スポンサーリンク 大好きなあの家族に会えたなら 2016/6/8 2016/05/29~ ブルガリア 2016年5月30日(月曜日)【ブルガリア】 ハスコボ朝、目がさめると横に止まっていたパトカーはいなくなっていた。明るくなってきたころにもう大丈夫だろうと帰って行ったんだろうな。目を覚ましたカンちゃんにゆうべのパトカーの話をした。「ええぇぇ………優しすぎるー……泣けるー…………」ずっと朝まで何も言わずに俺たちのことを守ってくれていたお巡りさんのおかげで睡眠をとることができた。さぁ、久しぶりのブルガリアを楽しむぞ。荷物をまとめて町に降りると、昨日のゴーストタウンから一転して人がたくさん歩いていた。お店も開いており、田舎町のささやかな活気が眩しい太陽の下で営まれている。町並みは確かに変わった。イスラム圏のトルコから。あの懐かしいヨーロッパの景色。でもどこか、なんとなく暗い雰囲気が漂っている。町は暖かい日差しで輝いているというのに、なんとなく陰気な感じがしてしまうのはあの飛び切り明るくてフレンドリーなトルコから移動してきたからだけではないと思う。バルカン半島特有の紛争の影か。元共産圏の暗さか。それにしてもギュロスが美味すぎるううううううううううううううええ!!!!!!!もう本当好き。これ、これが大好きなんです。このケバブのロールはヨーロッパ中にあったけど、ブルガリアのギュロスがトップです。トルコのケバブより美味しいです。ごめんなさい。あー、ブルガリア戻って来たなぁ。ギュロス、2.5レフ。160円。物価はやはりとにかく安くて、オシャレカフェで2レフ、130円のカプチーノを飲みながらネット作業をした。今やってるのは新しいワードプレスのブログへ引越しするための構築。ワードプレスは設定が難しいんだけど、その分かなり色んなことを自由に作れるって、やってる人たちが言ってた意味がわかってきた。確かにカッコよく作れる。そして見た目もちゃんとしたサイトっぽく見える。さらにさらに、めでたいことにグーグルアドセンス、見事審査に通りました。よっしゃあああ!!!!!最近下ネタ書いてなかった甲斐があったぞこのウルトラ早漏め!!!!アフィリエイトやるなら絶対グーグルアドセンスって今までどれだけの人に言われてきたかわかりませんよ独歩先生。でももう今や僕も立派なアドセンサーです。ロッパ返しで頭蓋骨の継ぎ目はずすレベルです。どういうことですか?ちなみにこれからアドセンスやりたい人のためにとったやり方を説明します。今書いてるFC2のブログ記事を新しいワードプレスのブログにコピペして、20記事くらいのブログを作ります。この際にぶろぐ村とかのリンクは載せないようにします。リンクが貼ってるとアドセンス審査が通らなくなります。そしてどこまでが規定かはわからんけど、公序良俗に沿ってふさわしくない言葉なんかは削除しときます。僕は別に削除しなかったけど大丈夫でした。こんなもんです。これで申し込みを出して5日後に審査通りましたーってメールが来ました。やってみたら簡単だけど、これはアユムさんとカンちゃんというパソコンに詳しい人がいたからできたことです。ホモサピエンスレベルの僕だけだったらカフェでキエエエエエエエ!!!って発狂してiPhoneをヨーグルトの中にブチ込み投げてたことでしょう全裸で。あとはグーグルアドセンスの広告をどこに貼るかなんかの場所の設定、iPhoneでアップしていけるようにする設定などなど、細かい作業になるんだけど、これが意外にも厄介。だいたいワードプレスでブログやるようなネットに詳しい人はみんなパソコンで更新しているみたいで、iPhoneから記事をあげる人はそんなにいないみたいで、やりかたの情報があんまりネット上にない。記事が改行されなかったり、写真がでかすぎたり、文章が全部詰まったりする。ワードプレスの携帯アプリはマジでひどすぎるから使い物にならない。やっぱりパソコンでやらないといけないかなぁ。iPhoneで全部済ませたいんだけどなぁ。まぁこれからずっとカンちゃんと一緒なので、パソコンでやれないこともないけど。これをどうやっていかに楽に更新していけるか。イスタンブールにいる間にアユムさんにかなり教えてもらったのである程度はできているけど、まだ改善点は無数にある。早いとこ設定を終えてワードプレスにブログを移行したいな。そしてアフィリエイト効果がどれほどあるのかドキドキだ。ワードプレスだけじゃなく、他にもヨーロッパに向けての準備でカンちゃんと2人で頭ショートしそうになりながら作業をしまくって、午後になってカフェを出た。ネット作業だけじゃなくて路上もやらないと。働け働け!ハスコボのショッピングストリートは結構入り組んでいて、色んな通りが中央の噴水公園の周りにのびている。どこでやっても良さそうだけど、こんな小さな町にも彼らの姿がある。ジープス。前回のヨーロッパでも毎日のようにバトルを繰り広げていたジープスの物乞いたち。彼らはだいたいルーマニアから流れてきており、季節ごとにヨーロッパ各地を転々としながら路上で物乞いをして稼いでいる。国に病気の子供がいます、っていうパターンから、障害者を装ったものまで様々だ。ティシュとかの物販系の人たちも多いし、哀愁あるロマ音楽を奏でる素晴らしいミュージシャン系の人もいる。みんな一見貧しそうに見えるけど、実はポルシェに乗ったりしてるからすごいもんだ。だいたいどこの国でも政府からジープスにお金はあげないでくださいっていうお達しが出ているんだけど、人々はそれでもお金をあげる。そうしてジープスたちは絶えることなく旅を続けている。彼らによる強盗の被害などは後を絶たず、俺も路上をやってて彼らに金を取られそうになったことは数知れず。演奏中でも思いっきりお金せびってくるし。これからヨーロッパで彼らとの戦いが始まるなぁ。でもお互い旅して稼いでる者同士、ショバの邪魔しあいにはならないよう気をつけていこう。てなところでいきなり警察が声をかけてきた。おいおい、いきなり路上禁止ですか?こんな小さな町で。「わかるかい?俺は昨日の警察だよ!ちゃんと眠れたかい?」ぬおお!!ゆうべ俺たちのこと守ってくれてたお巡りさんと偶然遭遇!!「路上で歌うのかい!?バッチリだぜ!じゃあ俺は仕事あるから行くね!頑張って!!」そう言って爽やかな笑顔で去っていったお巡りさんのTシャツの文字がイカしすぎててもう本当警官の鑑なんですか?ヨーグルト最高!!!ハスコボの町に歌を響かせると、早速お金が入る。トルコみたいな濃厚な絡みは発生しないけど、みんな笑顔でサッとお金を置いていってくれる。インド、トルコとめっちゃ人懐こいところで路上してきたからこの路上ミュージシャンに対する慣れた感じとスマートなお金の落としかたにちょっと違和感があるけど、まぁそのうち慣れるだろう。実際お金は入る。1時間くらいやってケースの中には30レフくらい入ってる。2000円近い。でもなんとなく、なんとなく暗いんだよなぁ。町の雰囲気も、人の雰囲気も。なんで感じてしまうんだろ。説明できないけど。「わかる。それ私も感じてる。なんか陰な感じするね。」カンちゃんも同じことを感じていたよう。それからも歌っていたんだけど、2時間経つ前にパラパラと雨が降ってきてしまいギターを片付けた。あがりは55レフと2.5ユーロ。3800円。うーん、この物価でこの稼ぎならかなりいいんだけどなんだか手ごたえがないなぁ。「もう移動しちゃおうか。」「そうだね。カザンラク行っちゃおうか。」この暗い雰囲気の中にいると気分が塞いでしまいそうなので、さっさと次に移動することにした。中心部から歩いて10分くらいでバスターミナルに着くと、建物の中にたくさんのバス会社のオフィスが並んでいた。カザンラクに行くためには、まずスターラザゴラという途中の町に行って、そこから乗り換えで向かうみたいだ。バスターミナルは古ぼけていて、やる気のなさそうな売店が2、3個あった。食べ物を買おうと、売店の横に貼ってあるフライドポテトの写真を指差してこれ下さいというジェスチャーをすると、売店のおばちゃんは無表情で手を振って、ないよというジェスチャーをしてくる。周りではオッさんたちが2リットルのボトルに入った安ビールを飲んで酔っ払っている。なんか暗いんだよなぁ…………10人乗りくらいの箱バンに乗り込み、ハスコボを出発。そしてスターラザゴラのバスターミナルに40分くらいで到着。値段は6レフ。380円。ここからカザンラク行きのバンに乗り換えてすぐにまた出発。値段は4レフ。250円。バンは草原の中を走り抜け、山を越え、そうして30分ほどでカザンラクに到着した。町角に降り立ち、周りを見渡してみた。ささやかな町並み。街路樹がしげり、路駐の車がポツポツと並んでいる。人かげがまばらに動き、売店のおばちゃんがしかめ面で新聞を読んでいる。小さな町の、人々の生活の匂い。割れたアスファルトはいつのころから。マップを見ながら歩き出した。そしてすぐに見覚えのある景色にたどり着いた。道路の向こうに見える石段。あの石段の途中にレストランがあるはず。3年前のあの夜。12月の極寒の夜に1人寝床を探してさまよい、森へと続くあの石段を上がっていた時にポツリと光るレストランを見つけた。お腹が空いていたし、クリスマス後だったので少しくらい贅沢してもいいと思ってレストランの中に入り、閉店準備をしていたパパとママにご飯を食べられますか?と尋ねた。快く席に座らせてくれ、そしてタダでご飯を食べさせてくれた上に向かいにあるホテルの部屋をとってくれ、2日間ずっとお世話になったあの家族。俺のこと覚えててくれてるだろうか。そもそもあのレストランはまだあそこにあるだろうか。「フミ君緊張してるのー?」「するよー…………あのお世話になった家族があそこにいなかったらショックだもん………」ドキドキしながら歩を進める。石段が近づき、おそるおそるレストランの方を見てみる。木々の隙間から明かりが見えた。あった。まだレストランはあった。でもまだわからない、誰か他の人に譲って違う人がやっているかもしれない。懐かしい石段を上がり、テラスのテーブルの隙間を歩いていくとレストランの玄関が開いていた。ふぅと一息。玄関を入った。すると、すぐ横のテーブルでパソコンを叩いている女の人がいた。その女の人は俺の顔を見ると、特に驚いた表情をすることもなくニコッと笑った。「フミ、戻ってきたのね。」「ママアアアアアア!!!!」思いっきりハグした。名前まで覚えててくれていたなんて。「フミ!あれからずっとあなたのことを考えていたわ。ここを出てからトルコに行ったわよね。危険なことはなかった?つい最近もみんなであなたの話をしたところだったのよ!」「トルコは最高だったよ!あれから中東に行ってアフリカに行ってiPhone電車の中に忘れてヨーロッパ戻って最高でスイスで全裸になって強制退去になってアメリカでインディアンネームもらってウンコ漏らしまくってたんだよ!!それからそれから!!」「ゆっくり聞かせて!さぁそこに座って。飲み物はビールでいいわよね。」するとママがどこかに電話をかけると店の奥から可愛らしい女の子がやってきた。娘のイザベラだ!!おお!大人になってる!!そりゃそうか、もう3年だもんな…………「イザベラー!!まだワンダイレクションは好き!?」「フミやめてよ!もう私はそんな子供じゃないもん!!」恥ずかしそうに笑うイザベラはもうすっかり英語が上手くなっていて、お母さんのミレナよりもペラペラ喋れていた。でもお母さんの変わらず温かみのある英語が俺は大好きだ。そして少ししてからカンフーの練習に行っていたパパも帰ってきた。相変わらず全身を優しく抱きしめてくれるような素敵すぎる笑顔のパパ。なにも変わってない。あの頃のままの愛に溢れた家族がそこにいた。ただママがあの頃に比べて結構痩せていることが気になった。「ママ、この3年間どうだった?」「んー、結構大変だったわ。癌になってね。」それを聞いた瞬間、ママの痩せかたに息を飲んでしまった。「ブルガリアの病院ではもう手の施しようがありませんって言われてね。どうしようかと思って、フィリピンに行ったの。そこですごいお医者さんに診てもらってわ。彼はナイフを使わずに手を私の体に差し込んで、何か気持ちの悪いものを私の体の中から取り出したの。テレビで見たことあるでしょ?」確かに見たことある。手をズブズブと体内に差し込んで何か黒い物を取り出し、でも体には傷跡は何もないっていうやつ。スピリチュアルなものという解釈だけど、はっきり言ってこの科学の発達した現代でそんなのマジックみたいなもんだ。今このミレナの話を聞いてもそれが真実とは思えない。でも実際に今目の前にいるママがそのスピリチュアルな施術で元気を取り戻していることには一片の疑いもなかった。「ママはもう大丈夫よ!元気になったの!」横でニコニコしながらそう言うイザベラの母を思いやる気持ちに涙が出そうになった。よかった、本当によかったよ。「それよりフミはどうだったの?帰ったら本を出したいって言ってたでしょ?実現できた?」「できたよ!今日本の本屋さんに行ったら俺の本がどこでも買えるよ。たくさんのストーリーがあったよ、ブルガリアを出てから。辛いことも面白いことも!!」それからビールを飲み、美味しいご飯を食べながら3年間の話で盛り上がった。話は尽きることなく続き、ビールも進んでいく。ミレナはあの頃のままに優しくて、ケタケタと思いっきり笑って、俺のことを好きでいてくれていた。そしてカンちゃんのことも受け入れてくれた。子供を連れて戻ってくるって言ってた約束は今回は果たせなかったな。「フミは今回泊まるところはあるの?」今回はまだホテルの予約はしていない。もちろんまた頼るつもりなんてない。自分たちでお金は払うつもりだけど、地元のママたちに聞いたほうがいい寝床があるかもしれないと思ったからだ。しかし、舐めてた。この週末の金曜、土曜、日曜はかの有名なバラ祭り。世界中から観光客がこの小さな町に大挙するので、宿がマジでどこも満室になっていた。マジか。まだ月曜日だから大丈夫だろうと思っていたけど、とっくに町の宿は全て埋まってしまっていた。「どうして先に言ってくれなかったのよフミ!私たちも空いてる部屋を持ってるんだけどすでに人に貸してしまっているわ。もちろん祭りに来る人にね。」「いやー、ママたちにサプライズしたくて。」「高くつくサプライズねぇ。しょうがないわねぇ。待ってなさい、探してあげるから。」ママとパパが知人に電話しまくってどこかいい宿泊先はないか探してくれる。しかしやっぱりどこも満室満室満室。カザンラクの町中はもとより、近郊の町ですら埋まってしまっているらしい。バラ祭り恐るべし……………こりゃ下手したら野宿かなぁと思っていたら、突如外に雷鳴が轟いた。次の瞬間、すさまじい勢いで雨が滝のように降り出した。はい、野宿終了。「もうー、この時期は雨なんか降らないのよ。フミが嵐を連れてきたわ!!」それからも学生寮とか軍の宿舎とか、八方手を尽くして探してくれるミレナ。空きは何ヶ所かあったんだけど、やはりそこはお祭りシーズン。宿の値段がウルトラ跳ね上がっている。こいつはマジでどうしよう。「フミ、1ヶ所だけ見つけたわ。ここからすぐ近くのアパートの一室を借りられそうよ。1泊15ユーロでどう?普通はもっと高いみたいだけど、私の友達だからこれでも安くしてもらったの。」15ユーロ。1800円くらいか。お祭り期間中にこのカザンラクで稼ぎたいので、そうなると7泊になる。13000円か。いや、もう迷う余地はない。ここがダメならもうこのカザンラクに泊まるところは絶対にない。そこでお願いします!!と決めて、また明日の朝に来ますねと言ってレストランを後にした。そしてやってきたアパートは本当にレストランから歩いて2分くらいのところにあった。誰も使っていないであろうアパートの2階に上がり、ドアを開けるとそこにはもうとんでなく快適な空間があった。ベッドがみっつ、テーブル、テレビ、冷蔵庫、バスルームもピカピカで熱いくらいのホットシャワー、バスタオルも用意してくれ、簡単な食器もある。その上アパートなので、鍵だけ渡されて完璧なるプライベート空間!!!ここに7日間も滞在できるなんて!!!!このバラ祭りの期間にこんな部屋を確保できたなんて奇跡すぎる!!!!当たり前だけどこれはミレナとパパの力に他ならない。町の人たちから愛されている2人だからこそできたことだ。「フミ君、嬉しすぎるー!!こんなところでお祭りの間いられるなんて!!」「ね!!それにもうすぐ記念日だしね!!」明後日の6月1日は俺とカンちゃんが出会った日。その2年記念日をどこで過ごせるかなぁって話してたんだけど、まさかバラ祭り期間中の美しい田舎町だなんて。シナリオが完璧にもほどがあるよ。そして俺はこの町でもうひとつ、やるべきことを考えている。これはカンちゃんには内緒なので、こっそりとミレナと話を進めないといけない。みんなとまた会えた。大好きなこの町にまた戻って来られた。それもバラで溢れるもっとも美しい時に。ブルガリアの片田舎、そこのアパートのベッドでカンちゃんと抱き合って布団をかぶった。旅はいつもそうだ。全てが必然みたいに思える。全てがこの道に繋がっているんだよな。~~~~~~~~~~~~~~~~~~東京のホテルをアゴダで予約してくださったかたがいました!どうもありがとうございます!!