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名寄の飲み屋街でめっちゃ喧嘩







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2005年 7月10日 【北海道一周】




地獄のヒッチハイクから一夜明けてここは中田さんの家。


8時間眠って元気満タンだ。






久しぶりに旅人バスに向かった。


お客さん入ってくれてるかなぁ…………と期待と不安を感じながら広大な畑の中を飛ばし、いつもの角を左に曲がると、空き地に静かにたたずむ赤と白のバスが見える。


バイクは止まっていない。



ドキドキでドアを開けてみると…………んー、やっぱり誰もいないか。


お、でも壁の書き込みが結構増えてる。

これ見たらどれだけの人が来てるかの目安になるから分かりやすいな。





旅人たちの自慢の旅情報に目を通していると、農作業着の佐藤さんがやってきた。


話ではちょこちょこお客さんは入っているみたいだ。



「兄ちゃん、もっとわかりやすい看板立てなきゃだめだぁ。ライダーの目につくように。」



そうだな。

走ってきたライダーの目にパッと入るようにしないとな。






すぐに山田親方の作業場に行き、要らない木っ端をもらえないかお願いしてみた。



「おう、好きなの使っていいぞ。」



新しい現場用の墨付けをしていた山田親方の横で俺も丸ノコを握る。


ぱっぱと骨組みを作り、板に『←ライダー・チャリダー』と書いた。


今まではどんな場所なのかわからずちょっと入りづらいという感じだったけど、これならバッチリだ。




看板を持ってバスに行き、道路際に立てる。


これで道路からもよく見えますね、と離れた場所で佐藤さんと話していると、看板が効いたのか1台のバイクがスーっとバスの方に入っていった。


佐藤さんも満足げだ。








18時になり、山田親方と息子のカッちゃんがバスにやってきた。


今日はみんなで焼肉だ。


佐藤さんが持ってきてくれた新鮮な鹿肉を網の上に乗せる。

レバーみたいな食感でうまい。



「兄ちゃん、もう行くなぁ。ここでもっと大きな小屋こしゃって金儲けすればいいしょやー。」



最後まで俺を引き止めてくる佐藤さん。



「まぁまぁ、佐藤さん。最初に言ってたことですから。文武もまた必ず来ますし。」



山田親方がフォローしてくれる。


ホントに山田親方は俺のことをすごく理解してくれている。







21時になり解散したけど、みんなが寝てからも山田親方と2人で飲みながら語り合った。


夜の中に川の音がやけに大きく聞こえる。


目の前にそびえる芦別岳が俺たちを見下ろしている。



「仕事ってのは俺は3年やらないとやったことにはならないと思ってる。2年間俺の下で働いたやつが辞めたとしても、大工してましたって言うなよって俺は言うよ。何にしてもそうだ。3年はしなければ物事の本質ってのはわからないもんだ。」



山田親方とはこの1年間仲良くさせてもらったが、今まで説教的なことは一度も言われなかった。


それが、今日は文武との最後の酒だろうから、という前置きでしっかり語ってくれた。


ほんと最後まで気持ちいいほどケジメのある人だったな。



「俺みたいなひねくれた人間から見ると、純粋さってのは怖いもんなんだぁ。『いい人』ってのが俺のテーマなんだけど、許してくれるから、何かをもたらしてくれるから、『いい人』では必ずしもないんだよな。人との付き合い方ってのは本当に難しいぞ。」



焚き火の灯りが山田親方の顔を照らす。



夜の闇の中、2人で静かに火に枝を放り込んだ。















さて、富良野に帰ってきたのは旅人バスの様子を見るためだけじゃなくて、ファントムの車検のためでもあった。


総島さんのところにお願いしているんだけど、ファントムが帰ってくるのは来週の水曜あたりとのこと。


んんんー、それまで何しよう。


早く出発したいなぁ。




とりあえず今夜は金曜日。


少しでも金を稼がないといけないので、どこに歌いに行くか悩んだ末、今夜は旭川のちょい北、士別の町を攻めてみることに。


飲み屋街あるといいんだが…………








夜の国道をすっとばし、22時に士別の町に到着。


うわぁ…………人いねぇ…………


と思っていると、向こうの方になにやら出店が見えた。


お、なんかやってるのか?





行ってみると、どうやら今日はお祭りのようだった。


寂れた町の中にそれなりにたくさんの人が出ており、テキヤ屋台の明かりが通りを照らしている。


そんなメインストリートの角に腰を下ろしてギターを出して歌った。


なんだなんだ?とこっちを見てくる人たち。



するとその時、向こうから爆音をあげながらフルスモークにシャコタンのボロいセダンが走ってきて赤信号無視で交差点に侵入し、上半身裸の男がハコ乗りタコ踊りでギャラリーを煽った。



「いえーーーい!!」



ギャラリーもノリノリで道路側に集まってくる。


さらに後ろからやってきたエビテールのバイクがマフラー音でゴッドファーザーを奏でる。



しょ、昭和で時代が止まっておられる…………





ここらのギャラリーの女の子からすると、あのハコ乗りしてる人は何々高校の3年でケンカちょー強いんだよー、キャー!!カッコいい!!みたいな感じなんだろな。

こんな日本の片隅でもヤンキーは全国共通スタイルだ。






もはや俺の路上なんかより何々高校の3年のほうにみんな夢中になってて、誰も聞いてくれないのでさっさとギターを片付け、隣町の名寄まで走った。


ここの飲み屋街もなかなかのさびれようだけど、市別よりは人出もある感じだ。



23時から3時間ほどやって1万4千円までいった。


名寄サンピラーズの3人、ありがとうな。







映画館、ボウリング場、ダンスホール、高度経済成長の中、そういった娯楽施設が次々と作られた30~40年前。


これらの施設はどんな田舎にもあったようで、山の中に突如巨大なボーリングのピンの立った廃墟が現れたりする。


人口の減った田舎には、そういった昭和の遺物が取り残され、ろくな改修もされないまま放置されたりしている。



夜の繁華街もそんな遺物がたくさんある。


路地裏、ネオン管、潰れた映画館とけばいおばさんママ。


だから俺は田舎のネオン街が好きだ。















翌日。





朝起きてから昨日ヤンキーに追い出された士別のお祭りに行ってみた。





メインストリートにカラフルな出店の列が出来ており、輪投げ、金魚すくい、型抜き、懐かしいお店がたくさん並んでいる。





浴衣でおめかしした女の子が型抜きをしながら店のオヤジにお願いお願いとねだっている。


はいはい、と女の子から受け取った型抜き菓子をパキポキとある程度のところまで指で割ってあげるおじさん。


小中学生にはこういうサービスをしてくれるテキヤのお兄さんは神のように見えたもんだ。



俺もお店の人の目を盗んで針にツバをつけて一生懸命削っていた。


湿らせると割れにくいんだよな。


でも絶対割れてしまってなんでだー!!ってムカついてた。


賞金の5000円をとったやつなんて日本にいるんだろうか?









昔、エルビスが映画の中でやっていたオートバイの曲芸。


木で組まれた円筒の中を遠心力でグルグル回りながら登っていくその映像に素直に驚いたもんだが、なんとこの小さなお祭りにそのバイク曲芸の一座が来ていた。


使い古された看板、『100万円!!』とか書かれた意味不明な懸賞金。


この胡散臭さがたまらない。


こういう旅の一座が日本中にたくさんいるんだろうな。


知らない世界に知らない人がたくさんいる。







名寄サンピラー温泉で汗を流し、日記を書き、今日はちょっと早めの21時に街にやってきた。


『とん平』とかってラーメン屋で腹ごしらえをし、ゆうべと同じポジションで路上開始。


2日連続でやると顔見知りもだいぶできて、カラオケハウス『歌屋』のお兄さん、スナックのおばさんたち、ゆうべも聴いてくれたサンピラーズの3人組、色んな人たちが声をかけてくれる。


みんなありがとうな。













夜中2時をすぎると店もほとんど閉まり、仕事を終えたホステスさんたちやアフターのおじさんたちが道にわいている。



「お兄ちゃん!!日本一周か!!頑張れよ!!」



オールバックに金ネックレス、セカンドバッグ、典型的に怖い人たち5~6人がガニ股で声をかけてくる。


怖いけどありがとうございますーと笑顔で返事をする。




するとそこに現れたのがボーイズバーの仕事帰りっぽいヤサ男とそのお客らしきおばさん。


おばさん、結構酔っ払ってて、俺のとこに来て怖い人たちに絡みだした。



うわ、ちょっとマズいんじゃないか…………?




「なんか文句あるかゴラァァァ!!」



ホラ、案の定始まったやん…………



怖いおじさんグループの1人がヤサ男を羽交い締めにして壁に押しつけた。



俺のわずか1メートル横。



ちょ、ちょっと…………

肩ぶつかってるんですけど…………



「あんたらやめろ!!ガキ相手になにしてるんだー!!」



おばちゃんがわめきながらおじさんに体当たり!!!



「なんだこのヤロー!!ヤられてーのか!!」



ヤサ男のきれいにセットされていた髪の毛はすでにぐしゃぐしゃに乱れ、スーツも破けている。


座って歌を聴いてくれていたお客さんたちも迷惑そうな顔。



「歌うのやめときます?」



「いいよいいよ、関係ないから歌って。早く早く。」



「愛するーこーとにー♪ 疲れたーみーたいー♪」



「文句あるかって聞いてんだろうがぁ!?あ!!あっ!!何だって!?」



「す………すみませんでし………たぁ……」



「あなたのー顔もー♪ ちらつかーなぁいわー♪」



「おい、もういいわ。そのガキ車に積め。殺してやるわ。」



「やめろクソヤロー!!あんたらどこのもんかー!!」



「おい、その女も乗せろ。輪姦すぞ。」



「男はーいつもー♪ 待たせるーだぁけでー♪」



「ぎゃーーーー!!」



「オラァァァー!!」



「ウグ・・・・」



「それでもー恋はー恋ー♪」




怒号とギターと歌がネオンの明かりの中に響いた。






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