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町はもうクリスマス

2016年11月25日(金曜日)
【オーストリア】 バードイシュル





ううう、寒い!!!


山あいの小さな町、バードイシュルは朝のもやの中にうずくまっている。

山々の木々はもう葉を散らしており、冷たそうな川が流れ、すっかり冬本番といった感じだ。



でも気温はまだ最高で5℃くらいある。

これがもう少ししたマイナスになり、雪がこの小さな町を覆い尽くすんだろう。





雪に閉ざされた山里の秘められた暮らし。

日本でもそうであるように、この町にもきっと古い言い伝えとか昔話があるんだろうな。

ロマンだなぁ。



















早起きして朝マックで腹ごしらえをしたらギターを持ってメインストリートへ。


おうおう!!めっちゃ人おる!!!!

いつも歌ってるホコ天のショッピングストリートが人で溢れかえってやがる!!!!


すげぇ!!

これはテンション上がる!!!!




ショッピングストリートの先にある広場にはたくさんの出店が並んでおり、野菜や果物、チーズ、ハム、お魚、お花が所狭しと売られている。

これはいつもの週末マーケット。


しかしバードイシュルだけはなぜか土曜日ではなく金曜日だというのを知っていないと、思いっきり時間をはずしてしまうことになる。

前回やっているのでバードイシュルの稼げる時間帯は把握済みだ。






さらには広場の真ん中にあるインフォメーションセンターの建物にやけに人が入っていくなぁと思ったら、なんとバードイシュルのクリスマスマーケットはこのインフォメーションセンターの中で開催されていた。


外ではなく屋内のクリスマスマーケットなんてあるんだ!!





クリスマスマーケットと週末マーケットのダブル効果で、もう町には人が溢れかえっており、みんなコートの襟を立てて白い息を吐きながら楽しそうにお買い物をしていた。




うおおおお!!!

これはなんてベストタイミングなんだ!!!

この週末に稼がないでいつ稼ぐ!!!





今週は平日がそこまで好調ではなかったので、まだあまりお金を貯められていない。


イギリス入国に向けて15万くらいは現金を持って行きたいところなんだけど、何を思ったのかこの前親に全財産を持って帰ってもらっている。

ほぼゼロスタートから1週間で15万を作らないといけないというミッションだったんだけど、まだそんなに溜まっていない!!




このままでは入国審査の時に、え?5万円?それだけしか持ってないの?バカなの?イギリスの物価なめてるの?フィッシュアンドチップス食べたいの?お前みたいな貧乏人はこうだ!!とフレディーマーキュリーみたいなちょび髭警察にパスポートを顔に投げつけられ、アズティーズゴーバイを歌いながら泣いてオーストリアに強制送還からウンコを踏むということになってしまう。




なんとしても!!!




このバードイシュルで稼ぐ!!!!




















まずは警察署に行き路上ライセンスを5ユーロでゲット。


時間はマーケットの時間も考えて10時スタート。


そうこのバードイシュルの路上ルールは1日5時間。

どの時間帯に持ってくるかが非常に重要になってくる。




さらにパフォーマンスできるのは週のうち2日のみ。

だからジプシーのアコーディオン弾きも週末に固まってでてくる。


そうなると問題なのが場所とりだ。



いつものメインストリートの定位置でやろうと思ったんだけど、すでにアコーディオン弾きのオッさんが2人、通りの真ん中と端っこに陣取っており、隙間がない!!!



どちらのおじさんも隣に可愛い犬を座らせており、弾いてる曲はずっと同じ曲。全然やる気のない演奏。



この、可愛い犬をダシに使って路上演奏をする人はたまにいるけど、今日は見事に2組とも小型犬を横に座らせてる花咲か爺さんパターン!!



町行く人たちも可愛い犬につられてお金を入れている。

犬なしでただアコーディオンを弾いてるだけとは雲泥の差だろうな。






そうねそうね、俺も今日はやらせてもらいますからね、友好の印としていくらかコインを入れときましょう。


ハローと1人のアコーディオン弾きさんに近づいていき、笑顔でコインを箱に入れる。


そして可愛いねぇー!と隣の小型犬をなでようとしたら、グルルルウウアアアア!!!!と手を噛みちぎられそうになってヒィィイイ!!!となりました。


なんだこいつ超凶暴じゃねぇか!!お金入れなきゃよかった!!




「ハハハ!ごめんね!お腹空いてるのかな!」




めっちゃ笑顔でそう言ってくるアコーディオンのおじさん。

ハハハ、大丈夫です!と俺も笑顔で返し、めっちゃいい雰囲気になったところで、俺も少し離れたメインストリートの一角で路上の準備。



さーて、頑張って歌うぞー、とチューニングを始めたら、誰かが目の前に立った。


顔を上げるとさっきのアコーディオンおじさん。




「てめーこんな近くでやってんじゃねぇよ、頭ラリってんのか?もっと遠くに離れやがれこのソーローが?わかってんのかクソ野郎?」






さっきまで超笑顔だったのに今はただのゴミを見る目のおじさん。




怖………

さっきの営業スマイルとの差が激しすぎやろ……………




竹内力並みのガンを飛ばされて、すんませんと違う場所に移動。



路上は早いもん勝ちだからな。

早起きしてあそこに陣取ったのに、あとからゆっくり寝てたやつが近くに来たらそりゃ追いはらいたくなる。
















というわけでおとなしく移動してちょっと強引にマーケットの中で歌うことに。

ちょうど週末マーケットとクリスマスマーケットの人の流れのあるポジションで演奏開始。










うん、いい感じ。

やっぱりバードイシュルは他の町とは反応が全然違う。

そしてコインの単価も高くて2ユーロコインがバンバン入る。


周りの出店でお買い物をしてる人たちが入れてくれ、さらに出店の人たちもこっちにやってきて笑顔でお金を置いていってくれる。

さすがバードイシュル!!!!














12時を過ぎたら週末マーケットも店じまいになり、そうなると片付けのバンが広場にやってきてガチャガチャと商品やテーブルの積み込みを始める。

さらに撤収が終わると清掃車がやってきてゴミや落ち葉を集めて回るんだけど、ズゴーーーーー!!!っとものすごい音を立てて走り回るので演奏ができない。



んー、そろそろメインストリートのほうに移りたいんだけど、そこはさすがに路上のプロであるジプシーたち。

人通りがはけるまで演奏続行しているので、なんとかこの清掃車の合間を縫って歌うしかない。


清掃車がズゴーーーーー!!!っと走り回るたびに埃が舞い上がってギターケースが落ち葉まみれになってしまう中、根性で歌い続けた。

















ようやく14時くらいになってからジプシーたちが演奏を終えて帰ったので、すぐに移動してメインストリートで開始。

ジプシーたちと1時間遅れてライセンスを取っているので、俺にはまだ1時間残っているぞ。


ラストスパートだ!!!!!















やっぱりメインストリートのほうは周りを建物に囲まれているので音が響いて歌いやすい。

そしてエコーがかかって丁寧に歌えると、足を止める人の数も断然上がる。



やはりこのバードイシュルもまた後半が伸びる町!!!

15時くらいから人通りが増えてき始め、入れ食い状態に!!!!




ウオッシャー!!!喉も絶好調だぞコンチクショウ!!!!今日の俺歌うめえええええええ!!!!!









というところで見回りのお巡りさん登場。


無言で腕時計をトントンやってみせるお巡りさん。




あ!!!15時で5時間だった!!!!!

マジですんません!!今すぐ跡形もなく消え去ります!!!と音速で片付け!!!!



あっぶな………もうお前はやったらダメだ!!とか言われなくてよかった…………












暗くなり始めた通りにはまだまだ人が溢れ、飾りつけられたクリスマスツリーがピカピカと光って幸せそうな人たちを照らしている。






あぁ、そういえば最近あの歌うたってないな。


若いころはただそれだけで
すべてこのとが許されて
過ちさえも美しく
わがままであればあるほどに
幸せそうな人たちが
12月の灯りの下にいる
生まれた時から僕たちは
滅びていく道を歩いてる





詩人、犬塚康博さんのこの詩。

前回の一周中はずっと歌ってたんだけどな。


またたまには歌ってみようかな。



今日のあがりは4時間で433ユーロ。52500円。

バードイシュルはやっぱすげぇな。




















さて、朝から思いっきり路上をかましたところでお腹もぺこぺこだ。


この町に来たもうひとつの理由。アレを食べに行くぞ。




「はぁはぁ…………もう………我慢できない…………大きいの食べたい…………大きくて固くて太いアレを………………」




もう路上が終わる1時間くらい前から興奮しすぎて目の焦点が合ってないカンちゃん。


お腹が空くと血糖値が下がって手がしびれ出すという食いしん坊カンちゃん。


そんなカンちゃんの血糖値をものすごく上げてやってください!!






バーガー様!!!!











「あはああああああ!!!!うっま!!ウッマ!!なにこれウッマ!!!!」



本当ここのバーガー美味しいよなぁ。



お父さんお母さんが半分ずつで足りてた特大バーガーをぺろりとたいらげたカンちゃん。




「あああー!!結婚式終わったからって夜にこんなに食べるなんてなんか罪悪感ー!!丸々してしまうー!!」




ちょっと肉肉してるくらいが可愛いよとカンちゃんと手をつないで町を散歩した。











冷たい空気にクリスマスのイルミネーションがきらめいて綺麗だなぁと歩いていると、ホコ天の入り口の小さな広場でブラスバンドの楽隊がゆったりとした演奏をしていた。


ホーンの柔らかいハーモニーがゆるやかに奏でられ、どこからともなく甘く酸っぱい匂いが漂ってくる。


広場にある小さな屋台で人々が賑やかにホットワインを飲んでいた。






この光景は少し前からオーストリアのどこの町でも見られるようになった。

冬になればどこの町でもみんな道端の屋台で白い湯気をたてながら楽しそうにホットワインを飲んでいる。


ただ、白のホットワインを飲んでいるのは今の所バッハウだけだ。







いいなあ。ヨーロッパは本当に穏やかで、住みやすいところだと思う。

人も優しいし、紳士的だし、愛に溢れている。



こんなにもリラックスして毎日を過ごせるなんて、これが旅中なのかと不思議になってくる。


イギリスに入れたら、きっと色んなものがガラッと変わる。

生活スタイルも、食べ物も、習慣も。そして路上のやり方も。




ま、イギリスに入国できればの話だけど。




怖えええええ………………ちゃんと入れるかな……………






それから少しマックに行って作業して車に帰った。


明日も頑張って歌うぞ。




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