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東京から富良野への地獄ヒッチハイク







リアルタイムの双子との日常はこちらから






2005年 7月6日





寝てない。


ここどこだろう。


たぶん茨城には入ってると思う。



ケータイを見ると時計は朝の5時。



ここはどこかの道の駅のトイレの中。








ゆうべ、草加市からここまで乗せてくれた今回のヒッチ22台目は風俗嬢の姉さんたちだった。






「マジ可哀想なんですけどー!!すき屋くらいおごってあげるしー!!」



「ソープ時代だったら飛行機代くらいぽんって出してあげてたのにねー!!」



テンションの高いお姉さん2人でタジタジになってしまったんだけど、でもめちゃくちゃ優しい人たちだった。


エロかったなぁ。



「がんばるんだよー!!あ、これあげる!!」



膝掛けにしていたピンクのタオルをくれたサクラさん。


ありがとうございます!!







夜中にどこかの道の駅に着いたころに雨が振りだし、寒くなってトイレに逃げ込んだのが深夜。



すでに結構疲れているけど、いつまでもこうしちゃいられないと、休憩でトイレに来るドライバーさんに手当たり次第交渉した。


直ヒッチはあまり好きじゃないがこの雨だ、仕方ない。



しかし時間が遅くなるとやってくるトラックドライバーさんもいなくなってしまい、風があまりにも冷たくて凍えてしまう。



途方に暮れているところにやってきたドライバーさんにまた声をかける。



「すみません、ヒッチハイクしてる者なんですが、北のほうに行きませんか?」



「あー悪い、俺東京方面なんだ。」



あえなく断られ、またトイレでうずくまっていると、さっきのドライバーさんが戻ってきた。



「ホラ、頑張れよ。」



差し出してきたのは缶コーヒーだった。



ここで糸が切れ、身障者用の広く綺麗なトイレに逃げ込み、床にギターを置いてその上に横になり、ピンクのタオルを体にかけて目をつぶった。


寒いけど、お腹の上の缶コーヒーが温かかった。












帰りのヒッチハイク2日目!!!!



誰かがトイレに来たらどうしようって緊張していたせいでほとんど寝られなかったけど、横になれただけでも少しは体力も回復した。


朝5時。


よし、再開するぞ。







1時間ほどしてようやく23台目をゲット。



「ヒッチハイク?いいけど俺、稲川組のモンだぜ。別に悪いようにはしないけど、それでもいいかい?」



迷うことなく乗りこみ、ヤクザのおじさんに栃木県小山市まで乗せてもらった。


運送会社やってて日給12000円出すからいつでもウチ来いやと言われるが、遠慮させてもらって先を急ぐ。




24台目………トラック。白河市まで。

25台目………乗用車。

26台目………乗用車。

27台目………乗用車。郡山から仙台までゲット。



この日は仙台の友達の家に泊めてもらった。


はぁ…………疲れた。











帰りのヒッチハイク3日目!!!!





仙台の友達に高速のインターまで送っていってもらう。


今日は高速ヒッチだ。


高速ヒッチは移動距離は長いのだが、なかなかつかまらないのが欠点。


でもつかまればめちゃくちゃ距離を稼げる。


早く富良野まで戻るぞおおおお!!!







28台目、29台目を乗り継ぎ、30台目は品のいいご夫婦。

パンとお茶を買ってくれ、岩手県前沢の町まで送ってもらった。



31台目………水沢市まで。

32台目………水沢市のインター。

33台目………花巻市のサービスエリア。



途中ずっと雨が降っていたのでなかなか道路に立つことができなくて時間が過ぎていく。


雨に濡れて立っている俺を見て見ぬふりするドライバーさんたち。


通りすぎる時、ばれないようにチラと一瞬だけこっちを見るんだけど、ヒッチしてる側からするとそういう細かい目の動きまで全部見えてるんだよね。


そんで通りすぎた後で振り返ってこっちを見てくる。


悔しいからいきなりバッ!!と振りかえってその視線に合わせると、すぐに目をそらすドライバーさん。


運転、気をつけてください。








あー、それにしても今日はまったくダメだ。


3時間やってもまるで止まらない。


親指立てすぎて腕が痛くてたまらんので、ちょっと休もうとサービスエリア内の休憩所の中に入ったら、ここがもうサイコーだった。


電気ついてるし、暖房入ってるし、24時間開いていてテーブルもイスもある。


今夜はここで寝るか。


寝ようっていってもベンチに横になるだけなんだけど、それだけでも体力は回復する。




あああああ、腹減ったああああ…………


ジュースを買いたいところだけどもう金は使えない。


あとジュース1本でも買ったら青森からフェリーに乗れないからだ。


フェリー代を除いた今の所持金は…………






6円。



ウケる。









帰りのヒッチハイク4日目ええええええ!!!!!!




朝、2時間かけてようやく34台目をゲット…………


マジで長かった…………

花巻のサービスエリアさようなら…………





乗せてくれたのはトラックを改造したキャンピングカーに乗った老夫婦。


なんとなんと!!!



これから北海道に行くところ!!!



うひゃっほおおおおおおいいい!!!!







青森港に到着し、老夫婦と別れて駐車場を歩き回り、トラックの運転手さんに話しかけてまわる。


フェリー会社さんには悪いのだが、貧乏旅人の裏技でフェリー代をうかす方法があるのだ。



『秘技!!トラックに乗り、助手として乗船!!』




が…………


まったくダメ。


最近では俺みたいのが多いためにトラック会社からヒッチハイカーは乗せたらダメというお達しが出ているとのこと。


フェリー会社の方もそういう密航にかなり厳しくなってきているらしい。


それでも座席の裏やベッドに潜ませて乗っけてくれるドライバーさんも中にはいるのだが、今日は出会うことができなかった。



しょうがなく1850円の函館行きチケットを購入。


残金6円。


計算通り。










3時間半の航海のうち2時間ほど眠り、函館に接岸。


さっきのキャンピングカーのご夫婦に4号線まで送ってもらい、ヒッチ開始だ。



35台目………家庭教師のバイトに向かう大学生のお兄さん。同じ金丸姓!!


36台目………森町のドライブインで奇跡が起きた。1発恵庭市行き!!うおっしゃああああああ!!


函館に単身赴任中のおじさん。


これから恵庭の実家に帰るところだという。


役所で働いているということで北海道のことについて豊富な知識を持っていた。



「ここらに住んでる人の気がしれないよ。」



洞爺湖温泉郷を走りながらおじさんが言う。


有珠山の噴火で土石流がこの辺一帯を襲ったのは2000年。

わずか5年前。


今もガス臭いし、アスファルトも年中地熱で暖かい。

いつまた噴火するかわかんないからねとおじさんは言っていた。





4~5時間走ったろうか。


千歳の町まで送ってくれたおじさんに別れを告げ、時計を見ると22時半。


小雨が降る中、千歳の飲み屋街の中で路上を強行したが人が全然おらず、ギターも濡れるので0円で片付けた。




駅の横の道を歩き、高架下の道路でうずくまる。


湿った体に夜風が冷たくてブルブル震える。



早く富良野に戻りたいんだけど、ここから富良野までの道はかなり難しい。


複雑な山道になるし、一般的には北か南に迂回しないと富良野に行く車はあまり通らない。


でももうここまできたら1メートルだって引き返したくないし、電車に乗る金もない。




きっとなんとかなる。


そう信じて親指を立てる。


深夜1時。


静まり返った街。



車はまったく通らない。












帰りのヒッチハイク5日目……………



もう嫌…………








雨はしんしんと降りそそいでいる。


車が雨をはねる音とトラックのエンジンの轟音が、遠くで響いては小さくなり消えていく。


ピンクのバスタオルにくるまり、駅舎のくぼんだ暗がりにうずくまる俺。


北海道の風は7月だというのにあまりにも冷たい。






朝4時になり空が明るくなってきた。


しんどいけど、この時間帯が大好きだ。


夜の闇が色あせていき、新しい1日が始まるこの瞬間はとても神聖な時間のような気持ちになる。




影をふり払うように立ちあがると体中が悲鳴をあげた。


もちろん一睡もしていない。

ちらほらと走り始めた車に左手をあげるが、挙げるたびに腕の筋肉が痛む。


ピンクのバスタオルを体に羽織って道路ぎわに立っているのだが、車が通るたびに風でタオルがめくれてとても辛い。






それから2時間半。


ちらほらと駅に集まってくる高校生たちが好奇の目で俺を見る。


その時、1台のバンが目の前に止まった。


窓から顔をだした長髪のお兄さん。



「どこまで行くんですか?」



「あ、ふ、富良野までです。」



「わかりました。行きましょうか。」



その瞬間……………



お兄さんが神に見えた……………



37台目ゲット…………
















「やっと…………着いた…………死ぬ…………」




人間とは思えないような顔で総島整備工場の前に到着。



5日間の耐久ヒッチハイク。


雨と排気ガスにまみれてもう全身ドロドロ。


ポケットの中の残金は2日前から6円。





朝の雨がウソのように夏の日差しが照りつけている富良野。


預けていたファントム号…………


やっと…………やっとファントムで寝られる…………



事務所のドアノブに手をかける。









………………………………











開かない………………








えっ!!

誰もいない!!


中田のおばちゃんに電話をかける。



「あー?総島さん?朝からゴルフ行ってるよ。」




ゴルフウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!




「ええええええ!!!お、奥さんは!?」



「奥さんはカナダ行ってるわ。」





カナダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!


海の向こううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!


きゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!!







……………終わった。




グニャリとアスファルトの上にひっくり返った。


腹へって動けねぇ…………もうダメ………だ……………



そこにメールが来た。



ヒ、ヒロちゃんだ…………




「お兄ちゃん\(^o^)/今日学祭だから来てね(#^.^#)」





無理です……………












「おーい!大丈夫かいー!?」



焼けたアスファルトの上で昏睡しているところに中田のおばちゃんが救出に来てくれた。


中田さんちで4日ぶりのシャワーを浴びさせてもらい、健康的な朝ごはんをご馳走になった。



開け放たれた窓から吹き込む優しい夏の風が髪を乾かしてくれる。


ここまでくるともうナチュラルハイで眠気もどっか行ってしまった。








富良野高の門をくぐると、正面広場では生徒たちのお好み焼きやカキ氷なんかの出店で賑わっていた。





ていうか全員私服で化粧とかバリバリだからどれが生徒でどれが先生かわかりゃせん。


おっぱい見えそうな服着てるやつ、金髪をクルクル巻いてマイクロミニ履いてるマンバ。


ここは学校か!?




「おーい!生きてたねー!」



走ってきたヒロちゃん。

ヒロちゃんの服はまだ子供っぽいな。


友達もたくさんいるようだ。







ヒロちゃんと学園祭を見て周り、夜は中田さんちに戻ってみんなでご飯を食べた。


おじさんとビールを飲むとすぐに特大の睡魔が襲ってきた。


朦朧とする頭。



東京~富良野、往復37台。


マッッッッッジでつらかったああああ…………



もうぜってーヒッチしねぇ……………






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