スポンサーリンク 宮崎人にプロバンス行ったことある?って聞いたらダメです 2017/7/16 2017/06/26~ フランス, ■彼女と世界二周目■ 2017年6月28日(水曜日)【フランス】 ドラグニャン ~エクサンプロヴァンス蝉の声で目が覚めた。ここはフランス内陸部の田舎。農地の中の一本道にあるパーキングスペース。いつものように車内がサウナになって、ドアを蹴っ飛ばして開けて……………あれ?そうでもない。というかむしろ涼しくて寝袋をかぶって寝ていた。あれ?なんでこんなに涼しいんだ?イタリアから昨日までずっと死ぬほど暑くて、カンちゃんにいたっては軽く熱中症みたいなことになってたのに。なんでだろ。フランスの内陸部に入ったからなのか、それともただ今日がそういう天気なだけなのか。いずれにしても、木漏れ日がきらめく爽やかな朝が心を落ち着かせてくれた。久しぶりに汗をかかないで起きることができたな。車から出ると、秋口みたいな風がふわっと吹いて、いろんな記憶がかすかにちらつく。すごく寂しげで、雄弁で、特殊な風だった。ゆうべ結構走ったおかげで、今日最初の町にはすぐに着いた。内陸部にあるドラグニャンという町だ。このあたりはフランスとはいっても、まだ地中海エリアになるはずだから、おそらくシエスタの範囲だと思う。ならば午前中にお昼まで路上して、それから2時間くらい走り、また夕方あたりにどこかの町で路上をする、という流れがベスト。1日に移動しながら2ヶ所の町で路上するなんて忙しくてたまらないけど、パリでの約束に間に合わせようと思ったらチンタラしてる暇はない。走って、路上して、また走って、また路上して、その隙間で日記書いて、さらにその隙間でブログをアップして、ゆまちゃん見て、また走る。まぁなんとかなるか!!!今日もちょっと不安ながら町外れの住宅地のほうで地元の車に混じって路駐し、ドラグニャンの中心部にやってきた。ドラグニャンは山の中のほんの小さな田舎の町で、誰からも忘れ去られたようなひなびた雰囲気だった。隠れ里のような、地方の田舎町。それでも中心部にはささやかなホコ天のショッピングストリートがあり、お店もちゃんと並んでいる。フランスも結構地方都市が元気みたい。これならどこでもやっていけそうだ。とりあえずカフェで朝のカプチーノ。小さなカプチーノが3.2ユーロもしてビビった。410円。イタリアでは1.5ユーロとかだったのに…………イタリアのカフェ、安かったよなぁ。そして教会広場から横にのびるホコ天の一角に陣取ってギターを抱える。ちらほらと歩いている人たちが、なんだなんだ?とこっちを見てくる。うーん、多分ここで路上やる日本人、俺が初めてだと思う。なんだろ、高鍋町でケニア人が路上やるような感じかな。そりゃ初めてだわ。町民もそりゃビビるわ。というわけでのんびりギターを通りに響かせた。最初はみんな、なんだこの謎の東洋人は?って感じだったけど、最初の人がコインを入れてくれてからはどんどんみんな声をかけてくれ、向かいの洋服屋さんの兄さんも店から出てきてCDを買ってくれた。「どうしてこの町を選んだんだい!?すごいよ!!お昼になったらお店が閉まって人がいなくなるんだけど、15時くらいからまた出てくるから、その時はウチの前でやってくれていいからね!!」めっちゃフレンドリーで優しい兄さんは英語が堪能だった。僕も旅が好きなんだと言ってくれる兄さん。英語が喋れる人と会えたので、ここぞとばかりにいろんな質問をさせてもらった。気になっていたパーキング事情だけど、白い点線のスペースは基本無料なんだそう。おお、それ助かるな。ただPAYANTって書かれたところは全部有料。うん、それだったら分かりやすい。他にも細かいルールの看板が出ているはずなので気をつけるべし。フランス人って英語を喋れてもあえてフランス語しか喋らないプライドの高い国民ってイメージだけど、そんなこと全然ない。みんなものすごく優しくて、外国人である俺たちを気遣って、迎え入れてくれている。うわぁ、フランス人めっちゃいいやん。印象最高だよ。カンちゃんもフランス人大好き!!って言ってる。イタリア人ほどは懐っこくないけど、みんな外国人とのコミュニケーションを楽しんでくれている。あぁ、このちょうどいい距離感と安心感が本当に居心地がいい。フランス好きだわー……………順調に歌っていると、少しして風がでてきて、雨がぱらつき始めた。まだこれくらいの小雨ならなんとかやれるかなーと続行していたら、あっという間に雨粒が大きくなり、土砂降り雨が石畳を叩き始めた。うぎゃああああ!!!早く避難してー!!!慌ててギターを抱えて軒下に逃げ込んだ。風が強くて横殴りで吹き込んできて、まるで嵐みたいだ。うわぁ、イタリアの1ヶ月間、雨どころか曇りの日もほとんどなかったよなぁ。ほぼ毎日快晴で、雨の心配なんか全然せずに路上ができてたから、この軒下から空を見上げる感じが懐かしい。芸人殺すにゃ刃物はいらぬ。また天気予報を気にしていかないとな。洋服屋さんの兄さんに挨拶して、濡れながら車に戻った。冷たい風が濡れた体に吹いて結構寒くて、車の中で暖房をかけた。マジか暖房って。あの毎日快晴で灼熱だったイタリアはどこに行ったんだ?まだ6月だってのに、もう夏が終わってしまったみたいだ。ドラグニャンを出て次の町を目指したんだけど、なにやら地図を見るとこの辺りの町の名前に見覚えのある言葉がくっついているのに気づいた。エクサンプロバンス、サロンドプロバンス、サンレミドプロバンス、ちょ、ビビるー。下ネタやんー。え?なんで下ネタかって?これもう宮崎人だからしょうがないんです。宮崎人にとって、プロバンス=エッチなんです。きゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!プロバンスの風行ったことないのにプロバンス来てしまったああああああああああああああああああああああああああああばばばばばばばばばばばばばば!!!!!!!!!!!宮崎の人間ならみんな知ってると思いますけど、宮崎市内に流れる大淀川の橋のたもとにプロバンスの風っていうラブホテルがあるんですよ。これがめっちゃデカい看板を掲げてるもんだから、大淀川の橋を渡ってると必ず目に入る。なので宮崎の人間はプロバンスって聞いても、え?ラブホ行きたいの?行く行く!!ってなります。プロバンスの風、行ったことなし!!!行ったことないのに、ここってプロバンスなの?プロバンス地方ってことなの?プロバンスってフランス南部の内陸部にある静かな田舎の地方のことだよ、って宮崎の人間に言ったらキレられますか?田舎モン馬鹿にしてんのかこの野郎!!!プロバンスって言ったら宮崎市にあるラブホに決まってるだろ!!何がフランスだコノヤロウ気取ってんじゃねぇぞチキン南蛮食べに行こ。ってなります。うわー、マジでビビるー。ここがあの本物のプロバンスだなんてビビるー。ていうかプロバンスって何があるんだろ?何があるかなんてひとつも知らないけど、さっきまでの土砂降りが次第に弱くなり、止んだかと思うとあっという間に晴れ間がのぞき出した。窓を開けると冷たい風が吹き込み、濡れた服を乾かしてくれる。田舎の一本道。木々のトンネルで木漏れ日がきらめく。ブドウ畑が広がり、鮮やかな緑がどこまでも整然と並んでいる。心が解き放たれるように軽くなっているのを感じた。なんだろう、この故郷感は。何気ない田舎の風景と涼しい気候が、どうしても感情をなでてくる。とても不思議な感じだ。麦畑が波打つと風が姿を現す。これが本物のプロバンスの風だ。しばらくしてエクサンプロバンスという町に入った。時間は16時。よし、ちょうどいいくらいだ。車を止めてすぐに中心部に向かうと、とても気持ちのいい大通りがあって、街路樹が風でザワザワと音を立てる中で人々が歩いていた。うわー、なんだこれ、なんかすっごい胸にくる。なんてことないヨーロッパの風景なのに、どうしてこんなに感動するんだろ。久しぶりの涼しい風が記憶を蘇らせてるのもある。前回の孤独だったヨーロッパ旅の風景が頭にこびりついているから、アレを思い出すとどうしても感傷的になってしまう。何もわからずヨーロッパの片隅をさまよっていたあの時の風景、それが何気ないささやかな風景であればあるほどに、ノスタルジックに迫ってくる。カンちゃんと一緒に路面にあったテイクアウトのピザ屋さんでピザスライスを買って食べた。お店の向かいに座って食べてる俺たちをお婆ちゃんがニコニコしながら見ている。プロバンスいいなぁ。めっちゃいいなぁ。ケバブは高いけど。ケバブは基本3.5ユーロ!!町の中も本当に素晴らしかった。車の入れないホコ天の路地がアミダみたいに張り巡らされていて、ちょっとした迷路みたいだ。どこの通りも綺麗で、品があって、それでいて地方都市の親しみがあって、嬉しくてたまらなくなる。人もすごくたくさん歩いているし、路地の道幅もいい感じだし、こういう町こそ俺のスタイルにバッチリ。生音が似合う町だ。というわけで早速ホコ天の交差点の角で植木鉢に腰かけ、ゆっくりと歌った。あー、楽しい。そんなにチップは入らない。でもこの美しい町で、涼しい風に吹かれながら汗をかかずに歌えていることが心底嬉しい。俺路上好きだよなぁってしみじみ思えた。そう思わせてくれる町に、地方に出会えたことが最高に幸せだった。プロバンス、めっちゃ最高だよ。やっぱりフランスにはフレンチブルが多い。向こうから謎の人が迫ってくる。「ワオ!!世界を旅してるのかい!!めっちゃクールだよ!!」通りかかった1人の兄さんが俺の路上看板を見て、わかりやすく目をひんむき、そして溢れるような笑顔になって声をかけてきてくれた。「すごい!!めっちゃイカしてるよ!!あの、もしよかったら家からギターとってくるから一緒に弾いてもいいかい!?」「モチのロンでござるのすけ!!」そう答えるとすかさず走って向こうに消えていった兄さん。すげぇ純粋な感じの人やな。5分くらいで兄さんは戻ってきて、それから数曲セッションした。いい感じのリードを合わせてくれ、とても楽しい時間だった。ピュアな彼の名前はグーティ。最後にピンクフロイドのwish you were hereをやってハイファイブで今日の路上は終了。あがりはドラグニャン1時間、エクサンプロバンス1時間半で計75ユーロ、9700円。「車で回ってるの!?すごい!!よし!!もし良かったらウチにシャワー浴びに来なよ!!ご飯もなんか作るし、泊まっていってもいいよ!!」本当は先を急がないといけないし、日記やブログ作業をやらないといけないところなんだけど、せっかくの縁を無駄にしたらいけない。グーティのお言葉に甘えてシャワーを浴びさせてもらうことにした。グーティの家はひとり暮らしのアパートで、小ぢんまりしてるけど1人だったら充分な大きさだった。シャワーを浴びさせてもらってる間にグーティが作ってくれたのは豆を使ったご飯。「豪華な食事じゃないけど、これがフランスのスチューデントフードだよ!!」レンズ豆と玉ねぎを煮たもの、それにご飯を添えたベジタリアンプレート。スチューデントフードってことはお金のない大学生がお腹を膨らませるために食べるご飯って感じかな。でも美味しい!!グーティありがとう!!!こういうフランスの大衆的なご飯が食べられるなんて嬉しいよ!!このエクサンプロバンスはフランスでも物価の高い町らしく、グーティが暮らしてるこのアパートで550ユーロという家賃。71400円。ガレットはお祝いの時に食べるもので、普段から食べるようなものではないらしい。フランスでスィーツを食べるならケルソンっていうのがオススメとのこと。「フランスらしい食べ物ってなに?」「うーん、そうだなぁ。カエルかなぁ。」「え!?カエル食べるの!?」「そうだよ。フランス人はカエルを食べるからアメリカ人からフロッギーって呼ばれてるんだ。」「へー、そんなんあるんやなぁ。フランス料理って日本でも高いからあんまり食べたことないんだよね。」「フランスでもめっちゃ高いよ!!レストランで外食なんかしたらものすごく高いから月に1回行けたらいいくらいだよ。それに大きなお皿にちょびっとしか乗ってないしね。」色んなフランスの話を聞かせてもらったんだけど、驚いたのはフランス語の独特な発音。ンォンァっていう、日本語の文字ではとても書けないようなものすごい微妙な発音があるらしい。これってドイツ語にもイタリア語にもない、フランス語独自の発音らしい。あれを擬音に出来るのは日本では荒木飛呂彦先生くらいです。すげぇよなぁ…………同じ人間なのにここまで話す言葉がまったく違うんだもんなぁ。今日のうちにあと2時間くらい先に進んでおきたかったところだったけど、結局グーティの家を出たのは23時過ぎ。でも楽しかったからオールオッケー!!フランスで友達ができるなんて嬉しいなぁ。グーティありがとう!!!日本来たら必ず遊びに来てね!!!!車に戻ったらソッコーでエンジンをかけて走り、寝落ち限界まで進んで、そこらへんのスペースに車を止めてビールを飲んだら2秒で気絶。ブログ書く時間なし!!!あー、パリ間に合うかな……………