2006年8月3日 【滋賀県】
山口さんの車の中で2時間ほど眠ってから亀山の駅に送ってもらった。
始発に乗って滋賀の甲南に着いたのは8時。
疲れ切った体に、北海道みやげも入った重いバッグが食いこむ。
連日の寝不足で意識が朦朧として、倒れこむように駅のベンチに横になった。
目が覚めると、電車待ちの人たちに周りを囲まれていた。
そんな人たちの真ん中で、ベンチの上であられもない姿をさらしている俺。
お、おお、めっちゃ人いるやん。
でもお遍路でこんなの慣れっこだからなんとも思わない。
いや慣れたらダメやけども。
時間を見ると9時半だった。
あぶねーあぶねー。
今日は10時から懐メロ喫茶『竹の音』でレコーディングの最終作業が入っている。
新しいCDを作るかどうかについてはだいぶ迷っていたんだけど、結局作る気になって、お遍路の後にすぐ竹の音でレコーディングをしている。
『ビールとタバコ』、『神社』、『Singin’ to the rainbow』の3曲を録ったんだけど、俺が北海道に行っている間にマスターの竹さんがドラムとピアノとパーカッションを入れてくれる手はずになっている。
荷物をかつぎあげ、竹の音まで歩いていき、マスターにお土産の白い恋人を渡して早速作業開始だ。
音源を聞かせてもらうと、俺が伝えていたイメージ通りにいい感じにパーカス、ピアノを入れてくれていたマスター。
うん!!さすが!!!
今日はまず俺のパートの納得いかない部分をチャチャッと録りなおし、あとはミキシング・マスタリングだ。
各パートの音のバランス、エフェクトの深さを確認・調整していく。
これが大事なんだよな。
マスターがやっといてあげるよと言ってくれていたんだけど、どうしても俺もマスタリングに立ちあいたかった。
任せっきりだとエンジニアの好みの音になってしまう。
俺はなるべくニール・ヤングやジェームス・テイラーみたいな土臭い素朴な感じにしたい。
竹マスターはウクレレとか癒し系音楽が好きな方。
ちゃんと意向を伝えながら進めていく。
そしてジャケットの作成も一緒に仕上げていく。
手伝いに来てくれているカンさんに注文を出しながら、昼すぎごろにジャケ完成。
いい感じだ。
しかしマスタリングがなかなかスムーズにいかず、お互い譲らず頑固にやっていたらいつの間にか18時になっていた。
竹マスターが歯医者に行くので、俺もその間知り合いの挨拶回りに行き、20時に竹の音に戻ってきたら、また気合でマスタリング再開。
そしてついに22時、ミックスダウンを終え、録れた音源を車のオーディオで確認。
マスターと2人でニヤリ。
そしてガッチリと握手。
終わったー!!
「いやー、金丸君ありがとう!!こんなにレベルの高いものを手がけさせてくれるなんて、勉強になったよ!!」
マスターはほんとに熱い人だ。
滋賀にライブができる場所がないことを嘆き、古い商店街の貸し店舗に店を構え、足しげく京都や大阪のライブハウスに通ってミュージシャンに声をかけ、少しずつ地道に『竹の音』の名前を広めてきた。
これからももっともっとでかいイベントを企画しているようだ。
音楽業界の人間はすぐに「俺ってすごい」って勘違いしがちだ。
そんな中でこういう謙虚で熱い人が後進を育てるんだよな。
竹マスターお疲れ様でした!!
翌日。
明日はついに今夏のメインライブ、松阪『マクサ』だ。
この日のためにどれほど緊張とプレッシャーを感じてきたことか。
ほんとに吐きそうなほど気が重い。
セットリストも考えに考えたし、MCも色々ネタを考えてる。
ミスりまくって帰れコールが起こらないように死ぬ気で頑張らないと。
滋賀から三重に入り、お昼に津市の大好きな食堂『じんな』にやってきた。
いつもの唐揚げ定食がめっちゃ美味しい。
じんなママにももちろん明日のライブの宣伝はしていたんだけど、なんと20人は引きつれて来てくれるという。
おいおい、俺1人で30人は呼んじまうぞ?
「あー、代金はええから!!明日頑張ってな!!これ、晩ご飯にしやー。」
冷やし中華とおにぎりを持たせてくれた。
ママ、いつも本当にありがとう。
明日はライブだが今夜は金曜日。
路上いっとくか。
鈴鹿のネオン街に行ってみたが飲み屋街がちりぢりで歌えず、結局いつもの津市の大門に戻ってきてギターを鳴らす。
雑居ビルの前、汗をかき、蚊に刺されながらも頑張って歌う。
するとそこに女の子が声をかけてきた。
「お兄さんカッコイイですね。」
うおおお!!!!
久しぶりにかわいい女の子が話しかけてきた!!
死ぬほど仲良くなりたい!!!
色んな意味で!!!
が、こんな時に限ってたくさんお客さんが集まってくる!!!
「兄ちゃん!!なんか歌ってや!!」
酔っ払いのおっちゃんの長話が長い!!!
あああもう!!!
女の子たちがつまんなそうにしてるやん!!!
なんとか早く会話を終わらそうとするが、全然話が終わらず、案の定女の子たちは帰っていってしまった。
ぐおおおおお……………
残念すぎて今日寝られんよ……………
めっちゃかわいかったのによおおおお……………
酔っ払いおっちゃんたちもどっかに行き、まぁ仕方ないかと気をとりなおして演奏再開。
ああ、連絡先も聞いてなかったなぁ。
ロングヘアーの子、胸大きかったなぁ……………
残念………………
というところに奇跡がおきた。
1時間くらいしてさっきの女の子たちがジュースを買って戻って来た。
ヒャッホーーーイ!!
かなりタイプな巨乳の女の子と仲良くなり、めっちゃ楽しかった今夜の路上。
さて、気分もいいところで今夜は早目に切り上げて明日のライブに備えるかなー。
と思っていたら、やっぱりこんな時に限ってお客さんが途切れず、結局ギターをしまったのは朝の4時。
明日大丈夫かな………………
8000円のあがりをポッケにつっこんでファントムに戻った。
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