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鳶の会社は暴力の宝箱







リアルタイムの双子との日常はこちらから







「きたない!!」





寝屋川の寮に到着した時の美香の第一声はこれだった。


男1人のアパート暮らしなんてひどいもんだ。







大阪に戻り、美香との数日間の同棲生活はすごく楽しいものだった。


いつもは味気ない寮だけど、大好きな人が待つ家に帰るのってこんなにも嬉しいもんなんだ。


仕事を終えて家に帰ると部屋中ピカピカ。


一緒にご飯を食べてお酒を飲み、ひとつの布団で眠る。



美香がすぐそばにいると、最近の荒んだ心が修復されていくよう。


抱き合って眠ると、心の底から安堵感に包まれる。
















生駒山に夜景を見に行ったり、枚方の花火大会に行ったり、いつもは仕事と寮の往復しかしてなかったのがすごく充実した毎日だった。


美香も美香で、お小遣い稼ぎに北新地のクラブに体験入店に行ったりした。




朝、いつもなんとか1人で起きてはいるけど、美香がいると思うと、ついつい甘えて寝坊しそうになる。


今朝も「フミ遅刻するよ!!」と起こされて、時計を見るとすでに5時半。


やばい!!と焦って大急ぎで仕度をしていると、横で美香がニヤニヤと笑っている。



時計を早めてやがった。


おかげで超余裕出勤。



そんな毎日がすごく楽しかった。














あっという間に時間は過ぎ、美香が茨城に帰る日がやってきた。


この日に限って仕事が長引いてしまい、大急ぎで寮に戻ると、部屋が真っ暗だった。


テーブルの上に置き手紙がある。



『バスに間に合いそうにないので、もう行くね。』



「ばかっ!!」



すぐさま電話をかけるが出ない。


くそ!!

今からソッコーで難波まで行くしかねぇ!!!!


あああ!!間に合ってくれ!!!頼む!!!!



焦りながら準備をし、その間も電話をかけまくる!!!!



するとやっと繋がった!!!!



「今どこや!!」



「…………え……今…………」



あれ?なんか声が近くから聞こえる。



「だからどこ??」



「今ね…………」



「っていうか、聞こえてるから。」



押入れを思いっきり開けた。



「べろべろばあああ!!!」



「もういいから。」





準備をして急いで部屋を出た。


時間がなく、雨の中、無謀運転でゴボウ抜きしていく。


3車線で左車線だけ空いていたのでブッ飛ばしていると、いきなり中央車線の車が入ってきやがった。


時速80kmで急ブレーキをかけると、雨で思いっきりスリップ!!




ザザザザザー!!




「キャーーーーー!!!」



ぶつかる直前!!

あと10cmの距離で見事にストップ!!



「あぶねすぎ!!あ、あぶねー!!」



それでも性懲りもなく飛ばす。

梅田の広い道路は路駐しまくってて、混んでる中央車線と路駐の列の隙間を飛ばす。


そのとき!!


路駐の列の中の1台がほんの少し歩道から離れて止まってた。


まずい!!これは通れない!!


また急ブレーキ!!


またスリップ!!


しかもロックかかりやがった!!



「わああああああああ!!」



「ギャアアアアアアアアアアアア!!!」



力任せにハンドルを切ると、中央車線を飛び越えて、右車線までぶっ飛んだ。



キュキュキュキューーーーー!!



ブーー!!ブーー!!



他の車にぶつからなかったのが奇跡としか言いようが無い…………



「ハーハー…………もう私死んだかと思った…………」



「っていうか、間に合わねー!!」




車を路駐して、バス乗り場に走った。


美香の荷物は手すりが長いキャスター付きのやつなんだけど、ダッシュしながらゴロゴロ転がしてるもんだから、水たまりに入るは、段差でひっくり返るは、もうグチャグチャ。



やっとこさバスターミナルビルに到着し、あたふたしながら乗り場を探す。



「あーあのバスだよ。」



「乗りまーす!!」



発車寸前だった。


別れを惜しむ間もなくバスに乗り込む美香。

10秒もたたないうちにバスは発車。






ゼーゼー言いながら手を振っているとすぐにバスは見えなくなった。


雨と汗でドロドロビショビショ。



「…………帰るか。」



1人トボトボと寝屋川に戻る。


それからまた仕事に明け暮れる日々が始まった。















罰金を払うため、休日返上で現場に出る毎日。


それにしても本当毎日毎日よくケンカするよなぁってくらいみんな殴り合いをしてる。


伝説のストリートファイター、Mさんは、ゆうべ飲みに行ってたら調子に乗ってるやつがいたのでシャッターに押しつけて殴りまくって、意識を失ってるのに倒れることができないくらい殴り続けてたらしい。


石切の親分と呼ばれてるNさんは、この前車で家に帰ってたら目の前を暴走族がちんたら走ってたので、後ろからガッコンガッコンぶつけて全てのバイクをなぎ倒してやったらしい。



みんな怖すぎる。


ていうかみんな各地を代表するクラスの不良だから、何かしらの異名を持ってるのが面白い。






そんなある日、暴力大魔王のSさんが片腕を包帯で巻き、首から吊った状態で会社の食堂にやってきた。


ど、どうしたんだ?



食べる、寝る、殴る、くらい平然と人を殴って帰ってくるSさん。



なにやら昨夜、街を歩いていたら謎の集団に囲まれてしまったんだそう。


まぁあらゆる人類から恨みを買ってる人だろうからしょうがないんだろうけど、問題はそこに一緒にいた後輩のY君。


Sさんが囲まれてボコボコにされてるのを見て、怖気づいて逃げてコンビニのトイレに身を潜めていたんだそう。


先輩がボコられてるのに逃げてトイレに隠れるなんて、そんなことがこの会社で通用するわけがない。



片腕を吊ったまま食堂で飲んでいたSさん。


順調に怒りが湧いてきたようで、



「あの新人のクソガキ!!俺が殺したるわ!!!」



と言ってYの住んでいる寮へと走っていった。




Y、安らかに眠れ。










また別の日、白虎隊のヒロシさんと飲みに行った時のこと。


ちょうどカラオケ屋の前を通ったとき、カネ!!と俺の名前を呼ぶ声がした。


ふと見ると、カラオケ屋の中からうちの会社の若いヤツ2人と、ナンパしたらしい女の子2人が出てきた。



「おーおー!!カネ!!」



勢いよくこっちにやってきて、俺の肩を抱きやがる。


別にそんなに仲のいいやつじゃないので、なんやこいつ?と思いつつ、そいつを押しやる。



「ヒロシさんじゃないですかー!!」



相当酔っ払って気が大きくなっており、ヒロシさんの腰にも手を回してやがる。

そ、それはヤバいんじゃないか?



「何しとんのやお前コラ…………あ?」



やばい、ヒロシさんキレそう!!




ヒロシさんの顔色が変わったのを見た若い奴らもさすがに我に帰ってすぐに謝りだした。



「お前らその態度なんや。女の前やからって調子に乗んなよ、コラ!!」



「いや、ホンマに違うんです、ホンマすいません。」



「ヒロシさんもういいじゃないですか。こんなやつらに何言ったってしょうがないですよ。」



なんとかヒロシさんの怒りを鎮めようとなだめ続ける。


ヘビー級の体格をしてるヒロシさんなので俺もかなり怖い。


調子に乗ってた若いやつらも大変なことになったとビクビクしている。




するとその瞬間、




ガポンッ!!




並んで怒られてた2人のアゴにヒロシさんの強烈なダブルアッパーが炸裂!!


みるみる口から血を流し始めた2人。


一緒にいた女の子たちが泣き出す。




20分くらいかな。ようやくヒロシさんを静めて寮に帰って飲み直した。


はぁぁぁ、ホント毎日こんなんばっかだった。










   





そんなヒロシさんは日にちが経つにつれ、俺にもめっちゃ怖く当たるようになっていった。


ヒロシさんが頭をつとめる白虎隊の現場で死ぬほど足場をバラしまくる。


さすがに白虎隊の現場はキツい。


他の班の現場がいかに甘かったかが分かるくらいしんどい。


どんな泣き言も通用せず、腕の力がなくなるまで足場の一番上で猛スピードでばらしまくる。



「オラァァァァァァ!!!金丸早くバラせやああああああ!!!ブチ殺すぞおおおおお!!!!」



マジで容赦ない。

親の仇のごとく、怒鳴られる。











毎日毎日ヒロシさんと一緒の現場で怒鳴られまくった。



「お前なんでここにおるんや?あ?」



「いや、あっちは人余ってるんで、こっち忙しそうだったから手伝ってました。」



「何勝手なことしとんねん!!オラ!!お前みたいなカスが自分で考えんなや!!あーもうええわ!!帰れ帰れ。今すぐ帰れ!この役立たずが!!」



さすがにめっちゃムカつくけど、帰れって言われて帰るなんて男としてできるわけない。



「…………やらせてください。」



「いらんゆーとろーが!!はよ帰れ!!いらつくんじゃボケが!!ゴールデンルーキーとか呼ばれて調子に乗っとるんやないぞカスが!!!」



そう言うヒロシさんを無視して走って元の場所に戻り、平然と作業する。


俺はイラつくとすぐ顔に出る。

ムスッとしてみんなに丸バレだ。


それを見て、さらに他のみんながヒヤヒヤしている。



「なんやその顔はこら!?ブチ殺すぞ!!!!」







そんな険悪すぎる毎日だけど、うちの組のルールは守らないといけない。


仕事が終わったら若いやつは先輩の道具を全て持たないといけないという鉄則がある。


ムカつくのを我慢してヒロシさんに声をかける。




「ヒロシさん、道具持ちます。」



「近づくな。話しかけるな。この動物が!!見てるといらついてくんのや。」




マジ腹立ちまくりで、俺も一切口利かなかった。


そしたらまたそれに腹を立てて、今度は俺の運転に文句言ってきた。



「おいボケ!!お前運転するなって言ったよな?会社に言えって言ったよな?何運転しとんのやボケ。ホンマ1回ぶち殺したろか?」



たしかに運転ヘタだよ!

でも免許持ってない人にそこまで言われたくないよ。



はぁ、毎日めっちゃストレスだわ。




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