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路上にはすべてのものがある


2016年12月30日(金曜日)
【イングランド】 ダラム ~アランデール









秘密めいた田舎の伝統行事を見るため、地図で見ても半端じゃないくらい小さな文字で表記されているアランデールという村に向かっている俺たち。


本当にこんなところであるのかな……………?




とにかく、大晦日は明日。

なのでアランデールに向かう途中にどこか面白そうな町はないか地図を眺めていたら、ダラムという町を見つけた。


ほどよい大きさで、町の中心部が川に囲まれており、大きなお城と大聖堂があるみたい。

これは地図の感じからしてなかなか面白そうだ。


ここに行ってみるかな。

















というわけでやってきたダラムの町は、予想通りすごく素敵なところだった。




地図の通り、丸く弧を描く川が陸地を中洲のように孤立させており、いくつもの歩行者用の石橋がかかっている。

中洲の先っぽには巨大な大聖堂とダラム城がそびえたっており、そのすぐ下に城下町のようにショッピングエリアが広がっていた。


広場に立つたくさんの銅像が町の風格を高め、古びた町並みに歴史の味わいがある。














なによりこの川が陸地を孤立させてたくさんの石橋がかかっている様子が日本のお堀みたいでどこか懐かしく、いつか行った日本の観光地みたいな馴染みやすさがあった。


松前城とか、弘前城とか、綺麗だったよなあ。


















やはり年末の賑わいはすごいもので、町は本当にお祭りみたいに人が行き交っていた。

里帰りしてきた人たちがたくさんいるんだろうな。



そんな雑踏の中、どこからかアイウィルオールウェイズラブユーが聞こえてくる。


どこだ?と歩いて行くと、広場にある1番大きな銅像の足元で、女の子がマイクを立ててiPhoneをスピーカーに繋いで音楽を流し、カラオケをしていた。


路上ライブってよりはカラオケ。


でも女の子の歌が結構上手くてみんな足を止めて拍手をしていた。


うん、やっぱり上手い人にはちゃんとレスポンスがあるんだよな。頑張んないと。
















歩行者用の石橋の上にもアコーディオンのオッちゃんがいたりして、どうやらここは路上パフォーマーの激戦地らしい。

というか最近ウィットビーという田舎にいたので他のパフォーマーをほとんど見てなかっただけで、やっぱりイギリスの町にはどこも路上で芸を披露する人で溢れている。


すげぇよなぁ、イギリス。こんなに路上パフォーマーがいる国、世界中どこにもなかったよ。



おそらく今日が俺にとって2016年最後の路上になる。

気合い入れて他の人たちに負けないよう演奏しないと。


















とりあえず先に観光を終わらせてから路上をしようということで、川に囲まれた丘の上にあるダラム大聖堂にやってきた。




かなり立派な建物なんだけど、入場は無料。でもカメラ撮影は禁止。




中はものすごく広く、高い天井に柱がいくつものびている。

古びた味わい、というよりかは整然とした美しさが漂っており、中でもステンドグラスの見事さは魅入ってしまうほど。


びっしりと細かい絵が描かれた巨大なステンドグラスが何枚も連なっている様子は圧巻だった。


差し込む光がとても柔らかく、年の瀬の清浄さに満ちていた。
















ダラム大聖堂を出ると、その目の前にダラム城がそびえている。

ここもまたとても立派な建物なんだけど、残念ながら今日はオープンしていないようだった。


いやぁ、それにしてもダラムいいなぁ。


小ぢんまりとしてるけどギュッと凝縮されており、町は賑やかで、見上げればお城と大聖堂。

住みやすそうな町だ。



よーし、この町で2016年最後の路上といくか。



















中心の広場には色んなパフォーマーが陣取ってスピーカーで爆音でやっているので、ちょっと離れた雰囲気のいい通りでギターを構える。


今日は雨は降っていないけど、冷えてるおかげで地面が濡れており、ギターケースを汚れた石畳に置くのはちょっと抵抗がある。


なんとか汚れの少ない場所を探してセッティングし、ふぅと一息ついて2カポのGコードをジャランと鳴らした。





2016年の最初の演奏は長崎の思案橋だった。


1月の寒い路上だったけど、思案橋の味のある雰囲気とさだまさしがめっちゃウケるのが楽しくて、とてもいい路上だった記憶がある。


それから別府、三田、品川、岩国とライブをやり、2月に日本を出発した。




それからはもう毎日のように歌う日々。


シンガポール、インド、ドバイ、トルコ、ブルガリア、セルビア、ハンガリー、スロバキア、オーストリア、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ポーランド、チェコ、

そして今いるイングランド。



行った国の数はそんなに多くはないし、通っただけのところもあったけど、すべての国が新鮮だった。


数年ぶりに訪れた懐かしい国、数年ぶりに再会した友達、新しい出会いもたくさんあったし、新しい町にもたくさん行った。



ストリートチルドレンに音楽を教えようと行ったインドではまったく成果を出すことができずに悔しい思いもした。

海外支援というものの難しさとシンプルさを肌で感じたことはとても大きな経験にはなったけど、胸の中に落ちた石はさらに大きなものになっている。










今回の旅ではインドのことともうひとつ、将来日本に帰った時のためにお金を貯めて帰ろうという目的があったので、これまでの経験をフルに活かして、路上で稼ぎ、そしてネットで収入を出すということにもチャレンジし、それなりに上手くはいっている。


前回は稼げる国とそうでない国のことをまったく分かっていなかったので、本当にいつも綱渡りの毎日だったけど、地べた這いずりながらなんとかやっていた。

時間の制約もあったので、金があろうとなかろうと、発展途上国に突入していくしかなかった。


でもそんなギリギリの旅だったからこそ、たくさんの奇跡みたいな出来事があったし、素晴らしい出会いにも恵まれた。



今はカンちゃんと一緒なのであんな無茶をする気はない。

あんな旅は一度で充分だ。



今回は稼げるところメインに周り、しっかり目的に向かうこと。
でも旅好きな2人の旅欲を満たすためにも、行ったことのない土地にもできるだけ行きたい。


そう思いながら、現在イギリスに滞在している。


なにより、アユムさんという人との出会いはそんな俺たちにとって本当に本当にデカかったなぁ。















正直、前回の世界一周を終えたとき、もう路上は卒業しようかなって思ってました。

高校生の時から路上を始め、それからというもの路上は僕に色んなものを与えてくれました。

かけがえのない出会いや経験をもたらしてくれました。



路上にはあらゆるものがありました。
人間の全てが、喜怒哀楽が。

学校よりも、会社よりも、僕にとって何にも勝る人生の集約された場所。


そんな路上で様々なことを学び、これまで生きてきました。



日本一周をし、世界一周まで達成することができたのも間違いなく路上があったから。



でも、そろそろ次のステップに行きなきゃいけない、今までのものを変えよう。

そんなことを思い、日本に帰国しました。






でもある日、尊敬する人から、フミは路上やってなきゃダメだよって言われたときにハッとしました。

自分が思う自分より、俺は、周りの人からそう見られてるんだということが意外な驚きでした。


路上に立つ姿には、音楽以外のものも表現できる可能性がある。

それこそが、ずっと旅をしてきた僕の表現方法なのかもしれない。





今も僕は路上に立っています。

来年もそうでしょう。

日本に帰国してからはわからないけど、心に従ってやりたい表現をしていくと思います。



路上で見上げた空は、汚れていたけど、綺麗だった。
路上で見上げた空は、綺麗だったけど、汚れていた。










「あれ!日本人ですか!?いやー、僕シンガポール人なんですけど、日本で生まれ育ったんですよ!久しぶりに日本語しゃべったー!」



そこにバリバリにネイティヴな日本語を喋る男前のシンガポール人が声をかけてきた。

アメリカ人の女の子と中国人のお兄さんとの3人組。


話しているとすごく楽しくて、あんまり自分からフェイスブック交換しようって言わないけどつい言ってしまった。


もちろん!と言ってくれた男前のジャスティンとフェイスブックを交換した。


めっちゃ男前のジャスティンは小説家志望で、日本をモデルにして英語で物語を書いているんだそうだ。

日本のことを詳しく書いてる日本語の本はたくさんあっても英語の本はそんなにない。


そういう本を書いていきたいんだというジャスティン。




やっぱり路上は楽しいなぁ。


路上にはあらゆるものがあるんだもん。

















今日のあがりは1時間で41ポンドだった。5900円。

かなり良いほうだったけど、年末最後の路上で、さっきのジャスティンたちとの出会いもあって不思議と満足して緊張の糸が切れてしまった。

うん、いい路上だった。




「あ、あの日本人のかたですか?うわー、どうしてダラムにいるんですかー?」



そろそろ終わろうかと思ってるところに可愛らしい日本人の女の子が声をかけてきてくれた。

さっきから何度か前を通ってるのを見かけていたけど、声をかけてくれたことが嬉しかった。


クリクリした可愛い沖縄出身の當眞ちゃんは、交換留学で日本の大学から来ているとのこと。

このダラムにはかなりデカい大学があり、さっきのジャスティンも院生だった。



まだ20歳前後の女の子が、1人でイギリスのこんな目立たない町で生活するなんて寂しいこともあるだろうなぁ。

頑張ってるんだろうなぁ。



「あ、でもなかみ汁の素を持ってきてるからホームシックになったらそれを食べるんです。」



さすがはウチナンチュ( ^ω^ )









「あ、もし良かったらお城見ますか?」



「ああ、でも今日ってお城はクローズしてますよね?さっき行ったんですけど閉まってたから。」



「私お城に住んでるので入れますよ。」




なにぃ!

マジか?と思いながらもギターを片付けてついて行くと、普通にお城の頑丈な鉄扉を開けて中に入っていく當眞ちゃん。





俺たちも中に入ると、それはそれは立派な中庭が広がり、豪壮な石造りのお城が目の前に現れた。





どうやら話を聞くと、このお城自体が大学の寮として使われているらしく、たくさんの学生たちがこのお城の中に住んでいるんだそうだ。



お城が学生寮て…………

さすがイギリス。

ハリーポッターの世界みたいやなぁ。




「あ、大聖堂には入りましたか?あそこハリーポッターのロケ地なんですよ。」



なにいいいいいいいいい!!!??

さっき大聖堂には行ったけどロケ地とか全然知らんし!!



「大聖堂の中から外に出ると中庭があるんですけど、そこがハリーポッターの第1作で撮影に使われたところなんですよ。行ってないんですか?ホラ、◯◯が◯◯とアレして、◯◯が登場してきて◯◯がいきり立った◯◯にまたがってゆっくりと上下に動かして◯◯がすごく毛深くて固くて◯◯なんです!!」



「ちょ!!當眞ちゃんそんなこと恥ずかしいこと言ったらお兄さんどうしたらいいかわからない!!」



「え?ホウキのことですよ?」





ハリーポッター、1個も見たことないから何が何だかさっぱりわかりません。





でもとりあえずもう1回見に行きました。





大聖堂の中からドアを開けて外に出ると回廊のある中庭があり、どうやらここがロケ地とのこと。










ハリーポッター好きにはめっちゃ興奮する場所なんだろうけど、ハリーポッターってタバコを吸って船の形の煙を吐くお爺さんが出てくるやつだよね?っ思ったらそれはロードオブザリングでした。


ハリーポッター全然わからん。


ホウキ乗ってサッカーみたいなのする映画ってイメージしかない。

見たらハマるんだろうけどな。















それからアジア食材店にも連れて行ってくれた當眞ちゃん。


當眞ちゃんのおかげでこのダラムの観光、大満喫。

俺たちだけだったらなんも調べず素通りしてたよ!!

當眞ちゃんマジでありがとう!!


久しぶりにソーキそば食べたくなったわ!!


また日本で会えるのを楽しみにしてるね!!















さて、2016年最後の路上も終わった。

あとは旅人らしく現地のコアなイベントに参加してこの年を締めくくろう。



目指すはイングランド北部の内陸地。

森に閉ざされた田舎の名もなき村だ。



車のエンジンをかけ、夜の道を走った。





肉団子辛ラーメン最高!!



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