結構厳選してルートを組んでいる。

かなりギチギチだ。




そんな中でも特に楽しみにしている場所が3つある。


今日はその内のひとつに行くぞ。





















朝7時45分に宿をスタートしてまず向かったのはガソリンスタンド。

ナミビアの町にあるガソリンスタンドは24時間の場所が多いので助かる。




ウィントフックの空港から満タン状態で走り始めて今日が最初の給油だけど、1メモリ残した状態で満タン給油して、気になる値段は40リットルで454ドル。3760円。


アンリーデッド95ってのがレギュラーガソリンになるんだけど、これが1リットル11.5ドルってのが相場だ。95円。結構安い。




これを計算すると、



今回借りた小さなトヨタの車がエアコンをあまりかけずに走ってリッター18キロくらい走ってくれる。


満タン状態からだと850キロってところかな。




これだけ走ってくれたら給油しそびれてガス欠ってことはまずないと思うけど、基本ガソリンスタンドを見つけたらあんまり減ってなくても常に満タンにしておくのが賢明。




今日はスワコプムントから北に向けて走り、夜にまたスワコプムントに戻ってくるという往復の予定。


走行距離はおよそ650キロくらいになるので、2メモリ残しくらいで帰ってこられるかな。



完璧!!

















さてガソリンも満タンにしたところで気合いを入れてスワコプムントの町を出発。


市街地を抜けるとすぐに海沿いの砂漠地帯になり、一本道をひたすら北上していく。



制限速度は120キロだけど、120で走ってる俺たちをツアーのジープが160キロくらいでカッ飛んで抜かしていく。


すれ違う時になかなかの風圧がかかってハンドルが揺れるので注意しながらアクセルを踏む。














そうして40分くらいでまずは今日1発目のポイントに到着!!



それがこいつ!!!












ぬおう!!難破船すげええええええ!!!!




砂浜の波打ち際からすぐ目の前に、完全に座礁してしまっている大きな船!!!!


船体が折れ、錆びつき、無残に打ち上げられて波をかぶっている船がそのまんま放置されている!!!





荒れる海と曇天模様、不気味な光景なのに不思議なことにどこか美しく感じてしまうこの座礁船。


2008年に座礁した船らしく、つい最近のものだ。



文明や航海技術の発達した2000年に入ってもまだこんな事故が起こっているなんて不思議なことだけど、実はこのナミビア北部の海岸線はスケルトンコーストと呼ばれる船の墓場みたいなところ。


昔から船が座礁しまくっているらしく、それらの船が海岸線にいくつも骸骨みたいに散らばってるんだそう。





このスケルトンコーストこそ俺がレンタカー周遊でどうしても行きたかった3つの内のひとつ。



世界で最も恐ろしい海岸と呼ばれており、船だけじゃなく、かつての鉱山の掘削跡廃墟など、無数の残骸が取り残されているんだそう。


いやー!!まさに廃墟フェチにとって外すことのできない聖地!!!





本当のスケルトンコーストの入り口はまだかなり北部にあり、この難破船はまだほんの序章だ。



うー、楽しみすぎる。


今日は朽ちゆくものの悲しみと美しさを堪能するぞ。





















と、そんな黄泉の国に踏み込む前にほのぼのタイムいっときましょうか。







難破船から北上すること1時間くらいかな。



とある看板のところで脇道に入り先に進んでいくと、海沿いの寂しげな場所に小さなオフィスがポツリとたっている。


そこでこの場所のパーミッションをゲット。


1人80ドル、660円。車10ドル、85円。












そしてトコトコ奥地へと向かって進んでいくと、なにやら広場になっているところにうごめく生き物たちが……………


































めっさおる。



ビビるくらいおる。



これ全部オットセイ。



マジで子供の頃に大きな石ひっくり返した時のダンゴムシくらいおる。




「カンちゃんすげえええ!!!寝てる時のカンちゃんみたい!!」



「あんなお腹してないもん!!」











ここはケープクロスというオットセイの生息地。



多い時で20万頭がいるという場所で、とにかくめっさおる。



だが、この広場でゴロゴロしてるやつらなんてほんのほんの一部だった。


車を止めて奥の遊歩道みたいなところに入っていくともう半端じゃない。



















海岸ただのオットセイ祭り。


海の中もオットセイ祭り。


波でバッシャアアア!!なってヒャッホオオオイイ!!と浮かびまくってる。



かつての休憩所もオットセイに支配されてる。






「キエエエエエエエエエ!!!!!!」



「アンギャアアアアアアアアアイアアアアア!!!!!!」



「コンチクショオオオオオオオオ!!!」



オットセイたちがすっげぇ声で叫びまくってるんだけど、え!?今コンチクショウって言わんかった!?ってくらい人間のオッさんの声にしか聞こえん。



そして臭い!!!!








港町の岸壁とかで魚のキツい臭いがするところがあるけど、あれの3倍くらいの臭いが立ち込めていて、服にも臭いがつきそうなくらい!!



サケマダカアアアアアアアアアアア!!!!ってオッさんみたいな叫び声、臭いにおい、とんでもない数、でもみんなめっちゃ可愛い!!









丸々した動物が好きな俺からしたらたまらない光景です。


無防備にゴロンゴロン転がって気持ちよさそうに寝ていて、その周りをまだ毛の黒い子供オットセイがヨチヨチ歩き回ってお母さんのお腹のオッパイをチューチュー飲んでいる。



可愛いなぁ。


お腹なでたいなぁ。



オットセイ飼って、家に帰ったらソファーの上で寝てたら可愛いだろうなぁ。



うん、やめよう。臭すぎる。



































「オットセイじゃなくてカンちゃんのお腹なでなでしとくわー。」



「おばちゃんになってもおんなお腹にならないよう頑張る!!」




オットセイとカンちゃんのお腹でほのぼのさせてもらったところで、さぁ本番行くぞコノヤロウ。





ケープクロスを出てさらに北に走り続けていくと、どんどん雰囲気がそれっぽくなってくる。


周りには建物どころか植物すらマジでなにもなくなり、まさに不毛の大地とはこのことといった様相に。


こいつはマジであの世の入り口みたいな雰囲気だぞ…………








そんな無限の大地の中をどれくらい北上したか。




いきなり道路にこんなゲートが現れた。





あの世の入り口かロックが過ぎるライブハウスのエントランスくらいしかこんなデザインしないであろうゲート。


入ったらエレキギターで頭カチ割られて死にますよ?くらいの雰囲気プンプン。



スケルトンコーストパークやべえええ…………





ここでも車を止めてゲートの横にあるオフィスでパーミッションの取得。


値段はいつもの1人80ドル、660円。車10ドル、85円。


スケルトンコーストパークの入場は15時まで。










ちなみにオフィスのおばちゃんに聞きましたが、この海沿いの入り口から北部の別入り口であるパームワッグまで抜けることは可能です。


なのでルート的にはそのままナミビア北部にある少数民族観光の拠点であるオプウォの村まで抜けられることになります。



僕らはオプウォには行かないので今日はスケルトンコーストを行けるところまで行ってピストンでスワコプムントまで戻るぞ。

















ドクロのゲートを超えると、そこには何もない。






静寂。


昔ドラえもんの映画で地底に迷い込んだスネ夫が言ったセリフを覚えている。



静かだなぁ、耳が痛いくらいの静けさだ、って感じの言葉。


あれがぴったり来るほどの静けさ。



静かすぎて自分が立てる音すらも遠くから聞こえてくるようだ。







生き物の気配はなく、ただ静寂だけが砂をはらんで吹きすぎていく。


命の生存を許さない厳しい大地がどこまでも見渡す限りに広がっている。


















そんな中を車を走らせるんだけど、とにかく道が悪い!!!





ガタガタの洗濯板で、拳くらいの大きさの石もそこらじゅうに落ちている。


もし尖った石でも踏んでしまえば1発でバースト、タイヤをとられて砂利と砂でスリップして道を外れて砂にダイブ。


スタックして身動きとれなくなり砂漠の中で骸骨コースだ。



かなり集中して路面を見ながらハンドルを握る。


そのハンドルを握り手に汗がにじむ。
















やがて道沿いにポツリと看板が現れる。


どうやら見所のポイントにはちゃんと看板が出ているみたいだ。


ただ脇道もなかなか分かりづらいので、入っていく道を間違えると砂地で埋まってしまう。


四駆のタイヤ跡が所々についているので見間違わないように気をつけないと。







そうして海沿いに出て車を止め、砂浜に降りていくとまず最初のポイントが現れた。






うん、埋もれすぎて全然わからねぇ。




一応船の残骸なんだけど、ほとんど朽ちている。


数年前の写真ではもっと船の形が露出していたけど、どうやら年々こうやって埋もれていってるみたいだ。


ということはもっと昔に座礁した船たちがこの砂浜の下には眠ってるのかもしれないな。


船のどこかのパーツが錆びついて潮風にさらされていた。

























そして次に出てきた看板のほうに曲がっていくと、ここがヤバかった。



海沿いに砂がたまって切り離された水地、ラグーンが形成されていたんだけど、その水が驚くほど真っ赤だった。



なんだこれ!?













プランクトンかなんかの成分かわからないけどとにかく真っ赤で、そのラグーンに浮かぶ小さな陸地に十数羽の鳥がいた。



なんて光景だ。

まさに黄泉の国。



ラグーンは角度と距離によって色を変え、グラデーションをつけて空の青と一体になっており、あまりにも不気味な美しさをたたえていた。
















地面はどこもシャクシャクと音を立てる柔らかいもので、どうやらこれは一面に降り積もった鳥たちの糞のよう。


ここはあの小島にいる鳥たちの生息地らしい。


夥しい量の糞が一帯を覆い尽くしており、まるで人間が立ち入ってはいけないような雰囲気だ。














地面には鳥たちの屍が散らばっている。


真っ赤に染まる血の池にの中にも鳥たちの屍が沈んでいる。



すげすぎる…………ここはあの世とこの世の狭間か。



恐ろしいけど美しくて、そしてアーティスティック。


不思議な世界に迷い込んだような場所だった。


ここはめっちゃくちゃオススメだ。












風強すぎてカンちゃんの髪型が80年代。




















その後もただひたすらにガタガタのオフロードを走り続けた。


車体はガタガタ!!と揺れまくり、たまに砂と砂利でタイヤをとられて横にスライドして冷や汗をかく。



ふと顔を上げると変わらぬ青い空があり、遠くに絵画のような砂丘がのびている。


あまりにも集中して路面を見続けていたので、遠くを見ると視界がグワングワンと歪んで揺れ動いている。


こりゃ相当神経すり減るな…………






すると今度は目の前にかなり激しい砂嵐が現れた。









道路はその砂嵐の中に消えており、ここに突っ込んでいくしかないよう。


意を決して砂嵐に飲まれると、ガサガサ、ガサガサ!!と暴風で砂が車体に叩きつけて音をたてる。





周りは何も見えず、スピードを落としてゆっくりと進んだ。


もちろん窓は閉めているが、それでも砂が車内に入ってきてメーターのところやシートに積もってしまう。


こりゃ相当汚れてしまいそうだ。















終わりのなさそうな砂嵐の中を走っていく。



今がどんな場所なのかも全然わからない。



砂漠の中で遭難する人ってのは一体どんな気持ちなんだろう。


話では船がこのあたりの海岸に座礁して、運良く助かって陸地に降りることができたとしても、ひたすら続く砂漠の中を彷徨うことしかできずに結局は骸骨になってしまっていたそう。




死の香りがあたりに立ちこめている。


ガソリンはまだ半分以上ある。

大丈夫、遭難することはないはず。









その時、砂嵐の中にいきなり建物が見えた。




それは何かの採掘跡らしく、骨組みだけになった鉄の廃墟が砂の上に取り残されていた。




すげぇ………こいつもまたスケルトンコーストのモニュメントのひとつか…………


砂嵐の中で倒れることもできずにただゆっくりと朽ち果てるのを待つだけの鉄の塊。



降りて近くまで行ってみたかったけど、あまりにも砂嵐が激しくて車から出るのはやめておいた。

























しばらくしてようやく砂嵐を抜けホッとしていたら、左手にダイヤモンド鉱山の看板がたっていた。


あ、そういえばナミビアといえばダイヤモンドの産地だ。


こんなところで採掘をやってるんだな。




ちょっと気になったので近づいてみようかと思ったんだけど、入り口には立ち入り禁止の看板がある。


貴重な資源の採掘現場だ、きっと厳重なセキュリティになっているはず。




しかしどうも気になる。


こんなこの世の果てみたいな場所で秘密の採掘場なんて、まるでインディージョーンズみたいだ。




ちょっと離れたところから道をそれ、高台のほうに行って眺めてみた。


すると遠く遠く、向こうのほうに採掘場らしき建物が見えた。



あそこでダイヤモンドとってんだなぁ。すげぇなぁ。





この世から隔絶されたあの場所で働いている人たちは毎日どんな景色を眺めているんだろうな。









しかしここで元来た道に戻ろうとした時にちょっと焦ってしまった。


道がわからない。



道があまりにも周りの景色と同化したオフロードなので見分けがつかない。



広大な大地の中、完全に目印がなく、混乱してしまう。






あれ?こっちだったかな?と思ってそろそろ進んで行っていると、タイヤが若干沈んだ。



ヤバい!!



すぐにゆっくりとバックをして後ろに下がって事なきを得たけど、もし迂闊に進んでいたら完全にハマり込んでいた。



四駆なら問題ないだろうけど、普通の二駆で無理したら絶対にダメ。


道を戻り、ゆっくりとタイヤの踏み跡を探しながら走り、やっとこさ道路に出てくる事ができた。


ふぅううう…………ちょっと焦ったな。




















それからさらに1時間ほどか。


あたりの景色が砂だけの砂漠地帯から岩場のゴツゴツしたものに変わってきた。


一面どこまでも丸みを帯びた岩が広がる不思議な地形で、昨日行ったムーンランドスケープよりもこっちのほうがよっぽど月面ぽい。











そんな岩場を過ぎていくと海辺に出てきた。


砂漠しかなかった景色の中で海が見えると、閉塞感から解放されたようだった。


あんなに広大な景色だったのに、息苦しく感じるほどの険しさだ。









すると海沿いにいくつかの小さな建物が並んでいるのが見えた。




なんだこれ?


こんなところに町?んなわけない。




地図で見ると、驚いたことにどうやらこれはホテルらしい。


こんなところに!!?


こんな過酷な環境のど真ん中に泊まる!?



すげすぎる…………



確かに世界からは完全に孤立することはできそうだけど、あまりにも孤立してて心細くなりそうだよ。


この地の名前はテラベイというらしい。






















さて時計を見ると時間は14時半。


すでに6時間半も北に登ってきている。


もうこの辺りが限界かな。





現在のナミビアの日の入りは17時半。


暗くなる前にこの道が悪いスケルトンコーストから脱出しないとそれこそ事故の確率が上がってしまう。


そう考えるともう戻り始めないとヤバい。



この先にももしかしたらまだスケルトンコーストらしい残骸があるかもしれないけど、安全のためにもここら辺でUターンすることにした。










帰りは少し飛ばし気味にアクセルを踏んだ。


集中して路面を睨みつけ、大きな石を避け、砂地でハマらないよう気をつけ、80キロくらいで飛ばしていく。


スケルトンコーストに入ってから対向車は5台いたかな。


もう帰り道になってからは1台もいない。


ここで事故ったらシャレにならんぞ。











この帰りの道がかなり気が遠くなる道のりだったな。

思うようにスピードが出せないので距離が縮まらず、神経をすり減らしながらの2時間半。


やっと、やっとのことでゲートまで戻ってくることができた。





オフィスのおばちゃんがゲートを開けに出てきてくれる。




はぁあああああ…………しんどかったああああああ…………





「あら、タイヤがパンクしてるわよ。」




え!?うそ!?



慌てて外に降りて見てみると……………






思いっきりイっちまってるやん……………



ちょっと空気が抜けてるどころじゃなくてタイヤ全体に穴が開きまくってズタボロになってる。






ヤバかったあああああああああああ。



こんなタイヤの状態で80キロも出して走ってきてたのか。


スリップせんでよかった…………




「タイヤ交換に人手はいる?誰か呼ぼうか?」




おばちゃんが心配して言ってくれたけどタイヤ交換くらい1人でできる。


日本一周してる時に山の中の林道とかで何度もタイヤ交換してたので慣れたもんだ。







「フミ君がタイヤ交換できてよかったー。私絶対できないー。」



よっしゃ、カンちゃんにちょっとはいいとこ見せられたぞ。


















チャチャっとスペアタイヤに履き替えてすぐにスワコプムントへと走る。


もうこれ以上パンクすることはできないけど、スケルトンコーストを抜けたらこっから先はずっとアスファルトの舗装道だ。





あああああ!!!アスファルト最高おおおおおおお!!!!!


スピード出るうううううううう!!!!!



太陽が真っ赤に燃えながら水平線に沈んでいく中、アスファルトを駆け抜けた。

























スワコプムントの宿に戻ったのは19時半だった。


もうマジでヘトヘト…………………


今日11時間も走ってた……………



そしてその半分以上がガッタガタのオフロードとかなかなかの修行だよ……………




「フミ君ばっかり運転してくれてありがとう!!私なにもできなくてごめん!!」



「大丈夫だよー…………カンちゃんのオットセイみたいなお腹をなでなで………」



「オットセイちゃうし!!はいー、美味しいビール飲んでねー。」



宿のみんなにパンクした話をすると、大丈夫だったかい!?って心配してくれ、スタッフのベンがよく無事で帰ってきた!!と肩を抱いてくれた。














すぐにシャワーを浴びて砂けむりでガッシガシになった髪の毛を洗い、体を流し、キッチンでご飯を作って食べてビール。







はああああああ……………つ、疲れた……………




いやぁ、明日も朝から晩まで運転して夕方から砂丘登りか…………


軽く拷問やな…………






「あらー、彼はミュージシャンなのよー、ギター弾いてるんだから!」



すると後ろのほうで昨日晩ご飯をご一緒させていただいたマナミさんが宿のメンバーに何か言ってるのが聞こえる。






ま、まさか……………












するとベンがこっちにやってきた。






「さぁ、ギターを持ってこようか、セッションタイムの幕開けだぜ?」




やっぱり………………





「ちょ、あの、ぼ、僕今日、口からウンコ出るくらい疲れてて…………」



「俺はロックが好きなんだ。」




そ、そうですか、と思いながらもどうしてもギターを持ってこないといけない状況になり、ヘトヘトの体で車からギターを取ってくると、ベンがテラスに椅子を置いてちょっとしたオンステージみたいな状況に。


テラスには他のヨーロピアンのお客さんが10人くらい集まってて、このアジア人がどんな演奏をするのか待っている。



マジかと思いながらマナミさんを見るとニコニコしながらiPhoneを構えて撮影準備万端。




やるからにはちゃんとやらないと……………











1曲歌い終えた。





横でうなだれてるベン。





「………………………」



「あ、あのベン…………こんな感じだよ…………」



「…………ガッデム!!!!この野郎!!!てめーはなんてことしやがった!!なんでここに来た初日からギターを持ってこなかったんだ!!!2日も損しちまった!!!お前とセッションする時間をな!!!!」



「あの曲わかる!?あの曲やってよ!!」



「日本の曲もやってよ!!」




それから演奏大会が始まってしまい抜け出せない状況に発展。





まぁ………………いいか!!楽しいし!!


音楽やってるのはこういう時のためだよな!!




ああああああああああああ!!!!!!!みんなもスケルトンコーストパークに行くときは覚悟しましょおおおおおおおおおおお!!!!!!






レンタカー3日目、走行距離657キロ!!



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