スポンサーリンク バルカン半島にある最強の食べ物とは 2017/2/28 2017/02/15~ クロアチア, ■彼女と世界二周目■ 2017年2月17日(金曜日)【クロアチア】 スプリト朝、目が覚めたら声が天龍源一郎になってた。おお………なんつー声だ………こりゃすげぇ…………トムウェイツ超えてるぞ…………喉の調子が悪いのに昨日無理して歌ったせいだ。部屋の窓から外を見ると、今日も天の恵みである太陽の光がサンサンと降り注いでいる。こんな最高の天気で路上に出ないなんて考えられない。………んだけど、こりゃさすがに無理だ。イギリスから出て久しぶりに路上が楽しくて仕方ないので思いっきり歌いたいところなんだけど、ここはちゃんと1日喉を休ませないと長引いてしまう。今日は我慢しとくか。それにしてもゆうべあまりにも楽しくて、あれからワインを買って部屋で乾杯し、ボトルを空けて夜更かししたことで時間はすでに10時過ぎ。こんなに寝坊して、カンちゃんと抱き合ってベッドでゴロゴロして、外は暖かい太陽のアドリア海、ここは世界遺産の遺跡の町、贅沢極まりない。究極すぎる。おかげでカンちゃんも真っ黒。今日は歌わないことにしたので、ギターを持たずに手ぶらで町に出た。暖かい太陽、ほどよく冷たい風、青空と通りの向こうに見える水平線。ここに住んでる人たち、ハイパー贅沢だな。自分たちがどれほど素晴らしいところに住んでるかみんなわかってるのかな。うん、わかってるわな。俺の町、マジパナい天国ヨロシクってみんな自慢してるはず。子供のころからこの路地裏を駆け回って、暖かいアドリア海の空気に抱かれて、遺跡で遊んで育った子供はどんな素敵な人間になるんだろうって想像してしまう。ほら、通り過ぎる時に目があうと、みんなニコッと笑顔を返してくれる。おじさんおばさんも、みんな可愛らしくて人懐こくて、でも品があって、オシャレだ。クロアチアには、イギリスであまり見なかったセンスのあるオシャレなヨーロピアンがたくさんいる。クロアチアを旅するとき、ユーゴスラビア紛争の悲惨な歴史を避けて通ることはできないけど、それを知らなくても、過去のことにとらわれず、先入観やイメージに振り回されずに、今この穏やかな人たちと触れ合っていたい。さて、バルカンの食べ物といったらこれ。なんと言ってもチェパピ!!前回バルカンを訪れたときに、あまりの美味しさに感動して、未だに俺の中の世界の美味しいものランキングで上位に入る食べ物。ミンチ肉を親指大に焼いたものなんだけど、肉の旨みがめっちゃ凝縮されてて肉汁たっぷりで、本当に美味い。イギリスにいる時からチェパピを食べるのをすごく楽しみにしていたんだよなー!!かなりのボリュームで20クーナ、320円!!いただきまーーブフォ!!!!う、美味すぎる!!な、涙が出てくるほど美味い!!!なんだこれ!!なんでこんなに美味しいんだ!!しかも日本人の口に合う塩分と旨み!!!衝撃で頭が真っ白になるくらい嬉しい!!!これはチェパピサンドで、中に玉ねぎのみじん切りが入っているのがオーソドックスな食べかた。そこにオーロラとチリを混ぜたようなソースをかけてくれ、プラス5クーナ、80円でカッテージチーズをトッピング。具ももちろんなんだけど、このパンが美味い!!ちょっと揚げパンみたいになったモチモチしたパンで、パッサパサで口触りの悪いバンズとは大違いだ。この食べ物、全ておいてクオリティがめっちゃ高い!!!!「カンちゃん!!これは美味すぎるよ!!」「ヤバいーーーー!!美味すぎてどうにかなりそう!!」選んだのはメイン通りから一本入った、地元の人たちで賑わうお店だったんだけど、大当たりだった。食べてるのはみんな作業着姿の兄さんとか、世間話してるオッちゃんとかで、地元の人に愛されるお店だ。ファストフードが美味い国はマジでボーナスステージみたいなもんだ。天気予報では曇りだったのに実際は晴れるというアドリア海の実力にメロメロになりながら、今日はのんびりと町外れのほうを散歩してみた。旧市街を抜け駅方面へ歩き、駅を通り過ぎて港の裏の海岸のほうへと向かう。すると、さっきまでの美しく整備された観光エリアの風景から、素っ気ない荒れた雰囲気に変わった。使われていない線路脇にはおびただしい落書きが描かれており、雑草が生えて廃墟も見える。手すりは錆びつき、地面のアスファルトも割れて、手入れが行き届いていないのがうかがえる。東欧やバルカン半島は治安は悪くはないんだけど、こうした落書きや設備の古びた町の様子からはどうしても抜け出せない。こういうところを見ると、あぁ、そういえばクロアチアは平均月収7万円の貧しい国なんだよなということを思い出す。クロアチアはバルカンでもトップレベルに豊かなところだとは思うけど、それでもまだまだ西欧、中欧に追いつけないのには一体どんな理由があるんだろうな。でも、その古びた様子が、どこか懐かしい気分にさせてくれる。日本の田舎もなかなかほったらかしのボロいところが多い。錆びたガードレールや、割れた岸壁とか、文字のかすんだ看板だとか、坂道の向こうに見えてきた水平線と空の混じり合う色合いが、どこかの風景と重なる。こっちの港の裏のほうにはほとんど観光客は来ないようで、地元の人たちがのんびり過ごしていた。トランポリンなんかの大きな遊具がある広場では子供たちが元気にはしゃいでおり、お母さんたちがお茶をしている。岸壁の端に簡素に置かれただけのアトラクション広場で、どの遊具もとても古びている。でもこれが地元の人たちにとっての普通のクオリティなのかな。1組の親子がエアーホッケーをしていたんだけど、お母さんがすごく手加減をしてあげながら息子と遊んでいた。小さな男の子は一生懸命カップを打ち、お母さんはわざと空振りして負けてあげ、ワーオ!と大げさにリアクションしてあげると男の子はご機嫌になってめっちゃ笑顔。でも男の子が空振りして入れられてしまうと、泣きそうな顔で怒っている。お母さんはなんとか負けてあげようと、ものすごくゆっくりとカップを打ち、空振り。あなたは強すぎるわ!ママかなわない!みたいなことを言うと、男の子は笑顔で大喜びしていた。すごくすごく心がなごむ。ゲームが終わってそのエアーホッケーの台を見てみると、かなり古ぼけた機械で、1ゲーム1ユーロと書いてあった。きっとユーロ圏からの払い下げ品なんだろうな。今度はなにやら爺ちゃんたちが集まってるベンチを発見。どれどれ?と見に行ってみると、そこでは何人もの爺ちゃんたちがチェスとカードゲームをしていた。どこの国でも爺ちゃんたちは集まってゲームしてるよなぁ。こうやってみんなでゲームしてるのっていつも爺ちゃんばかりで女の人は見ないよねぇってカンちゃんが言うけど、確かにそうだな。お婆ちゃんたちの遊びってなんなんだろな。面白いのは爺ちゃんたちの服装ってほぼみんな一緒なところ。地味な色のジャンパーにスラックスにスニーカーというのは世界共通のお爺ちゃんファッションだなぁ。俺が近くまで行って見学してるのに、謎のアジア人に見向きもしないで黙々とゲームに熱中しているお爺ちゃんたち。俺のことまったく無視。この構われない感じがまた心地いいなぁ。そんな岸壁の奥にビーチがあると聞いてやってきたんだけど、そこにあったのはなんとも小さな波打ち際だった。一応少し砂浜にはなっているけど、プライベートビーチ程度の広さしかなく、あまり綺麗でもない。ビーチリゾートには程遠い、田舎の人たちのための海水浴場って感じだ。でも水はすごく美しい。透明度がものすごく高く、寄せては引く海水の動きで海底がうねってるように見える。岸壁沿いは遊歩道になっており、家族連れやお爺さんお婆さんがのんびり散歩している。一応カフェもあり、海辺で太陽を浴びながらコーヒーを飲む人たちがいる。暖かい日差しとちゃぷちゃぷという音が耳に心地良よくて、岩場に座ってカンちゃんとしばらくお喋りした。輝く太陽の下、ゆっくりと海辺を歩くだけでなんて贅沢なことなんだろうって思える。イギリスでの日々で、ぐしゅぐしゅに湿って苔の生えた体が綺麗に乾いていくようだ。それから旧市街の中を散策し、お昼に食べたチェパピがあまりに美味しかったのでそれを夜ご飯にテイクアウトして、あと人気のフライドポテト屋さんでポテトもテイクアウトして宿に戻った。あぁ、いつでもシャワーを浴びられる、いつでもトイレに行ける、個室で誰にも気兼ねしなくてよくて、ワイファイは常時質のいいのが繋がってる。窓の外は世界遺産の古い遺跡の町。そんな場所でカンちゃんとネットで動画を見ながら美味しいご飯を食べてビールを飲む。最高以外のなにものでもないよ。ああ、クロアチア最高。イギリスが刺激が少なかった分、毎日がこんなにも楽しくてしょうがない。アフリカ前にこれからのバルカン半島、思いっきり堪能するぞ。