2005年 10月19日 【関東後半 千葉県】
雨もあがり、久しぶりの快晴!!
これなら当分雨も降らないだろう。
それじゃあ一旦東京を離れてお隣の千葉県を回っていくぞ!!
東京湾沿いのトラックだらけの道を東へ向けて走っていく。
千葉っていったらなんだろう?
東京ディズニーランドが本当は千葉にあって何でや!!っていうことくらいしか知らん。
マジそんな知識しかない。
東京の隣ってことで霞んでしまってるけど、本当はきっと色々見どころがあるはずだろうな。
そんなこと考えてるうちにいつのまにか千葉県に突入。
夕方前に出発したもんだから、すでに海沿いの道は巨大な工場地帯の冷たい灯りがどこまでも続いている。
東京から千葉側が京葉工業地域、東京から横浜側が京浜工業地帯。
この2つを合わせて工業ベルトといい、東京湾の湾岸沿いにグルリと埋め立ての鉄の街が形成されている。
一般人は立ち入れない謎に満ちた場所。
なんか怪物作ったり軍の秘密兵器とか作ったりしてそう。
バイオハザードみたいに中に潜入して1週間くらい隠れてたくなる。
しばらくすると千葉市内に入ってきた。
うわっ!!なんだありゃ!!
電車が宙ぶらりんになってる!!!
あ、モノレールか。
レールの上を車両が走っているのではなく、レールの下に車両がぶら下がって走っている。
それが道路の上を行き交っているもんだから落っこちてこないかヒヤヒヤする。
千葉市は結構都会なので路上でのチップを期待することができない。
今は金がない。
確実に稼ぐために今日は違う町に移動するとして、もうちょっと南に下ったところにあるドラマで有名な町、木更津市に向かった。
木更津キャッツアイは全然見たことないけど、イメージではそこそこ都会。
が、実際はかなりの田舎だった。
さびれた商店街。
小さなネオン街。
よっしゃ!!!
歌うぞ!!!
人はそんなに多くないけど結構いい反応。
スナック『ミッキー&ミニー』のママ、ありがとう!!
おかげで今日は7000円でフィニッシュ。
よかった、これで明日も進めるぞ。
前列のお姉さんのヤンキーファッションがパーフェクトすぎる…………
千葉県何日かかるかなぁ。
2週間くらいで回ってしまいたいところだが、何が起こるかはわからないよな。
やっぱり歌って動く、この生活が楽しくてたまらない。
光ちゃんちでのあのグータラ分をとり返すように色んな人と出会うぞ。
翌日。
さてさて、デジカメのデータが満タンになるといつもCD-Rに落している。
カメラ屋さんに持っていけばだいたい500円でインデックスまでつけてくれるのだが、高いところだとたまに2000円なんて言ってくるお店もある。
しかしデジカメの容量を空けないことには先に進めないので、多少嫌な店でも仕方なくやってもらうのだが、さっきの店はマジでムカつかせてくれたなぁ。
知ってる人は知ってると思うけど、写真屋でデジタルプリントを頼むと、お店の人がよかれと思って+7とか−4とか1枚1枚明るさ調整をしてくれる。
でも俺は下手なりに明るさの調整をしっかりやって写真を撮っている。
渋い感じで撮ろうと思ってあえて影のかかった雰囲気で調整したり。
でもそれが出来上がってみると見事に明るすぎるのっぺらとしたものになってたりする。
なので、俺はいつも受付の時に店員さんに明るさ調整は結構ですと伝えるようにしている。
そのほうが店員さんも作業が減って楽だろうし。
そう伝えると、たいがいのお店では、「はい、わかりました。」となるんだけど、さっきの店の店員の態度にはビビった。
「はぁ?あのねぇ、そんなこと言うんだったらご自宅で自分でやってください。」
え!?なんで!?
なんでそんなこと言われないといけないの!???!
「え?じゃぁ、どうすればいいんですか?」
「これ人物ですよね?これじゃ暗くて見えませんよ?」
「はぁ、でもその時の臨場感とか欲しいので、その時の見たまんまで撮るようにしてるんです。」
「いやねぇ、顔が分からなかったら意味ないでしょ?」
「…………もう好きなようにやってください。」
くそがあああ……………いきなり気分悪い…………
まぁ気を取り直して千葉県スタート!!!!
今日はまず富津岬の先っちょの展望台へ。
東京湾を一望でき、東京、横浜のビル群が海の向こうに蜃気楼のように見える。
ウインドサーフィンを楽しむ姿がたくさん見られ、ああ、東京湾でも海は海だなぁって思っていたんだけど、波打ち際に行ってみると、まぁひどいもんだ。
黒ずんだ藻とゴミでにごりきっている。
まるで住宅地のドブ川だ。
東京の生活排水、工業ベルトの工業排水、汚れきった都会を洗い流す雨、水に触っただけで体が汚染されてしまいそうだ。
沖縄の海はあんなに透き通ってたのになぁ。
東京湾周辺の子供はこれが海だと思っているんだよなぁ……………
こんなとこじゃ絶対泳げねぇ。
鹿野山の古刹、神野寺を見てから、次に鋸山へ向かった。
かつて石の切出し場だったこの山。
道路から見上げるとまるで鋸の刃のように山がギザギザに削られており、かなり異様だ。
表から登ると有料道路なので、裏の細い道から入り山門へ。
この鋸山、山全体が行基菩薩によって開かれた日本寺というお寺の境内になる。
600円払って遊歩道を登っていくと、いきなり現れたのはかなりでかい大仏。
が、俺はこいつの4倍でかい大仏を知っているから別に驚かない。
更にタッタタッタ山道を登っていくと山頂に着いた。
石切り場特有のギザギザした地形で、眼下には東京湾と房総半島が広がる見事な景色だ。
空気が澄んでいる日は富士山までを望めるとのこと。
宙に浮いたような展望スペースがあり、下を覗くと、豆腐を切った様なめまいのする垂直の断崖絶壁。
地獄覗きとはいい名だ。
置き去りの双眼鏡やもう使われていない便所が夕焼けに染まりとてもノスタルジックだった。
内房の海岸沿いは何もないな。
暗くなった道をとばし、房総半島最南の町、館山に到着。
とりあえず情報収集にそこらの店に入る。
「飲み屋街ねー、2箇所あるよ。でもヤクザ多いよーこの町は。あと、なんだ、Xなんとかってバンドのヨシキか誰かの母ちゃんがやってる飲み屋があるよ。あぁ!!ポチ!!ダメでしょ!!」
俺の足にしがみついて腰をカクカクやっているポチ。
ポチめっちゃ可愛いやん。
それから教えてもらった飲み屋街を散策してみた。
古い静かな住宅街の中に大きなピンク看板のストリップや外国人パブがぽつぽつとある。
もう1ヵ所の駅裏のなぎさ銀座は、結構お店もたくさんあっていい感じだ。
こっちでやるかな。
すぐ近くの浜辺の駐車場に車をとめ、飲み屋街のど真ん中で歌った。
平日で人も全然いないが順調にチップが入っていく。
すると飲み屋ビルの中から外人の女の子たちがいっぱい出てきた。
「オー!!ハンサムデスネー!!」
めっちゃテンションの高いルーマニア人の女の子5~6人に取り囲まれ体中なで回される。
その中の1人のすごいかわいいブロンド女子が俺の楽譜立てでポールダンスを始めた。
俺の目の前で足広げておっぱいほとんど丸出し。
揉みまくるぞコノヤロウ!!!!
女の子が騒いでいるのでオジサンたちも集まってきて、平日だというのに大盛りあがり。
一気に1万円ほどまでたまった。
居酒屋のマスターにハンバーグをいただき、『正龍』ではラーメンをご馳走になる。
うおーー!!館山の人みんないい人!!
夜中の2時くらいになり、あがりもたまったので路上はこの辺で切り上げて、「後でうちの店に来な。」と声をかけてくれていたちょっと怖めのおじさんのお店に行ってみることに。
ギターを抱えて恐る恐るお店のドアを開けてみる。
怖い人いっぱいいたらどうしようかな…………
「おー、来たな。」
そこは小さなホストクラブだった。
いや、メンズパブってとこか。
「よし、んじゃ、やれる?」
入った瞬間、息つく間もなくさっそく歌うことになった。
ま、マジですか…………
いや、マジだよな。
歌うたい呼んだんだからそりゃ歌う以外ない。
ステージに上がって気合いで数曲。
ホストクラブで歌うなんて初めてだからどうなることやらと思ったが、ホストのみんながお客さんから受け取った千円札を割り箸に挟んで、俺の胸ポケットにジャンジャン入れてくる。
しかもみんなさすがホスト。
盛り上げ上手ですごくやりやすい。
そんなこんなでホストクラブ『モンシェリー』で朝まで歌い続け、店を出たのは朝の6時だった。
プロシンガーを目指してる洋平君、かわいかった真由美ちゃん、カズさん、オーナーの加藤さん、みんないい人たちだった。
明け方の静かな海。
ペンキを落としたような明るく深い青。
酔っ払って歌い疲れた体でぼんやりと水平線を眺めた。
この海の向こうに無数の国があり様々な人生がある。
日本が全てだなんて、なんてもったいない人生なんだろう。
今やっと、日本中どこでも散歩がてらみたいな感覚で行けるようになった。
いつかアメリカやヨーロッパにも、散歩がてらに行けるようなテリトリーの広い男になりたい。
今日の稼ぎは18000円。
この金でどこまで行けるだろうな。
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