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最北の地に到着







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2005年 6月18日 【北海道一周】




「…………おーい……………ねぇ………………ねぇってば…………」



「ん………んん……………」



目を開けるといくみちゃんにゆすられていた。



「ごめん、手伝って。」



あ、ヤバい…………

36人の団体が入ってるのに、寝坊してしまった…………




軽く二日酔いのまま厨房に行き、バタバタと朝ご飯の準備と配膳をしていく。





お客さんたちは朝イチから旦那さんの船で沖へ釣りに出ており、その間にご飯の用意をしておかないといけない。


大急ぎで準備して、やがてお客さんたちがドヤドヤと戻ってきて、嵐のように帰っていった。






結局ゆうべも泊めていただいた民宿栄丸。


よーし、今日こそ朝のフェリーに乗って稚内に行くぞ…………と思っていると、今日は年に1度の天売のお祭り。

神輿も出るらしい。



ぬ、ぬう……………

み、見たい…………



午後のフェリーだったらなんとか間に合うかな…………







ルームメイクのお手伝いをしながら神輿のやってくる時間を見計らっていると、やがて遠くから祭囃子が聞こえてきた。


外の道路に出てみる。



そこには赤いお面をかぶった神様らしき人物が、みさきちゃん、つよし君たちの鼓笛隊を引き連れて練り歩いていた。




潮に寂れた集落に大漁旗の鮮やかな原色が映える。


若衆の威勢のいい漁の唄。


神輿が民家の玄関先に行き、戸を開けて突っ込みそうなほどに接近して掛け声をあげる。



「スチャラカシャイ!!シャイ!!!」


「おう!!おう!!」













3日間もいるとすっかり島の人たちとも顔馴染みになり、いろんな人が親しげに話しかけてくる。

おばあちゃん、野良猫、潮風。











宿に戻り、2日泊まった部屋を片付け、荷物をまとめた。


おばちゃんの他にも、近所のいかにも漁師って感じの無骨なおじさんが見送りにやってきてくれた。



「おう、これ持ってけ。ボウタラっていってな。むしって食え。4~5年はもつから。」



太く荒れた手でむんずと掴んだ干し物を差し出すおじさん。






「金丸君、これ手伝ってくれたお礼。なんか初めて会った気しなかったわー。また来るんだよ。天売に。」



そ、そんな、泊めてもらってご飯食べさせてもらったのにお礼なんて………


おばちゃん、笑顔が素敵なすっごく暖かい人だった。





2230円の羽幌行きのチケットを買いフェリーに乗り込む。

霧笛を鳴らして出港する船。


岸壁では『栄丸』のおばちゃんだけでなく色んな人たちが、金丸君さよならー!!って手を振ってくれた。




天売島、本当にいい島だった。


ウトウはまさに漁師。

荒波の海に出て、1日を終え家族の待つ家へ生活の糧を持って帰ってくる。


人間が一種の動物として自然と共存する純粋な姿がここにはあると思った。


本当に心安らぐ3日間だった。


おばちゃん、旦那さん、いくみちゃん、島のみんな。


またいつの日か。










港に止めっぱなしにファントムに火を入れ一路北上。


今日は土曜。


なんとしても稚内で歌うぞ。



サロベツ原野と日本海に挟まれた何十キロも続く長い長い直線道路をぶっ飛ばしていく。



どこまでも続く道と果てることのない地平線。


左手には海上にそびえる利尻富士と夕焼け。


走っても走っても前に進んでいないように思えるほど、小さな小さな俺という存在。








ガソリンギリギリでやっとこさ日本最北の町、稚内市にやって来た。


すぐに目についたのはそこらじゅうにやたらと外国人が多いこと。


稚内はロシアから食料品などを輸入しており、その作業員さんとしてたくさんのロシア人が上陸しているのだ。


道路標識や店の看板にやたらとロシア語の文字がある。



国境の町、稚内。


ここが最北の町か。


ここ最近、ロシア人による発砲事件で日本人が殺されているから怖いもんだ。







よっしゃ!!!

日本最北の路上だ!!!!


なかなか雰囲気のいい飲み屋街の中、気合いでギターを鳴らす。


ゆうべお客さんにキツいこと言われてまだ引きずってるけど、凹んでいたってしょうがない。


下手でもやらなきゃ上手くはならない!!!



そんな気合いが伝わったのか、久しぶりの大枚が飛び出して16000円ほどにもなった。


オラアアア!!!

やったぞコノヤロウ!!!






夜もふけ、そろそろ引き上げようかというところに女の人2人が立ち止まった。



「すごーい!!」



「きゃー!!稚内で初めて見たー!!」



ささやかな繁華街に黄色い声が響いた。


ゆずが大好きというこの2人。

路上やってるやつなんてこの町にはいないみたいだ。



そこにおじさんも1人加わり、みんなですごく盛りあがった。

1人は号泣してるし。



「よし!!ラーメン行くべや!!」



4人で『庄内食堂』っていうお店に行ってラーメンを食べビールを飲んだ。






最後にもう1曲ということになり、深夜の宗谷本線のレールの上で『草原の海』を歌った。





また新しい友達が出来た。


俺と誰、だけでなく俺を介して見知らぬ人同士が知り合うって、すごく刺激的なことだ。


必ずまたどこかで会おうなと約束して解散した。



あーー、なんて気持ちのいい夜だ。



ここは日本の1番北だー!!

南のみんなー!!


俺はここまで来たぞー!!













翌日。




ツルハドラッグの駐車場で目を覚ました。


こんな最北の町にも全国チェーンのお店が当たり前にあるんだよなぁ。


当たり前だけどここも日本だ。




まずは稚内駅で情報収集。


最北の駅にはたくさんの観光のじいさんばあさんとバックパッカーの姿。


さぁ、行くぞ。


ホントのホントの最北はすぐそこだ。






40号線を海岸伝いに北上。


崩れた廃屋、ブイや網の山がそこらじゅうに散らばっている。



寂しげな景色の中、観光地によくある感じのお店がささやかに軒を連ねるエリアに到着。


車を止め、吸い寄せられるように歩いた。




そしてとうとう、宗谷岬に足をついた。





北緯45度31分。



まぎれもなく日本の国土の北の先っぽ。


ここから左の海が日本海、右の海がオホーツク海。


晴れているときには樺太(現サハリン)を望むことができるんだが、今日は曇っていて見えない。



江戸末期、この地から樺太に渡り、一周し樺太が島であるとこと確認した間宮林蔵の像が海峡の向こうを見つめている。







2年半。


日本最南端、波照間島からこの宗谷までの辛く長い、そして新しい発見と経験に満ちたあまりにも濃厚な2年半。


これからが折り返しで故郷までの帰り道になるのか。


いや、戻る場所があるんだったら、旅って踏み出したその時から帰り道を歩いているんだな。



そして人生は月日と共に常に新しい発見だ。


ならば帰り道なんてものはないか。


過去に決別し、常に離れゆく道だ。






宗谷は強風の地。


そのせいか高い木はなく、草原が広がっている。


丘陵地帯に登ってみると、見渡す限りのいびつな丘のうねりの向こうに外国の海が広がっていた。


氷河期時代に形成されたというこの丘陵地。


とても不思議で、とても美しい風景。


















野寒布岬まわりで抜海へ向かっていると、暗くなってきたころに、道沿いに面白そうな食堂を発見した。


『遊心館』という名前のそのお店に入ってみると、広く明るい店内で元気なマスターが迎えてくれた。



「おう、今日泊まっていきな。まぁ飲もうや。」



食堂ということだが、ここはライダーハウスもやっていて素泊まり2000円。


でも2500円出せば泊まれる上に飲み食べ放題というからすごい。


稚内で少し稼げたことだし、今日はここでゆっくりしていくか。





まず出てきたのはズワイガニの天ぷら。


次に大なごの天ぷら。

牡蠣フライにコンソメスープ、クリームコロッケ、オレンジのスライス。


そしてビール3杯。


うまいーーー!!!




そしてさらにお酒を美味くするのがマスターの流暢なお喋り。





『FMわっぴー』という稚内のシティFMのコーディネーターをやっているというこのB.Bイシイさん。


博識で話がとても面白い。



「やろうと思ったときにやらない人はずっとやらないね。明日は今日より老けてるんだからなぁ。」






いい気分で酔っ払い、フラフラしながら広い部屋にテキトーに布団を敷いた。


貸しきりの部屋の中、畳の匂いが鼻をくすぐる。





静まり返った最果ての夜。


明日は利尻島だ。





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