こんにちは!神田です。
私のお父さんとお母さんて、ほんと仲良いんですよね。
確か喧嘩したことないはず。
今でも外に出かけると腕組んで歩いてるし、いつでも二人の間には会話があって、笑い声がある。
そんな二人を見て育った私は二人が理想の夫婦としてあるけど、かんちゃん家は特別やからなー、仲よし度が異常なくらい。ってよく言われるから、そうなんだろうなー。
でも、やっぱり私もフミくんといつでも会話があって、笑い声の聞こえる夫婦でありたいな。
おわり
2018年1月8日(月曜日)
【シンガポール】
新年になってから毎日歌いまくって、今日やっと休み!!!
毎日よく歌ったー!!
おかげでシンガポールでの稼ぎかたのコツも掴んだし、場所も確保した。
あとは雨との戦いだなぁ。
マジでこの時期のシンガポール、雨が降らない日がない。
太陽が照ることなんてマジで奇跡くらい珍しい。
一応トアパヨーに雨でもできる通路を見つけてはいるけど、雨だとそもそも人が減るからあんまり稼げない。
まぁそれでもひたすら歌いまくるのみだ。
でも今日はお休み。たまには休んで息抜きしないといい演奏できない。
今日はカンちゃんとシンガポール観光をしよう!!ということになってる。
ていうか俺こんだけシンガポール来てるのにマトモに観光したこと1回もないってどういうことだろう。
路上ばっかりしてたもんなぁ。
でも路上の場所探しのおかげで相当色んなところに行きまくってはいると思う。
絶対観光客が行かないようなローカルエリアとかも歩き回ってきた。
町の作りを見て、人の流れを見て、どんなお店があるのかを観察して、路上やってるとその町のことに結構詳しくなれます。
今日はバスカー目線じゃなくて旅行者目線でシンガポールのザ・観光を楽しもう!!
朝昼ご飯は大好きなユーミエン。
バスに乗って街に出て、そこから電車に乗り換えてやってきたのはハーバーフロント。
これでもかってくらい人工的に整備されたハーバーの前はなかなか綺麗な海になっており、その海の向こうに見える人工物極まりない島、あれがセントーサ島だ。
ユニバーサルスタジオやビーチなんかがあって島自体がテーマパークになっている、シンガポールを代表する観光地のひとつ。
なんだけど、俺からしたらもうユニバーサルスタジオとかビーチとかなんかより、あの思い出しかないですね。
小林イグゾーが全財産の250ドルを持って殴り込みをかけ、ルーレット赤黒全額賭け2回勝負で1000ドルをもぎ取った伝説の島です。
いやぁ、あれは痺れた。
あれを目の前で見られたのは前回の旅中でもかなり大きな出来事だった。
イグゾーの旅は出会った人たち全ての記憶に杭を打ち込むような強烈なもんだった。
本当にこれ以上ないくらい太く短い旅だったなぁ。
俺はあんなすげぇことはできんから、今も堅実に旅してる。
前回の旅はそれなりに無茶してたけど、それでもイグゾーに言わせたら、金丸さんって意外と石橋叩いて渡るタイプですよね、だもんな。
でもおかけで今も旅を続けられてるし、カンちゃんとも出会えたし、それにイグゾーにも出会えたし、俺は俺の旅のやり方に自信を持ってる。
このスタイルのままいこう。
宮崎牛セット、1人8700円…………
まぁミヤチク行ったら宮崎でもそんなもんか。
クリスマスとニューイヤーの飾り付けが終わったかと思ったらすぐにチャイニーズニューイヤーのムードに。
中国の旧正月は2月の16日、17日。
中華系が75パーセントを占めるシンガポールなので、盛大にチャイニーズニューイヤーをお祝いするんだそう。
新正月の盛り上がりは外国人向けのものだったけど、今度はもっともっと伝統的な盛り上がりが見られるんだろうなぁ。
ほぼ2年前、この旅の最初にシンガポールに来た時、ちょうどチャイニーズニューイヤーが終わった時期だったので、その名残もあって中国の赤いお年玉袋がギターケースに入ったりしたもんだった。
今回もまた直前でシンガポールを離れることになるのでまたニアミスになる。
でも今年、俺たちがその時期にいるのは本場、中国。
うー、めっちゃ楽しみだ。
ちょろっとショッピングモールの中でプラプラして遊び、それから歩いてセントーサ島に渡る。
モノレールが頭上を音もなく進み、通路にはトラベレーターが設置され、とにかく島全体が開発されていて、これはこれで変にアドベンチャー感がある。
睨みが怖い。
島の中は相変わらずの超人工的なテーマパークで、お土産物屋さんやレストランがうなるほどあちこちに散らばっていて、不思議な形のモニュメントや奇抜な建物が入り乱れて、とにかくめっちゃ観光地だ。
日本人もめっちゃ多い。
普段俺たちがローカルなとこばっかり行ってるから会わないだけで、やっぱりシンガポールは日本人観光客の多い国なんだよなぁ。
水中トンネルのある水族館、2000羽の蝶がいる昆虫館、カールスバーグスカイタワーっていう110メートルの高度まで上昇する絶叫アトラクション、博物館、蝋人形館。
ピンクのイルカのショー、イルカにタッチできるアトラクション、さらには第二次世界大戦で実際に使用された砦、
極めつけは夜になったらレーザー光線、噴水、花火のショー。
死ぬほど盛りだくさんのアトラクションがあるこのセントーサ島。
しかしもちろんほぼ全てかなりの入場料がかかるし、俺もカンちゃんもそんなに興味を惹かれるものがないので、何をするわけでもなくプラプラと歩き回る。
ただのトリックアート館ですら25ドルもする。2100円。
「セントーサ来たはいいけど何しようねー。」
「そうだねー。何しようねー。でもこうやって歩くだけでも楽しいよー。」
「まぁねー。久しぶりのデートは楽しいなぁ。あ、あれ?どうして僕はここにいるんだろう?」
こ、ここは小林イグゾーがあの伝説を生み出した場所じゃないですか…………
いつの間にここに来てしまったんだろう…………
ま、まぁ入場料も無料だしせっかくだからちょっと中覗いてみようよとチェックゲートへ。
パスポートをなかなか厳重にチェックされ、ゲートをくぐる。
そうして中に入ると、一気にスーパーラグジュアリーな世界に変貌。
おおお、久しぶりだな、カジノの中。
キラキラと輝く全ての装飾、凝りまくった内装、広大なホール内には無数の台がどこまでも並んでいて、カッコいいディーラーさんがチップを配ったりカードをめくったりしている。
でも中でギャンブルをしているのは、いたってどこにでもいるようなオッさんオバさんたち。
チャイナタウンのホーカーで麺食べてそうな中華系の人たちが軽装でチップを並べている。
まぁそんな見た目でもみんなめっちゃお金持ってるんだろうけど…………
俺たちこの中でトップ5に入るくらい貧しい自信がある…………
「い、いやぁ、神田さんすごいですなぁ。きらびやかですなぁ。田舎モンからしたら異世界ですなぁ。美々津のテトラポットが懐かしいです。」
「ば、場違い感がすごいですねぇ。河内長野の石川の河原が懐かしいです。」
「えーっと、このコーヒーはおいくらですか?ぬへぇ!!む、無料!!?コーヒーがタダ!!信じられない!!カンちゃん!!無料だって!!」
「しくじった!!空のペットボトル持ってきときゃ良かった!!」
2人で信じられないくらいキョドりながら歩き回っていると、ルーレットの台を見つけた。
イグゾーがやったのはモニター画面上で賭けるデジタルルーレットだったけど、今目の前で盛り上がってるのはディーラーさんが玉を放り込むリアルなやつ。
後ろのほうで覗いてみる。
みんな手に持ったチップをババババッ!!!とテーブルの上の数字に賭けていく。
ゼロから36までの数字があり、他にも赤黒、1~18内、19~36内などなど、いろんな賭けかたがある。
みんなチップのコインをその数字の上に並べ、中には数字の枠の上にふたつの数字にまたぐように置く人もいる。
これはどっちに来ても当たりという賭けかただけど、もちろん賭け率は低くなる。
見ていると、どうやら数字1発賭けで35倍になるという感じみたいだ。
みんなズバアアアア!!っと数字1点賭けで15ヶ所くらい置きまくっているので、もしそのうちのひとつでも当たっていれば、35倍なので19枚は儲かるということになる。
そんな具合でみんながテーブルの上に賭けまくっているので、マットの上はコインまみれ。
こりゃ何かしら当たりそうなもんだ。
でも見ていると、マジでなかなかの確率でマット上の何も置かれていない、誰も賭けていない数字に玉が入ったりしてくる。
膨大な数のチップがディーラーに吸い取られていく。
こんなことあるか?ってくらいピンポイントに誰も賭けていない数字に玉が落ちる。
年季の入ったベテランディーラーともなると、狙った数字に玉を落とすことができるようになるというけど、そう思ってしまうくらいだ。
でももちろんいつもディーラー総取り、というわけではなく、数字1発5枚賭けというところにも落ちたりするので、そうなると賭けた人は175枚ゲット。
あれがいくらのチップかわからないけど、相当な儲けだ。
なんだか見ていたらシンプルで分かりやすくて、ちょっとやってみたい気になってきた。
「カンちゃん、ちょっとやってみる?」
「えええぇぇ、怖いいいいい。」
「まぁ20ドルだけにしてさ、負けても笑えるくらいの金額だったらいいんじゃない?イグゾーみたいに今からマリーナベイサンズの屋上から翼を下さいを歌いながら鳥になります、なんていう状況にならない程度に。」
「まぁ20ドルくらいならね…………やってみる?あああああ、でも20ドルあったら美味しいラクサが4杯も食べられるし…………」
「よし!!やってみよう!!イグゾーもここで勝ったんだし!!」
というわけで横のテーブルでディーラーさんに20ドルを渡す。
ドキドキドキドキ…………
いやぁ、もしこれで数字1発が当たってしまったらすぐに100ドルくらい稼げてしまうんじゃないか?
いやぁ!!楽しみ!!
と思ったらチップを2枚だけ渡される。
え?2枚?
そう、まさかの2枚。
ええええ!!!これ1枚10ドルチップなの!?!?
ってことはさっき1回に15枚とか賭けてた人って150ドルもやらかしてたの!?!?
「か、カンちゃん!!!なにこれショボいにもほどがある!!!この場所でチップ2枚だけ握りしめてドキドキしてるのが貧民すぎて恥ずかしい!!!」
「わああああ!!!このまま換金して20ドル返してもらおう!!!」
めっちゃビビりながらも、とにかくもうチップにしてしまったんだからここで引くわけにはいかない。
ふうううううう………………落ち着け、落ち着くんだ文武…………
今までも色んな修羅場をくぐり抜けてきたじゃないか。
ここで選択を間違ったら死ぬ、みたいな場面をいくつも乗り越えてきたじゃないか。
こんなたかが20ドルくらいなんてことないさ、命までとられるわけじゃない!!!!
よし!!!やってやろうじゃないか!!!20ドルあったらゆまちゃんの動画いっぱい見られるけど!!!!
いやあああああああ!!!!ゆまちゃあああああああああんんんんんん!!!!!
クソキョドりながら各テーブルを回り、ベテランディーラーを避けて普通っぽいディーラーさんを探していく!!
女の人はなんか怖そうだから、男の人、それも優しそうな、道を尋ねたらすぐ教えてくれそうな感じの人を見定める!!!
そして1人のお兄さんに狙いを定め、そこで何回かルーレットが回るのを監視!!!!
別にそこで何かわかるわけでもないけど監視!!!!
ギャンブルで世界6周したのぶきさん!!!なんかコツ教えてください!!!!
「よ、よし、カンちゃん!!先にいっちゃって下さい!!10ドルずつ赤黒に賭けよう!!!」
「えええ!!怖い!!!10ドルあったらアクセサリーパーツ色々買えるのに!!!」
「大丈夫!!自分を信じて!!なにひとつ根拠ないけど!!」
少し離れたところでめっちゃ不思議な動きをしながらヒソヒソと作戦を立ててる俺とカンちゃん!!!
田舎者全開!!!
とりあえずディーラーさんは狙ったところに玉を落とせる前提なので、玉を放ってからが勝負。
ルーレットは玉を盤に放ってから5秒くらいはまだ賭ける時間が設けられている。
その間に賭ければ、ディーラーさんでもコントロールできないはず!!!!
よし!!!カンちゃんいくんだ!!!!!
不思議な動きでテーブルにそろりそろりと近づいていき、何食わぬ顔で赤のところにチップを置いてタタタッ!っと逃げ帰ってくるカンちゃん!!!
赤!!!!
カンちゃんが賭けたのは赤!!!!
玉がゆっくりとスピードを落とし、そして盤に落ちる!!!
カランコロン…………
カランコロン…………
玉が入ったのは………………
赤!!!!!!!
顔が長州力を超えるカンちゃん!!!!
そしてテーブルに置かれた2枚のチップを、猿の子供がサツマイモ取るみたいにシュバッと取って逃げてくるカンちゃん!!!!
「ふ、ふふふ、ふふ、フミ君!!!当たった!!!当たったよ!!!」
「ヤッバ、ヤッバイ、ラクサが2個食べられるやんヤッバ。」
たかが2分の1が当たっただけで世界の頂点に立ったかのように喜ぶ2人。
しかしここでは終わらん!!!
「神田さん!!!…………僕も行ってまいります!!!」
「フミ君頑張って!!どっちに賭けるの!?!?」
「男は黙ってクロマティ!!!」
そして10ドルチップを黒にタッチダウン!!!!
シュウウウウウウ……と回っているボール!!!
どっちだ、どっちだ!!!!
頼む!!!!!
そして玉が落ちた!!!!
入ったのは!!!!!
黒………………
顔がライオネルリッチーを超えるカンちゃん。
まるで何か悪いことをした人かのように4枚のチップを握りしめてソッコーで換金所に向かい、40ドルをゲットしてカジノを脱出。
「か、カンちゃん!!一瞬で20ドルゲットしてしまった!!!」
「すごいー!!!カジノすごいー!!晩ご飯のグレードがアップしたね!!」
いやー、カジノって本当ドキドキするわぁ…………
あそこで全財産を2回連続イケるイグゾーはマジで度を超えた天才だわ…………
俺にはとてもじゃないけどあんなことできん。
でも小さくても20ドルゲットできて良かったー。
とりあえず浮かれて手乗せマーライオン。
乗ってる感、ビビるほどない。
まだビーチにも行ってないのにすでにセントーサ死ぬほど大満足。
20ドル、1700円を手に入れてホクホクした気持ちでまた歩いてシンガポール本島に戻り、そこから電車に乗ってやって来たのはベイフロントの駅。
マリーナベイサンズのちょうど裏手に当たるんこの場所にもシンガポールを代表する観光地がある。
それがシンガポール川へと繋がる湾沿いに作られたガーデンズバイザベイ。
ものすごく巨大な国立公園になっており、ウォータフロントの近代的な建造物群と広大な植物園が整備され、近未来国家シンガポールが世界に発信する文明と自然の調和が試みられている。
そんな緑地の中、外灯が散らばる静かな歩道を歩いていく。
薄暗い森の中、とても心地のいい散歩コース。
すると、いきなり何か巨大なライトアップされたものが見えてきた。
おおお、なんかすげえぞ。
あれが有名なガーデンズバイザベイのスーパーツリーだ。
マリーナベイサンズの巨大な建物を背に橋を渡っていくと、写真でよく見たことのあるあの風景があった。
不思議な形をした巨大なモニュメントが空に向かってそそり立っており、それがライトアップされ、ゆっくりと色を変えながらたたずんでいる。
これがスーパーツリーだ。
よく見るとモニュメントの外周は植物でビッシリと覆われており、どうやらこれは垂直型の植物園というものなんだそう。
こんな発想とデザインをする人って本当スゲェよなぁ。
敷地の中にはそのスーパーツリーがあちこちに散らばっており、まるでSF映画に出てくる違う惑星の風景みたいだ。
スーパーツリーの背後にはこれまた宇宙船みたいな巨大なマリーナベイサンズがそびえ、マジで現実味のない光景を作り出している。
そんなガーデンの中、たくさんの人がスーパーツリーの足元に寝転がっている。
俺たちもそれに混じって寝転がり、上を見上げる。
ライトアップされた垂直の植物が夜空に向かってのび、不思議な感覚だ。
遠近感がおかしくなる。
夜のシンガポールは気温もちょうどよく、コンクリートの地面が生暖かくて気持ちいい。
カンちゃんと手を繋いで夜空を見上げる。
夜空すらも人工的に見えてくる。
あー、ここシンガポールなんだなぁ。
2人の旅ももう残りわずか。
今回の旅中に、あとどれくらい一生忘れられない素敵な思い出を作れるだろう。
きっと今日もその中のひとつになると思える。
毎日毎日を大事に過ごそう。
いい1日だったな。
シンガポール、普通に観光するだけでも結構楽しいところだ。