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きっともっと素晴らしい町がどこかにあるはず


2016年12月19日(月曜日)
【イングランド】 サイレンセスター






「このサイレンセスターはかつてのローマ帝国の町でね、ビールの名前にもシーザーというものがあったりするんだよ。スコットランドに行けばまたイングランドとは全然違う文化や言葉があるし、いくら時間があっても足りないはずだよ。」







朝、リーおじさんが朝ごはんを作ってくれながら色んな話を聞かせてくれる。


まったく知らなかったけど、このサイレンセスターの起源は古代ローマ帝国が支配していた時代にまで遡り、かつてはイギリスで2番目に栄えた土地でもあったんだそう。

今ではこんな目立たない小さな町なのにそんな歴史があったんだなぁ。



お話が好きなリーおじさんはいつも穏やかで、イギリスについて色んなことを教えてくれる。





のだが、なんせ英語がネイティヴすぎてなかなか聞き取れない。


昔アメリカに住んでて俺よりもはるかに英語力があるカンちゃんですら7割くらいってところだ。

俺は3割くらいかな。

分かりやすく言い直してくれると俺でも理解できるんだけど、リーおじさんはカンちゃんの英語力を見込んでガンガン話してくる。


なのでリーおじさんの目線はいつもカンちゃんに向いていて俺のほうにはあんまり向けてくれない。



これって結構寂しい。

内陸ヨーロッパの、英語が母国語じゃない国々の人たちが話す英語なら問題なくコミュニケーションできるんだけど、ネイティヴの言い回しとかスラングはとても理解できない。


なのでリーさんはやっぱりカンちゃん中心に会話することになる。







いつか忘れたけど、ヨーロッパのどこかの町を友達と歩いている時に、道を聞こうと向こうからやってきたカップルに声をかけた。


別に何の気なしにそのカップルの女の子のほうに道を聞いたんだけど、後から友達にあれはあんまり良くないよと注意された。

こっちは男なんだから、カップルの男性のほうに声をかけるべきだよと。



なるほどなと納得した。

知らない男が彼女に声をかけてきたら向こうに不信感を与えるかもしれないし、やはり男性と女性がいたら男性を前に立たせるべきだ。


それを意識していると、ヨーロッパの人たちが俺とカンちゃんがいるときに俺を中心に話してくれるのがわかる。

ヨーロッパはレディーファーストだ。

でもそれとは別で、様々な場面で男性に主導権がある状況を作るのもまた礼儀だなと感じる。




しかし今、リーさんはカンちゃんのほうを向いて話している。


この場合はリーさんが礼儀がないとかいうわけではなく、ただ俺の英語力の問題。

俺が理解しきれないところをカンちゃんが訳してくれる。


情けないなぁとは思ってしまうけど、俺の路上で覚えたストリートイングリッシュではアメリカで学校に通ってバリバリに勉強していたカンちゃんの文法力や語彙力にはとてもかなわない。


ネイティヴの英語は難しいなぁ。














リーさんが作ってくれた朝ごはんはアジの焼き魚にトーストという、日本人からしたら超違和感のあるものだったけど、味は最高に美味しかった。


脂ののったアジは甘みがあって肉厚で食べ応えがあり、これで醤油と大根おろしと白い米があったらマジで日本だ。

スコットランドに行けばこうした美味しいお魚がたくさん食べられるんだそうだ。





スコットランド、どんなところなんだろうなぁ。

絶景がたくさんあるんだろうなぁ。

スコッチウイスキーの醸造所に行って美味しいウィスキー飲みたいなぁ。


あんまりスコットランドをがっつり回った人の話とか聞いたことがないので、今の所俺の中では秘境のイメージしかない。


孤独で美しい光景に出会えるかなぁ。

めっちゃ楽しみだ。




もうストーンヘンジも見たしストーンズの町も行ったしイングランドには結構満足している。


このサイレンセスターを出たら一気に北に上ってみるかな。

















今夜は車の中で寝るのでまた明日町を出る前に挨拶に来ますとリーさんに言い、2日間お世話になった家を出た。

リーさんが話していた通り、今日から学校が冬休みに入ったらしく町にはたくさんの子供たちがいた。

そして人出も多い。

クリスマスウィークに入って町は年末のあわただしさに沸いているようだった。















そしていつものテスコとショッピングストリートと大型パーキングの真ん中にある遊歩道のポジションに陣取り早速路上開始。








人通りはバッチリだしポジションも完璧。

でもおとといみたいな爆発力はなくて地味にギターケースにコインが投げ込まれていく。



夕方になって雨がパラついてきたけど根性で続行し、さらにスーパー前からメインのホコ天に移動してさらに続行。








イギリスは常に曇り空なのでいつでも雨を降らす雲が頭上にある。

なのでいくら天気予報で雨マークがなかったとしても、いつ降ってもおかしくない。



チクショー、こんな雨で振り回されてたまるか。



しかしホコ天のメインストリートは、静かなスーパー前に比べて反応がゲキ薄でほとんどコインも入らない。

めっちゃいいポジショニングだと思うんだけどなぁ。

やっぱりまだまだイギリスの感覚がつかめない。





また雨がパラついてきて今日は3時間で終了。

あがりは112ポンド。16300円。

もっといけるはずだぞ。


















それにしてもテスコの品揃えハンパじゃない。


これ全部インスタント食品。








インド、タイ、中華、イギリス、日本、ものすごい種類の料理がレンジでチンするだけで食べられるようになっている。

そしてどれもそれなりにレベルが高い。



瓶詰めのインドカレー、めっちゃ豊富!!




このインドカレー、3人分くらい入ってて79ペンス。115円。

ご丁寧に横にナンも置いてある。50ペンス。73円。


なのでこのカレーで晩ご飯を食べれば1人90円くらいで済むってわけだ。


ベーコンとか卵とかもだいたい100円くらいで買えるので料理に困ることはない。


ケバブが5ポンド、730円する国だけど、スーパーの品物の値段は東欧並みだ。








というわけで今夜のご飯はまたカレー!!




これうめえええええええええ!!!

マジで美味い!!


ご飯食べながら横のバッグの上にパソコンを置いてすべらない話を流しておけばもう完全に家。

めっちゃ落ち着く。









まだまだ腰は座らないけど、イギリスでの暮らしかたがなんとなくわかってきた。


でもきっともっと素敵な町がどこかにあるはずだ。

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