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ドミトリーで欧米人女と対決

2017年2月9日(木曜日)
【北アイルランド】 ベルファスト




ドミトリーの中でカップルがひとつのベッドで一緒に寝てるのってどう思いますか?


僕はどうも思いません。

そして僕もカンちゃんと一緒に寝ます。



ドミトリーではカップルが一緒に寝てるのなんて日常的に見るし、なにも珍しいことではありません。

裸で寝てる欧米人男性とかもいるし、パンツ1枚でウロウロしてる人も普通だし、女の子もオッパイ出して着替えてたり、ブラジャーやパンツをベッドにかけて干してたりする。


それがドミトリーです。

プライバシーがない代わりに宿泊費が安いんです。


今これを書いてる宿でも隣のベッドでカップルが仲良く一緒に寝てます。



夜中に騒がれたり、隣のベッドでセックスされたりしたらさすがにムカつくし、みんなそれくらいのレベルになったら注意し合いますが、基本はみんな共同生活する仲間なので、挨拶をして仲良く過ごすことが大事です。

よほどのことがない限り、注意し合うことはないです。

ドミトリーに泊まるような旅人たちはみんなフレンドリーだし、その辺のこと分かってるのでみんなすぐに友達になれます。







そんで話は北アイルランドの宿なんだけど。


昨日の夜にベルファストに到着し、久しぶりに泊まった安宿。

俺たちは2段ベッドの下で一緒に寝てるんだけど、上のベッドのデブな女の人が夜中にボリボリボリボリとスナック菓子を食べてゴクゴクゴクゴクと炭酸飲料を飲んでいる。

ビニールの袋をガサゴソやるので寝静まった部屋の中だとなかなかうるさいけど、まぁその程度では別になにも言いません。


でもそんなおデブさんがこの夜俺たちにブチ切れて来ました。

その話は夜におきました。














朝、カンちゃんと2人で同じベッドで目を覚ました。

時計を見るとなんとすでに10時。


ぬおおおうう!!ゆうべ寝たの2時くらいだったけどまさかこんなに寝てしまうなんて!!


おかげでホテルについている無料の朝ごはんを逃してしまった。



俺はいつもホテルの朝ごはんは食べない。

安宿の朝ごはんなんてだいたいトーストとバナナと卵ひとつで終わりというショボいものなので、そんな味気ないもので腹を膨らませるくらいなら外で美味しいものを食べたほうがいい。


でも今泊まっているラガンバックパッカーズは、スタッフさんが注文を受けてからフルイングリッシュブレックファーストを作ってくれるという奇跡的な朝ごはんが出る。


無料でフルイングリッシュブレックファーストなんてマジで奇跡。

なのに寝坊でさようなら。


ぐううう!!!朝からめっちゃ損した気分!!!!




「おはよーフミ君…………むにゃむにゃ…………あへぇ!10時過ぎてる朝ごはん終わった!!悲しい!!」



カンちゃんも楽しみにしてたので残念そう。



まぁ移動日で疲れてたし、久しぶりのベッドだったので思いっきり寝られたんだから良しとして、明日ちゃんと食べることにしよう。


ベルファストの滞在は2泊のみ。

明日のお昼にはアイルランドのダブリンに向かうので、今日はのんびりベルファストの観光をしよう。












といってもベルファストに何があるのかなんて1ミリも知らない俺たち。

ネットで調べてみるとまず真っ先に出てきたのはタイタニック博物館というもの。

ベルファストの港にあるらしいんだけど、なんとあの有名なタイタニック号はこのベルファストの造船所で建設されたらしい。



当時、たくさんの移民が仕事を求めてヨーロッパからアメリカへと渡っていたらしいんだけど、飛行機なんてなかったのでみんな船で大西洋を渡っていた。

そんな中で誕生した世界最大の旅客船、タイタニック号。


映画でもおなじみのあの船は、1912年にイギリスのサザンプトンを出港。

その後北大西洋上で氷山に激突して沈没。新天地を求めていた1517人もの人たちが死んでしまった。



その沈没から100年が経ち、ベルファストにタイタニック博物館は作られたんだそう。


そこまで興味はないんだけど、はっきり言ってベルファストには他に見所はない。

せっかくだから行ってみようかなと思ったんだけど、入場料が15.5ポンドもする。

2人で4400円という安定のイギリス観光地の入場料の高さ。


2秒で却下。







他にはベルファスト市街地から出た海岸にあるジャイアンツコーズウェイという景勝地が見所らしい。


海岸に六角形の奇石群が広がる場所で、世界遺産にも登録されているという。

柱状節理の地形なのかな?


アイルランド島には3つしか世界遺産がなく、ここがそのひとつみたいなんだけど、車で1時間半くらいかかるみたいだし、レンタカーを返してしまった今の俺たちにはちょっと遠い。


うーん、他になにか見るとこないのかなぁ。











こりゃベルファストはただの町歩きで終わりかなぁと思っていたら、ひとつだけ気になるものを発見した。


それはピースウォールという場所。


なにやらベルファスト市街の西エリアにあるようなんだけど、それがどんな場所なのか、調べるほどにすごい事実がわかってきた。



国際情勢のニュースなんてまったく興味のなかった俺は、40年ほど前に北アイルランドで紛争が起こっていたこともなんとなくしか知らなかった。

IRAって聞いても、なんかどっかで聞いたことあるな?くらいのもん。


しかしベルファストに来てみて、その紛争の歴史は避けて通れないものだということがわかってきた。




かつて、イギリスの自治領だったアイルランド共和国がイギリス連邦から離脱したのが1949年のこと。

しかし、もともとブリテン島からの移民の多かった北アイルランド地域は、アイルランド共和国には加わらずにイギリス連邦に残り独立。

これによって、北アイルランドがアイルランド島の中でポツリと切り離されている現在の不思議な形が出来上がった。



そんな中、北アイルランドにおいてブリテン島からの移民によるプロテスタント側とアイルランド系のカトリック側とで対立が深まり、1960年代になってその抗争は過激化し、数多くの暴動が発生。


ユナイテッドキングダムに残るべきと主張する人たちと、アイルランドとして独立すべきだという人たちの争いが、この北アイルランドという小さく不安定な国を舞台にして繰り広げられた。


カトリック側はIRA、そしてプロテスタント側がUVFという義勇軍を作り、それぞれの地域に対するテロ行為を行い、3000人以上の死者を出したんだそう。


知らんかったなぁ………そんな歴史。






そんな対立も1990年代に入ってようやく落ち着き、今現在は治安も落ち着いて外国の企業が進出してきて経済的にも上向きになってきているとのことだけど、それでも2000年代に入ってからもテロは散発的に発生しているようで、そんな事件が未だ北アイルランドに対する人々の危険なイメージを拭えないでいる。


昨日町を歩いた限りではそんな治安の悪さなんて微塵も感じなかったのに。






そうした歴史を踏まえた上でのピースウォールなんだけど、これはカトリック系住民とプロテスタント系住民の居住区の間に作られた大きな壁のことだ。


今もベルファストの町の中にこの壁は残っており、バッツリと居住エリアを分断しているということ。

その総延長は20キロというから半端じゃない。


双方の住民が交流することはほぼないようで、まだ抗争が激しい頃はこの壁を超えた者は射殺されていたという話もある。




これまで世界中を旅してきて、イスラエル・パレスチナ、ベルリンの壁、南北キプロスの国境など、政治問題によって分断された地域はいくつか見てきたけど、まさかこの世界屈指の先進国であるイギリスにもこんな負の壁が存在するなんて驚きだった。


しかも今現在も続いている問題だというからその根深さは計り知れない。





というわけで、今日はその壁を見に行くことにした。


宿のスタッフたちに軽く挨拶して出発し、歩いて町の中心部へと向かった。





















宿の周りはなぜかオシャレなハンバーガー屋さんがひしめくハンバーガーストリートになっており、どのお店も美味しそうでたくさんの若者たちで賑わっている。

ベルファストはハンバーガーが有名な町なのか?ってくらいハンバーガー屋さんだらけ。


ちなみにゆうべの晩ご飯はここにあるビルドアバーガーってとこで食べたけどめっちゃ美味しかった。

豪華なバーガーと山盛りのポテトと缶ジュースのセットで5.75ポンド。810円。


まだ北アイルランドもイギリスなので物価は相変わらず高いけど、まぁ結構安いほうだ。


これからアイルランドに入ったらきっと物価も下がるだろうから、久しぶりに思いっきりケバブ食べたりしたいなぁ。


























20分ほどで町の中心部に着くんだけど、ベルファストの町はこれといって特徴のないどこにである都会の町だ。

古い石造りの建物が並び、路面に近代的なオシャレなお店が連なっている。

かろうじて中央にある市庁舎の豪壮な建物が目を引くくらいで、他は別に目を引くものもない。


たださすがに首都なので人通りも多く、活気はある。

























そんな中心市街地から西側に向かって歩いて行き、高速道路の立体交差点を過ぎていくと急に雰囲気が変わった。


なんだか陰鬱な空気が流れており、さっきまでの首都としての活気は影も形もなくなった。

なにやらいたるところに有刺鉄線やギザギザの鋭利なトゲがついた柵がある。


こりゃいきなりかよと思っていると、壁に巨大なグラフィティーが現れた。

アイルランドの国旗を持った兵士が戦火の中にいる絵。









その横には笑顔の子供の絵があり、色鮮やかにアイラブウェストベルファストとでかでかと描かれていた。

その絵の鮮やかでポップな雰囲気が逆にすごく不気味に思えた。



















そこからさらに西に歩き、裏路地に入ったところでなにやら大きなゲートらしきものがあった。




今はゲートは開いており、車も行き来しているが、明らかにこれは道路を閉鎖するためのものだ。

こんな市街地からすぐのところ、一般道に設置されている巨大なゲートがある異様さ。


そのゲートの上にはやはりギザギザの鋭利なトゲが侵入を拒むように空を向いている。





ゲートを超えるとすぐに目当てのものは現れた。








道路からせり上がるものすごく高い壁。

コンクリートの高い壁の上にトタンでカサ増ししてあり、さらにはその上に鉄のフェンスがせり上がり、相当な高さだ。


これほど異様な壁なのに、フェンスの向こうに見えるのはごく普通の民家の屋根。

まるでものすごく重要な施設を保護しているかのようなのに、そのいたって一般的な民家の屋根との対比がとても気味が悪い。


きっと投石なんかの被害をふせぐためにここまで高くしてるんだろう。









その壁はどこまでも続いていた。

見渡す限り道路沿いに壁がせりあがり、道路の反対側にもフェンスが続いている。


通行はできるけども、両側の住宅エリアの中には完全に入ることができない。












壁にはおびただしいペイントや落書きが隙間なく施されているんだけど、よく見るとこれは全て何がしかのメッセージのようだった。


壁を取り払おう、平和に向かおう、といったもので、多くのアート作品も混じっている。

それはパレスチナの壁、ベルリンの壁と同じく、まるで壁自体がひとつのアートのよう。


人間の心が生み出した、負のアート。




















マジでビビった。

こんな場所がこのイギリスにあったなんて。

この壁を越えると銃で撃たれていたなんて。

中の人たちが外の人たちといがみあい、憎しみあっているなんて。


その様子は本当にこの世の終わりみたいに暗く、絶望的だった。


















人の気配が微塵もしない壁際をしばらく歩いて行くと、やがてまた道路に設置された厳重なゲートがあった。




こうしたゲートは町のいたるところにあるようで、現在も夜10時になると閉鎖されて行き来はできなくというから恐ろしい。

まるで紛争は今も終わっていないかのようだ。






ゲートを越えて元の表通りに戻ってきたんだけど、そこもやはり異様な空気だ。


















鉄条網とフェンスで囲まれた子供たちの遊具場。

鉄の網で覆われたお店の窓。

ズタボロの廃墟や空き地。


なんだかここだけ東南アジアとかの途上国のように全てのものが荒れている。



そんな荒れた空き地の横には車の洗車場があり、中を覗くと男たちが数人でボロい小屋の中にいた。

きっとこれはいい仕事ではないだろう。


今もこの北アイルランドでは少数派のカトリック住民に対する職業差別が存在しており、彼らはきつい肉体労働なんかの仕事にしか就けない人が多いという。


寒い風が吹きすさぶ中、洗車場の男たちは火をおこしたドラム缶を囲んで暖を取っていた。













荒れ果てた町を歩きながらこれまで2ヶ月とちょっと旅したイギリスのことを思った。

世界屈指の大都会であるロンドンから始まり、スコットランド、ウェールズと、ぐるっと色んなところを回ってきた。


どの町にもなんでも手に入る大きなスーパーマーケットがあり、設備の充実した公共施設があり、町は人が溢れ、物で溢れ、ワイファイは飛び交い、なに不自由なく過ごしてきた。

旅の刺激においては残念ながらワクワクさせてくれるものではなかったけど、これほどまでに何にも困らず快適に日々を送れる国が今まであっただろうか。


それこそがまさしく世界に冠たる大国家の先進性だったのか。


いや、きっと国家の先進性とはそれだけではないよな。


俺たちは旅行者として過ごしただけで、この国の社会保障の仕組みも知らないし、町角でたくさん見てきたホームレスの人たちへの援助も知らない。


きっと小さなひずみはいたるところに存在している。


そして最後にこの北アイルランド問題という特大のひずみを目の前にして、この大国のおとす影の濃さを見たようだった。


プロテスタントの人たちはこの地を放棄してブリテン島に戻ろうとはしない。

カトリックの人たちもアイルランドに戻ろうとはしない。

お互いに母体になる国が目の前にあるというのに、ここで争い、そして壁で隔ててまでここに暮らしている。


そしてこれは単純な宗教問題でもなく、とても複雑なもの。



イギリス、色々考えさせられたな。

国ってなんなんだろうな。




荒れたウェストベルファストから歩いていき、町を囲う高速道路の立体交差点を越えると、そこは首都らしい活気に溢れる都会に変わる。

たくさんの人が行き交い、オシャレでモダンなお店が連なり、流行りの音楽が流れている。


そんな町を歩いて宿へ戻った。





























宿のキッチンでボロネーゼスパゲッティを作って食べ、フレンドリーな旅人たちとお喋りしながらビールを飲み、部屋に入った。


ここのドミトリーにはベッドごとにカーテンがついているので寝姿を見られることがないので快適だ。

ボロいカーテンだけど、これがあるだけでずいぶん気持ちが違う。



ベッドの中でカンちゃんと2人でパソコンに入っている映画を見ながらのんびりと過ごす。


いやぁ、毎日シャワーを浴びられるし、トイレの心配もしなくていいし、寝ながらワイファイも繋げられるし、宿ってなんて便利なんだろ!!ってカンちゃんもご機嫌だ。

ドライヤーとコテが毎日使えるってのも女の子にとってはすごく大きいことみたい。




そうして快適にベッドで過ごしていると、つい夜中の2時くらいまで夜更かししてしまった。

明日は移動日なのでそろそろ寝ようとカンちゃんは布団に潜り込み、俺はもう少し起きて日記を書くことにした。











それからすぐくらいに事件は起きた。


すでに部屋の電気は消えており真っ暗。

ここは6人ドミトリーで、俺たちの他に3人の男女がそれぞれ泊まっている。


隣のベッドのコロンビア人の女の子はとてもフレンドリー。

みんないつも夜は静かにするようつとめてくれるマナーのあるやつらだ。1人を除いて。






そんな静かな部屋の中にドカドカと足音を鳴らしながら入ってきたのは俺たちの上のベッドで寝てるデブの女。


昨日と同じく遠慮のない様子でガタガタ音を立てている。


まぁこれくらいなら別に注意することもないんだけど…………ていうか注意されたのは俺たちのほうだった。


いきなりめっちゃデカイ声が部屋に響いた。



「おいコラ、何一緒に寝てるんだよ?ああ?ファッキンジャパニーズが、ファッキン今すぐ移動しやがれ。自分のベッドに行けや?一緒に寝たいならプライベートルームに泊まれよ。」



突然めっちゃデカイ声でケンカ腰で言われ、驚いてカーテンを開けるとでっぷりした体型の女がケータイのライトでこっちを照らしている。


デカさでいったら渡辺直美くらいの感じ。


お、おう…………怖いよ…………




「ルールを知らねぇのかコノヤロウ?ファッキン早く動けや?」



「ちょ、言いたいことはわかったからもうちょっと静かに話しなよ。何時だと思ってんだよ。」



「うるせぇ。早くファッキン移動しろや。」



「ごめんごめん、そんなルールがあるなんて知らなかったから。」



「ったく、ここはサマーキャンプじゃねぇんだぞ?」



サマーキャンプじゃねぇんだぞって言われた時はマジでこの魔人ブウに元気玉食らわしてやろうかなって思ったけど、ルームメイトが俺たちが一緒に寝ることで気分を害するんなら移動するのはもちろん構わない。


布団から出て言われた通り俺がもうひとつのベッドに移動した。





でもなんだか釈然としない。

ていうかムカムカしてきた。


注意するにしてもそんなファッキンファッキン連呼してケンカ売るような言い方で言わなくてもいいだろう。

だいたいこの魔人ブウは宿のスタッフじゃないし、一緒に寝たらいけないなんてルール聞いたことない。

こんな欧米人宿だったら普通にみんなやってることだ。


カンちゃんもいきなりあんなこと言われてビクビク怯えてるし、昨日夜中にお菓子をボリボリボリボリ食べてたこととか色々重なってとりあえずこの魔人ブウ、焼肉にして戸村のタレをつけて美味しくしてやろうか?


他のベッドの2人はこれだけの騒ぎなので完全に起きてるはずなのに、ピクリとも動かずに完全に寝たフリ態勢に突入して様子をうかがってる。

夜中にこんなことになって申し訳ないなぁ。








まぁなんとか怒りを鎮めよう。

そして寝よう。

寝てしまえば明日には気持ちも楽になるだろう。



うん、そうしよう。













ボリボリボリボリボリボリボリボリ……………








暗闇に響くスナック菓子の音。


今から食うのかよこの魔人ブウ………………

どういう神経してんだよ……………











ボリボリボリボリボリボリ………………



プシュッ!!






プシュッじゃねぇよ………………

炭酸飲むなよ…………








それからもガサゴソとずっと荷物をいじったりなんかしてて一向に寝静まらない魔人ブウ。

ケンカ腰でこられたことでどんどんムカムカが膨らんでいく。



ふぅ…………落ち着け…………

落ち着け文武…………


こんなことよくあったじゃないか。


南米の宿では横の二段ベッドの上でアルゼンチン人が毎日セックスしてて顔の上に布団が降ってきたこともあったじゃないか。

朝の4時に泥酔したやつらが帰ってきて電気つけてバカ騒ぎしてマリファナ吸いながらボブマーリー歌い出して、ガソリンを床にこぼして犬が床にウンコして生理の血がついたパンツが落ちてて、うわぁ楽しい………………


そうそう、あんな宿に比べたらこの魔人ブウの音なんて全然気にならないよ…………



うん、寝よう。

心頭滅却して眠ってしまおう…………







その瞬間、二段ベッドに登ろうとした魔人ブウがハシゴで足を滑らせて体勢を崩してカーテンをつかみ、天井に取り付けてあったカーテンレールをバキバキバキ!!と根こそぎへし折って落とし、ロッカーに体当たりしてズガン!!ゴガガン!!!と1人で部屋を破壊し始めた。







プッツン。





「おいコラ魔人ブウ、ファッキン静かにしやがれ。ここはサマーキャンプじゃねぇぞ。」



「あああん!?てめーは黙ってろ。お前は喋るな。喋るな。」



もぎ取ったカーテンレールを手を持って睨みつけてくる魔人ブウ。普通に超怖い。





いやぁ…………ひどい夜だった…………

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