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世界の果てへ

2016年6月29日(水曜日)
【ノルウェー】 スバールバル諸島





おそらく島は物価が高いはず。


なので自炊セットを持って行って食費を浮かそうと思っていたんだけど、よく考えたらガスコンロなんか飛行機に載せられないよな?

預け荷物だとしても、ガス缶なんて危険なものを持っていくことはできないはず。


だとしたらやっぱり向こうで安いご飯を食べてしのぐしかない。



とりあえず手持ちのクローナは13000円分くらいあるので、節約すればなんとかなるはず。


そしてもし、もし観光客がチラホラ歩いているならば路上もできるかもしれない。


とりあえず人がいなくても世界最北の路上ミュージシャンになるためにギターは持って行こう。



もちろんこいつも。






朝から駐車場で持っていく荷物をまとめ、やってきたエアポートシャトルバスに乗って空港に向かった。




















チェックインはスムーズに行ったんたけど、カンちゃんが荷物チェックでひっかかってしまい、化粧水を捨てることになってしまった。





カンちゃんはこれまで世界中を旅してきた女の子だ。

液体を飛行機に持ち込めないことくらい知っている。


その上で、100mlだったかな?それ以下なら持ち込みOKという上限を計算していたのに、容器のサイズが150mlだからダメと言われてしまったらしい。

実際入ってる中身は残りちょっとなのに。



さらにニベアのクリームもダメだったみたい。


なのに俺のライターは取り上げられなかった。


よくわからん。












荷物チェックを終えてゲートに進んでいくと、そこにはパスポートコントロールがあった。


そう、なんとスバールバル諸島はノルウェー領でありながらノルウェーの法が一切通用しないという独立した地域らしく、シェンゲンエリアからも外れている。

ビザなしで何日でも滞在でき、商売も自由にやっていいという、とことんフリーダムな島。

もちろん、住むにはかなりの覚悟が必要だろうけど。

この世の果てだもんな。



ノルウェーからの出国のスタンプを捺され、飛行機に乗り込んだ。



















飛行機の中は意外にも混雑していた。


たくさんの欧米人観光客でほぼ満席、飛び交うのはネイティヴな英語。

そして年齢層は高めだった。


やっぱりこんなところに来るのはある程度お金を持った旅行好きのおじさんおばさんが多いみたいだ。






飛び始めて3時間くらい経った頃、飛行機は高度を下げ、雲の中に突入した。

そして次の瞬間、窓からすごいものが目に入った。









すぐ真横に迫る雪をかぶった山肌。

ゴツゴツとした山がその真っ白な世界に黒い色を落としている。

雲に覆われた山々の下には海が入り組んでおり、たくさんの島が寄り固まりながら形成されているようだ。


すげすげる!!!


マジでテレビで見てきた極地の光景だった。

この世の果て、というかもはや違う惑星に来たかのように思えた。


うわぁ!!ついにスバールバルだ!!!!




















飛行機を降りると笑えるくらい寒かった。




当たり前だ、ここはもうほとんど北極で、周りの山々はごっそり雪をかぶっている。


周りの観光客たちは全員ノースフェイスとかシャカシャカしたアウドドアブランドのウェア。


俺が着てる服、薄い上着、ロンT、ジーパン、ヒートテックの上下。

アホ丸出し。



けっ!これくらいの寒さで上着とか着てるようじゃ冬場のユーゴスラビアには行けないぜ!!

なめてもらっちゃ困るぜ!!



ねぇ!!シロクマさん!!









シロクマいるしいいいいいいいいいい!!!!

めっちゃ北極やしいいいいいいい!!!!!





さーて楽しくなってきやがったぜ!!と勇んでサンダルで空港を出て、町へ向かうバスの料金を見る!!


アダルト、75クローナ。1000円。

車で4分の距離が1000円。




どういうことですか?

バスの中でヌキでもインクルードされてるんですか?

4分以内に終わってくださいとか無茶言ってもらったら困りますよ。


2分で足ります。








あ、これいつものやつだ。



世界中の都市までここから何キロか表示してあるやつ。





えーどれどれ、



パリ…………3326キロ


ローマ………4052キロ


東京…………6830キロ


バンコク……8378キロ


北極点………1309キロ




へー北極点まで1300キロかー。ふーん。



って、ちょっ!!!!北極点まで1300キロ!!???

宮崎から東京行くのとほぼ同じ!!!!!ウケる!!!


うぎゃあああああああああああ!!!!!!もうなんかよくわからんよおおおおおおこ!!!!植村パイセンンンンンンンンン!!!!!!!!








景色ヤバすぎ。





もうあれ、ヤバい自然のところをロードオブザリングの世界、とかって例えることあるけどロードオブザリング完全に超えてる。


連なる山々、雪っていうか氷河、灰色の地面はあまりにも荒涼として、海の色もどこか茫洋としている。


空港の周りにはいくつかの建物が見えるけど、どれも何かの施設のようで、人を寄せ付ける雰囲気ではない。


吹き荒れる風は意外にもそこまで寒くないっていうか5℃だけど、まぁほぼ北極の割にはとりあえず大丈夫!!




というわけでいってみよう!!!!



しかと見よ!!!!





これが世界最北のヒッチハイクだ!!!!!!!

















2秒。




「町まで行くんだろ?乗せてくぜ。」




ゴツい防寒用の作業着を着込んだ渋いおじさんが大きなランドクルーザーに乗せてくれた。




「ホテルはどこで寝るんだい?」




「そこらへんで野宿します!夜って寒いですか?」




「昼と同じだよ。日が沈まないからね。夜のほうが天気がいい時もあるし。」




「超ヤベェ!!おじさんはどのくらいここに住んでるんですか?」




「30年以上だよ。ここは本当に素敵なところなんだ。」




あとから聞いたんだけど、この島の島民はほとんどがノルウェー内地から仕事でやってきている人なので、毎年人口の4分の1が入れ替わるんだそう。

現地で子供を生むこともできないらしいので、ネイティヴのスバールバル人ってのはいない。


そんな中で1発目に出会った人が島在住30年越えという超老兵という奇跡。名前はステイナーさん。


政府の仕事でこの島に住んでおり、生活は全て国に保護されているんだそうだ。



たったの4分しか乗れなかったけど、その間に色んな情報をステイナーさんから聞くことができた。



ステイナーさん、ありがとうございました!!









というわけで、とりあえず小さな町の中にやってくることができた。














このスバールバルにはいくつかの町がある。


いや、町らしい町はふたつだけで、あとは数人しか住んでいないような集落が散らばっているだけみたいだ。


1番大きな町がこのロングイヤービエンで、ここに人口2000人が住んでいる。



次がここからだいぶ離れたところにあるバレンツブルグという町。ここには600人ほどがいるらしい。


面白いことにロングイヤービエンはノルウェー人のエリアで、バレンツブルグはロシア人の居住区みたい。



元々この島は捕鯨の拠点だった場所らしく、色んな国がその漁業権を得るためにこの島を巡って争っていたよう。



その後、石炭が採れることがわかり、炭鉱の町として栄えたが、時代とともに衰退していき、今ではほとんどが閉山して島のあちこちに廃坑の村の残骸が雪に埋もれているんだそうだ。

うー、ロマンしかない。



現在はれっきとしたノルウェーの領地ではあるんだけど、前述したようにノルウェー本土からはかなり切り離された独自のエリアとなっており、スバールバルのノルウェー人たちにとってロシア人居住区の人々と友好的な関係を保つことはとても重要なことらしい。


今まで訪れてきた地域とはだいぶ様子が違うようだ。


法や国境の規制がかなりあやふやなところに、いかにも最果て感がある。











とりあえずロングイヤービエンの町にあるツーリストインフォメーションで情報を仕入れようと思ったんだけど、受付の女の子が巨乳な上にぽったり唇で超可愛くてまったく話が頭に入らずに終わって、ウキウキでレッツゴー!!




よし!何すればいいんだろう!?




ほ、本当何すればいいんだろう……………5日もあるんですけど……………?






いや、ここに来たのにはひとつの大きな大きな目的がある。


それさえ見られれば高い航空券も払った甲斐がある。


そう、あれさえ見られればそれで俺は大大大大大満足だ。
















ロングイヤービエンの町は、まぁなんとも小さくて寂しげだった。





家がパラパラとまばらに散らばっており、道もメイン道路以外は未舗装だし、人ももちろんほとんどいない。


かろうじて町の真ん中にコープのスーパーマーケットがあり、その周りにカフェやレストランが並んでいて人がちょこっとだけ歩いていた。






広場には炭鉱作業員の銅像がハンマーを持って立ちつくしている。

やはりここは炭鉱の町だったんだな。



北海道の芦別とか、そんな寂れた過疎の雰囲気が漂っている。











驚いたのはコープの向かいのショッピングセンターの中に寿司屋さんが入っていたこと。


世界最北の寿司屋です、という看板が出ている。
うん、誰も異論の余地なし!!





小さな町なので明日にでも顔だしてみようかな。
きっと高くて食べられないだろうけど…………















まずはお腹が空いたので何か安い食べ物を探そうと町中を歩き回ってみた。


そしてマジで色んなところに行って探し出したスバールバル最安のご飯がこれ。










ホットドッグ。


パンにウィンナー挟んだだけ。



これでいくらすると思いますか?

600円です。




足りるわけないのでカンちゃんと3本頼んだら1800円しました。

ホットドッグで。


失禁の最北記録を出すところでした。


こ、こいつはヤバいっていうかこのホットドッグがマジで最安だから5日間ずっとホットドッグしかないんだろうか………?




俺のホットドッグを君の廃坑の中で粉塵爆発!とか言う余裕もないです。

マジでヤバい。





他のレストランとかカフェのご飯は1番安いのが100クローナとか。1230円。

普通のが150から200クローナ。2000円超えてくる。



ふぅ………こいつは質素な食生活になりそうだ。











他にもツーリストインフォメーションで色々調べてみたんだけど、クルーズとかハイキングとかのツアー系は全て微笑ましいほど高い。


1番安い簡単なツアーでも2万を超えてくるので微笑みながらそっとパンフレットを閉じる。


い、いいもん、いいもんね…………俺はあれさえ見られればいいんだもん。アレ。



クルーズで氷河を見に行ったり、遥か遠くの廃坑の廃村に行ったり、アザラシみたり白イルカ見たりなんて全然興味ないし!!!


もうほんとエッチとか全然興味ないし!!なんならEDだし!!





こ、怖え………マジでお金持ちが来るところだよこの場所は…………


バックパッカーなんて1人もおらんし…………




歩いてるのは年齢層高めの欧米人ばっかりで、みんな気合い入ったアウトドアウェアにトレッキングブーツ。


俺、薄手のジャケットにジーパンにサンダル。
何しに来たの?って感じです。






でも、そんな俺たちでも唯一買えそうだった物もある。


それはお酒とタバコ。


なんとこの島は税金が免除されている特別地域なので、酒やタバコが激安なのだ。








ビールがなんと7クローナで売っている。86円。

タバコも15クローナとかだったかな。180円。


どっちもノルウェー本土で買ったら世界最高峰に高いものなのに、ここではめっちゃ安い。







そういえば俺たち、ノルウェー本土を出た時にシェンゲンの出国スタンプをもらっているのに、このスバールバルに着いてからのスタンプはもらっていない。


てことは俺たち今どこにいるんだ?


この世界上でどこにも存在していないみたいな感覚だ。


本当、特殊な地域だなぁ。




















KGBケバブっていう謎のケバブ屋さんのチラシがコープの入り口に貼ってあったので、なんとか探し回って海辺のあたりを歩き回った。


景色はマジでどこを見ても度肝を抜かれるほど半端ないダイナミックさで広がっている。














冷たい風にカンちゃんと身を寄せながら歩いていると、どこからかアラーム音のような音が聞こえてきた。



ん?なんの音かな。まぁどっかで鳥でも鳴いてるのかな、と思いながらスタスタ歩いていると、そのアラーム音がどんどん大きくなっていく。


あれ?どこから鳴ってるんだ?と思ったその時だった。



あ!あそこに鳥がいる!とカンちゃんが地面を指差した瞬間、その白い鳥が舞い上がり、ものすごい勢いでこっちに飛びかかってきた。




「うわああああああああ!!!」




「きゃあああああああ!!!!」





白いツバメくらいの大きさなんだけど、俺たちの頭めがけて突っ込んできて、2人で大慌てで逃げ惑った。


白いツバメはすぐにどっかに行くこともなく、逃げる俺たちの頭をめがけて何度も突っ込んでくる。




「ごめんなさいー!!やめてえええええ!!!」




なんとかかなり離れたところまで逃げたところで鳥は元の位置に戻っていった。



こ、怖すぎるぞ………スバールバル……………

ネイチャーのレベルが半端ないわ………………




白いツバメという門番に阻まれてそれ以上KGBケバブを探すことができず、諦めて町に戻った。


動物からも、お前ら飯ヌキ!!って言われているようです……………なんかすんません…………

























犬の名前がトロール。さすがノルウェー!













それからも町中を歩き回り、本格的な探検は明日からにして今日はそろそろ寝場所に移動しよう。

そう、もう寝場所は決まっている。


あそこで寝ること……………それこそがこのスバールバルに来た最大で唯一の目的。




荷物はまた明日町に戻ってくるので、建物の裏に隠した。


ちなみに昼間動いている間もずっとショッピングセンターの中に置いていたけどまったく誰にも触られなかった。

こんな小さな島の町で悪いことをする人なんて誰1人いないんだろう。




観光客ももちろん。


治安はとにかくいい。


鳥はヤバい。





あ、後から聞いたらさっきの鳥、アングリーバードって呼ばれていて、あのゲームのアングリーバードのモデルになんだそう。

アングリーすぎるわ……………

















荷物を隠して身軽になったらトボトボ歩いてあそこを目指した。












海沿いの一本道をひたすら空港方面へ。


遠く海のかなたには雪をかぶった山並みが水平線にそそりたっており、ところどころに氷河も見える。


ここから見るとまるで絵みたいな雰囲気だけど、きっと想像を絶する巨大な雪の塊が、古代から降り積もって山の間に堆積しているんだろうな。


本当、余裕でマンモスくらい凍ってそうだ。


海の反対側の山肌には、ずっとゴンドラのリフトが伸びており、大きなバケットが等間隔にワイヤーにぶら下がっている。


しかしそのゴンドラは止まっている。



これは炭鉱から出た石炭を運搬していたリフトなんだろうな。

木でできた櫓がポツポツと山肌にべばりついており、そこを経由してワイヤーがどこまでも遠くにのびているんだけど、あまりに大きな景色の中にいるので距離感がつかめなかった。


いくら歩いても、すぐそこの次の櫓にたどり着けなくて、とても不思議な感覚だった。























しばらくして空港の建物がポツリと原野の中に近づいてきたところで、分かれ道が見えてきた。

ここから坂道に入り、ゆっくりゆっくりと坂を登っていく。


周りには本当に何もなく、雪どけの山が無表情に広がっており、風の音が自然の息吹を伝えている。





2人っきりで坂を登る。

ふと、ここが世界の果てとは思えなくなる。


でも周りを見渡せば、これほど世界の果てにふさわしい景色はないと思えた。


































そしてついにたどり着いた。










山肌に伸びる道の終わりに、その建物はあった。



世界種子貯蔵庫。



世界に有事があった際に、人類が滅びないためにあらゆる植物の種子が保存されているというこの建物。


まさに現代のノアの箱船。



そんな場所がこの地球上に存在するんだ!しかもそれが北極のすぐ近くの最果ての島だなんて!!と初めてその存在を知った時に、あまりのロマンに震えたもんだ。


ついに、ここまで来たのか……………

やべぇ…………こいつがそうなのか…………












建物は予想を超えて小さかった。





山肌からニュッと縦長のコンクリートがせり出しており、後ろはすぐに地中に埋まっている。


入り口だけが地上に出ているようで、きっと中に入っていくと、この山の内部に巨大な施設が広がっているんだろうな。


うー、やっぱり震える。

SF映画の世界でしかない。














さぁ、寝るぞ。

その世界種子貯蔵庫の前の地面にマットを敷いて寝袋を出してくるまった。


目の前には白夜の大自然が音もなく広がっている。



バッグの中からビールを取り出してカンちゃんと乾杯した。




「カンちゃんー!!俺はもう最高に嬉しいよ!!!憧れ続けたこの場所に来られたー!!」




「よかったねぇ!やっぱりチケット取ってよかったね!!諦めなくてよかったね!!私も嬉しい!!景色すごすぎるー!!」










SFの世界、目の前には雪山と北極海。

でもこれは紛れもなく俺たちの暮らす世界の一部だ。




寝袋に包まると白夜の空がとても眩しかった。








~~~~~~~~~~~~~~~~~



韓国のホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!


韓国が入るの珍しいです!

みんな意外に韓国は少ないんですね。


美味しい焼肉楽しんでください!!



どうもありがとうございます!!







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