こんにちは!神田です。
最近、いろんなことのマッチングサイトがばんばん増えてますね。
需要と供給を考えて、どちらにとってもお得なマッチング。
これらがどんどん増えていけばいろんな企業が手数料をとって今までやっていたものが需要がなくなっていって、
すべてネット上でやりとりが済む時代がくるんだろうなー。
便利なような、でもさみしいような。
おわり
2017年10月17日(火曜日)
【オーストリア】 ザンクトアントン ~ ザルツブルク
今日もすごく天気がいい。
真っ青な空に荒々しい岩山がそびえ、寝起きでこんな風景を見るとコンピューターグラフィックみたいに現実味がない。
抜けるような空は、逆に底がないように感じられて少し怖い。
昨日よりは気分もマシになってる。
これは俺の旅だ。
誰かにさせていただいてる旅じゃない。
優しい人や助けてくれた人に俺たちがどう感謝したのか、どんなお礼をしたのか、どんな関係を築いたのか、それは俺たちが知ってればいいこと。
誰かの評価をあおぐようなことじゃない。
車のエンジンをかけてゆっくり走った。
朝のうちは太陽の角度が低くて山が影になっていたけど、やがて頭上に太陽が昇ってからは日差しがあたたかく谷を照らしだす。
紅葉のセーターを着た山々、その頂きには雪が積もっている。
送電線が大自然の中をのびて、鉄塔が立ち尽くしている。
寂しげな鉄塔。
いつか錆びついて、バラバラにされてしまうのに、物言わず立ち尽くしている。
農村に散らばる牛がじーっとこっちを見ていた。
イムスト、インスブルック、シュバーツ、ミッタージル、
チロルの山々をひたすら駆け抜けていく。
もうこの旅でチロルに戻ってくることはない。
可愛らしいアルプスの民家も、壮大な山々も、これで見納めかと思うと少し寂しかった。
もう2度と来ない場所、じゃないというのは慰めでもある。
きっと、オーストリアにはいつかまた遊びに来ると思う。
その時に色んなことを思い出せるだろうな。
あぁ、ディープな中東とかまた行ってみたいな。
心が刺激を欲してるな。
ひたすらに走り続け、やっとのことでザルツブルクまで来ることができた。
チロルの端から端まで一気に走り抜けたぞ。
さすがに疲れた…………
「このままザルツブルクでアジア屋さんに行って色々お買い物しようよ。」
「あ、そうだね、カンちゃんナイスアイデア!!ついでに町歩きもしようか。」
「うん!!ザルツブルク、1年ぶりだね。去年来た時は結婚式のすぐ後だったね。」
久しぶりのザルツブルクはさすがの都会で、建物も車もすごく多くて駐車場も結構高い。
だいたいどこの路面駐車場も1時間1.5ユーロ、200円で3時間マックス。
高いし面倒くさい。
でも中心部から1キロほど離れた住宅地まで行くと、3時間マックスではあるけど無料エリアになった。
ここの場合、3時間ルールが適用されるのは8時~18時。それ以降は止めっぱなしではオーケー。
今すでに17時なのでもう朝まで止められるって寸法だ。
車を止めたらのんびり歩いて町に向かった。
まずやってきたのはアジア食品屋さん。
ここが多分ザルツブルクで1番大きなお店じゃないかな。
品揃えはまぁまぁ良い感じだし、辛ラーメンが90セント、118円ってのがありがたい。
この前インスブルックのアジア食品屋さんで見たときは1.3ユーロだったもんな。170円。
やっぱ都会のお店は価格競争があるから安い。
ウィーンのアジア食品屋さんってめっちゃ安いもんな。
大好きな焼きそばがなかったのは残念だったけど、お店のおじさんも感じよかったし、ザルツブルクに住んでたら通ってるだろうなー。
お買い物袋をぶら下げてザルツブルクの町を歩いた。
夕焼けに照らされたザルツァハ川に教会の塔がシルエットを浮かび上がらせている。
童話の絵本、その最後のページになっていそうな寂しげなヨーロッパの風景にため息が出る。
なんて美しい夕焼けだ。
ザルツァハ川にかかる歩行者専用橋には、カップルたちの愛を込めた南京錠が無数に取り付けられている。
その橋のちょうど真ん中で、ウクレレを持ったお兄さんがポロンポロンと演奏してバスキングしていた。
観光客まみれの橋の上、みんな夕陽の写真に夢中になっている中、兄さんが優しくウクレレを鳴らす。
そして橋のたもとにはクラリネットを吹いてるおじさんもいた。
なんだ、ザルツブルクもちょくちょく路上ミュージシャンいるんだな。
旧市街の中のあのど観光エリアはまず間違いなく禁止だろうけど、外のほうではみんなやってるみたい。
どちらもそんなに気合いの入ったパフォーマーではないけど、おそらくローカルの人だろう。
ならもしかしたらやれるかもな。
またどっかのタイミングで来られたらやってみよう。
ザルツブルクで路上だなんて結構憧れる。
なんせモーツァルトが生まれた町だ。
「あ、ここでお父さんお母さんと3人で中華食べたんだよ。ヨーロッパのご飯に疲れてたから2人とも喜んでねー。」
「あ、ここの小さなお店でタイご飯食べたよね。カレー美味しかったな。」
ザルツブルクの町中を歩いていると、去年の思い出が蘇ってくる。
去年の11月。
結婚式を終え、俺は俺の両親と、カンちゃんはカンちゃんと両親とオーストリアの中を別々に5日間ほど旅行した。
結婚してすぐに離れ離れになったわけだけど、両親と外国を旅行することなんてなかなかないので、この時は親子水入らずの時間を楽しむことにしたんだよな。
親を連れて外国を旅行だなんて、これが旅最初のロシアのころだったら、お店でビールも買えなかったほど情けないビビりだったけど、今ではだいたいのことはできる。
旅ばっかりしてたくさん親に迷惑かけてきた俺だけど、この時ばかりはその経験が役立って、胸を張って2人をガイドすることができてすごく嬉しかった。
日本から遠く離れたヨーロッパを2人に楽しんでもらえて、あの時は本当に旅してきてよかったって思えたなぁ。
その後、お互いの両親が日本に帰り、離れ離れになっていたカンちゃんと合流したのがこのザルツブルク。
そう思うと、結婚後に初めて一緒に来たのがこのザルツブルクなので、俺たちにとったら新婚旅行みたいなもんなのかな。
美しい町並み、ホーエンザルツブルグ城、荘厳な大聖堂、
こんなヨーロッパ屈指の歴史ある美しい町を、ついでに散歩していこうかって感じで歩けている今の状況がすごく嬉しかった。
改めて来てみると町が体に馴染んで、とても親近感が湧いた。
いい町だな。
ただの観光地ではない生活の匂いを、やっと嗅ぐことができた気がする。
オーストリアはもうだいたいほとんどのところに行ったと思えるけど、都会はまだまだ奥が深い。
「結婚してもうすぐ1年なんだなー。」
「ねー。出会った時は考えてもなかったなぁ。あそこからしたらすごいことだよね。」
「ねー。短い間だけど色々あったね。」
手をつないでザルツブルクの町を歩いた。
もうずいぶん日が短くなった。