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ファンタジーの扉は開かれた

2016年6月22日(水曜日)
【ドイツ】 フレンスブルグ ~
【デンマーク】 ハザスレウ







外で草むらに座り込んで見上げた空には巨大な風車が回っている。







ブログの読者さんからトイレはどうしてるんですか?っていうメールをよくもらうんだけど、もちろん外でする。それしかない。



ヨーロッパには公衆トイレというものがほとんどない。





まぁ郊外の一本道とかだったら人が来るようなこともないので別にそんなに人目を気にすることもない。

こんなロケーションで外でするってのも、ある意味贅沢っちゃ贅沢だ。



ちなみにカンちゃんは便秘なので外では全然しない。
女子力!!なのか?



















そのままパーキングの端っこでカンちゃんにタンクの水をかけてもらいながらシャンプーをし、さっぱりしたところで出発。


今日はなかなか忙しい。


これからデンマークに入るので、その前にある程度の消耗品を買いだめしていかないといけない。

北欧に入ったら一気に物価が跳ね上がる。




というわけでしばらく走って国境の町、フレンスブルグに入ったところでまずはホームセンターにやってきた。














驚いたのは商品の値段表示がユーロだけでなくデンマーククローナも書いてあること。


ここは国境の町だ。きっとデンマークの人が安く物を買うためにドイツに来て買いだめしていくんだろうな。



うー、飛行機ではなく陸路で国境を越えるとこうした面白いものを見られるのが嬉しい。


人種や言語など、実は国境という目に見えないものでスパッと切り替わるんではなく、少しずつ入り混じりながら変化していく様子が国境付近では如実に見える。


これこそが陸路国境越えの面白さ。

国境って不思議なもんだ。




ホームセンターではガス缶をゲット。これで北欧分の自炊はまかなえるはずだ。












次に業務スーパーみたいなところにやってきた。

飲み物や保存食が山のように売っており、どれも大量買いする用にまとめ売りをしている。

みんなデカいカートにドガンドガン積み上げて買っている。


ここでもやはり値段表示はデンマーククローナがメインだ。完全にデンマークからの買い物客のためのお店って感じ。









俺たちもビールやコーラなど、日常的に必要なものをカートに積み上げレジに向かった。

それなりの値段になってしまうけど、デンマークやノルウェーで買うことを考えたら半額以下だ。





しかしここで問題発生。

レジでスキャンしてもらい、お金を払おうとした時に、何かの紙を渡されて、これに住所や名前を記入してくれと言われた。

なんだ?



どうやらここはインターナショナルな大量買いのお店なので、なにかしらの申請のようなものが必要なようだった。


うん、まぁそれじゃあ書きますよとペンをとると、あなたたちはスカンジナビアに住んでるの?もし住んでなければこの飲み物類は買えないわと言われてしまった。




マジか。

この大量買いのお店はどうやら北欧の人たちのための特例店舗みたいな場所らしかった。



そんなんあるんだなぁ。

買えないのは残念だったけど、国境ならではの面白いものを経験できて嬉しかった。


麺類なんかのインスタント食品は色々買えたのでオッケー!!























仕方なくいつものアルディでビールとコーラを買った。






容器のデポジットで15ユーロくらいしてしまったけど、これはスーパーで返却すれば還ってくるもの。


しかしこれから先は国境を越えるので、外国ではドイツで買ったもののデポジットは通用しない。

15ユーロを捨てることになる。



うーん、しかしこれから北欧を回ってドイツに帰るまで車の中に空き容器の山を作るのは邪魔すぎる。


これはもう諦めて捨てていこう。






































それからも何店舗か回って必要なものを揃えたら、さぁいざ北欧に突入するぞ。


ワクワクしながら道を走っていると、突如道路の真ん中に検問のような場所が現れた。



おお、もしかしてこれが国境か?






さすがに北欧という違うエリアに入るには、簡易ながらもこうしたチェックがあるみたいだ。











他の車はスンスン通り過ぎていくけど、俺たちの番になったら、横に寄せるよう指示された。


うん、レンタカーだし外国人が運転してるとなるとさすがにこうなるか。




「ハーイ、パスポートをいいかーい。」



「はいどうぞー。」



「色んな国に行ってるんだねー。デンマークではどこに行くの?」



「オーデンセです。友達がいますのでー。」




そうなんだーと言いながらパスポートをペラペラめくるお兄さん警官。


俺のパスポートがあまりにスタンプの数が多かったからか、うーん、ルックスファインとろくにチェックせずにパスポートを返してくれた。

笑顔でハブアナイストリップと見送ってくれ、これにて北欧入国完了。




さー、ファンタジーの世界の扉は開かれたぞ。
























国境を越えてから微妙に風景が変わった。






民家の色がどこか淡くなり、朱色の屋根と白い壁が緑の中に散らばって目に鮮やかだ。

そしてドイツの北部からだったけど、この辺りは草葺きの家が増えた。





雪国だからかわからないけど、その日本の原風景と通じる民家の作りにどこかロマンを感じずにはいられなかった。

あぁ、大好きな大好きな北欧だ。



あの過酷だったけど、美しい思い出の中に戻ってきたんだ。




















小一時間ほど走ったところで少し大きめの町に入ってきた。

ハザスレウという町みたいだ。


北欧1発目はここでやるかと町に入っていき、中心地の裏手のパーキングに停めた。




駐車場の仕組みがドイツと少し変わって、パーキングチケットの機械が見当たらなくてどうしたらいいかわからなかった。



看板には「2timer」という文字が書いてある。


他の文字はデンマーク語なのでわからないけど、おそらく、おそらくだけど、2時間毎の駐車場、という意味だと思う。


いやー、ドイツで駐禁の罰金を払ったので敏感になってしまう。


おそらく2時間毎に移動すれば大丈夫ってことだろうとそこでエンジンを止め、ギターを持って町に向かった。





























ハザスレウの町は程よい大きさで、綺麗なショッピングストリートが町の真ん中に通り、古い教会がくすんだ姿でたち、歴史とモダンが共存している。いつものヨーロッパの光景だ。


H&Mもあるくらいのショッピングストリートで、人通りも申し分なし。



そしてこれくらいの町なら大体どこにでもいるジープスの姿がない。

他の路上パフォーマーも物乞いもいない。



おお、こいつは独壇場だぞ、と気合いが入るけど、それ以上に気合いが入らざるをえないのは物価だ。




簡単なサンドイッチとコーラのセットが1000円以上する!!!!

一般的に物価が高めのドイツでもせいぜい600円くらいのもんだった。


それがマジで跳ね上がった。




こりゃマジで稼がないとマズイぞ。


ふぅと深呼吸をして心を落ち着けて街角でギターを鳴らした。



























一言で言うと微妙。


反応が悪い。


これまでノリさんやゾロさんがデンマークはキツイってブログに書いてたけど、こいつは確かになかなかの感じだ。


素通りがめっちゃ多い。






前回の一周の時は、まだめっちゃ旅の前半の頃にこの国に来ているので、まだまだ海外路上の素人だった。


何もわからずに手探りでスタンドバイミーや吉田拓郎を歌っていた。場所取りも下手だったと思う。


あの時のデンマークの反応がどんなものだったかもうあんまり覚えない。それくらい無我夢中だった。




あれから世界中で歌い、ちょっとは路上パフォーマーとして上達したと思うので少なくともあれ以上は稼がないといけないんだけど、やっぱり今回も反応が悪い気がする。


めっちゃ反応が良かったドイツから来たからそう感じてしまうのかな。














結局今日は開始が遅かったので17時を過ぎたところで店が一斉に締まり、あっという間に通りから人が消え、2時間くらいしか演奏できなかった。


あがりはどんなもんかと思ったら意外にも509.5クローネ、8060円あった。



うん、稼げはするようだけど、なんか暖簾に腕押しって感じがしてしまって手ごたえがない。



でもおかげで余計気合いは入る。

なんとかこのデンマークでいい反応をもらってやるぞ。






























車に戻って走り始めたんだけど、ガソリンの値段はそこまで変化はないようだった。

10デンマーククローナ前後ってとこだ。リッター150円くらい。

ドイツが1.35ユーロくらいだった。152円とか。




ただ食べ物とか日用品がマジで高い。

前は北欧からドイツに入って東ヨーロッパ、中東と降りていったから、一体どこまで物価下がっていくんだ?って感じだったけど、こうやって逆ルートで行くと恐ろしくなる。


でもまぁそのために大量に辛ラーメン買ってきてるんだけどね!


これからさらに上がるだろうからデンマークの物価ごときで辛ラーメンを消費しすぎないようにしないと。





































この日は湖のほとりの静かな一本道の脇に車を止めた。

北に来たことで日が沈むのが遅くなり、22時を過ぎていても明るい中でご飯を作ることができる。




「すごいねー。この時間でまだこんなに明るいんだねー。」



「ノルウェーの北極圏に行ったら1日中昼間みたいでいつ寝ていいかわからなくなるよ。すごく不思議な感覚だから楽しみにしててよ!」



「うん!!はい!ご飯できたよー!!」




今日は辛ラーメンではなくて、お昼に見つけた出前一丁を食べた。

日本の懐かしい味が体に染みる。











そして限られた調味料を駆使してドレッシングを作るという女子力の高いカンちゃんの特製サラダも美味しい。



2人で広い北欧の空の下で抱き合いながらレタスを食べた。












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