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世界最北のストリートミュージシャン

2016年6月30日(木曜日)
【ノルウェー】 スバールバル諸島






目がさめると目の前北極海。







絶景にもほどがある。





サイコーすぎるううううううう!!!!!!


世界最北の野宿、いただきました。







キャンプじゃないです。野宿です。

野宿はみじめなものじゃないですよ。楽しむものです。



たとえ雨が降ってきてびしょ濡れになりながら荷物をまとめていたら警察に怒られてホームレスと仲良くなって野犬に吠えられても笑っていられます。嘘です。無理ですめっちゃ辛いです。




でも景色のいいところでの野宿はマジで最高だ。


なんせ振り返るとそこにあるのは世界種子貯蔵庫。

この地球のノアの箱船だ。

植物の自生限界を超えているのか、周りにはただひたすら石がゴロゴロ転がる荒れた山が広がるのみで、そんなこの世の果てに2人きりだと思うと旅人として体の底から喜びが溢れ出した。














すると、向こうのほうから1台のバンが走ってくるのが見えた。


そのバンはクネクネの坂道を登ってきて、この種子貯蔵庫の前にやってきた。



ていうかむしろ意外だった。

もっとたくさんの観光客が朝早くから来るんじゃないかと思っていたのに、このバンが最初だった。


実はスバールバルに来る人たちはクルーズや氷河ハイキングが目的であって、種子貯蔵庫なんて眼中にないのかもしれないな。


実際、想像していたよりは建物も小さいし。












バンから降りてきた観光客たちはこんな場所で寝ていた俺たちのことを見て笑顔で手を振ってくる。


すると現地の人であろう運転手さんがこんなことを言ってきた。




「お前たちライフルは持ってるのかーい?」




え?どういうこと?





「いや、持ってませんー。」



「ベアーが出たらお前たちのことを食っちまうぞ。気をつけろよー。」





あぁ、なるほど、でもライフルなんて持ってるわけないし、持ってても撃ち方わからん。



スバールバル諸島はシロクマの生息地だ。

確かにこんな大自然の中だったら出没してもおかしくないんだろうな。






























荷物をまとめて、今日も海沿いをテクテク歩いて町に戻ってきた。

隠していた荷物をとったら、コープの入り口のところにある椅子に着席。



そう、このコープ、なんとフリーワイファイが飛んでいるのだ。

すげぇ!!スーパーにフリーワイファイ!!


しかもご丁寧に椅子とテーブルが置いてあるので、だいたいこの場所は観光客たちの作業ポイントになっていていつも誰かしらが座ってノートパソコンを叩いている。




スーパーの入り口にもシロクマ!!






結構品揃え豊富。でも全部ウルトラ高いけど














しかもここだけではない。


コープの向かいのショッピングセンター、ロンペンにもワイファイが飛んでいるし、ロンペンの2階にはパブリックライブラリーが入っており、充電しながらワイファイができる。


さらにこのパブリックライブラリーの中にはコーヒーマシーンが置いてあり、5クローナでカプチーノが飲める。60円。この町ダントツ最安のコーヒー。



他にもいたるところにコンセントとフリーワイファイが飛んでいるので、世界最北にいながら作業にはまったく困らないからアユムさんいかがですか?


















そんなわけでサクッと作業をしたら昨日と同じゲロ高いホットドッグを大事に大事に食べ、やることをやりましょうか。












世界最北の路上ミュージシャン、いただきました。









うおおおおおお!!!!!!


ここで歌えてるっていうアレだけでもうアレがアレしてアレえええええええええええ!!!!!!!






右を見ても左を見てもそそり立つ雪山ですよ
シコルスキーさん。



ここで路上した人絶対いないはず。



うおおおおお!!!もうやれるだけで興奮するわ!!!パレスチナでやったときもビビったけどここもヤベェ!!!


シロクマ来ねえかな!!インドの牛みたいに!!
やっぱり来ないで!!


うわああああああ!!!錆にしがみついてロケット発射基地から脱出してええええええ!!!!











最初は、おいおい、マジかこいつ?みたいな感じだった町の人たちも3曲目でコインが入ってからはもう超ウェルカム。


バンバンお金が入り、みんな素敵な笑顔で親指を立ててくれる。


そして単価が高い!!

観光客はもちろん世界中から集まっているお金持ちではあるけども、現地の人もまた特別な仕事でノルウェー本土から来ている人たちだ。


ここに住んでいる人たちは本土の人よりも学歴が高く、給料も高いんだそうだ。

























そうして歌っていると色んな人が話しかけてくる。


最初に話しかけてきたのはこのスバールバルの新聞を作っているというライターのマークさん。

痩せた体に髭を蓄えた無精者然とした風態が、いかにもライターの雰囲気を出している。




「昨日はどこで寝たんだい?」



「あ、種子貯蔵庫の前で寝ました。」



「そうなのか、ライフルは持っていたのかい?」



「いえ?ないですけど。」



「それはいけないよ。ここは町の中でもシロクマが出るんだ。町から出るときはライフルを携行していないといけないっていう決まりがあるんだ。」





そうなんだ!!

確かにさっきからライフルを肩にさげた人をよく見かけるなぁと思っていたけどそういうことだったんだ。




「ということはその辺の山にハイキングに行くにもライフルが必要なんですか?」



「そうだよ。それかライフルを持っている人についていくことだね。もし人がシロクマに襲われたらクマを撃たないといけない。貴重なシロクマを殺さないためにこちらが気をつけないといけないんだ。」




なるほど………これは迂闊だった。

動物に襲われるのは自己責任という問題ではなんだな。クマの命に関わることなんだ。






でも実際のところは、あの種子貯蔵庫あたりなら普通にみんな歩いて行ってるらしい。

山へのハイキングもこの町場の山ならみんなライフルなしで登ってるみたいだ。


んー、厳しくはないみたいだけど、やっぱり気をつけないとな。











次に話しかけてくれたのはなんと日本人だった。



「え!もしかして金丸さんですか!?すげぇ!!こんなところで遭遇するなんて!!僕ら1回南米で金丸さんとニアミスしてるんですよ。」



「すげぇ!!こんなところで日本人と遭遇した!!」




お互いにこんな最果ての地で日本人に会えたことで興奮しながらおしゃべりした。


素敵なカップルさんで、ケータ君のことも知っているようだった。



お2人はこれからクルーズに行くということで、へー氷河ツアーとか行くんだー、いいなぁ、と思ったら1ヶ月くらいかけての北極クルージングだった。



なんかすんません!!とりあえず土下座でいいですか!!?

北極にクルージング行っちゃう人と同じ目線で舐めた口きいてマジで本当楽しんできてください!!



























それからも世界最北の路上を噛み締めながら歌っていると、また日本人の人が声をかけてきてくれた。


しかし今度の女性は観光客ではなく、現地に住んでるかた。


そう、世界最北の寿司屋の店長さんだった。




「へー!こんなところで歌ってる人初めて見ましたよ!!あとで写真撮らせてくださいね!」




にこやかな女の人で、とても感じのいいかただった。

歳も同じくらいなのかな。お名前はアズサさん。





「お店は今どれくらいなんですか?」



「今で3年半くらいですねー。でも毎日飽きないですよ。冬とかすごく素敵ですよ。ずーっと真っ暗で。」



「アズサさんってご出身はどこですか?」



「宮崎ですよ。」





世界最北の町で宮崎県民と出会う奇跡いただきました。


す、すげぇ………!!




チキン南蛮食べたくてオシッコ漏れそう!!という話で盛り上がり、あとでまた遊びに来てねーとお店に戻っていったアズサさん。


カンちゃんともたくさん話してくれ、早速いいお知り合いがこの島にできて嬉しかった。




















歌いながら現地の人と色んな話をした。


ステューピッドツーリストが外でバーベキューして物を放置していたことを、顔をしかめて話す人。


最近メスのベアーがシュートされたというニュース。


みんな島のことを心の底から愛しているのがじんわり伝わってくる。


俺も早速この島のことが好きになってきていた。








冬の極夜になったら、4ヶ月間、日が昇らない真っ暗闇の世界になるんだそう。

一体どんな感覚なんだろう。


意外にもそんな暗闇の時期にも観光客は多いらしく、世界中からブルースマンが集まるブルースフェスなんてものもあるらしい。


極夜とブルース、なんてイカしてるんだろう。



そんな極夜が薄らいでくると、やがて夜明け前の青い空の期間が続き、3~4月になると夕焼けの期間になるという。


すごすぎる。

あの1秒ごとに色が変わるトワイライトの空が何日間も続くなんて、なんて幻想的なんだ。



こんな場所で暮らせたらと思うと、ロマンしか湧いてこない。

ハマる人の気持ちわかるわ………






今日は3時間ほど歌ってあがりは1395クローナ、18.5ユーロ、20スウェーデンクローナ、計19450円。

































ギターを片付けていると、お寿司屋さんのアズサさんが仕事を終えてまた戻って来てくれた。



「これからどうします?私今からそこの小屋に行くんですけど来ます?」



何やら週に2回、火曜日と木曜日だったかな?島の人たちの不用品が集められたバザーの小屋が開かれるそう。


島の人たちが要らないものをそこに置いていき、必要な人が持っていくという、なんとも島らしい、小さなコミュニティのバザーだ。


しかもそれ、全部無料という。




ふーん、まぁ無料ってくらいだからそんなに大したものはないだろうけど、とりあえず遊びに行ってみることに。
























極北かかってこい。









「嘘ぉ!!!これ無料なんですか!?えぇ!?これも無料なのぉ!!??」



「ええ!!これもですか!!普通にブランド物だし!!すごい!!!」




ここマジでヤバい。






島の人たちが置いていったものなので、ウルトラ無敵の防寒着が大量に置いてある!!!


しかもそれだけじゃなくて結構普通にオシャレなジャケットとかズボンもある!!!



ぐおおお!!靴まである!!!!


俺とカンちゃん狂喜しながら服を選びまくった。






このスバールバルは毎年島の住民が4分の1も入れ替わるという場所だ。

本土に帰るときに要らなくなったものをまとめてここに置いていくんだろう。

食器や本なんかも置いてある。




「これいただいていいんですか!?」



「もちろんだよー。何点持っていくがだけ教えてね。」




スタッフのお兄ちゃんにサンキュー!ってお礼を言って小屋を出た。




俺、ジャケットと防寒着とズボンと暖かいブーツをゲット。


カンちゃんはロングニットカーディガンとピーコートをゲット。




防寒着なくてどうしようって言ってたのにここで解決!!

マジでありがたすぎる!!


しかもオシャレだからヨーロッパで街歩きできるぞー!!


















「良かったらちょっと飲みませんか?今、島に4人日本人がいるんですけどみんな飲めなくて寂しいんですよー。」



俺たちもこんなところで日本人にお会いできてテンション上がってるので是非ともと3人で飲みに行った。


スバールバルにあるスバルバーというダジャレが店名になったバーでアズサさんとタップビールで乾杯した。







ドイツ、オランダと何年もヨーロッパで暮らしてきたというアズサさん。

縁あってこの島で暮らすことになったそうで、今では島中の人と友達だ。


さっきからみんなアズサさんに声をかけ、アズサさんも流暢な英語で会話している。




「島にはノルウェー人が2000人くらい住んでるんだけど、タイ人もすごく多くて200人くらいいるんだよね。」




なるほど、今日歌っていてアジア顔の人をたくさん見かけたけどそういうことか。

ここはビザなしでいつまででも住めて自由に商売ができる土地。

そりゃ色んな国籍の人が移り住んでるはず。





でもそんな中でひとつだけ移住のルールがあるそう。


それは、自分をキチンと養えること。



以前、韓国人のバッグパッカーが島に来て、昼間にロンペンの中のベンチで寝て、夜にウロウロ徘徊するという金のない生活をしていたら、警察に捕まって2日間拘留された挙句、強制送還されたらしい。


ホテルに泊まる金がないようなやつは島にはいさせてもらえないってことだ。

俺たちはとりあえずホテルに泊まるくらいのお金はあるので大丈夫かな。







他にも色んな話を聞かせてもらった。




お寿司屋さんのネタはロンドンから輸入しているので発注をミスったら店が営業できないのでめっちゃ慎重に先を読まないといけないこと。

キュウリが1本400円くらいすること。

冬場はマイナス42℃とかにもなることなどなど。




出産がここでは出来ないってのも意外だった。

充分な医療機器がないからか、ここから最寄りの都会であるトロムソまでヘリで行って出産するらしい。

つまりスバールバル生まれのリアルな現地人は存在しないってわけだ。







シロクマは年に2回ほど人間の居住区に現れるそうで、この前もすぐそこの海沿いに出て、ヘリコプターから麻酔銃を撃って眠らせて北の地に運んだんだそう。


シロクマ被害はかなり多く、数年前にはアメリカ人とロシア人の女の子がハイキング中に襲われて1人が死亡した事件も起きている。


氷河冒険ツアーというれっきとした島のアクティビティに参加していたグループが、キャンプ中に襲われて14歳のイギリス人の男の子が殺された事件もあったそう。


だからみんな町から出るときはライフルを持っていかないといけないという決まりがあるんだそうだ。


怖いなぁ。






あと、ノルウェーでは月収22万円以下は貧困層らしい。

怖っ!!!シロクマより怖っ!!










いい感じに酔っ払ってきたけど、テラスで飲んでいたのでさすがに夜はそこそこ寒い。

ていうか夜ってのは暗くなった時のことを指すものだって30年間考えてきたから、暗くない空のことを夜って言うのにめっちゃ違和感がある。


でももう23時。空はまだまだ昼間のように明るいけど、充分夜だ。





今日はこれでお開きにして帰ることにした。



アズサさんとまた明日ー!と別れて俺たちはホテルに向かった。



そう、さっき俺が歌っている間にホテルをとっておいたのだ。





別に野宿でもいいと思う。

俺たちは別に自分たちを養えないほど金がないわけではないし、町場ならシロクマはほとんど出ない。


でも1泊くらいはホテルに止まってシャワーも浴びておきたかった。


値段はドミトリーよりもツインのほうが安くて、最安で630クローナ、7700円。

1人3850円で朝ごはんが付いているので、この物価の高い島で考えたらかなり割安だ。















美味しいビールも飲んだし、日本人のお知り合いもできたし、路上で稼げたしウヒュオオオオ!!!楽しいいいいいい!!!!最北楽しいいいい!!!!と夜中の道の真ん中でウッキウキで歩いていく。





周りはどこまでもすさまじい絶景で、テンションが上がらずにはいられない。















もうスバールバル最高ー!!と立ち止まって写真を撮り、地図を確認。

よし、ホテルまでもう少しだ。



レッツゴー!!シャワー浴びるぜー!!



とめっちゃゴキゲンで刃牙やべえええ!!とかなってるところでガイーン!!って音がした。


見たらキャリーバッグに立てかけておいたギターがひっくり返っていた。




「あああ!!ゴメーーーン!!」




キャリーバッグに立てかけていたのにカンちゃんがはやまってバッグを動かしてしまいギターがアスファルトにぶっ倒れてしまった。


カンちゃんって結構ヌケてるとこがある。
物をひっくり返したり、色々勘違いしたり。


マヌケキャラは可愛いけど、ギターはさすがにシャレにならん。


まぁ倒れることなんてよくあることだから大丈夫だけどっていうか、ちょっと待て。













ナット割れとる。










慌ててギターを取り出したらナットが割れているせいでチューニングが死ぬほど狂っていて、しかも6弦のところは完全に欠けていて音が鳴らない。



これはシャレにならん。



慌てて道の真ん中でチューニングをし、なんとかならないか試してみる。

言葉もなく立ち尽くしているカンちゃん。





とりあえず、カポをはめれば音は出るようだった。

でもカポなしの解放6弦が出ないのはかなり痛い。

ハートオブゴールドもオンザロードアゲインも解放でハーモニカを合わせているので演奏できない。





終わった………………






いや、なんとかなるけども………………

多分演奏はできるけど、大事なギターが初めて壊れてしまった…………







「本当ごめん…………ごめんなさい…………」



「はぁ…………大丈夫だよ………大丈夫だけど………44年もののギターの初めてのパーツ交換かぁ…………弦高調整とかうまくいくかな……………」





俺にとってギターがどれほど大事なものかよく分かっているカンちゃん。

そしてギターがなければお互いの旅費も稼げないってもの充分わかってるはず。



そのギターを壊してしまったことに凹んで、さらに俺が深刻な顔をしているのを見てシクシク泣き出した。俺もあんまり追いつめるような事言いたくなかったけど、さすがに凹んでしまって嫌みなことを言ってしまった。



まあ多分オスロに帰ったら楽器屋さんで買えるだろうから大丈夫か。ボディが割れたりしたわけじゃないし。





ふぅ、色々あるなぁ………




顔を上げて見渡せば…………うん、やっぱり雪山と氷河。






いやー、すげぇとこいるんだよなぁ。






大丈夫、ギターは直せる。はず。多分。

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