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スワジランドでマジでアフリカを味わえる



2017年5月14日(日曜日)
【南アフリカ】 エルメロ
~ 【スワジランド】 エズルウィニ





さてさて、今日の目的地はスワジランド。



なにそれ?岡山とかの田舎にある謎のテーマパークの名前?ってくらいなにひとつわからないけど、これはアフリカの国の名前だ。



南アフリカとモザンビークの間にある小さな国。



ネットでいくら調べても大した観光地がほぼ出てこないという切ない国。




そんな中で、スワジランドの伝統的なダンスが見られるテーマパークがあるらしいんだけど、他に行くところないからスワジランドに行った人は必ずそこに行くみたい。



せっかくだから俺たちもそのダンスを見に行ってみよう。













4200円の超快適な宿を出発して、スワジランド方面へと走っていく。













町を出ると周りはどこまでも草の大地だ。


このあたりも標高が高く、伸びやかな高原がうねり、道から太陽と雲が近い。


集落がちらほらと草原に埋もれるように散らばっていて、風が吹きすぎて洗濯物を揺らしている。








すごい風景だな。

レソトも綺麗だったけど、ここも充分天空の王国っぽい。





ていうかケンタッキーのジンジャーチキンが美味しすぎる。





「うっま!!これうっま!!」


「ビビるー、美味すぎるー。」



南アフリカではかなりの頻度でジンジャーチキン食べてます。
















エルメロから1時間ちょいだったかな。


高原の中に取り残されたようにスワジランドの国境が見えてきた。








出入国はいたって簡単。

ひとつも質問されることなく、荷物チェックもなく2秒で通過だ。


お金もかからない。





















国境を越えてスワジランドに入ると、すぐにまた素晴らしい景色が広がった。




うねる山並み、絨毯のような草原、そこに散らばる集落の民家、


背の高い草が風にそよぎ、小さな子供がその草間に見え隠れする。




笑顔の子供たち。

みんなここに暮らしてるんだな。


この草原の中で。











寂しげで、気高くて、景色があんまり綺麗なもんだからちょっとこの辺りを探検してみたくなってきた。


すると道路脇にオールドマインと書いてある看板があったので、そっちに曲がってみた。




メイン通りからはずれ、山側に向かっていく。


道はとても細く、荒れていて、もう何年も観光客なんか来てないんじゃないか?というさびれた道を奥へ奥へと進んでいく。



看板は錆びついて茶色い線が垂れ、破れたフェンスがやぶに埋もれている。

















こんなところになんかあるのか?と疑いながら坂を登っていると、しばらくして道にゲートが現れた。


一応ボロい掘っ建て小屋もあり、警備の人が中から出てきた。


あ、ちゃんと管理されてるところなんだな。


ングウェニャ鉱山跡というところみたいだ。




「ハロー、ハウアーユー、ここって入場料かかるんですか?」



「アイムファイーン、そうだよー、1人30ランドだよー。」



2人で500円かー、別に大したものがあるわけでもなさそうだし、お金がかかるなら別にいいかなぁ。


でもこんな田舎の目立たない鉱山跡なんか、秘められた感じがして行ってみたい気もする。




んー、と迷いつつもやっぱりやめときますと引き返すことにした。


今日の目的地はあくまで伝統ダンスだ。


そっちを楽しもう。




「んー、せっかくここまで来てくれたんだし、お金いらないよ。入っていいよ。案内してあげるね。車乗っていい?」



「え!?いいの!?」




まさかの無料。


スタッフのおじさんが1人で管理してるところらしいんだけど、あまりにも暇なので無料で入れてくれるみたい。




「やったー!スワジランドでありがとうってなんて言うんですか?」



「ニアボンガ、ニアボンガだよ。日本ではなんていうの?」



「ありがとうー!!」













おじさんを後ろに乗せて一緒にゲートの奥に進んでいくと、少ししてビジターセンターが現れた。


おじさんが鍵を開けて電気をつけてくれ、どうやら俺たちが今日最初のお客さんみたい。


ていうか昨日も誰かお客さん来たのかなってくらいさびれてる。
























「えー、ここは~~年から~~年まで鉄鉱石が採掘されていた鉱山になりましてー、その産出量は~~~~でー、多くが日本に輸出されておりましたー。」



おじさんが俺たち2人のために流暢に説明をしてくれ、一緒に展示品を見て回った。



ていうかここで採れた鉄の多くが日本に輸出されてたんだ。


いやぁ、たまたま来たけど縁だなぁ。
















これ発破技術が誕生する前の道具。





こいつを岩の隙間に差し込み、水を含ませると、木が膨張して岩を押し広げて亀裂を入れるんだそうだ。


すげぇなぁ。













鉱石、発掘道具、古いエンジン、それに発掘の中で見つかった古代人の生活の跡など、まぁどこにでもある内容の博物館かな。


おじさんは丁寧に全て説明してくれ、それから外も見て回った。




駐車場の前に展望台みたいなところがあり、そこから山を見渡すと地面がグボッとくぼんだ谷になっている。








今でこそ木々が生えて森になっているけど、ここが採掘場所だったみたいだ。


よく見ると山の斜面が段々になっており、それがわかる。



奥のほうまでずーっとこうした人工の谷が続いてるみたいだ。


これがかつての姿。













「2人は結婚してるのかい?」



「してるよ。だから今はハネムーンみたいなものかな。スワジランドの人はハネムーンとかするの?」



「しないね。でも結婚パーティーはすごく盛大にやるんだ。金曜の夜から踊り始めて日曜日の昼までひたすら踊り続けるんだよ。魔除けのためにね。」



すげぇ、めっちゃ踊りまくりやな。


そう考えたら日本の結婚式なんてさっぱりしたものなんだろうな。


宗教もほとんど絡まないし。






鉱山の様子よりもおじさんとのお話のほうが楽しかったな。


帰り際、おじさんにチップを渡すと、笑顔でアリガトウと言ってくれた。



おじさん、ニアボンガ!!



















「カンちゃん、バリでウェディングの仕事やってたやん。向こうではどんな式するの?」



「バリでもね、バリダンスを踊って魔除けをするんだよ。綺麗なキンキラキンの民族衣装を着て。日本人もたくさんバリ式をやりにくるの。」



「日本人がそのバリスタイルの式を挙げるの?」



「うん、すごく人気やよ。バリの衣装を着てメイクをして王宮でヒンドウーの式をするの。お昼は教会で式をするの。仏教徒だけど。ぐちゃぐちゃなの。」




ふーん、まぁ教会で挙げるのが日本人にとって一般的だったらバリスタイルで挙げようがイスラムスタイルで挙げようが別にこだわることもないよな。


日本人にとって結婚式は神に誓うものではなくてファッションみたいなもんだ。










近くにあったガラス工房があったのでそっちも行ってみた。
















スワジランドはガラス工芸も盛んなのかな。














動物モチーフのガラスがたくさんあっていい感じ。

ちょっと欲しくなったけど、バッグパッカーがガラスなんて1番買ったらいかんやつやな。


すぐ割れる。






これ砂浜に刺して飲むグラス。




欧米人好きそう。






スワジランド、まだ国境を越えたばっかりだってのにいきなり楽しませてくれるなぁ。


伝統ダンスが楽しみだ。








スーパーはめっちゃ先進国。














トイレに無料コンドームはアフリカの日常風景。




スワジランドのHIV感染率は世界屈指。
















車を走らせてムババネの町にやってきた。


木々が多く、高い建物も少ないさびれた田舎町だけど、一応これでも首都だ。


メインストリートもめっちゃ小さい。





日向くらい。いや、日向より小さいかな。




さらにムババネの町には首都だというのに安宿がないという情報なので、前もって調べておいたレジェンドバッグパッカーズに行くことにした。


このレジェンドバッグパッカーズは目当ての伝統ダンスが見られるテーマパークのすぐ近くにあるので、スワジランドでは大人しくここに泊まるのが無難かな。














ムババネの町を抜けて南に15分くらい走り、のどかな田舎風景の中を右手に入っていくと、エズルウィニという町になる。


里山が広がる緑豊かな場所で、まるで婆ちゃんの家か林間学校にでも向かうような雰囲気だ。



今日は冷たい雨がしんしんと降っており、どこかノスタルジックな空気が漂っている。







そんな道をしばらく進んでいき、さらに脇道に入って未舗装の土の上を奥に入っていくと、木々の中に確かに林間学校の施設みたいなレジェンドバッグパッカーズはあった。


おお、なんかワクワクする感じだな。









この辺りはスワジランドで誰もが行くテーマパークの近くなのでゲストハウスも多く、安めの宿もいくつかあるけど、おそらくこのレジェンドバッグパッカーズが1番安い。



値段を聞くとドミトリーが175ランド、1500円。





うーん、やっぱり高いなぁと思ったらキャンプ場もあるみたいで、そっちは90ランドだった。760円。



おお、いいじゃん。



俺たちはすでにケープタウンの宿にテントを寄付してきてるけど、車中泊をすることはできる。



宿の敷地内の安全なところなら車中泊で問題なし。



そっかー、南アフリカはこの戦法でいけばいいんだな。

4000円もするゲストハウスじゃなくて、キャンプ場の中で安く車中泊すればいいんだ。




あ、ちなみにスワジランドも独自の通貨があるけど南アフリカランドが等価が流通しているので両替する必要はなし。

























宿の中はキッチンやバーベキュースペース、オープンテラスなんかがあって、自然に囲まれた森の中の林間学校施設だ。


有名なところなので欧米人いっぱいのパーティー宿にならないかなぁと思っていたんだけど、どうやら今日は誰も泊まっていないらしい。



マジかよ、5月ってそんなに閑散期なのか?



こんな大きな宿なのに俺たちの貸切なんてどんだけ閑散期なんだよ。



でもおかげでリラックスできそうだ。



めっちゃ寒いけど。




スタッフのお姉さんも寒そう。















さぁ、荷物を置いたら早速テーマパークに行こう。


このテーマパークの1番のメインである伝統ダンスは1日2回の開催。



午前は何時か忘れたけど、午後は15時15分スタートだ。


今14時半。

うん、バッチリ。



ていうかこんな雨の中でちゃんとダンス見られるのかな?







テーマパークというから大通り沿いにバーン!とあるのかと思ったら、意外にもかなり山の中にあるみたいで、レジェンドバッグパッカーズからさらに山の奥のほうへと車を走らせた。


山に囲まれた狭いあぜ道で、子供のころの学校帰りを思い出させるような雰囲気だ。




蛇がいたりミミズがいたりして、よく捕まえて遊んでたなぁ。





ただ宮崎と違うのはこれ。





宮崎にワニはおらんです。





こっわ!!




ていうか車がない人はここを歩いて行くんだよな?

危ないしキツイだろうなぁ。


しかもこんな雨の中だったら悲惨なことになりそうだ。

















そんな山の中にゲートが出てきて、ここで入場料を支払う。

1人100ランド、850円。


正式な名前はマンテンガカルチュラルビレッジ。

文化村ってことだ。




ここの見所はみっつ。


この辺りの昔ながらの暮らしが再現された集落。

滝。

そんで伝統ダンスだ。







まぁ結構なめてます。


伝統ダンスっていっても所詮は観光客向けのショー。


ちゃんと現地で特別な日に行われているリアルなものではないです。




そりゃ伝統的なものならショーとして見るんじゃなくて、なるべく現地で本当に行われているものを見たいのが旅人の心情。


でもアフリカでそうした現地のリアルなやつを見に行くのはなかなかハードルが高い。


なので今回はテーマパークのショーで我慢しとこう。





まぁいっても結構ショーも好きなんですけどね。


日本でも秋田でナマハゲの実演が見られる場所や、甲賀にある忍者屋敷など、たくさんの実演モノの博物館に行ってました。



こんな、ザ・観光地って久しぶりだからちょっと楽しみ!!










というわけで再現された集落からいってみよう!!









うん!!閑散!!!



観光客ゼロにもほどがある!!!


雨降りすぎ!!!!
















でも民家の作りは結構面白い!!





草と木の骨組みで作られたドーム型の丸い民家がパラパラと散らばっており、いい感じ。


なんか日本でよく親に連れて行ってもらってた、なんとか弥生村とかなんとか縄文村とか、そんなテーマパークみたい。


ただ日本の再現された弥生村ははるか昔の話だけど、アフリカではまだリアルに人々がこんな家で暮らしているからすごい。









集落が2秒で終わり、それから滝を見に行ったけど、滝もビビるくらいお鈴の滝なので2秒で終了。













ショボ!!!


スワジランドで1番観光客来るところなのにレベル低!!


キッチョムランドのほうが楽しいし!!!








おかげでダンスの時間まで20分も待たないといけないことに。


雨なので車の中でキャンディーをしながら待つ俺たち。


入場料半分くらい返してもらえないでしょうか?






しかししかし、







この後のダンスでキッチョムランド消し飛んだ。










いつもはこの再現された集落の中でダンスが行われるということだったんだけど、雨なのでレストランのある建物のテラスでやるという。


テラスにはちゃんと見学用のベンチがあり、そこに座ると司会の人のダンスの説明が行われる。





お客さんは俺たちと欧米人のご夫婦のみ。


いやぁ、俺たちだけじゃなくてよかった…………




ていうか説明を聞いていると、5~6個のダンスが行われるようでかなり盛りだくさんみたい。

10分くらいのもんかと思ってたんだけど、こりゃ見応えありそうだ。














4人+赤ちゃんという俺たちの前に、どこにいたのかワラワラとたくさんの若い男女が集まってきて隊列を組み始める。


みんなそれぞれに伝統的なコスチュームをまとっており、色鮮やかで綺麗だ。




すると一斉にみんなが歌を歌い始めた。








伸びやかなハリのある声。これにコーラスが混ざり、素晴らしいハーモニーになった。



さらにお囃子というか、歌の間にみんなが各々で甲高い口笛を吹いたり、動物の鳴き声みたいな声をあげたりと、まさにこれぞアフリカっていう音楽がテラスに鳴り響いた。



す、すげぇ!!

これだけでもうすでに圧倒されるほどの素晴らしいさ!!!











そっからはもう鳥肌モンのダンスの連続だった。

































独特な跳ねる太鼓のリズムに合わせて男性の勇壮なダンスが繰り広げられ、女性もまたダイナミックに体全体を使って踊る。


特徴的なのは足の動き。



男性はものすごい勢いで足を振り上げて振り下ろし、テラスの床が割れるんじゃないか?ってくらいの強さでダーン!!と踏みしめる。





女性は踏みしめはしないんだけど、男性よりも高く高く足を振り上げる。

足が顔の後ろに行くくらいだ。





すげぇ!!!


これが実際にこのスワジランドで受け継がれてきた伝統的なダンスなんだよな。



奇跡の1枚。



















歌も、お囃子も、ダンスもどれも素晴らしく、しかも演目が多くて45分も見せてくれる。


一公演を通しての演出もしっかりしているし、ちゃんと訓練されていて、ショーとしてかなりクオリティの高いものだった。


普通にそこらへんの劇場でやってそうなレベル。

ライオンキングのリアル現地版って感じだ。




お客さん参加のコーナーもあって案の定カンちゃん連れて行かれました。

















こんな少人数のお客さんなのにみんな熱のこもったパフォーマンスをしてくれて、本当にカッコよかった。



「めっちゃ良かった。めっちゃ良かった。」



「すごかったー!!カッコ良かったー!!私めっちゃ感動したわー!!!」




カンちゃんも興奮冷めやらない感じ。




客席の前にチップ入れのカゴが置かれていたんだけど、最初は、いやいや、俺たち入場料で100ランドも払ってるし、それがダンスの料金だし、集落も滝もショボかったからすでに充分でしょって思ってた。



でもダンス見てたらこりゃチップ入れるわ。


素晴らしいパフォーマンスに50ランド。


最高。マジでここのダンスはオススメ。













アフリカのイメージっていってパッと頭に浮かぶのって、広大なサバンナ、野生動物たち、そして太鼓のリズムと勇壮なダンス。


これが浮かぶ人が多いと思うけど、まさにそのイメージのまんまだった。



アフリカを旅してきて、まったくこうした現地のダンスに出会えてなかったので、ここで見られたのは本当に良かった。



ザ、アフリカだわ。

すっごいカッコ良かった。



マンテンガカルチュラルビレッジ、大満足。






いやー、このアフリカ残り数日の追い込みでめっちゃアフリカを堪能できてるなぁ。



あー!!本当スワジランド来て良かった!!








ビールも美味しい!!






辛ラーメンも!!





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