2006年9月30日 【三重県】
夕方18時。
松坂にあるライブハウス『ロケットバー』に到着した。
日の短くなった秋の空はすでに真っ暗だ。
今日が関西でのラストライブ。
俺をあの怪物、遠藤ミチロウさんに引き合わせてくれた大事な盟友、剛兵太さん、そしていとこのトシタカ君。
この前バーベキューをやった4人でライブをやろう!!と盛り上がり、剛さんがセッティングしてくれたのだ。
まずは剛さんたちと軽くリハをし、それから3人で隣の中華料理屋に腹ごしらえに。
「俺、今日封印破るでなー。殺されへんやろうか……………」
この中華料理屋の店員さんは中国人。
剛さんが封印を解くのは過激な彼の曲の中でも1、2を争うエグさの『昭和の生き残り』。
あまりの過激さに歌の途中でお客さんたちが耳をふさいだり、ゾロゾロ帰りだすという恐怖の歌だ。
差別用語のオンパレードで確かに在日外国人に殺されかねん内容。
ライブ中に火炎瓶とか放り込まれんやろか……………
遅れてやってきたサツキちゃん、マサミツ君のコンビもリハをすませ、開場の21時になった。
ヒッピー赤塚さん、食堂『じんな』メンバーも駆けつけてくれ、イスが足りずに床に座る人もいる中、念願だった剛さんとの対バンライブが始まった。
いやー、最高だった。
最高に楽しい時間だった。
緊張感もありながら、リラックスして思いっきり歌えたし、剛さんの禁断の曲でも火炎瓶を投げ込まれることはなかった。
いやぁ、エグい曲だったわ……………
さすが剛さん。
もうみんな最高!!
知らない土地でこんなに大勢の友達が出来るなんて。
また絶対このメンバーでライブやろうな!!
翌日。
「行くぞー!!」
「おー!!」
三重県での最終日に今日のドライブを企画してくれたじんなママとじんなの従業員の牧野おばちゃん、そしてママの長女のカナちゃんの女性3人で車に乗り込んだ。
仕事で忙しいのにたまのプライベートでこんな遊びに連れてってくれるなんて本当ありがたい。
ママ、いつもありがとうございます。
おばちゃんたちの楽しいお話で盛り上がりながら快調に山の中を走っていく。
毎日忙しくてろくに遠出してないというママに楽しんでもらうため、俺も前もってある酒蔵に見学を入れておいた。
伊賀上野にある『るみ子の酒』の森喜酒造場だ。
「あー、どうもー。お待ちしておりましたー。」
奥から出てきたのはエプロン姿の笑顔の素敵な小柄な女性。
彼女が現在の日本酒業界で最も注目されている女性、るみ子さんだ。
マンガ『夏子の酒』を見て気合いが入り、蔵の酒質を上げるため一念発起。
子供を背中に背負った姿で観評会や蔵見学に足しげく通い、勉強しまくって少しずつ酒質を向上させ、やがて全国でも一目置かれる実力をつけたころには、るみ子の酒のボトルラベルは『夏子の酒』の作者である尾瀬あきらさんによる、るみ子さんの絵がプリントされていた。
どんな女性かお会いしたかったのだがまさかご本人に案内していただけるなんて。
日曜でお忙しい中なのにこうして一般の見学を受けてくれるなんて噂とおりの情熱家だ。
さてそんな蔵の中なんだけど、もうボ……………いや年季入りまくり。
黒くくすんだ土壁に入り組んだ太い梁、和釜に船、オール麹蓋と、およそ近代的な機械はほとんどない。
1番びびったのは打栓機。
マジでこれ使ってビンの蓋はめてるんだもん。
昔ながらっていうより博物館レベルだよ。
「子供みたいなもんですからね。なるべく手を触れて造りたいやないですか。自分の子供はほったらかしですけどねー。はははー。」
そんな等身大のるみ子さんに和みつつ、試飲。
うおー!!
うめー!!
なんだこりゃ!!
無濾過生原あらばしりは、米の味がフワッと口に広がるが生特有のいやらしいさがまったく鼻にこない。
とてもバランスがいい。
青森の『初駒』以来の感動だ。
みんなでたくさん買わせていただいて蔵を後にした。
るみ子の酒、マジでおいしい!!
それから伊賀の伝統料理の豆腐田楽を食べ、最後にボーリングなんてハッピーな遊びに行くことに。
ボーリングってたまにすると結構面白いよな。
いつもはおしとやかな牧野さんがいきなり豹変してカーブをかけまくってる腰使いには驚かされたな。
おばさんって何でボーリングの時、ハイタッチするんだろう。
身長142センチののカナちゃんはさっきからガーターにしかならなくていじけている。
久しぶりに和やかな時間を過ごせた。
じんなファミリーのみんな、ありがとうございました!!
また唐揚げ食べに行きます!!!
それまでどうかお元気で!!!
みんなと別れて向かったのは鈴鹿のヒッピー赤塚さんの家。
お香を焚いた部屋にはオーガニックでスピリチュアルなグッズがたくさん並んでいた。
子供のころ遊んだなぁってオモチャなんかもあり、やってみると意外な発見があるから面白い。
テレビにはレイブというヒッピーイベントで大人気のワイルドマーマレードというグループのDVDが流れている。
ドラムにパーカッションにディジュリドゥという呪文のような音に合わせて、みんな大地の葉っぱを吸う。
赤塚さんはよく関西のレイブに遊びに行っては一晩中太鼓を叩いたり踊り狂っているようだ。
レイブ、いつか1回行ってみたいな。
それから昨日、赤塚さんと一緒にライブに来てた女の子と3人で居酒屋へ行った。
モデル並みにスタイルがよくて女子アナ並みにかわいいエリさん。
ドキッとしてしまった。
部屋に戻り、ピストルズの『ロックンロールスウィンドル』を観る。
気持ち悪い映像にムネヤケ起こしながらいつの間にか眠っていた。
翌日。
最近ライブとかで忙しかったので、今日はたまりにたまった用事をすましていく。
デジカメの写真をCD-Rに落とし、車のオイル交換をして、CDの発送をして、1月の到着ライブの企画書の発送をして……………
遠い場所からライブを企画するのは大変なもんだ。
もちろん宮崎にたくさんの協力者がいるからこそ出来ること。
夕方には滋賀県の甲賀に向かい、懐メロ喫茶『竹の音』に行き、新たに50枚のCDを受け取り、店を後にする。
ルーシーさん、竹マスター、甲賀に拠点ができたおかげでこれだけ関西のライブが充実したものになりました。
感謝!!
今夜は山口さん赤塚さんとご飯を食べに行くことになったので、もう一度鈴鹿に戻る。
そしてみんなでコンビニに集合し、喋っているところだった。
ケータイが鳴った。
メールだ。
画面を見てテンションが爆上がりした。
「G出版、個人出版にお問い合わせいただき誠にありがとうございます………………」
きたああああああああああああああああ!!!!!
うわっ!!
返事きちゃった!!
なになに!!なんて書いてるの!?!?
「編集担当をしております金田です。これからは私になんなりとご質問下さい。4年4ヵ月の旅の日記、大変興味深いです。拝見せずとも旅のロマンを感じます。一度東京の本社にて、是非お話をしてみたいです。」
ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
おいおいおいおい!!
これってヤベエんじゃねぇぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
企画出版でいけるんじゃねぇぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!
おっしゃああああああ!!!
どんなもんじゃああああああああ!!!!
山口さんも赤塚さんも大喜びで、いける!!いけるよー!!とコンビニの駐車場で大騒ぎ。
「よし!!俺明日東京に走ります!!!」
「ビビンなよ!!ブチかましてこいよ!!」
「すごいやん!!よーし、文武、目の前で歌ったれ!!話の前に1曲聴いてください、ジャーン!!みたいに!!」
「あの…………すみません、ちょっと静かにしていただけますか……………?」
あまりの大騒ぎにコンビニの店員さんが出てきた。
山口さんと赤塚さんヒートアップ。
「なんやねーん!!今いいところなんや!!」
「わかったわかった。静かにすればええんやろ。」
「あーあと……………うちはお買い物のお客様以外の駐車は……………」
「あー?俺さっきようけ酒買うたやんけー!!」
「なんやお前?それが客に対する態度か?」
「あーえー、警察呼ばせてもらいますーのでー、はいー……………」
「おー!!呼んだれや!!はよ呼べ!!」
5分くらいでお巡りさんがやってきた。
「あのー、この人たちがからんでくるものでー……………」
「なんやと、お前ー!!ホンマやったろか!!」
「あー、このような感じでー、話にならなくてー……………」
「このガキ!!」
「まぁまぁ、おさえておさえて。」
乱闘寸前になって警察になだめられて俺たちも場所を変えることに。
うん、普通に駐車場で騒いでた俺たちが悪い。
でもテンション上がらずにはいられん連絡だったんだよ、店員さんごめん。
とにかく明日は東京に乗りこむぞ!!
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