スポンサーリンク お父さんお母さんとの3人旅スタート 2016/11/26 2016/09/07~オーストリア②, ■彼女と世界二周目■ 2016年11月11日(金曜日)【オーストリア】 メルク ~ クレムス ~ シュタイアー初夜って何するんですか?アレですか?普通アレするんですよね。多分。そんなんできるわけないです。カンちゃんによると泥酔してベッドに倒れて2秒で死んだらしい。まったく記憶ない…………そして目が覚めたら猛烈二日酔い。そう、このパターンの人めっちゃ多いんだろうなぁ…………二日酔いでグダグダの頭でiPhoneの写真フォルダを見てみる。カッピー、こいつはマッジでありがとう。どん兵衛最高やったよ。あんま記憶ないけどこの顔が物語ってるわ。あれ?ていうか旦那?俺旦那?横を見るとパグの子供みたいな顔してスピースピー寝ているカンちゃん。あれ?これ嫁?これ俺の嫁?こっわ!!!!結婚してるし!!!!あ、あれ?なんか違和感が…………………薬指に指輪がありよる。け、結婚したんだなぁ……………うわぁ……………人生のステップ1個上がっちゃったなぁ。これからどんなことがあるんだろうなぁ。周りにいる大人たち、そしてお爺ちゃんお婆ちゃんたちにみたいに、同じように年老いていくんだろうなぁ。なんて感慨にふけっている場合じゃない。今日は家族みんなで観光をして、それからクレムスでカンちゃんファミリーといっときのバイバイをする日。昨日の今日でゆっくりしたいところだけど、せっかくバッハウに来てくれた家族にできるだけ美しいところを見せてあげたい。のんびりしてられないぞ。根性でベッドから起き上がってシャワーを浴びて少しはシャキッとしたところでカンちゃんと家を出発した。ホテルに迎えに行くと、すでにみんな準備を終えてロビーに出てきており、タクシーも到着していた。俺とカンちゃんは俺の車、家族6人は1台のバンタクシーだ。まず向かうのは隣町のメルク。世界遺産であるこのバッハウ地域。その中で1番の見所はなんといってもメルクの大修道院だ。中部の見学も可能なんだけど、現在は冬季なので案内をしてくれる係りの人と一緒でなければ入れないことになっている。朝のガイドタイムは11時。それの次は14時。カンちゃんたちの電車の時間があるので14時は不可能。もちろん11時のガイドタイムに合わせてメルクに着くように出発しているので問題なし!!完璧!!俺たちリサーチの鬼!!!メルク修道院には俺は以前行っているけど、確かにあれは世界を回った今でも印象に残っているくらい美しい場所だった。バッハウに来てメルク修道院に入らない手はない。さぁ、というわけで今日も隣町のメルクまで20キロで60ユーロ、7000円というクソ高いタクシーにキレそうになりながら2台で走る。ドナウ沿いに走りメルクの町にさしかかり、ここを右に曲がって駐車場に車を止めたらもう目の前はメルク修道院…………と俺たち右折。しかし後ろを走っていたバンタクシーはまっすぐ走って行った。お、おいおい、なんでついて来ないんだよ。あーあ、きっとタクシーの運転手がこっちのほうが近いからって自己判断で違う道に行ったんだろう。まぁメルクはマジで小さな町。その真ん中にメルク修道院はある。はぐれることなんてまずない。カンちゃんたちの電車は15時。それまでに円滑にみんなを案内してバッハウの美しい見所を要領よく回って満足してもらわなければ!!!まぁこれだけバッハウに長く滞在してるんだから、もうメルクなんて庭みたいなもんだ!!チャチャっと案内しちゃうぜ!!!!!いやー!!車の中に日本の物が溢れてる!!はぐれた。メルク修道院に行っても、すごい数の中国人観光客がひしめいているだけで、お父さんお母さんたちの姿がない。メルク修道院の入り口はひとつ。大きな門があって、ここからしか入れない。しかし周りを探しても中庭を探しても、いるのは中国人のみ。時間は10時50分。ガイドタイムまであと10分。これを逃したらもう中には入れない。ちょっ!!!!どこ!!!!???こんなところではぐれることある!!???日向の大御神社で待ち合わせして、同じ時間に到着してはぐれることある!!???ああああ!!!もう!!!!!イライラしながらダッシュで町に降りてそこら辺を探し回るけど、どこにもいない!!!まだ着いてないのか?!いやもう着いてるはず!!!この辺りにいるはず!!!!猛ダッシュでゼーハーゼーハーとまた修道院への坂道を二日酔いで超ゲロ吐きそうになりながら必死で登り、カンちゃんに駆け寄るけどやっぱりいないよう。時間はすでに11時5分。どこだよおおおおおああああああああ!!!!!!!!結果、合流できたのは11時20分。修道院の入り口の奥のほうにある駐車場でタクシーから降ろされたらしく、ずっとその駐車場で俺たちのことを待っていたらしい。そんなところに駐車場あるの知らんし……………なんであのドライバー勝手に違う道を行ったんだよ…………………おかげで、マジでおかげで、ガイドタイムに間に合わなかったので、メルク修道院の中に入ることはできず。タクシー代、超損。時間、超無駄。「まぁこんなこともあるよ。気にしない気にしない。」カンちゃんのお父さんの優しい言葉が突き刺さる。うぅぅ……………ドンくさい野郎だって思われてるはず……………旦那として最初の良いところ見せる機会だったのに…………残念だったけど、とりあえず中庭と大聖堂の中部は見ることができ、それだけでも見られてよかったよということでメルク観光は終了。またタクシーに乗り、今度はクレムスへ向かう。今度ははぐれないようにカンちゃんもバンタクシーに乗り込み、俺は1人で爆走!!そして40分ほどでクレムスにあるランチの予約しておいたレストランに到着。すでにみんな席についており、ひとまず無事ランチにはありつけそうだ。よかった。「おい、フミ。俺は14時の電車でウィーンに向かうから少し早めに出るぞ。」「は?兄貴の飛行機だったら15時の電車で間に合うよ?」「いや、ちょっと嫁に頼まれてるお土産があってウィーンの街で行かないといけないところがある。だから14時の電車で行くわ。」というわけで到着早々、スープだけソッコーで飲んで今度は兄貴を乗せてクレムスの駅へダッシュ!!!「兄貴大丈夫?このフランスヨセフ駅に何時に着くから、そこから空港まで行こうと思ったらミッテ駅から直通があるからね。マジで大丈夫?」「大丈夫大丈夫!!なんとかなるわ!!おい!チケットはどうやって買うとか?これはなんか!?プラットホームの番号か!」不安しかねぇ………………海外は新婚旅行のハワイしか行ったことのない英語ゼロの兄貴が、1人で電車乗り継いでウィーンの街まで行って、買い物して空港まで行けるのか……………そしてちゃんとチェックインしてイミグレーション通って、トルコで乗り換えて、日本へ………………不安しかねぇ………………「じゃあよ!!元気で帰ってこいよ!!」まぁ大丈夫か!!兄貴こそちゃんと帰ってね!!大変な時期に来てくれて本当にありがとう!!!兄貴を見送ったらダッシュでレストランに戻り、急いでメインディッシュを食べ、そろそろ出発の時間に。1回ではみんな乗れないので先におば様方をクレムスの町に乗せていき、またピストンでレストランに戻って今度はおじ様方を駅へと乗せていく。ほんの少しだけ町歩きをしてきたおば様チームも無事駅まで到着し、これにて超バタバタでひとつも要領の良くないバッハウ最後の1日が終わった。ビビるくらい要領悪かったし……………これからカンちゃんとご家族はウィーンに戻り、数日滞在して日本へと帰る。俺とお父さんお母さん3人はこれから俺の車で数日かけてオーストリアを横断。ザルツブルクへと向かう。せっかく海外で親と合流できたんだから、それぞれ家族水入らずで観光旅行ができたらいいねとカンちゃんと話して決めていたのだ。めいっぱい家族と一緒に過ごして、一生残る思い出を作りたい。結婚式の次の日に離れ離れとか少し寂しい。いや、結構寂しい。タイミング的には新婚旅行。でもお互いの親と行く新婚旅行。それもまた俺たちっぽいかな。電車がやってきてカンちゃんファミリーをプラットホームから見送った。ドアが閉まり、ゆっくり動き出す電車。お父さんお母さん!!!!!!!カンちゃんにマジで幸せにしてもらいます!!!!じゃなくて幸せにします!!!!いやもう充分ウルトラ幸せです!!!!!この幸せをどんどん更新しながら笑顔のたえない明るい家庭を作ります!!!!カンちゃんをこんなに完璧な女の子に育ててくださって、この世に産んでくださって、本当に本当にありがとうございます!!!!!未熟者ですがこれからよろしくお願いします!!!「はぁ、行っちゃったねぇ、バタバタじゃったね。」「みなさんいい人たちやな。よし、それじゃウチも出発するか。」「よっしゃー…………旅人、金丸文武の全経験値を総動員して決めた鬼スーパールート。これから4日間、美食と美観はもちろん、異文化交流、歴史探訪で知的好奇心をくすぐりつつ、なおかつ安全に配慮し、それでいて冒険心を忘れないエキサイティングをスパイスにした旅に胸が高鳴りっぱなしで不正脈とかならないように気をつけてね!!!」さぁ、ここから家族3人旅。うわあああ…………家族3人旅とか新鮮にもほどがあるやろ……………俺が今まで旅をともにしてきたのってイクゾーとかケータ君とか頭のネジのネジ山潰れてるやつらばっかりだったのに、今回は両親との旅て………………ヒッチハイクとかさせたら怒るかな……………墓場で野宿とか。いつも1人でずーっと旅してきて、今はカンちゃんといるので前みたいに無茶なことはしてないけど、それでもやっぱり60過ぎの初老2人に無理はさせられない。ちゃんと俺がリードしてあげないといけない。とはいってもこの2人。お父さんは昔大学生のころ、自転車で四国と九州をお寺や小学校の体育館とかで寝させてもらいながら回ったりしていたそうだし、お母さんは山登りが好きで3~4泊かけて日本の色んな山を縦走して回ってるようなアクティブな人たち。俺よりアウトドアに関しては詳しい。まぁのんびり行こう。安全第一。でもちょこっとエキサイティングな冒険も忘れずに。うわー、なんかワクワクするわ!!!!ひとまずシュピッツに戻り、イングリッドおばちゃんの家に行き、これからの親との旅、そしてその後のカンちゃんとの旅の支度を整えた。今回の式に来てくれたみんなからのプレゼントで荷物がかなり増えたけど、これは嬉しい悲鳴だ。アユムさんからも、大島さんからも、久保ちゃんからも、心のこもったプレゼントをいただいた。それらや、親に持って帰ってもらう荷物を車に積み込んだらかなり狭いことになってしまったけど、これはもうしょうがない。みゆきさんが書いてくれたウェルカムボードも、これまで北欧なんかでもらった思い出の品とかも持って帰って実家に保管しておいてもらいたい。さらに2人にはお金も持って帰ってもらいたい。路上で貯めたお金だけじゃなく、ご祝儀も。本当にありがたい。式に来られなかった友達がカッピーにご祝儀を預けてくれており、昨日カッピーからそれらを受け取った。どん兵衛と一緒に。マジでありがたすぎて泣けてくるよ。本当に本当にありがとう。式に参列してくれた友達は、今日の朝早くにすでにシュピッツから出発している。カッピーと大島さんは時間の都合で昨日のパーティーの後、二次会前にウィーンに戻っていった。式が終わり、また静寂を取り戻した初冬のシュピッツ。ここで結婚式ができたんだよなぁ……………「2人の幸せそうなところが見られて本当にハッピーよ!!!よかったわー!!!」いつにも増してニコニコと元気なイングリッドおばちゃん。何から何までお世話になりまくっているおばちゃんに無事式を見てもらえ、最高の1日を過ごせたことを報告でき、心の底から嬉しかった。おばちゃんとレイモンドパパが結婚式を挙げた教会で俺たちも式を挙げた。きっとこれも縁だよな。あの日、4年前にクレムスの路上で1人で歌ってて、オシッコに行きたくてどうしようと困っていた時に声をかけてくれたイングリッドおばちゃんとレイモンドパパ。あの時に、やがてこんな日が来るなんて誰が想像できただろう。カンちゃんともまだ出会っていなかったし、そもそも世界一周なんて本当に出来るのか不安で仕方なかった。それが今、こうして家族のように一緒の時間を過ごし、2人と同じ場所で結婚式を挙げた。こんなことってあるんだよなぁ……………旅って、人生ってすごいよなぁ。もうすっかり仲良くなっているイングリッドおばちゃんとお母さんがハグをした。大柄なおばちゃんと日本人の中でも小柄なお母さんがハグをすると大人と子供だ。お父さんもレイモンドパパとハグをする。2人の照れくさそうな表情が嬉しくもあり、どこか切なくもあった。「じゃあイングリッドおばちゃん、またオーストリアを出る前にカンちゃんと戻ってくるね。」「わかったわ!お父さんお母さんと素敵な旅をしてきてね!!」またちょっと泣きそうになっているイングリッドおばちゃんとレイモンドパパが見送ってくれる中、アクセルを踏んだ。おばちゃんたちと親たちが会ってくれたことが奇跡のように思えた。「あんたは色んな人に愛されちょるねぇ。いい人ばっかりじゃね。」みんなでのんびり会話しながら車を走らせた。草原を抜け、小さな町を抜け、おだやかなオーストリアの光景にお母さんが富良野みたいやねぇと言いながら写真を撮っている。いつもならお父さんが運転席だけど、今回は俺がハンドルを握る。子供のころから、旅行好きのお父さんお母さんに遠くまで連れて行ってもらっていたけど、今は俺がもっと遠くまで連れて行ってあげよう。オーストリアの早い夜がすぐに訪れ、1泊目のホテルが近づいてきた。途中スーパーマーケットで簡単なお買い物をしたんだけど、いつもマルショクやウメコウジでお買い物をしているお母さんたちを外国のスーパーに連れて行くと、それだけでちょっとしたアトラクションだ。2人とも興味深そうに色んな品物を見ては、高いねぇ、安いねぇ、これは何?と言っている。このところ連日レストランのご飯ばかりだったので、たまには簡単に済ませようとチーズやハム、ワインなんかを買い込み、ホテルの部屋で晩ご飯を食べることにした。1泊目の町は俺の大好きなシュタイアー。でも町からちょっと離れた山の上のホテルを予約している。景色がいいと評判のホテルだ。お父さんお母さんはきっとそういうのを喜んでくれる。すでに真っ暗になった細い山道を登っていき、山の上に出てからもゆっくりとヘッドライトの明かりだけをたよりに進んでいく。やがて暗闇の中にポツリと大きなペンション風の建物の明かりが見えた。周りには何もなく、暗闇の中でもあたり一面に草原がどこまでも広がっているのが想像できた。ホテルに到着したがひと気はなく、え?マジで営業してるのか?と不安になりながらも玄関に回ってベルを押すと、しばらくして中から人が出てきた。予約している旨を伝える必要もなく案内してくれるお兄さん。どうやらここもウィンターシーズンで宿は俺たちだけの貸切らしく、ホテルの中はとても静かだった。「おおー、これはいいなぁ。広くて綺麗ですごくいいわ!ウィーンのホテルよりもいいなぁ。」避暑地にあるペンションのような開放感のあるアットホームな部屋で、キッチン完備、ベッドも無駄に6個くらいあり、今すぐでも住めそうな雰囲気だった。リビングには大きな窓が面しており、今は真っ暗だけど、遮るものがなにもないこの展望は明日の美しい景色を期待させた。とにかく、いいわぁー!と喜んでいる2人を見るのが嬉しかった。さっき買った食材で簡単な晩ご飯を済ませ、ビールを飲み、白ワインのボトルをあけ、色んな話に花を咲かせた。ここってオーストリアなんだよなぁ。あまりにも両親に故郷が染みついていて、2人といるだけで帰郷したような感覚になる。きっとそういうことなんだろう。いくつになっても、親こそが故郷なんだよな。この夜は全然寝つけなかった。4月ぶりにカンちゃんのいない部屋で1人で寝るのが寂しすぎたのもあると思う。でもそれよりも、親と一緒にいることが、自分を故郷に引きずり込んでいた。実家の窓から見える海と灯台の景色。夜には月が水平線までのび、潮騒が聞こえてくる。俺はあそこにはもういない。あの部屋に行くことはできても、戻ることはできない。先に進み続けなければいけない。親といると、あの場所に戻ってしまうんじゃないかっていう気持ちが胸をざわめかせて、不思議な焦りを感じさせた。なんだろうな、あの気持ちはうまく書けないな。何時間も寝つけなくてゴロゴロとベッドの中で眠りの入り口を探し続けた。