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ヒッチハイクのKY活動



2017年3月8日(水曜日)
【ギリシャ】 カラバカ ~ トリカラ








朝、食堂に行くとそこそこのご飯が並んでいた。


焼いてないボソボソのパン、ハムとチーズ、ゆで卵、ジャム、バター、コーヒーとジュース。あとヨーグルト。

これで1人5ユーロ、600円は高い……………




昨日のホテルの朝ごはんが同じ値段でめっちゃクオリティが高かったので残念で仕方ない。




やっぱり朝でも火を通したものが食べたいんだよなぁ。

ソーセージとかベーコンとか、スープとか。


あぁ、日本の朝ごはんが恋しい…………

炊きたてのごはんと塩サバと梅干しとアマタツ。






ていうかゆうべのことなんだけど、買ってきておいたギュロスだけではご飯が足りなくて、なんか軽くつまめるものを作ってもらえないかなとオッちゃんに言いにいったら、サラダとフライドポテトで10ユーロねと言われてソッコーで断って部屋に戻った。


サラダとフライドポテトで10ユーロて。1200円。

いくら宿の周りに何にもないからって足元見すぎやろ。


そもそも10ユーロだったら最初に言ってたママ特製のベストホームメイドディナーと同じ値段やん。

ママのベストフード、どんなんだったんだろ………






まぁオッちゃんは俺たちのことスクーターで迎えに来てくれたり、メテオラまで乗せてってくれたりと色々してくれた優しい人。

ちょっと変わったオーラは出してるけど、まぁ別に害はないので印象も悪くはない。


でもなぁ、チェックアウトの時に例のアレを言われてしまった。



「良かったらブッキングドットコムのサイトにグッドレビューを書いてくれ。日本語でグッドレビューを書いてくれ。頼むよ。」



これって結構冷めるんだよなぁ。

宿泊中に優しかったこととか、ホスピタリティとか、全部ビジネスとしてやってただけだよって言われてるようなもんだもん。


最近本当によくチェックアウトの時にこのグッドレビューを書いてくれよって言われる。


ホテル業界にとってネットのレビューがいかに大事かってのをホテル側もよく理解している。



逆にこの前コトルで泊まった最高の宿ではレビュー要請なんて一言も言われなかった。

みんなフレンドリーでなんでも対応してくれて、すっごくいい宿だった。


結局本当のホスピタリティを持ってる宿ってのはそんなこと言わないし、言わないからこそみんなあそこは最高だったってレビューを書くんだよな。














朝ごはんを食べていると、俺たちの他にもう一組だけ宿泊客がいて、その人たちが車でメテオラまで乗せてってあげようか?と誘ってくれた。


おお、めっちゃ助かる。


誘ってくれたのはカナダから来てるというおばちゃんとその息子さんの親子。

とても柔らかい雰囲気の素敵なお母さんだ。



「メテオラは素晴らしいわよね、私はクリスチャンだからこれまでたくさんのホーリープレイスに行ったけど、ここは別格だわ。」



今日は雨の予報だし、宿のオッちゃんもやめといたほうがいいぞーって言うけどここまで来て行かないなんてもったいなさすぎる。


お言葉に甘えて車に乗せてもらってメテオラに向かった。



















雨のメテオラもまた全然違った雰囲気ですごく綺麗だった。












そびえる岩山に濃い霧が立ち込める様子はあまりにも神秘的で、まるで中国の水墨画みたい。

ヨユーで仙人でも住んでいそうだ。


いや、実際それぞれの修道院にリアル仙人がたくさん住んでるか。













まず最初にやってきたのはヴァルラム修道院。

カナダのママたちも一緒に回る感じになり、4人でのんびり見て回った。













岩をくり抜いた石段を登り、頂上の修道院に上がるんだけど、何回見てもやっぱりすごいロケーションだ。

よくこんなところに建物を作れたよなぁ。








すると修道院の中になにやらめっちゃ大人数のアジア人団体がいたんだけど、日本人のツアー団体だった。

おお、やっぱりメテオラはツアーに組まれるくらい人気のところなんだなぁ。


30人以上のグループで、えー!ここはですねー!この場所はですねー!とガイドさんが大声で説明してる。


し、修道院の中だからもうちょっと静かにしたほうがいいんじゃないかなぁ…………

まぁおかげで俺たちもおこぼれに預かって説明聞けたのでどうもです!


















美しい壁画が描かれた礼拝堂、資材なんかを吊りあげるウィンチ、その中でも1番面白かったのが博物館。


修道院の歴史や昔の写真、美しい装飾が施された巨大な本、見事な刺繍でいろどられた修道士たちの装束など、俗世から隔絶された神秘の品々がたくさん展示されている。

メテオラという特殊な地域性や修道士たちの生活を垣間見られるすごくいい博物館だ。








ちなみに修道院の入場料は3ユーロ、360円。

どの修道院も一律3ユーロなのかな?
















カナダの親子さんたちはこれから別方向の修道院に行くようで、別のところも一緒に行く?と誘ってもらえたんだけどここで2人とは別れてあとは歩いて回ることにした。


優しいママと息子さんにお礼を言って手を振り、カンちゃんとゆっくり歩いた。

周りにはひたすらに絶景が広がり、霧が登ってきては岩山と修道院を隠し、またゆっくりとその向こうから岩山が姿を現す。


すげぇ景色だ。
こりゃドラゴンでも飛んできそうだ。




















メテオラの中で最大の大きさを誇るグランドメテオラ修道院は残念ながら昨日と今日はクローズ。


全部の修道院が同時にオープンしてるのは土日だけみたい。

観光客にとっては不便だけど、ここはもともと祈りの場だ。
修道士たちの修行の邪魔にならないように見学しないとな。



















いやぁ、とにかく絶景半端じゃない!!


壮大な大自然と宗教の神秘がミックスしたこの景観はまさにギリシャの山寺!!

酒田ラーメン食べたい!!


メテオラ大満足!!






































歩いて宿に戻り置かせてもらっていた荷物を受け取ったら、そこからまた歩いて町まで降りた。

朝から10キロ近く歩いて筋肉痛確定になりながら、車道まで出てきてソッコーヒッチハイク開始!!










「イヤッホー!止まってーー!!」



「てめー神田コノヤロウ!!ヒッチハイクなめてんじゃねぇぞ!!ヒッチハイクKY活動始めるぞ!!」



「KY活動ってなにー?」



「なっ!!KY活動を知らないだとおおおおおおおおおお!!!!!世の中の工事現場作業員のみなさんに土下座しろ!!今日の~仕事は辛かった~あとは~焼酎を~あおるだけ~って岡林先生に殴られるぞ!!」



「KY活動ってなにー?」



「危険予知活動のことに決まってるだろう!!はい!!本日の作業における危険ポイントを挙げなさい!!」



「えーっとー……………わかんない。」



「それ!!そこがダメ!!常に自分の周りにどんな危険が潜んでいるかをイメージすること!!そうすることによって危険に近づけないんだよ!!護身完成!!」



「うーん、じゃあ車がハンドル操作を間違えて突っ込んでくる。」



「それでよし!!ではその危険に対する対策をお願いします。」



「えー、そんなこともやるの?うーん、あまり車道に近づきすぎないことかなー。」



「その通り!!よくできました!!」



「じゃあフミ君の番!!どんな危険ポイントがありますか?」



「変なオッさんが止まって変なところに連れて行かれる可能性があります!!」



「ではその対策は?」



「短い交渉の段階でドライバーさんがどういう人かしっかり見極めます!!」



「他にはどんな危険がありますか?」



「車を止める際、車が車道上に止まってしまって事故が起こる可能性があります!!」



「ではその対策は?」



「キチンと車が脇に寄せられるスペースの確保でございます!!よし!!じゃあKY用紙に記入してボードに貼り出しといてね!!それでは今日もゼロ災でご安全に!!」



「ちゃんとそうやってみんな工事現場でお仕事してるやねー、危険な仕事だもんねー。」



「作業の手順と自分の役割 しっかり確認KY活動!!この標語が採用されてゼネコンから甚平と目覚まし時計もらったことがあるでございます!!」



「甚平と目覚まし時計ってなんかリアル!!ご安全に!!止まってえええええ!!」



「辛ラーメン食べたいいいいいい!!!」



「あ!!止まったあああああああ!!!」



2秒で一撃目的地ゲット!!!

よっしゃあああ!!













地元の兄さんとアメリカ系アジア人のカップルに乗せてもらい、15分ほどのドライブでやってきたのはトリカラというめっちゃお腹空く名前の町。


カラバカみたいなど観光地ではなく地元の人が暮らす町なので物価も若干安く、それもあってこのトリカラを拠点にしてメテオラ観光に行く人も多いみたいだ。


ほどよい大きさの地方都市なので、ここに何泊かして路上で稼いでおきたい。


ここのところまったく稼げてないので、相当な勢いでお金が減ってきており、アフリカに行く前にお金尽きるんじゃないのか?というシャレにならない状況!!

にも関わらず毎日贅沢してる俺たち!!


うん!ヒッチハイクじゃなくて人生のKY活動しましょう!!




うわぁ、ビビるくらい危険まみれ…………

















さすがに地元の人に乗せてもらえたおかげで、宿の名前を言うと目の前まで送っていってくれてめっちゃ助かった。

マジでありがとう!!



チェックインしたのはホステルメテオラというところ。


6人ドミトリーで1泊12.5ユーロ、1500円。

このメテオラ周辺の町ではここが最安だ。


宿の中にはメテオラ観光のツアーのチラシがたくさん貼ってあり、ここから観光に行く人が多いんだろうな。


半日ツアーで25ユーロ、3000円ってのがあったけど、車で寺院を回ってくれるんだったら楽そうだ。


宿のスタッフさんもフレンドリーで明るくていい感じだし、ドミトリーのメンバーも気を使って小声で話してくれるような行儀のいいロシア人のカップルだけ。


彼らも仲良く一緒に寝てるので気が楽だ。



















荷物を置いたら早速ギターを持ってトリカラの町に出かけたんだけど、小ぢんまりとしながらもいい感じのホコ天の通りやレストランバーが固まってる飲み屋街なんかがあり、過ごしやすそうだ。


ただ雨が降ってるからか人通りはほとんどない。














でもこれって雨だけじゃなくて、ギリシャのシエスタのせいだろうな。


時間は15時だったんだけど通りのお店はほとんどしまっているし、郵便局の前を通った時に営業時間を見ると7時半から14時半って書いてる。

朝が早い代わりに昼過ぎにはもう締めちゃうみたい。


そんで17時を過ぎてからまた夜にかけて人が通りに出てくるという活動時間なのでなかなか感覚が掴めない。


明日は午前中から路上に出てきてみようかな。






























ぶらぶらと町を散策し、ちょっと宿でネット作業をしたりして、夕方にご飯を買いに出かけた。


表通りに出てきてみると、なにやらいい匂いがあちこちから漂っている。

お肉の香ばしい匂いだ。


すると通りのいたるところにお肉を焼いているお店がわんさかある。





どのお店も同じスタイルで、長い鉄串に肉をぶっ刺したものを炭火の上でクルクル回転させており、脂がジュージューと煙を上げてすごく美味しそうだ。

たくさんの地元の人がお店にやってきてお肉をつついている。


バルカン半島の人って本当お肉好きだよなー。
お肉好きには天国みたいなところだ。







というわけで煙に誘われて思わず食べてみることにした。


チキン?ポーク?と聞かれたのでポークを一人前注文すると、店員のおじさんは慣れた手つきで鉄串を取り上げ、紙の上にゴソリと肉を抜き取った。

それにフライドポテト、さらにレモンを乗せてくれ、これで4ユーロ。

ギリシャの物価で480円は若干高いかなと思ったけど、この肉肉しい感じがたまらん!!



ウキウキしながら宿に戻って、その香ばしいお肉にレモンを絞りかけて口に含むと、もうめっちゃ美味しい!!

ビールが死ぬほど合う!!!!!











美味すぎるー!!と喜んでいると、宿にいたイラン人のアリが話しかけてきた。



「ヘイメーン!!イランには行ったことはあるかい?」



「いやー、ないんだよね。みんなすごく良いところだって言うから行ってみたいんだけど。」



「イランは最高だぜー、みんなフレンドリーで絶対好きになるよ!!」



「アリはお酒は飲むの?」



「モチのロンだぜー!俺はムスリムじゃないからね!!」



「でもイランって厳しいイスラムの国なんじゃない?」



「そうだけど、ムスリムじゃないイラン人だってもちろんいるさー。隠れ酒場なんか行ったら、裏の隠し扉の奥に世界中の酒がストックされたりしてるのさ。まぁムスリムじゃないなんてイランでは口が裂けても言えないけどね。」



「そうなんやねー。」



「イランは厳しいからみんなトルコに遊びに行って羽目をはずすのさ。トルコでイカれたヤツを見かけたらイラン人ってよくあることだよ!!いやー!!ところで俺明日から違う町に行くんだけど、ティンダーで仲良くなった女の子と会うんだよー。マジウキウキだぜイヤッホゥ!!フューチャーワイフかもしれんから健闘を祈っててくれよ!!」




やっぱりドミトリー宿には色んなやつがいて面白いなぁ。

1人だったら迷わずドミトリーだけど、2人で旅してたらドミトリーよりも個室をとったほうが安い場合が結構あるので、そうなるとどうしてもコミュニケーションは減る。

まぁやっぱり個室のほうが気が楽なんだけどね。



あー、ビールが美味しい!!





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