飛行機が離陸する瞬間ってすごい!!
大人になってから飛行機に乗ったのってこれが初めてだ。
勢いよく離陸し、雲を突き抜けるとそこは雪国。
はるか眼下には珊瑚が広がる緑の海。
あまりにも綺麗で、機内で1人で、
「ウォー!!」
「ウォー!!」
と興奮していた。
あっという間に石垣島に到着して、バイト先である清福酒造というところに着き、朝の9時半にはすでに仕事を始めていた。
タンクとか甕とか、泡盛の匂いのたちこめる工場内で床掃除をする。
工場内に立ち込める泡盛の匂いだけで酔っ払ってしまいそうだ。
今日はほとんど遊びみたいな仕事だったが、明日からは残業残業…………の仕事が待ってるらしい。
ありがたすぎることに3食メシ付の宿に泊まれてる。
栄養つけなきゃな。食えるときに食っとかなきゃな。
翌日、朝9時半からの仕事。
朝はよく電話で美香に起こしてもらうんだけど、寝起きが悪い俺はいつも何を話したのかほとんど覚えていない。
美香にはいつもあきれられてる。
さぁ今日からバイト頑張るぞーと張り切っていたんだけど、今日も特にすることはなく、
「あっ、とりあえずそこ片付けといて。」
「そこ掃除しといて。」
みたいなのばっかり。
しかも1つ終わると「ちょっと待っててね。」と、1時間ぐらいしてからやっとまたちょっとした仕事。
1日トータルするとたぶん2時間ぐらいしか仕事してない。
しかも俺が、バイト先からは片道分の飛行機代しかもらわないと話したら、
「アホか、お前。お前は那覇で雇われたんだろ?じゃあ帰りの分までもらうのが常識だぞ。フェリーで帰って差額浮かそうが、離島を巡ってから帰ろうが、それはお前の勝手だよ。行きは出すから帰りは自分で出して、とかそんな話があるか!ほんと、お人好しっていうか世間しらずっていうか…………」
結局バイト先の責任者さんが話をつけてくれて、帰りの飛行機代19800円を出してもらえることになった。
俺からしたら、この人たちこそお人好しすぎる…………
そして今、布団の上でビールを飲んでいい気持ちになりながらこの日記を書いている。
土曜日の17時半には高速船で西表島に行くんだけど、
「使わない荷物があったら置いといていいよ。あと良かったら俺の自転車持っていっていいよ。」
そう請福酒造の3代目社長が言ってくれた。
みんな本当に親身になってくれて、優しくて最高だ。
離島巡りではデジカメと日記と麻の編み物セットだけあれば間に合う。
これでくまなく島を周れるぞ。
旅に出てからどんどんいい方向に転がっていく。
3週間前まで何日も飯を食わず、一睡もせず、汚い格好で野宿をしてた俺が、あっという間にここまで昇ってきた。
暖かい飯。
シャワー。
やわらかい布団。
クーラーの効いた部屋でビール。
…………なんて贅沢なんだ!!
しいて不満いうならすぐ隣で寝てるバイトの同僚の石本さんのいびきがうるさいってくらい。
人との出会い。新しい発見。経験。すべてが新鮮だ。
俺は1人でうまくやれている。
「旅」とはあてのない道を行くこと。
ならば、頑張って生きている人、全てが旅人だ。
翌日、いびきの石本さんが帰ってバイトが残り2人になってしまった。
今俺が働いているのは請福酒造という泡盛工場で、工場内にタンクやら冷却設備やら、次々とベルトコンベア-で流れてくるビンの中に規則的に泡盛を注入していく機械やらを組み立てる設備屋さんのお手伝い。
もともと今回の旅のために宮崎で鳶をやっていたんだけど、現場ではよく内部足場を組む際に設備屋さんとの取り合いがあった。
「複雑そうな仕事だな………」とは思っていたが、本当にわけわからん。
材料の名前を覚えるだけですごい時間がかかりそう。
その分、賃金はいいみたいで、バイト頭の又吉さんはいつもすごく羽振りがいい。
「よし今夜飲みに行くぞ!!」
強引に誘う又吉さん。
「んー・・いくらぐらいしますか?」
「バカお前に金使わせるか!!」
「行きます!!」
もちろん即答。
石垣島は観光地だ。
街は小さいけど、繁華街はなかなかのもの。
行く店は決まってるらしく、又吉さんは一直線に1つのビルに入った。
きらびやかなお店に入ると、女の子たちの、いらっしゃいませ~が響き渡る。
うぅ~最高!!
宮崎で鳶をしてた時、貯めなきゃいけないお金とわかっていながらよくラウンジに飲みに行ったもんだ。
バイト先の先輩たち、今ごろ宮崎の繁華街ニシタチを飲み歩いてるかな。
俺は今石垣島で飲み歩いてるよ!!
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