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ここはもうチロルのど真ん中


2016年10月11日(火曜日)
【オーストリア】 ヴェルス ~ サンクトヨーハンイムポンガウ






二日酔いです。

そうです、そんなもんです。





気持ち悪くて何も口にしたくないです。


どん兵衛食べたら1発で治るのになぁ…………

どん兵衛は二日酔いの特効薬。


そして調子乗って天そば食べて油でさらにウェェってなります。



あぁ、うどん食べたい。












見事二日酔いになったゆうべの飲み会から一夜明け、ここはヴェルスの町の中のパーキング。

車の中でもぞもぞと目を覚まし、グデグデしながら荷物を入れかえる。



そしてとりあえずワイファイに繋いでアユムさんからのメールをチェックした。


メールからでも爽やかさが伝わってくる文面で、今日の14時前にヴェルスを出発するとのこと。



アユムさんはこれから北にのぼってチェコのチェスキークルムロフに行く。


せっかくだから見送りしたかったんだけど、今日は長い移動が待っている。

14時までヴェルスにいるとほとんど移動できなくなってしまうので、申し訳ないが先に出発することにした。

ゆうべめっちゃお話したからな。




いや、まだ話したいけど。



うん。









「アユムさん、それじゃあ今から美味しいハンバーガーでも食べに行きましょうか。80キロほどチェコと反対方向ですが。」





即答で返事が返ってきた。






「行きます。」





ウケる!!!

この人面白すぎる(´Д` )






しかしすぐにまた画像付きでメールが来た。

そこまで下ってしまうと戻るのにめっちゃ電車代が高くなるようで今回は諦めます…………とのこと。



そっかー、ハンバーガーがあるのは山奥の町なので電車代もかなり割高みたいだ。


ハンバーガーくらい奢らせてもらいたかったけど、あんまり予定をめちゃくちゃにしてしまうのも悪いので、ここは大人しく次の機会にまた美味しいもの食べに行きましょうということで俺たちも出発することにした。




アユムさん、またどっかで!!

とにかく盗難と病気にだけは気をつけて!!!

マジで楽しかったです!!






















さぁ、アユムさんとの再会も果たせ、楽しすぎる1日を過ごした。


ついに、ついにチロルに向かうぞ。


オーストリアの南西部。

にょーんと横長にのびている出っ張った部分。

全てがアルプス山脈に閉ざされた険しい秘境エリアだ。




行ったことなくても地図を見るだけでどれほどの絶景が待ち構えているか簡単に想像できる。

イングリッドおばちゃんも、チロルの山の中の小さな町や村はアッメイジングだからたくさん回るのよー!!と興奮して話していた。


マジで余裕でハイジしか住んでないような光景だらけなんだろうなぁ!!




うー、車で都会を回るのももちろん素敵だけど、大自然の中を探検するのはやっぱり旅してる感覚になれる。


久しぶりの冒険だぞ。

遭難しないように気をつけないと………………




というわけで、いざチロル!!

















なんだけど、ちょっとやっときたいことがあったのでそこらへんにあった銀行へ。

路上で貯めたコインがなかなかのバーベルになってきてるので両替しておきたかったんだけど、オーストリアではアカウントがなくても銀行でコインの両替をしてもらえるみたいだ。




そしてやってきたのはライフェイセンって読むのかな?っていう銀行。

黄色に黒い斧みたいな絵がクロスしている看板のとこだ。




ドイツではアカウントないと無理よーっていつも断られていたけど、ここではすぐにカウンティングマシーンに連れて行ってもらえ、ザバー!!っと機械にコインを流し込んで自動で数えてもらえた。


やったぜ!!この尋常じゃない量のコインをどうにもできないのがいつも悩みの種だったんだけど、オーストリアではこんなに簡単に両替できるんだ!!





イヤッホゥ!!と思っていたら、





問題発生。



両替手数料が34ユーロと言う。3900円。

ぬぐぅ!!まじか!!!




両替すると1700ユーロほどになったので4000円って小さく思えてしまうけど、いやいや、豪華なディナーが食べられる金額。


でも今さらあのハーベストで町中からかき集めてきたような尋常じゃない量のコインを返してもらうのも気まずすぎる……………





仕方なく両替してもらった。


計算したらどうやら2パーセントの両替手数料らしい。


またコインを換金するときがあるかもしれないので、今度は他の銀行もあたってもっと手数料の低いところを見つけないとな。























さぁ換金が済んだら、いざチロルウウウウウウ!!!!!!!

チロルウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!




と見せかけて、途中の町で車止めて猛ダッシュでオシッコちびりそうになりながら走ってこけてアスファルトで顔えぐりながらあそこに到着!!!!!












バードイシュルのハンバーガー好きいいいいいいいいいいいいい!!!!!!








なにこれ?

頭おかしいの?頭おかしくなるくらい美味しいの?

肉汁がもう間欠泉なんですけど?川俣なの?




「うっま。これうっま。」




「………………」





最近結婚式に向けてダイエットのために夜のご飯を極力食べていない神田さん、もはや無言。丸顔の猛獣。


今話しかけたらビンタされるくらいのオーラ。




はぁあぁぁ……………これでひとつ5.1ユーロ、590円なんだから、このためだけにバードイシュル来たくなるわ。


外で立ち食いっていうところだけキツイけど。

今日めっちゃ寒い。





「あー美味しかった。………か、神田さん、満足されましたか?」




「…………………モニュモニュ…………」




「…………神田さん?」




「……………もう1個食べたい…………いやああああああ!!美味しすぎるよおおおおお!!!」




発狂する神田さんを引きずって車に帰り、バードイシュルを出発。

チロルから戻るときにバードイシュルは通るのでまたこのハンバーガー食べられるように頑張って歌うぞ!!




















バードイシュルを出て、雨の中ひたすら西へと走っていく。


風景は緑の多い草原が広がっており、崖や静かな川があり、放牧された牛が散らばっている。














そんなのどかな田舎道を走っていると、やがて景色が変わってきた。


空はどんよりと黒い雲が立ち込めており、山々の頂が雲にかすんでどこまでも天にそびえていそうなほどにダイナミックだ。


そしてひとつの曲がり角を曲がって視界がまっすぐに開けたとき、向こうの空に巨大な雪山が現れた。












「うおおお………すげえ…………」



目の前に迫る雪山はまだ10月頭だというのに真っ白に染まっており、あまりの壮大な光景にまるで絵画のようにすら見える。


あれはもうアルプスなのか。

あの山の奥深くに今から突入していくのかと思うと、まるでSF映画の中にいるかのように思えてくる。

あの向こうにどんな村があって、どんな人たちが暮らしているんだろう。


































やがて少し大きめの町が谷間に現れた。


町の真ん中には大きなふたつの塔を持つ教会がそびえており、これはなかなか面白そうな町だ。



本当はまだ先に進みたかったんだけど、これが車旅の辛いところ。

景色が綺麗すぎて思うように先に進めない。

でもそれが醍醐味だからな。



今日はこの町で寝て、明日あの教会を見に行くことにした。


町の名前はサンクトヨーハンイムポンガウ。絶対覚えられん。












どうせなら景色のいいとろで寝ようと、谷を見下ろす急な山の斜面をぐんぐん登ってみた。

曲がりくねった坂道で、ギアを2速にして上がっていく。



民家がまばらにあるんだけど、そのほとんどがペンションということは、どうやらこの町もまたスキー場で賑わう町なんだろうな。


この辺りの人に聞いたら、夏場の観光客と冬場のスキー客は同じくらいの数らしい。

そりゃものすごい賑わいだ。


つまりちょうど中間の今が1番のローシーズンってことみたい。












どこまで登ればいいんだ?ってちょっと不安になりながらもひたすら坂道を上り続けていると、ようやく道が少し広がっているスペースを見つけてそこに寄せた。


すると目の前に素晴らしい景色が広がった。





雪をかぶる山々、草原の谷、その真ん中に寄り添うように作られた可愛らしい町。


真ん中にあるふたつの塔の教会がライトアップされている姿は、まるで海に浮かぶ灯台のようだ。



谷に夜の闇が訪れると、町あかりがキラキラと輝いて、それぞれの人生を誰かに伝えている。


大地に光る粒が、そこにある暮らしを物語っている。



いつまでも見とれていたかったけど、あまりに寒くて震えながら車の整理をして寝床を作った。














すぐに窓ガラスが結露して水滴で覆われる。

人差し指でそれを拭うと、水滴の隙間から美しい夜景が現れる。


ここはもうチロルのど真ん中だ。

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