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ドイツ、戦争の後遺症

2016年8月30日(火曜日)
【ドイツ】 ベルリン






ベルリンは路駐まみれ。

ちょっと脇道に入って住宅地に行けばズラリと路駐の列が道の片側を埋めていて、対向車が来たら離合できないくらい道を狭めている。


どこに停めてもよさそうではあるんだけど、そこは地元の人間じゃない俺たち。

何か特別なルールがあるかもしれない。

横のアパートの人の専用路駐かもしれない。


そんなこともあって怖くてゆうべは結構街はずれまで出てから車の中で眠った。














朝のベルリンはとても爽やかな日差しだった。





街路樹がどこまでものび、木漏れ日が静かな街を照らしている。

今日の予定は夜にカンちゃんの友達のジュリアンと会うことだけ。






このジュリアンとカンちゃんにはちょっとしたエピソードがある。




カンちゃんが前回の旅の帰国後に大阪のゲストハウスで働いている時のこと。

そのゲストハウスは大人気のホステルだったので、バッグパッカーから短期のアジア人観光客までたくさんのお客さんがやってきていつも満室になっていた。


なので、飛び込みでやってくるお客さんはなかなか泊まることができない。


このジュリアンもその1人。



ドイツ人のジュリアン、アメリカ人のトーマス、そしてこの前会ったフィンランド人の女の子のマーリット、この3人がその夜、宿がなくて途方に暮れていた。




あんまり可哀想だったのでカンちゃんはこの3人を自分のアパートに泊めてあげることにした。

マーリットという女の子もいることだし、3人とも悪い人ではなかったので、カンちゃんは3人にウチに来ればいいよと言った。




カンちゃんもバッグパッカー。

世界中で現地の人に優しくしてもらっているので、彼らの気持ちがよく分かる。






が、しかし、3人の中のマーリットだけが急に泊まる場所を確保した。


ジュリアンとトーマスは宿無し。



カンちゃんは悩んだ。

2人はどう見てもいい人丸出しの好青年。何も起きることはないはず。


でも女の子1人の部屋に、いってもそこまで親しくない外国人男性を2人泊めるのは危ないんじゃないか?


でもマーリットがいなくなったからやっぱり泊めてあげない、って言うのも可哀想。


悩んだ末、カンちゃんは自分のアパートに2人を泊めた。




もちろん何もなく朝になり、2人はカンちゃんに最大限の感謝をして日本の旅を続け、帰国。


もしこっちの国に来たらいつでも遊びに来て、いくらでも好きなだけ泊まっていってよー!!と言ってくれている。






素晴らしいことだと思う。

2人の外国人の中で、日本人のイメージはウルトラ上がったことだと思う。

俺も同じシチュエーションなら間違いなくカンちゃんと同じことをしてた。



でもやっぱり女の子1人の部屋にあんまり知らない外国人男性を2人泊めるというのはいけないよとカンちゃんに注意した。


確実になにもないと分かっていたとしても、そこは彼氏としてかなり危なく思えた。


ごめんなさい…………と謝っていたカンちゃん。

気持ちはものすごくわかる。
でも女の子と男では警戒すべきところの線引きって変わってくるはず。

難しいところだなぁ。















というわけで夜にそのジュリアンと会うので昼間はやることなし。



路上をしてもいいんだけど、ベルリンには他のヨーロッパの街のようなホコ天のショッピングストリートがない。


なので前回のベルリンではテキトーに地下鉄の地下道で1時間ほど歌ったんだけど、今回は車がある。

大都会で駐車場を探すのも面倒くさいし、今はそこまでお金にも困っていないのでベルリンでは今回は路上はやめておこう。









というわけでちょいと観光。







「ホラ、カンちゃん、なんか大きな建物あるよー。」



「あ、本当だー。なんとかキュウデンっていうんだねー。ところでキュウデンってなにー?」



「キュウデン?そりゃ九州電力ですよ。」



「あひー!!それウケるー!!フミ君今日さえてるー!!」



「はぁ!?九州の人間にキュウデンって言ったら九州電力のことしかないですよ!!」




ここはシャルロッテンブルグ宮殿っていうところみたい。

ていうか宮殿の正確な意味ってなんですか?














次にイーストサイドギャラリーという場所にやってきた。










中心地から少し東に行った川沿いに、ベルリンの壁がいい保存状態で残されている場所がある。


1キロくらいに渡ってコンクリートの壁が続いており、これがあの東西冷戦の象徴なのかと思うと、感慨深いものがある。












壁にはそれぞれに絵が描かれているんだけど、これらは世界中のアーティストによるものらしい。


有名なおじさんのキスの絵もここにある。


旧ソ連のブレジネフ書記長と東ドイツのホーネッカー書記長のキスの絵。

これってめっちゃ有名な絵だから創作かと思ったんだけど、実際キスしてる写真もあったら事実だったんだ。驚いた。













ヒトラーが総統になり、ドイツは一旦はヨーロッパのかなり多くの部分を支配した大帝国になった。

しかし度重なる侵攻で疲弊し、やがてソ連軍やアメリカ、フランスなどの連合国軍に攻め入られ、ついにベルリンが陥落。


1945年に無条件降伏をし、ドイツ国土はアメリカ、フランス、イギリス、ソ連によって分割された。



しかし西と東の対立によってその後アメリカなどの西側諸国によって西ドイツが発足。ソ連側によって東ドイツが誕生し、1961年の冷戦真っ只中にこのベルリンの壁が建設された。


一時は社会主義国家として繁栄した東ドイツだったけど、西側諸国の経済成長によって東ドイツ国民の不満が高まり、西ドイツへと逃げる国民が増加。


国が麻痺していき、そしてついに1989年。ベルリンの壁は崩壊。


1990年に西ドイツと東ドイツは統一し、その翌年にソビエト連邦も崩壊した。


ほんの、ほんのつい最近のこと。

俺が8歳の頃にはまだドイツは西ドイツと東ドイツに分かれていた。


だったらまだ人々の心の中には、別々の国という意識を持っている人も少なからずいるはずだ。


こんな大国なのに、戦争の後遺症は今も人々の心の中にある。








過去に国を分断していた負の遺跡が現在では素晴らしいアートのギャラリーになっているところに、ベルリンのたくましさやヨーロッパ人の芸術へのリスペクトをすごく感じる。


人間生きていれば、悲しみも喜びも溢れ出てきて、それがアートになっていく。


本当、歴史を忘れずに、人々の想いを敬っていかないとな。




お、アクセサリー売りの人だ。

カンちゃんのお父さんも40年前にこうやってヨーロッパを旅していたらしい。











ていうか落書き多いなぁ………………









世界中から来た観光客が自分の名前と日付を書いてる。

なんだかなぁ。貴重な遺跡だと思うんだけどなぁ。


ベルリンの壁は遺跡として保存していこうという声があるんだけど、こうした度重なる落書きと絵の上塗りで壁は瀕死の状態にあるらしい。




頼むから日本人は書いてないでくれよーと壁を見ながら歩いていく。




戦争ですごい爆弾を受けた日本人としてはやはり戦争の傷というものを敬って…………………


















おっぱいて。


落書きするにしてもよりによっておっぱいチョイスて。


ベルリンの壁におっぱいと書く心理どんななんだろ………………


頼むわ……………















「オーケー!レッツゴー!!ワンモアタイム!!ワンモアタイム!!」



観光客たちに混じって壁沿いを歩いていたら、歩道にちょっとした人だかりが出来ているのを見つけた。


何してるんだろ?と近づいていくと、5~6人の人だかりの真ん中でオッさんが地面に布を敷いてその上で小さな箱を動かしていた。





マッチ箱くらいの大きさの箱が3つあり、その箱をシャッフルしているオッさん。


3つの箱のひとつに玉が入っており、箱をスピーディーに動かして、さぁどの箱に玉が入っているでしょうってやつだ。



どうやらそれを当てるという青空賭博を開いているよう。





「レッツゴー!!ワンモアタイムワンモアタイム!!レッツゴー!!」



威勢良くかけ声をあげながらマッチ箱をシャッフルしているオッさん。

その周りで女の人やおじさんが、この箱に賭けるわ!!とお金を渡しているんだけど、なんとその渡してる紙幣が50ユーロだった。


こんなギャンブルに6000円って嘘だろ!?


それもぽんぽん50ユーロを賭けまくっている。


な、なに!?ドイツってそんなギャンブル好きな国だったっけ?






親であるオッさんの手元を見てみると、まぁ下手くそ。


普通この手のギャンブルって、いかに早く、トリッキーに箱を動かして、どの箱に玉が入っているか目で追えないようにするもんだ。


それなのにこのオッさんはめっちゃスローだし、なんなら指がひっかかって箱が一瞬浮いて中の玉が見えたりしてる。


ギャンブルになってない。

しかも50ユーロて。




「オーケー!!私この箱に賭けるわ!!!50ユーロね!!はい!!やったー!!当たったわーー!!倍返しよー!!」



「オーケー!!ワンモアタイムワンモアタイム!!オーケー!!」




そりゃ当然当たる。

倍返しなので一瞬で50ユーロをゲットしているおばちゃん。


そして今度はおじさんが50ユーロを賭けて箱をめくった。


あ、それじゃないよ、って思いながら見ていたら、案の定めくった箱の中に玉は入っておらず、オーウ………と顔をおさえたおじさん。



おいおい、あれを間違えるか?

あんなスローなシャッフルで。




すると隣にいた女の人が俺に声をかけてきた。



「ルールわかる!?どれに玉が入ってるか当てるだけでダブルバックなのよ!!あなたもやったほうがいいわ!!こんなに簡単なんだもん!!」



そして親のオッさんが俺に向かって、兄ちゃん!どれに玉が入ってるか当ててみな!!と言ってきた。


これだと思いますよ、と近づいて箱をめくろうとした。


するとオッさんが、めくる前に兄ちゃんも金を賭けな!と言った。



じゃあ別にいいですと後ろに下がると、なんでだよ!!こんなに簡単なのにやらないなんてテメー金玉ついてんのかこのフニャチン野郎!!と食い下がってきた。



「だから別にいいです。ギャンブルしないんで。」



「はぁあ!!度胸のないアジア人だわ!!ホラ!!私がやってみるわよ!!あなたこれをめくろうとしたわよね!!ホラ!!当たってたわ!!やったー!!50ユーロゲットだわ!!!やらないなんてアホだわー!!!このフニャチンの役立たずの皮あまり!!」



「違うわこの野郎!!誰が皮あまりだ!!人がおとなしく聞いてたらいい気になりやがって!!サムライが本気になったらお前なんか一瞬で骨抜きで失神だバカ!!!よっしゃ50ユーロ賭けてやろうじゃねぇか!!そのかわりイカサマしやがったらテメーの小指スタープラチナでへし折るぞオラァ!!」




そうして勢いよく財布から50ユーロを取り出してオッさんに渡して箱をめくったら玉がなくてギャアアアアアアアアア!!!!!殺すうううううううう!!!!!
スタープラチナないからイカサマ見抜けんんんんんんん!!!!!!!















もちろん賭けたりしません。



完全にイカサマ集団。


うー、俺わかってるのに………!!って我慢できなくなって金を賭ける人ももしかしたらいるかもしれない。


そしてどうやってやるかはわからんけど、上手いこと外させて金を巻き上げるんだろう。


箱をシャッフルする時にミスったように見せかけて中の玉を絶妙にチラ見させるのも、彼らの技術のひとつだ。




そして周りのサクラたちも上手い。

年齢層、性別、服装をバラけさせ、みんなギャンブルを楽しんでる風に装っている。



ドゥーユースピークイングリッシュ!?

イエース、アイドゥー!!



なんて小芝居まで打っている。



先進国のドイツでもこんなしょうもないイカサマ集団とかいるんだなぁ。

やっぱり首都は色んな人がいる。






面白そうだから離れたところでしばらく様子を見ていたけど、まぁ誰も参加しないわな。

どんな仕事っぷりをするのか見てみたかったけど、さすがにみんなそんなアホではない。


でも歩いていくと、壁の反対側のほうにもまったく同じ手口の集団が地面で箱を動かしていた。

きっと稼げるからやってるんだよなぁ。



みなさんもベルリンに行った際には気をつけてください。

























それからカフェに行ってネット作業をしていたんだけど、どうにも美容室のことが気になって仕方ないカンちゃんが、オーストリアのウィーンにある日本人サロンを探してみたところ、どうやらウィーンには1軒しか存在しないみたいだった。


しかもその1軒の美容師さんは40歳を超えてからオーストリアで美容師の勉強を始めてお店を構えられたということ。


うーん………と悩んでいるカンちゃん。


このベルリンを出たら次はポーランド。そしてチェコを通ってオーストリアに入ってしまったらシェンゲンがあるのでもうオーストリアから出ることはできない。

ウィーンでやるしかなくなる。


俺はまぁいいんだけど、女の子のカンちゃんはやっぱり確実に信頼できるところでやりたいというのが心情。

よく分かる。


でも昨日ベルリンの日本人サロンを回った結果はどこも予約でいっぱい。




「うーん………ベルリンでやってしまいたいなぁ………どうしようかなぁ…………」



あんまりカンちゃんが悩んでいるので、もう1回、昨日行ってものすごく感じのよかったサロンに相談しに行くことにした。

昨日、今日はいっぱいだったけど、明日はまだわからない。




もしかしたらやってもらえるかも…………と淡い期待を胸に美容室、リンクヘアーデザインにやってきた。


そして相談した結果……………




わかりました!!では明日の朝8時に来てください!!それならなんとかお2人ともできると思いますので!!と言ってもらえた。



本当、ここの店長さん、めっちゃ感じいい。
腰が低くて、オシャレで気さくで優しい人だ。


でも8時ってことは、もしかしてオープン前の時間に特別にやってもらえるってことじゃないのか?

お忙しいのに大丈夫ですか?と聞くと、大丈夫です!と笑顔のお兄さん。


申し訳ないところだけど、本当にありがたい!!


これで明日、心置きなくベルリンを離れることができるぞ。


















そこまでやったところで夕方になって、カンちゃんのお友達に会う時間が来た。


教えてもらっていた住所にやってきて、アパートの呼び鈴を押すとドアが開き、そこに背の高い感じのいい兄さんが立っていた。




「ナオーー!!アメイジング!!君がここにいるなんて!!!」



「ジュリアンー!!久しぶりー!!」




どっからどう見ても好青年で、虫も殺せないような優しい笑顔のジュリアン。


なるほど、こりゃカンちゃんも安心して家に泊めるわ。

人畜無害が全身から溢れ出ている。







「ベルリンにはどれくらい滞在するの?何日でも泊まっていっていいから!!」



「明日出るんだ。シェンゲンの関係で時間がなくて。」



「明日!?短すぎるよ!残念だなぁ。じゃあ今日は何を食べたい?」



「ドイツのご飯を食べてみたい!!近くにドイツ料理のお店とかある?」



「うーん、知ってるかい?ドイツではドイツのご飯を見つけるのがめっちゃ難しいんだよ。ケバブとかタイ料理とかアメリカンとかだらけなのにドイツのご飯がないっていうおかしな話さ!!カレーワーストはもう食べたかい?」



「あ、それは食べた!!でもそんなに好きじゃないかな………」



「カレー36っていうお店が1番美味しいカレーワーストのお店なんだけどね。でも今日は家で食べようか。」







よっしゃ!!それならば俺たちがご飯を作るよ!!とスーパーに行って食材を買い込み、ジュリアンのアパートで料理した。



















そうして完成したのは………………















生姜焼き。

それとブルガリアでいつも食べてたショップズサラダ。




「ワオ!!美味しい!!あぁ、日本のご飯はいつ食べてもアメイジングだよ!!!」





日本をバックパックで回っていたジュリアン。

日本での1番の思い出はお遍路だそう。

一部バスに乗ったけどほとんど歩きで四国お遍路を結願したらしく、部屋の壁にはお遍路の編笠や白装束が大事そうに飾られていた。




「お遍路はマジで素晴らしいよ。辛いこともあったけど、毎日が美しくて、人は優しくて、あの経験で僕は本当に大きく変化した。色んな考え方とかが変わったんだ。だからまた日本に行きたい。これはお世辞とかじゃなくて、本当に日本が今まで行った国でベストカントリーだよ。」




ここまで言ってもらえるとさすがに照れくさくなる。

日本は素晴らしい。でも長年住んでいれば悪いところももちろん知っている。


ジュリアンやその他の日本を心から愛してくれる外国人のみんなが、日本を嫌いになってしまわないよう、イカれた事件とか荒んだ話が減ることを心から願うばかり。













この夜はおそくまで飲み、語って、本当に楽しい時間だった。


ジュリアンめっちゃいいやつ。こんな素敵な人と繋げてくれたカンちゃんに感謝。




出してきたウォッカがイカつすぎるけど。





いやぁ、ベルリン満喫してる!!!









~~~~~~~~~~~~~~~~~~


インドネシアのホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!


インドネシアってあんまり入らないから新鮮です。ご飯美味しいんだろうなぁ。なんとかゴレンとか!


どうもありがとうございます!!

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